ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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今回は、あの修行後からですね。


第二十一話  不思議な感じのおっとり美人

 黒歌と白音が一応の和解をした後、俺は八坂さんと九重と一緒に炎の操り方の修業。白音は黒歌に仙術の修業を受けていた。今日は二人を仲良くさせるためにそうしたのだが、はっきり言うと、俺も仙術の修業をしたかった。・・・・・・まあ、八坂さんに炎の使い方を教えてもらったのはそれはそれで楽しかったけど。

 

 それで今は、八坂さんと黒歌、九重と別れて俺と白音はグレもリー家の保有する別荘近くの森に帰ってきた。勿論、俺が改造した魔法陣は追跡不可能で、どうやっても何処からきたかわからないようにしてある。・・・・・・これは楽譜を作るように改造したら、何となく出来たので仕方ないだろう。

 

「桜歌先輩、桜歌先輩は仙術の基礎を3日で修得したと聞きました・・・・・・桜歌先輩、凄く才能あるんですね・・・・・・」

 

「基礎と言っても、体に気を巡らせて防御力とかをあげるだけだけどね。まだ感知とかは出来ないよ。姉があれなんだし、白音もどうにか出来るさ」

 

 俺と白音は別荘から少し離れた森を歩きながら、仙術の難しさについて話している。この話題で話が出来るのは、俺と白音くらいだろう・・・・・・眷属間だけだけど。

 

 森の中を歩いていると、別荘が見えてきた。もう既に日が暮れ始めており、当たりは朱に包まれている。その中に、紅い髪を持つ女性と黒い長髪をたなびかせる女性が別荘前で立っていた。

 

「リアス先輩、朱乃さん・・・・・・どうしたんですか?」

 

「ええ、ちょっと桜歌に聞きたいことがあって待ってたのよ・・・・・・それで、桜歌はどうやって魔法陣を追跡できないようにしたのかしら? 教えてくれない? いのりもそんなの教えてない以前に使えないし、気になるのよ。───小猫は食堂に行っててちょうだい」

 

 リアス先輩がそう言うと、白音は俺を一度見てから、食堂に向かっていった。一瞬猫耳が幻覚で見えたのは、最近疲れているからだろう。

 

 白音が行ったのを確認すると、リアス先輩と朱乃さんのオーラが凄いことになる。明らかに朱乃さんのオーラだけが黒いのは、髪の色の所為だろうか?

 

「さて、桜歌君に聞きたいのですけれど・・・・・・どうやって魔法陣を追跡できないようにしたのですか? もしかして、イッセー君曰わく『ラブホテル』に行っていたとか・・・・・・違いますわよね?」

 

「えっと、魔法陣の改造は楽譜を作るみたいにやったんですよ。そうしたら、何となく出来てしまって・・・・・・それからは有効活用してます」

 

「有効活用、ね・・・・・・? それが出来るのが驚きだけど、まあ良いわ。朱乃も少し下がっていてくれる?」

 

 リアス先輩がそう言うと、朱乃さんは『・・・・・・わかりました』と言って、別荘の中に消えていった。それを確認すると、リアス先輩も閉ざした口を開けてもう一度話し始める。

 

「・・・・・・行ったわね。じゃあ、次は小猫のことよ。あなたも知っているでしょうけど、あの子は姉の所為で笑顔を失った。でも、あなただけには感情を見せてくれるわ。それはわかるでしょう? 私の前では笑わないのよ、小猫は」

 

「そうですね・・・・・・何時も、部室の中ではポーカーフェイスでしたから・・・・・・。俺が音楽をやっているのは、自分のためと誰かを笑顔にするため・・・・・・白音は音楽に希望を持ってくれて良かったですよ」

 

 リアス先輩が少し悔しそうにして、俺に語り始める。俺も白音について、思っていたことを全部話した。でも、黒歌のことは話せないけど・・・・・・。

 

「それに知ってる? イッセーがそう呼んでいいかと小猫に聞いたとき、本当の名前で呼んだとき、こう言われたらしいわ。『その名前で呼ばないでください』だって。桜歌以外にはその名前で呼ばせないのよ? イッセーは落ち込んでたけど、あなたには小猫を頼むわ。心を開いたのはあなただけで、私は王失格だけど、あなたに小猫を支えて欲しいの」

 

 ───前言撤回。もしかしたら・・・・・・黒歌の本当のことを話せば、リアス先輩も力になってくれるかもしれない。もし黒歌が追われることになったら、守ればいいだけの話だ。

 

「リアス先輩、あなたも白音の力になれるかも知れませんよ?」

 

「えっ? どういうこと?」

 

 リアス先輩も力になれるのならなりたいようで、話しに食いついてきた。もしかしたら、俺には詐欺師の才能があるんじゃないだろうか? 一応、リアス先輩の白音への、眷属への思いを利用しているわけだし。

 

「もし、白音の姉の主が酷い奴だったらどうします? その所為で、黒歌が主を殺すことになったとしたら───あなたはどう思いますか? 悪魔としてじゃない。1人の生きるものとして、答えてください。あなたは白音を助けたいのでしょう?」

 

「・・・・・・っ!? あなた、まさか黒歌と会って───!! いえ、今は質問の最中よね。そう言うことなら、確かに・・・・・・全部話してくれないかしら? 黒歌の居場所は聞かないわ。でも、それだけでも話してちょうだい」

 

 どうやら当たりは上々で、リアス先輩も意味がわかったようだ。少し考えた後だったが、この人なら堅物みたいな答えは出さないだろう。

 

 俺は嘘と同時に、相手の本質とかも意外とわかる。これもグレイフィアさんに叩き込まれたんだが、今はその話じゃない。

 

 俺は一回だけ深呼吸すると、リアス先輩の目を見る。その目は真っ直ぐで、自分が大変なのに眷属のことを考えている、他人のことを考えている目だ。俺は黒歌が主に酷い命令をされたことや、いろんな経緯を話す。それと、白音がもう姉と会ったことも、全部。

 

 語り終えると、リアス先輩は神妙な顔で考え込んでいた。どうやらうまく伝わったらしく、真剣に考えているらしい。

 

「そう・・・そんなことが・・・・・・。だとしたら、もっと軽くなるわね・・・・・・。桜歌、今はレーティングゲームに集中しましょう。話はその後───じゃないと、通る意見も通らなくなるわ。こっちでも一応、お兄様に黒歌の件をもう一度調べるように頼んでみるから」

 

「ありがとうございます。やっぱり、まずはレーティングゲームですね」

 

「話も纏まったし、今は食事しに行きましょうか。今頃、みんな待ってるわよ」

 

 リアス先輩はそう言って、食堂に向かってあるいていく。俺もリアス先輩の後を追い、少し鼻歌を歌いながら上機嫌でついて行くのだった。

 

 

 

 

 

 翌日、俺は木場との剣の修業をしていた。今日はライブがあるので無理は出来ないが、軽い撃ち合いをしている。お互いに精神を研ぎ澄まし、撃ち合っているといきなり俺と木場の間に銀髪メイドが現れた。・・・・・・そう、グレイフィアさんだ。何故か手には扇子を持って、俺と木場の木刀を止めている。

 

「桜歌、今日はライブの1時間前に集合の筈ですよ?」

 

「あっ、グレイフィアさん・・・・・・ツッコミませんけど、わかりました。と言うか、もうそんな時間ですか」

 

「桜歌君、この状況でよく冷静だよね・・・・・・」

 

 木場が何か言っているが、よく何処でも現れるグレイフィアさんなので、もう驚くこともなくなった。木場は若干冷や汗を流しているが、気にしないでいいだろう。

 

 俺は木刀をしまっていると、そこにいのりとリアス先輩達も現れた。全員が修業しているはずだけど、どうしたのだろうか?

 

「今から気分転換に桜歌といのりのライブを見に行くわよ。グレイフィア、少しくらい息抜きしてもいいわよね?」

 

「ええ。リアスお嬢様も家の息子のライブを見に来てください。いい息抜きになるはずです」

 

「グレイフィアさん・・・・・・もう絶対にツッコミませんよ」

 

 どうやらみんなで俺といのりのライブを見に来ることになったらしく、みんなが集合してしまった。俺はため息をつきながらも、ツッコミたいのを耐える。何度目のやり取りか忘れたが、もう気にしない。

 

 グレイフィアさんが魔法陣を展開し、全員がその大きな魔法陣に包まれる。そうして俺とリアス先輩達はライブ会場に転送されるのだった。

 

 

 

 

 

 気づくと俺といのり、リアス先輩達全員がライブ会場の控え室であろう場所に直接転移させられていた。他のみんなは興味津々で、着替えるので出て行ってもらいたいところ・・・・・・何だけど、グレイフィアさんはなにも言わない。

 

「此処は桜歌といのり様の控え室です」

 

「へぇ~、此処が控え室か・・・・・・俺、始めてみたかも」

 

「私もよ、イッセー。桜歌に顔がバレルといけないからって、私も入ったこと無いわ」

 

「桜歌先輩の衣装、何処ですか?」

 

「うふふっ、嬉しいですわ。桜歌君の衣装、何処か探し害がありますわ」

 

「衣装!? と言うことは此処にいのりさんの衣装も・・・・・・ムフフッ!」

 

 明らかに危ない反応の3人・・・・・・特に、一誠が危ないだろう。だが、俺もその対策はしてあり、俺といのり意外は触れられない場所においてある。

 

 というか、グレイフィアさん・・・・・・自慢気に話してないで、早く一誠たちをこの部屋から出してください。俺は問題ありませんが、いのりは問題です。

 

 俺がそう目で訴えかけると、なにを勘違いしたのか違うことを喋り出す。グレイフィアさんは今日も平常運転のようだ。

 

「そうですか、私をお母さんと呼びたいのなら何時でもどうぞ。桜歌は一度も呼んでくれませんから・・・・・・」

 

「違います。ボケてないで察してください」

 

「もう、家族サービスくらいいいじゃありませんか。───仕方ないですね。リアスお嬢様、そろそろ着替えてからじゃないと時間が合わないので一度出ていただけますか?」

 

「そうね、これじゃあ着替えられないわね。じゃあ、少し外で待ってるわ。みんなは私と外よ」

 

 そう言ってリアス先輩とみんなは外に出て行き、俺といのりだけが残る。グレイフィアさんは何故か此処にいるが、何度も見られているので気にしないでいいだろう。

 

 いのりはもう既に服を脱ぎ始めており、下着だけの姿になっていた。俺はちょっと黒い空間から衣装ケースを取り出すと、そのうちの何時ものいのりの金魚服を取り出すと、それをいのりに手渡した。いろいろと見えているが、何時もの事なので気にしない。

 

 俺も衣装ケースから一着の白いコートを取り出し、着替え始める。何故かグレイフィアさんの手にカメラがあるが、それも気にしないでいいだろう。今はつけていないはずだ。

 

「桜歌・・・終わったよ?」

 

「ああ、こっちも着替えた。じゃあ、リアス先輩達を入れてもいいかな?」

 

「うん・・・早く修業しなくちゃ」

 

「がんばることはいいですよ、桜歌。ですが、根を詰めすぎないでください」

 

「グレイフィアさん、わかってます。でも、いのりを渡すわけにはいきませんので」

 

 グレイフィアさんと俺といのり、3人で会話しながらグレイフィアさんが戸を開けて、リアス先輩達に入っていいと合図する。そうすると、リアス先輩達が扉の奥から出て来た。

 

「おおっ! いのりさんってすげえ大胆な衣装!! 胸元が開いたデザインでへそまで見せているとはッ!! 俺、今まで生きていて最高でした!! 今すぐ死んでもいいです!!」

 

 一誠が凄い早さで感想をいい、鼻の下をのばす。出来ればぶっ飛ばしたいところだが、この服は汚れが目立つので止めておこう。

 

 だが、そこに一誠が気づいたのか、鼻の下をのばすのを止めて真剣に聞いてくる。

 

「そういえば、どうやって着替えてんだよ? 見たところ、試着室も無いじゃねえか」

 

「イッセー様。それは二人が愛し合っているからこそ、お互いの裸を見ても何も文句は言わないのですよ。それどころか、見たい年頃ですから」

 

「否定はしません」

 

「私も・・・桜歌なら見て欲しい・・・」

 

 グレイフィアさんが余計なことを言うが、否定できなかった。俺もいのりもそれを認め、白音と朱乃さんは顔を赤くしている。白音にいたっては、もう既に見ているので恥ずかしいのだろう。朱乃さんはSだからわからない。そんな中、やっぱり面白い奴はいるものだ。

 

「裸を・・・生着替えを見ただとッ!? アーティストってそんないい職業なのかぁぁーーっ!!」

 

「一誠、アーティストはそういう職業じゃないからな?」

 

 やっぱり一誠はこういう奴のようで、血の涙を流しながら俺をゆすりかけようとする。だが、それはグレイフィアさんが許さないようで、一誠は襟首を掴まれている。

 

「桜歌、そろそろ時間ですよ。ステージに向かってください」

 

「わかりました。じゃあ、リアス先輩達は・・・『ステージ裏まで行くわ』───でしたら、一緒に行きましょうか」

 

 俺はグレイフィアさんが開けた扉をくぐり抜け、いのりもその後に続く。そしてその後ろからリアス先輩達も控え室から出て来た。

 

 そのまま俺は大名行列みたいなリアス先輩達を引き連れ、廊下を進んでステージ裏に向かう。

 

 そして数分後にステージ裏に着くと、誰かに袖を引っ張られた。その手の主は白音で、綺麗な白い腕が薄暗いステージ裏でライトの光を浴びている。

 

「・・・・・・桜歌先輩、頑張ってください。応援してます」

 

「うふふっ、私も応援してますわ」

 

「お、桜歌頑張ってきてね!」

 

「いのりさん、ファイトです!」

 

「いのりも桜歌も行ってらっしゃい」

 

 白音、朱乃さん、祭、一誠、リアス先輩がそれぞれ応援してくる。まあ、一誠は何時も通りでいいのだが、グレイフィアさんは離れたところで手を振っている。こう言うときだけ空気を飲むところは凄いと思うが、今は放っておこう。

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「ありがとう・・・みんな、私はこれをラストにはしない」

 

「当たり前よ。ライザーには勝つわ」

 

「ですよね、俺も絶対にこれをラストライブにはしませんよ。まあ、ライザーに負けたところでラストライブの告知をしなければいけませんから、これは最後にはなりませんけどね」

 

「ハハハッ! 最後の最後で冷静だね、桜歌君は」

 

「帰ったら木場と修業だ。今度は本気で行くぞ」

 

 俺はそう言って、いのりと共にステージの表にでた。会場にはピアノが置いてあり、他はなにもおいてないけど観客がいるステージ・・・・・・。

 

 スポットライトを浴びて、俺といのりは観客の歓声をも浴びた。ここに立つと、やっぱり楽しくなってきてしまう。いのりも同じようで、少しゆるんだ表情になっていた。

 

 俺はピアノの前に座り、伴奏を引き始めた。最初はいのりのソロでスタート、こうして俺といのりのライブが始まった。

 

 

 

───1時間後───

 

 

 

 俺はいのりとデュエットで会場を盛り上げている中、フードを被ってあるだろう女の人? の近くに明らかに怪しいフードがいた。それも数人で、後ろから襲おうとしているように見える。俺といのりの曲もこれで最後で、終わりなのだが明らかに前に進んでくるなんて怪しい。

 

『・・・作戦──これを───今───』

 

『──コカビ───アザゼ───』

 

 聞き取れたのはこれだけ。後は周りの歓声と俺といのりが歌っているためか、聞き取れない。俺が歌っていなかったら聞こえていただろうが、仕方ないだろう。

 

 俺が歌い終えたと同時に、フードを被った女の人であろう人は少しぐらついて後ろのフードの数人に寄りかかった。どうやら何かを使ったらしく、何時の間にか接近していた後ろの人に気付かずに何かをされたらしい。

 

 そのフード達は俺といのりがまだステージに居ても、関係ないと言うかのように後ろにフードの女性を引きずっていく。

 

「ありがとう! これでライブは終わりだ。また次回、俺といのりのライブに来てくれ!」

 

「私も楽しかった。ありがとう・・・」

 

 俺といのりはそう言って、ステージから出て行く。観客は歓声をあげて俺といのりは見送り、裏ではグレイフィアさんが待っていた。

 

 リアス先輩達は別のところで待っているようだが、急いでいるので今はどうでもいい。

 

「いのり、ちょっと少しヴォイドを借りるよ」

 

「・・・うん、わかった。桜歌・・・行ってらっしゃい」

 

 俺はいのりと目を合わせて、手をいのりの胸に突っ込んだ。そうして引き抜くと、手にはいのりのヴォイドである《剣のヴォイド》が握られている。

 

 俺は走り出し、ステージ裏から外に向かう。魔力でマーキングしておいたフードの反応は近くから消えておらず、今だに外でもめているようだ。

 

 自分の魔力なので追いやすく、すぐにその場所は見つかった。俺は木々の上に立ち、フードを被ってあるだろう女性が抵抗しながらも引きずられていくのを見る。

 

 敵は5人、感覚からしては相当嫌な感覚・・・・・・堕天使あたりだろう。ライブの日は全種族が悪魔領に近寄れるため、敵味方関係無い。

 

「早く悪魔に気付かれる前に連れ出せ! 護衛がいない今がチャンスなんだ!」

 

「くっ、私に何をしたのですか? それにこの装置は・・・・・・あなた方、また戦争を起こそうとしているのですね・・・・・・!」

 

「当然、コカビエル様のご意志なのでな。それと、この装置はアザゼル様の研究室から盗ってきたものだ。今頃、自分の神器の研究成果がこんな事に使われているとは知らないだろうよ」

 

 どうやら捕らえている女の人に必死なようで、今だに俺に気付いていない。俺は軽く木から飛び出すと、上から女の人を掴んでいる堕天使に剣を振り下ろした。仙術で気を巡らすことで気配は消せるため気付かれたときにはもう後ろで1人目を切り裂いている。

 

「グアァァーーーー!!!!」

 

「貴様、なに───まさか、アーティスト風情がこんな所にッ!?」

 

「悪いけど、ライブでファンを捕まえるとか止めてくれるかな? 戦争なんてゴメンだし、ファンを消そうとするなら容赦しないよ」

 

「えっ? 桜歌様・・・・・・?」

 

 俺は驚いている堕天使が光の槍を出す前に、《剣のヴォイド》で敵を3人切り裂く。その3人はすぐに血を吹き出して後ろに下がり、1人は無傷のままこちらを睨みつけている。

 

「消えないなら・・・・・・次は本気で殺す。この人は諦めろ」

 

「くっ! 今回の仕事は出世への近道だったのに・・・・・・ッ!! 仕方無い、コカビエル様に報告しに帰るぞ!」

 

 そう言って、5人はすぐに目の前から姿をくらまし、残るのはフードの女性と俺だけとなった。

木々が静寂を作り出しているようにも思える。

 

 そんなとき、女性がフードを取り外して、俺にその顔を見せてきた。髪はブロンドでウェーブがかかっており、スタイルのいい女性だった。

 

 俺は思わずその髪と頬に触れ、抱き締めたい欲望を我慢する。・・・・・・危ない、今此処で可愛い物を撫でる癖が発動するところだった。

 

「えっと、怪我はない? 大丈夫? 家まで送ろうか?」

 

「すみません、桜歌様~。私はガブリエルと申します。あえて光栄ですぅ~桜歌様」

 

「あっ、こっちこそごめん・・・・・・その、勝手に頬に触れたりして・・・・・・その、あまりに綺麗だったものだから」

 

 俺はそう言って、そのガブリエルという女性から手を離す。正直言って、触り心地が良かったが、

これ以上触るとセクハラになるのでよそう。

 

「桜歌様にそう言っていただけると、私も嬉しいですぅ。それより、ライブに熱中しすぎた私のミスですねぇ。これを外したら1人で帰れるんですが・・・・・・どうやら私の力を封じ込めるもののようですぅ」

 

「なるほど、ちょっと見せてください」

 

 ガブリエルさんが困ったように言い、俺はその手に着けられた機械を手に取る。どうやら錠がついているタイプのようで、腕輪の形をしていた。それに、鍵穴までご丁寧に付いている。

 

 これを作ったアザゼルは一応、保険でもかけておいたのだろうか? だとしても、盗まれてほしくない一品だ。まあ、この女性もライブに真剣になってくれていたようだから嬉しいけど。

 

「これなら、簡単に開きますね。ガブリエルさん、少し待っててください」

 

「いいですよぉ。でも、桜歌様って悪魔になったばかりですよぉ? どうするんですかぁ?」

 

 俺は?マークを頭に浮かべているであろうガブリエルさんを横目に、右手の指先を錠の先にくっつけた。そして、氷の魔力を発生させると、指をちょっと回して音がするのを確認する。

 

 ───ガチャッ!!───

 

 錠は音を立てて外れ、ガブリエルさんの足下に落ちた。ガブリエルさんは驚いたような表情を見せずに、ただ感心したように言う。

 

「凄いですぅ。まさか、もう此処までできるとは思ってませんでしたぁ」

 

「アハハ・・・・・・ただ、少し考え方を音楽に近付けただけですよ。でも、ガブリエルさんって凄いんですね。なんかオーラで満ち溢れてます」

 

「そうですかぁ? ふふっ、私は天使ですからぁ、当然ですぅ。でも、桜歌様もいい魔力をお持ちですねぇ。この借りは必ずお礼を致しますので、待っていてください。では、ありがとうございました。それと、私と会ったことは誰にも喋らないでくださいねぇ」

 

 ガブリエルさんはそう言って、魔法陣らしきものを展開してこの場から消えた。残ったのは俺だけで、本当に不思議な人だった。

 

 こんなとこで考えているわけにもいかないし、早く帰らないと。

 

 俺は不思議な感じの人と会えたことを喜びながら、いのりとリアス先輩達がいるであろう会場に帰るのだった。その後、ちゃんとガブリエルさんとの約束を守ったのは言わないでもいいだろう。




ガブリエルさん登場。
桜歌は熾天使だと言うことに気付いてないです。
そして、ガブリエルさんは真面目にライブにねっちゅうしてました。
油断のし過ぎですね。
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