でも、桜歌とはまだ・・・・・・。
俺は現在、冥界のグレモリー家に来ていた。紫色? の空に、俺の目の前では大きな館が建っている。これはグレモリー家であり、グレイフィアさんの仕えるところであり、俺が今から上級悪魔になるために必要な修行をする場所・・・・・・無理矢理連れてこられたと言うこと以外は、問題ないだろうが、俺は学校に何時になったら行けるのだろうか?
一つ言っておこう。ライザーの一件から、俺は一度も学校に行っていない。明らかに成績が下がるうえに、出席日数までヤバくなってくる。
自分で言うのもなんだが、俺は頭がいい・・・・・・いや、頭が良いというわけじゃない。勉強も音楽の楽譜と考えれば、覚えられる。が、流石に勉強がわからなくなってくるかも・・・・・・。
───だが、今はそれもたいした問題じゃない。問題は、レイナーレだ。今日は一緒に寝るという約束をしたのに、こっちに泊まることになってしまった。レイナーレは連行される俺を見て、『やっぱり桜歌様は私のことが嫌いなんですね・・・・・・。そうですよね。だって、私は特別に可愛いわけでもなし、桜歌様に言い寄る女の子ならいっぱいいます。殺しかけてきた女の子より、もっと可愛くて優しい女の子が良いですよね。祭さんやいのり様が一番ですもんね・・・・・・うぅ・・・・・・私なんて桜歌様の使い捨てなんです』と言いながら泣いていた。正直、レイナーレが心配だ。
グレイフィアさんに家に帰して欲しいと言ったが、レイナーレには桜歌が上級悪魔になるまで会わせられないと言って、俺の言うことなんて聞きやしない。もう既に、俺が上級悪魔になることしか頭にないようだった。
「はぁ~、レイナーレに後で謝らないとな・・・・・・」
「そうですね。女の子を放置とは、流石に限度があります。帰ったらちゃんと相手をしないと、愛想を尽かされますよ」
「誰の所為ですか・・・・・・誰の・・・・・・」
「勝手に約束をした桜歌が悪いです」
「あれ? 俺の所為ですか・・・・・・?」
「アーティストが勝手なスケジュールを組んでは困りますよ? 何時、スケジュールに予定が入るかわからないんですから」
グレイフィアさんの言うことも正論で、俺は言い返せない。せめて、レイナーレと話くらいさせて欲しかった。というか、本当に学校はどうすればいいんだろ。
「桜歌、そろそろ時間が押しているので行きますよ。あなたには、執事修行と勉強を両立してもらいますからね。後、一週間でテストなんですから、しっかりと私が教え込んで上げます」
「ハイハイ、一発で合格すればいいんでしょ。早く帰ってレイナーレに謝らないといけないし、早めに終わらせますよ。楽譜と思えば、簡単です」
俺は成績がいい。・・・・・・ともいえないが、楽譜と思えばトップクラスの点数を取れるのが事実だ。
楽譜は覚えるもののため、記憶力もそれなりに良い。今までも、自分の頭に楽譜と思わせることで勉強を覚えてきた。正直、こんな勉強法をしている馬鹿は俺くらいだろう。が、馬鹿になるよりはマシなので何ともいえない。
グレイフィアさんが俺の前を歩いて行き、俺はそのグレイフィアさんの後ろからついて行く。グレモリー邸に入ると、中には沢山のメイドさんに執事がこちらに頭を下げてきた。一誠が見たら、相当喜ぶだろう。
そしてその中から、一つの紅い小さな弾丸が俺の腹に飛び込んできた。それは俺の腹に嬉しそうに抱き付き、俺を見上げている。
「お帰りなさいっ! お兄様、お母様! お兄様が本当のお兄様になってくれて、とっても嬉しいです! やっぱりお兄様は凄いです! 滅びの魔力をあんなに簡単に操るなんて、お兄様に滅びの魔力の使い方を教えて欲しいです!!」
「ああ、ミリキャス。ただいま? それはいいとして、何で教わるのがリアス先輩じゃないんだ。俺よりもリアス先輩の方がいいんじゃないか? それに、サーゼクスさんも例外じゃないだろ?」
飛び込んできたのはミリキャスで、俺とグレイフィアさんを交互に見ている。そして離れたかと思うと、次はグレイフィアさんに抱き付いた。
「お父様は忙しいです・・・・・・。それに、お母様もあまり構ってくれません。夜寝るときは一緒に居てくれますが、教えてくれるのは教育係です・・・・・・。・・・・・・それに、リアスお姉様は滅びの魔力を使えるけど、お兄様程上手くありません」
ミリキャスは悲しそうにして、グレイフィアさんにぎゅっと抱きついている。やっぱり、ミリキャスもまだ子供で、親に甘えたい年頃なのだろう。
俺にはわからないが、そう思える。俺の親の顔・・・・・・そんなもの、とっくの昔から覚えていない。
それどころか、会った記憶すら無いのだから。
というか、ミリキャスに優劣の差を決められたリアス先輩って、なんか可哀想だな。本家が本家に弱いとされるって、奇妙な光景だ。
「リアス先輩が俺より上手くない、か・・・・・・そんなこと無いだろ?」
「いえ、お兄様に弟子入りしたいって人がいるんです! だから、お兄様の凄さをその人が教えてくれて、リアス先輩よりも凄いと言っていました!」
誰だよ弟子入りって・・・・・・俺、ただの下級悪魔だぞ? ただアーティストやっているだけで、特別な事は何も無いはずだが・・・・・・弟子って、俺は取る立場じゃないんだけどな。まだまだグレイフィアさんには教わることがあるし、本格的な格闘術を教わらなければいけない。
吹き込んだ人がどんな人か知らないけど、ミリキャスと話せたと言うことは高位の存在なのだろう。それも、グレモリーと同じくらい。・・・・・・いや、それはないな。上級悪魔ってプライド高そうだし、下級悪魔に頭を下げてくるとは思えない。
奇跡的に話せただけか・・・・・・。
───あっ、俺も下級悪魔だった。
「弟子入りねぇ~。俺は下級悪魔だし、そんな資格なんて無いと思うけどな。ライザーがあれだし、
そいつがまともとは思えない。というか、屈辱じゃないか?」
「お兄様に教わるのが屈辱ですか・・・・・・? ミリキャスはそう思いませんよ? お兄様に教わるということは、とっても嬉しいです!」
ミリキャスは嬉しそうにそういい、グレイフィアさんはミリキャスの頭を撫でる。・・・・・・本当に微笑ましい光景だ。そんなことを思いながら見ていると、グレイフィアさんが俺を見て何を思ったのか俺に空いている手を出してきた。
「羨ましいのですね、桜歌。今ならこっちが空いてますよ?」
「からかわないで下さい。俺は子供じゃありません」
俺はそう言って、グレイフィアさんの誘いを断る。明らかにあそこに入ったら、確実に俺は捕まって『お母さん』呼びを強要されるだろう。ミリキャスが居る手前、断ることも出来ないかもしれないから、嵌まったら終わりだ。
「それより、早く上級悪魔になるために試験を受けるための勉強をしましょうよ。俺は早く帰ってレイナーレに謝ったり、何時もの日常に戻らないといけないんですから」
「そうですね。では、執事服を着て来なさい。まずは、執事の腕を見せてもらいます。それと今日は夫人なので、"お母様"と呼ぶように」
「はめられたッ!?」
こうして俺はにこにことするグレイフィアさんを"お母様"と呼ばない方法を考えながら、執事服を着るために、自分の部屋に向かうのだった。
side《綾瀬》
此処は私とツグミ、大雲さんとアルゴの住む家のリビング。そこで私は独り、ただみんなの帰りを待っていた。テレビに冷蔵庫、電子レンジにトースター、オーブンに炊飯器、ソファーという何処にでもありそうな家。
だけど、私達は普通の人間とは言えない。私とツグミ、アルゴは神器持ち。大雲さんは悪魔で、私たちを拾ってくれた人だ。悪魔にはしないと言っていたけど、親の仇を討てるなら、それでもいいと思っている。だけど、大雲さんは悪魔の駒という物を持っていないらしい。何処かに隠しているような気もするけど、何時も探すのは大雲さんに簡単にバレるからやっていない。
そう言えば、凄くツグミとアルゴが愚痴ってた。『桜歌がまだ学校に来ない』と言って、暇そうな顔で二人してうなだれていた。もしかして、アルゴとツグミは桜歌の事が好きなんじゃないだろうかと思えてきた。アルゴの場合、友情的な意味だけど・・・・・・一番の問題はツグミ。神器を使って覗き見をする度に、私と同じくらい魅入っている。
正直、そのうちツグミが桜歌に言い寄るかもしれない。───と考えているが、ツグミって恋愛感情を誰かに持つことがあっただろうか? でも、初恋と同じ匂いがする・・・・・・特に桜歌は昔、鈍感の中の鈍感だった。だけど、今はハーレム状態。私の事は忘れているだろう。それに、キスも寝ている間にしちゃったし、気付かれてない筈。
「あいつ、昔は鈍感だったから誰ともくっつかないと思ってたのにな・・・・・・」
「綾瀬。どうしたんですか? もしかして、恋の悩み事ですかっ!」
「愛歌ちゃん、そうだけど・・・・・・愛歌ちゃんも桜歌が好きでしょ? 宿主に似るって言うか、本当に愛歌ちゃんも女の子だよね・・・・・・それに、私より可愛いなんて羨ましい!」
この娘の名前は、愛歌・・・・・・長い黒髪に、美しい容姿を持った可愛い高校1年生くらいの女の子なんだけど、私の神器の《
名付け親は私・・・・・・なんでこの名前かは聞かないで欲しい。本当に桜歌の名前に似せたなんて言えない。ツグミやアルゴ、大雲さんは言わなくても気付いているけど、桜歌だけには知られたくない。
恥ずかしすぎる。
触ってみると、人間の温かさも肌触りもする。この娘が機械だなんて言っても、実際にこの娘の力を見なくてはわからないだろう。
「羨ましいと言いながら人の胸を揉まないで下さい! 綾瀬の胸の方が大きいのに、何で揉みし抱くんですか!?」
「だって、本当に機械に見えないんだもん。エレガントじゃないけど、あなたの体には興味があるわ。特に、その標準サイズの胸で桜歌を誘惑することを企んでいることとか。容姿も可愛いし、あなたなら誘惑できそうだしね」
「何言ってるんですか? 私は機械ですから見向きもされませんよ! 感触は女の子とは言え、機械の女の子なんて気持ち悪いだけです!」
愛歌ちゃんはそう言って、私の車椅子の範囲から逃れる。相変わらずの白い肌に、綺麗な黒髪。女の子の誰もが嫉妬して、街中の男なら誰もが振り向くだろう。しかも、綺麗な着物まで着る始末なのだ。・・・・・・若干、私が揉んだ所為で乱れてるけど。
───ガチャッ───
扉が開く音が聞こえ、そこから大雲さんたちが入ってくる。アルゴもツグミも、いつも以上に真剣な表情だ。
「綾ねぇ、獲物が見つかったよ!」
──────
紫色? の空に、漆黒の密林・・・・・・私、愛歌ちゃん、ツグミ、アルゴに大雲さんは冥界のあるところに来ていた。此処にきた目的は、はぐれ悪魔を狩るため。生活費を稼ぐために、あいつを殺すための力をつけるために来ている。
桜歌もこっちに来ているようだが、会うこともないからそれはそれでいい。気にすることでもないし、気にしていたらダメ。桜歌は強いようだけど、今は会えない。
「油断しないようにな」
「わかってるって、大雲さん」
「くもっち、心配しすぎ~」
大雲さんが注意を促し、アルゴとツグミが答える。私と愛歌ちゃんは無言で、ただ敵が来るのを待っていた。
そして、周りの音が消える。
それと同時に、大雲さんやみんなが真剣な表情になる。それを言う私も、愛歌ちゃんが前に立って私を庇うように構える。私が行えるのは力の供給と、力を分けてもらうこと。歩けない私では、力の供給くらいしか意味がない。
「ヒハハハハっ! 人間が3匹に悪魔が一匹・・・・・・それに、面白そうなのが一匹! これは喰い甲斐があるなぁ~。しかも、そのうちの3匹が女っ! 柔らかそうなお肉だぁぁ~!」
そう言って現れたのは、犬みたいな下半身に、人間のような上半身の男。その顔は狂気に染まっており、如何にもはぐれ悪魔という言葉にぴったりだった。
「綾瀬。下がって!」
「分かった。愛歌ちゃん、存分に力を振るっていいわ!」
愛歌ちゃんの体に力が流れ、私から力が吸われていく。愛歌ちゃんの体は赤く光り、まるで私の血を吸っているようだ。
私の復讐心が生み出した、罪の代償とでも言うべきだろうか。絶大な力には、それ相応の犠牲が伴うのは当たり前。あいつを殺すには、この力しかない。
愛歌ちゃんは駆け出し、そのはぐれ悪魔に一撃を入れる。それを受けたはぐれ悪魔は悶絶し、怯んでその場に佇んだ。
「ガハッ! 貴様、ただじゃおかんぞ!」
「それを言うなら、お前が強いってことを証明してからだぜ!」
愛歌ちゃんが下がり、アルゴが手に短刀を出現させる。あれは《
その短刀をアルゴは投げ、それが悪魔の前で無数に増えた。
そしてそれは、悪魔の全身を傷つけてダメージを与えた。手や腕、腹にナイフが突き刺さり、血を垂れ流させる。
「貴様らぁ! 殺して───『悪いが、もう終わりだ』」
大雲さんがそういうと同時に、悪魔の体の周りが魔法陣で囲まれる。それが全体に展開されると、
一瞬で爆発が起きた。それは悪魔の体を爆炎で飲み込み、爆発が収まった後には何も残っていなかった。あくまの姿も、塵一つ残っていない。
終わった。そう思った瞬間、忘れもしないあの声が響き渡る。昔、私の家も住んでいる村人までも消し去った男の声が。
「おお、これは良い狩り甲斐がありそうな団体様じゃねえか?」
赤い髪の男が、崖の上に立っている。そいつは私たちを見下ろして、ただ大きな赤い鎌を肩に担いで品定めをするように私達を見下す。
「ギル・ハルバーーートーーーッ!! 私は、あんたを絶対に許さないッ! 私の親や友達をあんたが殺したように、私もあんたを殺すッ!!!!」
私は理性を失ったように、ただそいつに向かって叫んだ。
うーん、何故か神器がこれに・・・・・・。
その衝動で、オリキャラ発生・・・・・・。
いや、何かそのまま連想するとオリキャラ作って見たくなったんです。
ついでに、親の敵が判明・・・・・・?
アルゴの神器を紹介。
通常:《短刀創造》ダガーナイフ・クリエイト
禁手:《道化師の切り札》ジャックナイフ・ジョーカー
能力:ナイフを製造できる。聖剣、魔剣のナイフが製造可能。
綾瀬の神器を紹介。
通常:《機巧人形》マシンドール
禁手:《機巧人形の宴》マシンドール・エンドレイヴ
能力:機械人形を出して、操ることができる。通常時は一体。
禁手すると、何体も同時に操れる。
元ネタは・・・・・・。
最初は機械を操るだけにしようとしたんだけどね。