side《一誠》
青い空。一般人のいない旧校舎前のグラウンド。俺はそんなグラウンドに、向かい側のイリナと相対しながら立っていた。俺はゼノヴィアって奴と戦いたかったんだけど、イリナが俺と戦いたいとうことなので、ゼノヴィアの相手は木場に譲った。
まあ、俺もあんなバカデカい聖剣相手にパワーで勝てる自信なんてなかったし、イリナの体を俺の必殺技。"洋服崩壊"で拝めるだけでも感謝しておこう。だって模擬戦だよ? 敵だよ? 仲間に使わないと誓ったけど、イリナ達は戦うってことでいいよね。
俺とイリナの周りには、部長達グレモリー眷属に、いのりさんの眷属。そしてレイヴェルがその様子を伺っている。俺とイリナから離れた場所には、木場もゼノヴィアと向かい合いながら戦いが始まるその時を待っていた。
「じゃ、桜歌様がいないのは残念だけど始めちゃおっか♪」
イリナがそう言い、着ていた白いローブを脱ぎ捨てた。そのローブは空を舞い、グラウンドに時間をかけて落ちる。
そしてイリナを見てみると、とんでもない姿を見てしまった。その黒い服は肌にピッタリと吸い付いており、大きな胸が形まで露わになっている。まさかのボンテージですか、イリナさん。もうこれだけでお腹いっぱいです。ありがとうございますっ!!
俺は心の中で感謝し、ゆっくりとその姿を眺める。これは"洋服崩壊"を行わないわけにはいかないだろう。・・・・・・いや、しなければいけない! これこそ男の性! 桜歌だって、この姿を見たら同意してくれるだろう。
「あれ? なんか寒気を感じるんだけど・・・・・・って、イッセー君、鼻血出てるよ?」
「御馳走様です! ・・・・・・じゃなかった。気にしないでくれ」
俺はそう言って鼻血を拭き、手に"赤龍帝の籠手"を出現させる。イリナが鼻血の心配をするが、下心から出た鼻血とは言えない。
少し本音が漏れたが、今は気にしないでいいだろう。
「・・・・・・気をつけて下さい。イッセー先輩は洋服を弾け飛ばす術を使います」
「うそっ!? イッセー君の変態! この身は桜歌様に捧げるために今まで純潔を保ってきたのにそんなの使っちゃダメだよ! 私の裸をみるのは桜歌様って決まってるんだから! それに私がいなくなってからこんなに変態になっちゃって・・・・・・桜歌様なら許せるけど、やっぱりイッセー君は私が改心させて上げるね!」
小猫ちゃんがバラして、イリナは自分の体を抱くように隠してから聖剣を取り出す。俺の思考が読まれていることには驚きだが、今はこう言おう・・・・・・。
───桜歌、会ったことない奴にまでモテるなんて卑怯だぞ!
そして桜歌とのこの扱いの差・・・・・・桜歌だけ簡単に裸を見れるなんて卑怯だ。俺だって見たい、触りたい、吸いたいんだぞ!
「じゃあ、イッセー君は私が清めてあげるね♪」
「こっちは絶対に拝んでやる!」
粛清しようとするイリナに、俺は裸を拝むことを決意する。なんか祭さんと小猫ちゃん、いのりさんの視線が痛いが気にしないでおこう。
俺は地面を蹴って飛び出し、イリナに接近する。イリナに接近すると、俺はルパンダイブよろしくな大勢でイリナに飛び込んだ。
しかし、それは簡単に横に動くだけでかわされ、俺は地面に着地する。危うく顔からダイブするところだったが、しなくてよかっただろう。
「ちょっとイッセー君、真面目にやる気なの!?」
「俺は何時だって真面目だぜ! 女の子の裸体を眺めるのに、本気にならない男が何処にいる!」
イリナがそう言って少し引きつった笑顔を浮かべるが、こっちは本気の本気の超本気。イリナの裸体を拝むために、ルパンダイブで突っ込んでいる。
「よく考えたらこれって運命! 幼なじみが悪魔になってるし、それを清めようとする私。そして運命的な再会をして、戦う。もうこれって聖剣で清められる運命だよね♪」
「何勝手なことを言ってるんですかイリナさん、俺は死にませんよ!」
イリナがおかしな妄想モードに入り、体をくねくねとさせながら身を悶えさせる。おっぱいが揺れているが、まだ見ていたいので指摘はしない。随分と勝手な妄想を繰り広げているが、それも俺には関係ないので放っておこう。
「じゃあ、イッセー君、大人しく清められてね!」
「誰がやられるか!」
イリナが地面を蹴り、こっちに突っ込んでくる。右手には聖剣を持ち、俺に接近すると同時に横に一閃してくる。
それを俺は"赤龍帝の籠手"で防ぎ、次の攻撃に備えた。
「あれ? "赤龍帝の籠手"なら大丈夫なのか? なら、攻めていくぜ!」
「あれれ? おかしいな、避けられちゃった」
イリナは驚き、俺は逆に反撃にでる。イリナに向かって接近して行き、地面を蹴って大きく進む。
そして近付くと、俺は右手の拳を放った。
だがそれは、聖剣の腹で受け流されて簡単にかわされる。
そしてイリナはそのまま剣を振って、俺に攻撃を当てようとしてきた。それを俺はステップだけでかわして、イリナから離れようとするが、簡単に接近されてなかなか離れられない。
「あっぶねぇ!」
「もう、何で当たらないのよ。腕が疲れて来ちゃったじゃない」
どうやら本当に疲れているようで、イリナの動きが少しだけ遅くなってきた。これなら、あの技も簡単に成功するだろう。
そう思った俺は、またルパンダイブの体勢でイリナに向かってダイブした。地面を蹴り、ただ空中からイリナに接近する。・・・・・・が、空中で方向転換なんて出来ないため、イリナに横にかわされて俺は目の前にいるアーシアと小猫ちゃんに突っ込んだ。
そしてそのままアーシアと小猫ちゃんにタッチしそうになると、俺の視界は反転して、何時の間にか空を見ながら地面に倒れていた。
「・・・・・・イッセー先輩、こっちに来ないで下さい」
「うん、そりゃないよ。まだ使ってないよね」
投げたのは小猫ちゃんで、俺は投げられて打った腰をさすりながら立ち上がる。小猫ちゃんの罵倒が聞こえた気がするが、それはどうでもいいだろう。・・・・・・いや、聞かなかったことにしよう。
「イッセー君、まだやるの?」
「あったりまえだ! 俺は絶対に拝んでやるぜ!」
イリナが聞いてくるが、俺は当然のように応えてイリナに向き直る。イリナは聖剣を両手で持って肩を下げ、疲れたように息を上げていた。
俺はこれをチャンスだと思い、諦めずにイリナに突っ込む。イリナが剣を振り、俺はそれを"赤龍帝の籠手"で防ぎ、接近する。
それを何度も繰り返して、俺はジリジリとイリナに接近した。倍加は既に何回かされており、俺の力も強くなっている。そして拳が届く距離まで接近すると、俺は一気に最後の距離を縮めてイリナに殴りかかろうとした。───が、俺はイリナにかわされて斬られる。
俺は地面に手を突き、立ち上がれずに拳を地面に打ちつけた。何度立ち上がろうとしても、何故か体に力が入らない。よく見ると、俺の腹からは小さな煙が上がってた。
「くそっ! 何だよ、これ・・・・・・」
「やった~、私の勝ち~♪」
イリナは喜び、聖剣をリング状にして腕に巻き付けた。それに対して俺はまだ立てずに、赤龍帝の籠手を解除する。
アーシアが終わったと同時に、俺のところに走ってきて、腹に"聖母の微笑"を使って治療を施した。イリナに一撃も与えられず、俺は敗北したのだ。
side《木場》
イッセー君がイリナって言う栗毛の女の子に負けた。だけど、それはどうでも良い。今は目の前の聖剣を叩き折ることが先だ。こんなチャンス滅多にない。あっちから聖剣が転がり込んでくるなんて、僕には都合のいいことでしかない。
「ほら、リアス・グレモリーの騎士。お前はこんなものか?」
「さあ、どうだろうね。御託は良い・・・・・・その聖剣、叩き折らせてもらう」
さっきからゼノヴィアという娘と打ち合いが続いているが、一向に決着がつかない。僕はスピードタイプの騎士で、相手は力任せの騎士。力で押されているため、こっちの状況は思わしくない。それどころか、少し押されている。
「余程、聖剣に何かあるようだな」
「答える義務はないよ」
ゼノヴィアが大剣のような聖剣を振り、僕の使っている魔剣が折られる。これで何十本と折られたかわからないが、結構な数を折られただろう。そんな一筋縄でいくとも思ってないし、簡単に相手が折らせてくれるとも思っていない。
こうやって打ち合っている間にも、また僕が持っている魔剣が折られた。"魔剣創造"で作り出した地面に刺さっている剣を引き抜き、また僕は剣を交合わせる。魔剣創造は幾つも作り出せるし、限りは無い。けど、劣勢にかわりはない。
相手はあんな大きな大剣を振り回しても疲れていないし、攻撃を緩める隙もない。八方塞がりとかこういうことを差すのだろうが、僕にはまだスピードがある。スピードでパワーを補えば、なんとか打ち返せるはずだ。こっちが先手をとれば、相手のペースに乗せられることもない。相手のペースに巻き込まれさえしなければ、勝てる。
「だけど、君は私に勝てないさ。力が違う。スピードはあるようだが、この"破壊の聖剣"の前では無力だ!」
ゼノヴィアはそう言い、僕の聖剣を簡単にまた叩き折った。手数はこちらが上の筈だが、魔剣を折られ続けては勝てない。もっと強い魔剣を・・・・・・もっと堅い魔剣を作らなければ。
「これで終いだ」
僕が地面に刺した魔剣を取ろうとしたところで、ゼノヴィアが聖剣を振るって地面に刺した魔剣を破壊して、僕に聖剣の剣先を向けた。
・・・・・・僕の負け。まだ聖剣を叩き折るには、技量が足らなかったようだ。力が、僕にはまだ聖剣を折る力が足りない。
「・・・・・・僕にはまだ力が足りないのか・・・・・・桜歌君程の力があれば・・・・・・」
僕はただそう呟き、ゼノヴィアに・・・・・・聖剣に負けた。
次の日、球技大会があった。僕はそれに参加はするが、考え事をしていて全くボールに目が向かない。そうしてぼーっとしていると、僕にボールが飛んできた。それに気づいたイッセー君が僕がボールに当たらないようにするため、代わりに顔面で受け、倒れた。
こうして球技大会が終わった放課後。僕は部長、朱乃さん、小猫ちゃん、イッセー君のグレモリー眷属。そしていのりさん、祭さん、レイヴェルちゃんがいる部室で、ただ僕は壁により掛かりながらぼーっとしていた。
聖剣・・・・・・それが今、この町にある。来てる。それなら、僕の願いも、復讐も果たせるかもしれない。何より、僕は何で悪魔なのか・・・・・・そうだ、僕は復讐するために悪魔になったんだ。僕の昔の仲間達の無念を晴らすため、僕は悪魔になった。
「・・・・・・──う───てる───の?」
誰かが何かを言っている。だけどそれも、断片的にしか聞こえない。僕の耳には届いておらず、聞き取れるようになるまで数分かかった。
「祐斗、聞いてるの? 最近変よ、あなた」
「ああ、部長・・・・・・すみませんが、帰らせてもらいます。球技大会も終わりましたし、少しの間は部活を休ませてもらいます」
部長が心配するが、僕は部活を休むことを伝える。ただ、聖剣を壊すために集中したい。そのためには、ここで時間を潰すわけには行かない。
僕がそう言うと、部長は顔に雲をかけたような顔になった。そして僕に近寄ると、思いっ切り腕を掴ったビンタを喰らわせる。
───パンッ!!
僕の頬は部長に叩かれ、そんな音を立てた。だけど、僕には痛みも感じる余裕すらなくて、ただ思考が僕に言い聞かせる。───聖剣を破壊しろ───
「ダメよ、許さないわ! あなた、聖剣を壊しに行くつもりね? そんなことは何があろうと、許さないわよ!」
「じゃあ、僕を眷属から外して下さい。迷惑はかけません」
部長が怒るが、僕はそれを聞かずに眷属から外して欲しいと言う。部長に迷惑がかかるなら、眷属を辞めれば良い話だ。何も、部長と関わる必要なんてない。
「おい、木場。何でそんな事言うんだよ・・・・・・? お前、何かあったのかよ?」
「僕は根本に戻っただけだよ。今までの僕がおかしかったんだ」
──────
雨が降る中、僕は部室から出て外に来た。イッセー君が、みんなが止めようとしたけど僕は聞かずに飛び出してきた。僕の目的は復讐・・・・・・あんな所にいたら、それも達成できない。だからそのためには、みんなと関わらないのが一番。
小猫ちゃんが悲しそうな目をしていたけど、関係無い。部長が怒りながらも心配そうにしていたけど、関係無い。ただ、切り捨てないと僕は目的を達成できない。
そう考えた僕は、ただ聖剣を求めて外に来た。雨に打たれ、少し暗い路上を歩いていく。そしてそんなとき、聞き覚えのある声が聞こえて、僕はその方向に曲がった。
「・・・・・・いや~、やっぱり神父狩りは最高だぜ! 俺っち最高ーー! 聖剣を使うのもピカ1でイケメンの俺ってやっぱ最高だよね! ・・・・・・ん? おやおや、これはグレモリー眷属の何時かの騎士悪魔君じゃあ~りませんか? マジで、良い獲物に出会えたことに超感謝!」
「フリード・セルゼン・・・・・・まさか、君が聖剣を持っているなんてね・・・・・・」
曲がり角の先にいたのはフリード・セルゼン・・・・・・アーシアさんが悪魔になったときの、出会ったはぐれエクソシスト。しかも、その手にはゼノヴィアが持っていたのと同じくらい嫌な感覚を放つ剣を持っている。
「フリード・セルゼン・・・・・・君の聖剣を叩き折らせてもらう!」
僕は恨みを灯したその目で、フリード・セルゼンに斬りかかった
さて、今回は二人の視点・・・・・・特に戦闘かな?
時間枠が難しいよね。どっちかかが別の場所にいると。
まあ、冥界に行っている間の話みたいな感じですが・・・・・・。