ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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桜歌の音楽的才能フルですね。


第十七話  アーティストと姉並に大胆な白音

 

 お昼頃、俺達両眷属はリアス先輩・・・・・・グレモリー家の所有する、別荘に来ていた。周りは森という自然豊かな場所だけど、今は俺達全員リビングにいる。一誠は寝転がりながら、

天を仰いでいるのだが、正直死にそう・・・・・・死なないけど。

 

「みんな、ジャージに着替えたらここに集合・・・・・・いいわね?」

 

「「「「はい!」」」」

 

 リアス先輩の言葉に、グレモリー眷属全員が元気な返事を返す。倒れていた一誠でさえも何時の間にか復活しており、その目はまるで獣のよう・・・・・・覗く気だな、一誠。

 

「一誠、早く行くぞ」

 

「ああ、俺は便所に行ってくるから先に行っててくれ」

 

 やはり、覗きに行くつもりのようだ。便所って、ここに来てすぐに行ったはずだけど、それすらも考えられないほど集中しているらしい。

 

「覗くんだったら、リアス先輩達に了承とれよ」

 

「わっ! 馬鹿、何で覗きに了承を得る必要があるんだよ!!」

 

 俺の発言に一誠が過剰に反応し、それに全員が気づいた。明らかに小猫と祭は嫌そうな顔をして、

一誠から遠ざかる。・・・・・・これ、俺も避けられてるわけじゃないよな? 

 

「一誠先輩、最低です」

 

「私、桜歌以外に見られるのはちょっと・・・・・・」

 

 どうやら、嫌われているのは一誠だけのようだ。覗きを阻止しようとして、俺まで被害を被るのは不本意だからな。というか、祭といのりの体を見られたくなかっただけだけど、一誠の犯罪行為だけは阻止できて良かったよ。

 

「あらあら、意外と桜歌君は意地悪ですわね。それとも、私の裸をイッセー君に見られたくなかったとかですか?」

 

「・・・・・・朱乃先輩じゃありません」

 

 何やら朱乃さんと小猫がまたもめ始めた。朱乃さんはニコニコ顔で恥ずかしいことを淡々と言ってのけ、小猫もそれに対抗する。それをなんと見たのか、リアス先輩はため息をつくと、小猫と朱乃さんを引っ張って行った。

 

 どうやら喧嘩も終わりらしく、着替えに行ったらしい。俺も貴重な時間を無駄にするわけにはいかないし、ライブも修行期間中にあるために一時も無駄に出来ない。俺の修行期間はみんなより早く始めたけど、ライブなどがあるためにみんなと同じくらいしかない。

 

「さて、木場、今日はもう一度模擬戦でもやろうか。その前に着替えに行くけど」

 

「そうだね。お相手をお願いするよ桜歌君」

 

「待て、桜歌! お前はハーレム築いているかもしれないが、俺にはそれがないんだ! 頼む、俺をあの桃源郷に連れて行ってくれ!」

 

 俺はバカなことを言う一誠を、引きずりながら部屋に向かうのだった。その間に一誠が血の涙を流していたことは、当たり前のことだと思えてるのは異常だと思う。

 

 

 

 

 

 着替えと一誠の監視を無事に終え、俺といのり、木場に一誠は外の玄関前に集まっていた。やっぱり女の子は女の子というか、やはり着替えは遅い。まあ、大して気にすることでもないと思うけど、いのりはもう既に俺の隣でちょこんと座っている。

 

「くそっ! 覗きに行かせろ! いのりさん出て来たからいいだろ!」

 

「ダメだ。お前はもう少し、女性に好かれるようなことをしろ。覗きをするのは俺が許さない」

 

 今だに一誠は諦めていないのか、わめき散らしている。

 

 俺がジャージの襟首を押さえ、リアス先輩達を待っていると、ジャージに着替えたいのり以外の女性陣が姿を現した。そして、何故か知らないけど朱乃さんにいたっては巫女服を着ている。俺にコスプレさせる趣味とかはないが、可愛いので気にしないで置こう。

 

「うふふっ、どうですか桜歌君?」

 

「今すぐ抱き締めて持ち帰りたいくらい可愛いです。でも、今はいのり以外の事を考える余裕もないので勘弁してください」

 

「あらあら、今すぐ襲ったりはしないのですね。いのりと祭さんに聞いた通りにはいきませんでしたわ」

 

 あの二人は一体なにを教えてるんだろうか? 朱乃さんに入れ知恵したのは別にいいけど、せめてこの問題を解決してからにして欲しい。俺は男だ。女の子の可愛い格好を見て、興奮しないわけはない。まあ、今は興奮というより可愛いと思っているだけだけど、隣で一誠が涙を流して『生きててよかった、朱乃さんナイスです!』とか言っている。

 

「さて、みんな揃ったわね。それと朱乃、桜歌の精神を乱さないでちょうだい。桜歌といのりは大事な時期なの。私にとっても、負けられない戦いなのよ?」

 

「あらあら、すみません部長。桜歌君に私の体に興味あるか聞きたかっただけですわ」

 

「全く・・・・・・まあ良いわ。それより、メニューでも発表するわ。今日一日は、祐斗と小猫はまずは自主トレでもしていてちょうだい。一誠と桜歌、新人の悪魔はまずは私と朱乃、いのりと一緒に少し魔力の使い方を学ぶわよ。一誠と桜歌は、その後は祐斗と小猫のところを私と一緒に回ってもらうわ」

 

 どうやら、俺と一誠の基礎的な能力を今日は一日見るらしく、内容は軽い。だが、女王の予定がこんなので良いのだろうか? まあ、夜には1人で(黒猫付き)特訓するわけだけど、何の問題もないか。

 

 

 

 

 

 あの後、木場と小猫と別れて俺たちは全員が何か浜辺みたいなところに来た。どうやら此処もグレモリー家のあの別荘の敷地らしく、海が・・・・・・波が踊っている。一誠は妄想にでも浸っているのか、

海とリアス先輩達を交互に見て鼻の下を伸ばしている。絶対に断言できる、一誠は確実にみんなの水着姿を想像していると・・・・・・最近、一誠の思考が読めるようになってきた。嘘を見抜くのが得意だったが、これも悪魔になった特典かな?

 

「それでは、桜歌君始めましょうか。まずはこのように、手の先に魔力をためる感覚で指先に魔力を集中させてください」

 

 朱乃さんはそう言って、手のひらにゴルフボールの1,5倍くらいの魔力球を出した。リアス先輩といのりも同じように、手のひらには同じサイズの魔力球を出している。

 

 一誠もアーシアも、祭も集中しだして目を瞑って指先に精神を集中させている。それを見ている俺は、何をしているかと聞かれたらこう答えるだろう。一誠が集中しながらも気になるのか、俺の方をチラチラと見ながら、神経を集中させようとしている。

 

「あらあら、桜歌君、どうしたんですか? 手が止まっていますわ」

 

「朱乃さん、これはこれで良いですけど、少し離れてください。朱乃さんの胸に神経がいって、全然集中できません」

 

 俺の背中には朱乃さんがくっつき、胸を押しつけるようにして俺にもたれ掛かっていた。別に重いわけでも、嫌なわけでもない。だが、男としてこれは集中できるシチュエーションではない。それにいのりまでもが、俺の足の上に座っているから結構辛い・・・・・・主にリアス先輩と一誠の視線が。

 

「朱乃、離れなさい」

 

「朱乃・・・離れて」

 

 渋々といった感じで、朱乃さんは離れた。機嫌は良いようで、鼻歌を歌っている。そんなとき、祭とアーシアの両方から『出来た!』という声が上がった。俺は今だに挑戦する機会も与えられず、その祭とアーシアが作った魔力球を見ている。一誠も同じように、それを見ている。

 

「凄いわね、アーシア。あなたはコントロールに優れているのかしら。それに、祭も上出来よ」

 

「マジか、俺も頑張らねえと! 桜歌、俺は絶対に負けねえぞ!」

 

 勝手に勝負を持ちかけられ、一誠は俺に対抗心を燃やして集中し始める。いのりは今だに俺の足の上に座っていて、一誠を見ている。勝負する気はないのだが、何でこうなったのだろうか? 全く一誠に負けるかと思う気がしない。要するに、対抗心ゼロだ。

 

「よし! 出来た・・・・・・」

 

「あら、一誠も・・・・・・個性的ね」

 

 一誠の手のひらの上には魔力球が作られており、その大きさは小さいというか、ピンポン球より小さい。祭とアーシアが作ったものに比べると、まるで勝負にならない。

 

「あらあら、桜歌君が最後になりましたわ。頑張ってください」

 

「意外ね、桜歌が最後なんて」

 

 口々に何かいってくるが、正直俺はいのりを抱き締めるので手一杯。そんな中、いのりが俺の中の魔力でも呼んでいるのか、口を開いた。どうやら少しバカにされた風な物言いが気に入らなかったらしく、少し震えている。

 

「桜歌はまだ、やろうともしていない。黙って、リアス」

 

「やろうともしていないって、あなた達やる気あるの・・・・・・?」

 

「それは朱乃のせい・・・桜歌はでかいの作る。桜歌、あの岩と同じサイズのものを作って・・・」

 

「わかった。やってみる」

 

 いのりはご立腹なようで、海辺の大きな岩を指差した。俺はそれを確認すると、神経を少し集中させて手を上に出してイメージする。そしてすぐにそれと同じサイズの、魔力球が俺の手に現れた。リアス先輩と朱乃さん、一誠はビックリしている。アーシアと祭は何処かずれているのか、楽しそうにしている。

 

「なっ! 何ですぐに出来るのよ? いのり、まさか教えてたの?」

 

「違う。桜歌には私、なにも教えてない。それどころか、今している修行は別のもの。それに、桜歌が曲は全部作っているのに、出来ないはずはない」

 

「うふふっ、流石はアーティストと言ったところですわ。イメージと言えば、桜歌君にとっては作曲など、いろいろな名曲を生み出しましたからね。それも、全部名曲でデビュー時から絶大な人気を誇っているのですから、不思議はありませんわ」

 

「なるほど・・・・・・確かに桜歌が全部作曲したって聞いてたわ。それがこんな形で力になるなんて、反則じゃない?」

 

 リアス先輩が興味深そうに俺が作った魔力球を見て、賞賛の声を漏らした。イメージと言えば、音楽を作るのには命なので何ともいえない。一誠は隣で落ち込み、いのりは嬉しそうにしていた。

 

 そうして何を思ったのか、朱乃さんは次に水の入ったペットボトルを出し、砂の上に置く。アーシアと祭、俺と一誠は訳が分からないという顔で説明を待った。すると、突然ペットボトルの中の水が突き刺すように中から棘となってペットボトルを破壊した。

 

「これは魔力の応用ですわ。魔力は、属性を変えることが出来る。このように、みんなも魔力の使い方がうまくなれば、こういうことが可能になりますわ」

 

 朱乃さんはペットボトルに向けていた手を降ろして、俺達に説明する。これが使えれば、俺の戦略もかなり増える筈だし、俺もやろうかな? そんな事を思って、ペットボトルに手を向けるとその中にあったはずの氷が炎に変わった。

 

「朱乃、どうせもうこれで教習は終わりよ。わざわざ炎に変えなくたって、さっきので良かったでしょう?」

 

「あらあら、やったのは私ではありませんわ。もう手は向けておりませんわ」

 

 みんなの目が俺に向き、俺の手をみる。そしてペットボトルと視線を移したりして、交互に見定めた。どうやら、この現状が理解できないらしい。

 

「桜歌、水に変えてみなさい」

 

「わかりました」

 

 リアス先輩がそう言ったので、俺はイメージを水に切り替える。そうすると炎は水に変わり、俺の周りをゆらゆらと回り始めた。それは、まるで水が踊っているようにも見え、リアス先輩達はその光景に釘付けになる。

 

「魔力が多いとは思ってたけど・・・・・・あなた、いろいろとおかしいわよ」

 

「なんて言うか、私も先を越されてしまいそうですわ」

 

 出来てしまったものは仕方がない。第一、イメージは得意。これが俺の音楽であり、作曲の根本だ。リアス先輩には異常性を指摘され、朱乃さんには賞賛に近い何かを受けて、次の特訓へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 それから俺は一誠、リアス先輩、いのりと一緒に木場のところに行った。行ったはいいが、木場との模擬戦で木場の木刀をスライスし、勝負はすぐについた。一誠も模擬戦を行ったが、木場にあえなく敗北し、今は小猫のところに来た。約束通りの決闘は、俺の全勝で終わり、幕を閉じた。

 

「次は小猫との模擬戦よ。まずは、一誠行ってらっしゃい。桜歌は後でいいわ」

 

「はい、部長! 事故っても知りませんよ! 危うく手が滑った! とかありますから!」

 

「一誠先輩、やっぱり変態です・・・・・・桜歌先輩との交代を要求します。別に私の不戦敗でいいです」

 

「ちょっと待ってよ! そこまで普通避ける!?」

 

 リアス先輩が一誠に先にやるように言うが、一誠は欲望全開。流石は駒王学園の変態3人組だと言いたいところだけど、小猫が言ってしまったのでいいや。というか、俺が女の子だったら確実に近付きたくないな。今の一誠は・・・・・・。

 

「小猫、一誠と模擬戦をやったら今日の間は桜歌を自由にしていいわ」

 

「・・・・・・喜んで引き受けます」

 

 リアス先輩が俺を餌にして、小猫がやる気を出した。いのりが俺の王なんだけど、そっちの了承は取らなくて良いのだろうか? そんな事を思っていると、一誠が開始の合図もなく飛び出し───小猫に返り討ちにされる。哀れだな、一誠。でも、格闘戦の方が似合ってるぞ。

 

 小猫は一誠のさっきの顔が気持ち悪かったのか、自分の体を隠すようにして遠ざかる。リアス先輩は終わりと見たのか、終わりの合図を出す。

 

「はい、一誠は基礎からね。じゃあ、気乗りしないけど桜歌・・・・・・小猫、思いっきりやって良いわよ。ライブが控えているとは言え、”聖母の微笑”を持っている人が二人いるんだもの。怪我をしてもすぐに治るわ」

 

「わかりました。その、桜歌先輩・・・・・・よろしくお願いします///」

 

「えっ、あっ、うん・・・・・・まあ、木場も本気だったから本気できてよ」

 

 リアス先輩が酷いが、小猫はそんなのお構い無しに顔を少し赤くしながら俺に向き直る。どうにか平和に終わりそうだが、小猫のパワーは凄いからバカにできない。俺が構えると、小猫も構え直してきた。どうやら俺の隙を伺っているらしい。

 

 そんな中、リアス先輩がなにを思ったのか、今は関係ないような発言をする。

 

「小猫、そう言えば桜歌はレイナーレとキスしたらしいわよ」

 

 その発言と同時に、小猫から黒い何かが漏れた。

 

 

 

 

 

 side《小猫》

 

 

「小猫、そう言えば桜歌はレイナーレとキスしたらしいわよ」

 

 部長がそう言った瞬間、私は不機嫌になる。私も桜歌先輩好きなのに、また誰かに先を越されてしまった。いのり先輩は仕方ない。祭先輩も幼なじみだし、仕方ない。

 

 

──────

 

 

 私はある日まで、人を信じられない猫になっていた。姉が主を殺して、私も同じ危険な猫又として、逃げ出した姉と同じく処分の為に捕まった。そんな時、綺麗な歌声、音楽が聞こえた。それは蔑んだ私の心を癒やして、希望になった。それが人間だったときの桜歌先輩、彼がアーティストになって1年くらいだったらしい。その頃には、悪魔や堕天使、天使にも有名なアーティストになっていて、誰も知らない人はいなかった。

 

 私は責められる日の中、桜歌先輩の音楽を聞き続けた。それが私の希望で、姉に置いて行かれた私の処分を待つまでの楽しみ。冷めた私の心を暖かくしてくれる。

 

 ある日、私はファンレターを出した。『あなたは私の希望です』と書いて、返されることもない筈のファンレターを出した。そして、翌日には私に手紙が届く。その名前は桜歌先輩で、『俺も君の希望になれて嬉しいよ。俺の歌は、誰かのためにあるから』と書かれていた。

 

 私は嬉しくて、すぐにファンレターをもう一度送る。最初は返ってくるはずがないと思っていたけども、すぐに返ってきた。それを何度も何度も繰り返し、気がつくと桜歌先輩だけが私のことを聞いてくれる人だと思えた。顔は仮面で隠されているが、凄く優しい・・・・・・誰も私のことを気にかけず、

犯罪者の妹として蔑んだのに、この人は見てくれる。

 

 もしも私の姉が犯罪者だと知れたら、桜歌先輩も私から離れるかもしれない・・・・・・。

 

 そう思って、希望であること意外は全部隠した。そして1ヶ月がたち、私の始末する日取りが決まってしまった。私は急に死ぬのが怖くなって、桜歌先輩に私がもうすぐ処分されること、姉が主が殺した犯罪者であること書いて送った。そして、騙していてごめんなさい、と・・・・・・そうしたら、次の日に手紙を返された。正直、もう見限られると思ったのに・・・・・・。

 

『そんなの間違っている。君は悪いことをしてないし、君は俺を騙していたわけじゃない。希望であったのは事実だったら、最後まで希望でありたい。今日のライブ、君のためにやるから見ていてくれないか? 絶対に何とかする』

 

 手紙にはそう書かれていて、私は泣いてしまった。もう涙は出ない、感情も全部殺したと思ったのに、私は泣いてしまった。

 

 今日のライブは私には見れない。だって、ライブを見ようとしてもその間は独房の中で監禁され、

処刑を待つ時間なのだから・・・・・・。

 

 ライブの始まる時間、私は独房の中にいた。ライブを見れるように頼んだけど、やっぱり断られてしまった。最後に見たかったけど、それももう無理。今日の夜、9時には処刑される。時間を告げられ、6時からはずっと牢屋の中・・・・・・酷く悲しくて、私の目には涙が溜まった。

 

 そして、処刑される10分前、私は悪魔に連れられて処刑される部屋へと行った。そこは何もない部屋で、武器を使って首を落とすらしい。そうして時間が無限のように感じられ、時間になった。それと同時に、私の首に剣が振り落とされようとする・・・・・・が、それは突然出て来た悪魔によって止められた。話によると、私を殺さないようにデモ行進が起こっているらしい。そして、その後ろ盾には魔王様がついている。だから、殺すのは止めろと・・・・・・身柄はサーゼクス様が預かるらしい。

 

 私の処刑は中断され、1人の男の人と引き合わさせられた。それは長い紅髪を垂らした、有名な魔王様。その人に私は預けられた。

 

 そして翌日、私は今の部長・・・・・・リアス・グレモリーに引き合わさせられた。どうやら、私はこの人の眷属になるかわりに、助かるらしい。でも、気になることがあった。ライブ・・・・・・そこで何があったのか、私は知らない。

 

 それを、魔王様に聞くと、とんでも無いことを言い出した。『実は、桜歌君が今日、ライブである話をしたんだよ』と言って、苦笑い。

 

「みんな聞いてくれ、今日は大事な話がある。今日、大切なファンが殺されるんだ。姉は主を殺した犯罪者・・・・・・それだけで、その妹は殺される。理不尽だとは思わないか? 姉が人を殺したってだけで、処刑される。その少女は何も悪くない。他の人にそれだけで蔑まされ、理解者もいない。だからどうか、力を貸して欲しい。こんな理不尽なことがあって良いのか? このまま少女は黙って殺されれば良いのか? 違う、その少女は殺されるべきじゃない。ライブが終わったら、みんなで俺について来てくれないか!!」

 

 それだけで、5大龍王や大勢の悪魔がライブ後に街をデモ行進。その列には、堕天使や天使まで混ざっていたという。それに上層部は慌てて、私の処刑を取り消したらしい。それでその騒動の後見人に、魔王様のサーゼクス様が『EGOIST』の責任者だったために選ばれた。

 

 

──────

 

 

 私の目の前には、憧れの・・・・・・大好きな桜歌先輩がいる。その構えは隙が無く、私より格上なのがわかる。それでも、桜歌先輩と一緒にいられることが嬉しい。会ったら言おうと思っていたことが沢山あるけど、今は集中しなくちゃいけない。

 

 私の豪の体術と、桜歌先輩の体術・・・・・・どっちが勝かもわからない。それに、教えたのは最強の女王であるグレイフィアさんの筈。攻めるとしたら、攻撃力に頼る私からじゃないと始まらない。逆に先を取られたら、負けてしまう。

 

「・・・・・・桜歌先輩、行きます」

 

「どうぞ、手加減は無しにお願いします」

 

 私は地面を蹴り、桜歌先輩に近付く。私に祐斗先輩みたいな速さはないけど、この攻撃力がある。

桜歌先輩の前で足を踏み込むと、右でパンチを放つ。それは簡単に身体を逸らすだけでかわされ、私はその勢いのまま、左足で回し蹴りを放った。

 

 それを桜歌先輩は屈んでかわし、足にそのまま回し蹴りを放たれる。直撃したので、手を地面に突いて後方に下がった。桜歌先輩は追撃することもせず、ただ、ずっと私を見ている。その顔は嬉しそうで、戦う相手に向ける顔じゃない。何かはわからないけど、優しい感じがする。まるで昔、姉様に可愛がってもらっていたときのようだ。

 

 わかってる。桜歌先輩は手加減して、私の相手をしている。最初の一撃と、回し蹴りをかわした時点でもう既に勝敗をつけれた。祐斗先輩の剣速とかが見えて、あえて三枚卸にするくらいだし。

 

「桜歌先輩・・・・・・最初の一撃で勝負をつけれましたよね? 何で私を倒さなかったんですか?」

 

「ん? いや、グレイフィアさんにはよく見ろって言われてるからさ。でも、修行がジャージで良かったよね。じゃないと、・・・・・・パンツ見えてたし・・・・・・」

 

「・・・・・・桜歌先輩、聞こえてます。・・・・・・桜歌先輩なら見られても・・・・・・」

 

 私は顔を赤くしているだろう。でも、最後の言葉までは聞こえていないはずだ。ボソッと呟いただけで、距離も結構あるし。

 

「いや、小猫、『桜歌先輩なら見られても』って簡単には言うなよ」

 

「・・・・・・桜歌先輩が地獄耳なの、忘れてました」

 

 どうやら私の呟きは聞こえていたらしい。それに、私が桜歌先輩の地獄耳を忘れていなければよかった話だが、凄く恥ずかしい・・・・・・どうやって昔のこと切り出そう?

 

「悪いけど、次で終わりだよ」

 

「負けません。絶対に勝ちます」

 

 私は走り出し、桜歌先輩にパンチをしたんだよ繰り出す。それをやっぱり桜歌先輩は軽く上半身を逸らすだけで避けて、私の腕を掴んだ。ふりほどこうとしても、私の怪力が効かないのかビクともせずに何時の間にか私は桜歌先輩に捕まっていた。

 

 ・・・・・・何で投げなかったのだろうか? やっぱり、桜歌先輩は優しい。仲間に対して、怪我をさせないように勝なんて、素人の動きじゃない。

 

「さて、俺の勝ちだよ小猫。・・・・・・って、何で離れないの?」

 

「桜歌! お前、俺が計画してたことを先にしやがって! ズルいぞ!!」

 

 桜歌先輩は私を離したのに、私が桜歌先輩の服を離さなかった。イッセー先輩が近くで喚いているが、少しの間邪魔をしないで欲しい。それに、今ならチャンス・・・・・・桜歌先輩はイッセー先輩の方を見ていて、こっちに気を取られていない。

 

「・・・・・・桜歌先輩、こっちを向いてください」

 

「えっ、うん・・・・・・わかっ!?」

 

 私はこっちに向いた桜歌先輩の唇に自分の唇を重ね合わせて、キスをした。みんなが見ているけど、私には関係無い。それから数秒間、桜歌先輩は私をぎゅっと離さないで、キスも私が離すまでそのままの体勢でいた。そうして、私はゆっくりと桜歌先輩からキスを解く。

 

「・・・・・・桜歌先輩、好きです」

 

 私は誰にも見せない笑顔で、桜歌先輩にそう言った。  




はい、桜歌は結構ヤバいことをやってました。
上層部に嫌われても、仕方ないね。
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