ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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ちょっとだけ白音視点


第三十四話  結局は桜歌頼み

 

 

 

 side《白音》

 

 

 夏に近づくこの季節。私は今、先輩達と外で人探しをしています。現在人捜しをしているのは、私とイッセー先輩、匙先輩です。そして探されている人は、あの教会の二人組・・・・・・聖剣使いである人達です。

 

「嫌だぁぁーーーー!!!!」

 

「まあまあ、落ち着けよ匙。少しくらいいいだろ?」

 

 目の前で逃げようとしているのは匙先輩・・・・・・それもその筈、私達は現在、部長には内緒で教会の二人組を探しているのです。そこで会長に殺されると泣き喚く匙先輩・・・・・・やっぱり桜歌先輩の方が男らしいです。

 

 この町には"死神の殺戮鬼"と呼ばれる、殺人鬼が潜んでいるかもしれない・・・・・・だから、祐斗先輩も1人で行動してたら殺されてしまいます。それが起こらないように、祐斗先輩にはグレモリー眷属を抜けて欲しくないから、私はイッセー先輩にお願いしました。祐斗先輩を助けて欲しいと、お願いしました。

 

 正直、桜歌先輩に頼りたかったです・・・・・・何よりも、そんな凶悪な殺戮鬼とは会いたくないですけど、桜歌先輩は上級悪魔になるための試験勉強中・・・・・・迷惑はかけられません。私も正直に言うと怖いから、桜歌先輩に側に居て欲しかったです。

 

 でも、側にいるのはこの頼り無い先輩が二人・・・・・・匙先輩はシトリー眷属。私たちはグレモリー眷属ですが、イッセー先輩が無理矢理連れてきました。・・・・・・まあ、私も匙先輩の腕を掴んで逃がさないようにしてますが。

 

 匙先輩は桜歌先輩やイッセー先輩と同じ時期に眷属になったようで、少し前に顔合わせをしましたが、シトリー先輩は桜歌先輩がいないことにちょっと落ち込んでました。理由はわかります。桜歌先輩は人気者で、誰だって会ってみたい筈です。

 

「嫌だぁ! 帰らせろぉぉ!!」

 

「いいじゃねえか、減るもんじゃねえだろ?」

 

「俺の肉体が削られるんだよ! 瀬戸に頼めばいいだろ!!」

 

「・・・・・・桜歌先輩は上級悪魔の試験の為に冥界です。迷惑はかけられません」

 

 匙先輩が暴れ出しますが、それを私が抑える・・・・・・匙先輩には悪いですけど、付き合ってもらいます。本当だったら、桜歌先輩の腕にくっつきたいです。

 

 そうこうして進んでいる間にも、街中にたどり着きました。周りはビルなどがあり、目の前には怪しい白いローブの二人組が、道行く人に何か言っています。

 

「私達に御慈悲を~」

 

 一瞬で近寄りたくなくなりました。出来れば、素通りしたいです。・・・・・・が、元の目的はあの二人と話をすること。イッセー先輩も匙先輩も、この状況に呆然としています。

 

「兵藤・・・・・・どうやって見つけるつもりだったんだ?」

 

「・・・・・・俺も知らねえよ。まさか、こんな簡単に見つかるとは思わなかった」

 

 イッセー先輩と匙先輩はこの光景にビックリして、喧嘩すら忘れています。だけど、近づこうとしないところは、思うところが一緒なのでしょう。

 

 匙先輩を私が連れてきた理由は、イッセー先輩と二人きりが嫌だったから。桜歌先輩に誤解されるのは嫌です。私が好きなのは桜歌先輩だけなんですから・・・・・・。

 

「えっと・・・・・・取りあえず話しかけるか」

 

 イッセー先輩がそう言い、ローブの二人に近づいていく。桜歌先輩なら、すぐに近寄りそうなものだけど、今はどうでもいい。

 

 私も匙先輩も、イッセー先輩に続いてローブの二人組に近寄っていった。

 

 

 

 

 

 side《一誠》

 

 

 俺は現在、ファミレスの中にいる。理由は目の前の二人が物乞いをしていたから・・・・・・それに、小猫ちゃんに頼まれちゃったから仕方無い。俺も木場は心配だし・・・・・・。

 

「それで、君たちの用件はなんだ? 私たちに飯を奢るために来た訳じゃないだろう?」

 

「そうね。助かっちゃったのは事実だし、優しい悪魔さん達には話くらい聞いて上げも言いよね。ああ、神よ・・・・・・この人達はいい人です。どうか慈悲をお与え下さい」

 

 目の前には積み上げられた皿・・・・・・こいつらに話を聞かせるのは、やっぱり恩を着せてからの方が楽と言うことで、飯を奢ったのだが、俺の財布は大丈夫だろうか? 見た感じ、量的には5万円を超えているような気がする。勿論、俺の財布にはそんな大金は入ってない。奢るとか言って置いてこの状況、非常にまずいのだ。

 

 それに、頭が痛い。イリナが祈った瞬間、俺は頭を押さえ込んだ。隣の匙と小猫ちゃんも同じように頭を抱え、痛そうにしている。

 

「イリナ、祈ると悪魔はダメージを喰らうぞ」

 

「あっ、ごめんイッセー君」

 

 ゼノヴィアに注意されてイリナは気付いたのか、謝ってから祈るのを止める。それと同時に、俺達は頭の痛みから解放された。

 

 それと同時に俺はテーブルに置いてあるレシートを手に取った。そして見てみると、商品の名前に金額がずっしりと・・・・・・見るんじゃなかった。また、頭が痛む原因を作ってしまったことに、俺は後悔しながら財布をみる。

 

 ・・・・・・うん、足りない。

 

「匙・・・・・・どうしょう。お金が足りないんだけど」

 

「マジかよ、兵藤・・・・・・頑張れよ?」

 

 お金を遠回しに要求するも、匙にフられる俺。このままじゃ、無銭飲食という罪が俺らについてしまう。それは何としてでも、避けたい。

 

 財布をしまっていると、そこでお金がテーブルの上に置かれた。見てみると、それを出したのは小猫ちゃん。可愛い財布を片手に、ポンッと十万円をテーブルに置いている。

 

「イッセー先輩、お金が足りないなんて情けないです」

 

「ごめん、小猫ちゃん・・・・・・でも、いいの?」

 

「はい。元々これは桜歌先輩に貰ったお金ですので・・・・・・お小遣いと言って、私と黒歌姉様、祭先輩とレイナーレさん、レイヴェルにくれるんです」

 

「餌付けかよッ!!」

 

 思わず突っ込んでしまった俺は悪くないだろう。桜歌の奴、女の子に小遣いを上げているとは恐ろしい奴だ。アーティスト活動で得た金をそんなことに使うなど・・・・・・いや、俺もそれをしたらモテるのだろうか?

 

「私は元から桜歌先輩が好きですので、餌付けじゃありません。それに、桜歌先輩は自分が好きになった女の子にしかお金をくれませんよ? 例えば、キスをしたりとか、ちょっとエッチなこととかをした、とか・・・・・・」

 

「あいつ・・・・・・お小遣いを上げる立場なのかよ・・・・・・」

 

 小猫ちゃんの顔を赤くしながら、恥じらうような発言に、匙までもが突っ込んだ。やっていることが金で女を買っているように聞こえるんだが、出来るなら俺もやりたい!

 

 と言うことは、あいつの眷属には相当なお金が入るのか? それで女の子でハーレムを作り上げて自分は好き放題。まさに、天国ッ!!

 

「ねえ、小猫ちゃん。それってさ、金で女の子を買っているように見えない?」

 

「違います。桜歌先輩は、ただ愛してくれるだけです。私達には優しいです・・・・・・それに、桜歌先輩はお金で釣るような人じゃありません。イッセー先輩と違って」

 

 何だか心の中を読まれた気分だ。俺は小猫ちゃんの言葉にショックを受け、テーブルに頭を打ち付ける。だが、それを止めようとしてゼノヴィアが話しかけてくる。

 

「ところで、要件は何なんだ? 早く言え。こちらも忙しい」

 

「ああ、悪い。実は、聖剣をぶっ壊すのに協力させて欲しいんだ」

 

 俺は頭をテーブルに打ち付けるのを止めて、ゼノヴィア達にそう言った。

 

 

 

──────

 

 

 

 それから数十分後、木場がファミレスに来た。呼んだのは俺で、聖剣破壊の協力者として、木場にせめて聖剣を一本だけ破壊できれば少しは気が楽になると思ったから。木場のことも、1人で行動は危ないから俺たちも正当な理由で動きたかった。

 

 そうしないと、部長にバレたときがヤバい!

 

「さっきも言ったけど、俺達に聖剣の破壊の協力をさせて欲しい」

 

「それはダメだ。悪魔と教会のものが手を組むなど、報告できないからな」

 

 再度言い、ゼノヴィアに俺は断られる。こんな時に俺が頭が良かったら良いんだけど、生憎の馬鹿頭なのでどうすることもできない。

 

「・・・・・・なら、有名なアーティストに協力して貰ったというのはどうですか?」

 

 小猫ちゃんのいきなりの発言に、みんなは固まる。俺だって、此処にいない人を使って交渉している気がして、小猫ちゃんがなんて言ったのか疑ってしまう。と言うか、それが通ったら苦労しないような気がするんだけど通るわけがない。

 

「あっ、それなら私も納得かも」

 

「そうだな。あのアーティストは教会にも有名だし、それなら文句はないだろう」

 

 あっさりと通った話だが、一番気になることがある。それは、勝手にいない人の名前を使っていいのだろうかという疑問。桜歌もいのりさんもいない・・・・・・この状況で、勝手にそんな話を進めていいのだろうか?

 

「小猫ちゃん、勝手に桜歌といのりさんの名前を使うのもダメだと思うんだけど・・・・・・」

 

「・・・・・・大丈夫です。もし桜歌先輩が怒ったり、いのり先輩が怒ったら私が責任をとります。それに怒る人じゃないです。桜歌先輩は」

 

 そう断言した小猫ちゃんは、強い瞳で教会の二人組をみる。これが戦争に発展したら大スキャンダルだろうけど、桜歌なら気にしない。小猫ちゃんの目はそう語っていて、まるで桜歌を信じ切っているようだ。

 

 俺もそう思うし、あいつに夕麻ちゃんも懐いているようだし、自分を殺そうとした夕麻ちゃんを許すくらい優しい奴だ。怒ったのも、レイヴェルやいのりさんが理不尽な事に巻き込まれたときだけだし、たぶん大丈夫だろう。

 

「それなら、せめて連絡したほうが良くないか? 兵藤、瀬戸はこの件を一つも知らねえんだろ。あいつも楪さんが危険なら、すっ飛んで帰ってくると思うぞ」

 

「いや、それをしたら上級悪魔の試験を蹴ってきそうな気がするんだよな~」

 

「でも、桜歌君には話した方がいいと思うよ? 僕たちだけの話じゃないし、帰ってきたときにいきなり襲われたらたまったものじゃないよ」

 

 匙の意見を返す俺の意見は木場に言い返され、反論できない。いのりさんの場合も、桜歌には心配かけたくないだろうから言ってないだろう。

 

「そうだな。あいつが知らないうちにいのりさん傷ついたら、キレそうだもんな。小猫ちゃん、桜歌に電話してくれないか?」

 

 俺がそう言うと、小猫ちゃんはスマートフォンを操作して、桜歌の登録してある番号に電話をかける。しかも、桜歌の歌声が電話をかけるときのコール音。このまま行くと、着信音も桜歌の歌なんだろう。

 

 ~~~~~~~♪♪♪ プッ───

 

『はい。もしもし、白音?』

 

 出たのは桜歌。小猫ちゃんは携帯をスピーカーにして、みんなに聞こえるように電話をテーブルの上に置いた。何やら携帯の向こうから、オッサンの怒声や、悲鳴などが聞こえる気がするが、気のせいだろうか?

 

 向かい側に座っているイリナは小猫ちゃんの携帯を食い入るように見つめて、目を輝かせているという不思議な光景。今にも携帯を奪っていきそうだ。

 

「うそっ! 本当に桜歌様だわ!!」

 

『えっと・・・・・・誰? 白音は?』

 

 最初に口を開いたのはイリナで、その知らない声に桜歌は戸惑っている。その間にも、オッサンの悲鳴や怒声が飛び交っているのは、やっぱり気のせいだろうか?

 

「・・・・・・桜歌先輩、試験勉強中にすみません」

 

『いや、今は試験中だよ。それより、何? 白音から電話をかけてくるなんて、夜くらいしか無いだろ?』

 

「試験中って・・・・・・内容は何なんだよ。桜歌?」

 

『えっと・・・・・・冥界の歴史についての筆記が午前中に5時間。それで今は、冥界の屈強な戦士相手千人抜きかな? 別に相手が弱いから、話は出来るから続けてよ』

 

 どうやら気のせいじゃなかったようだ。それに、試験中にもかかわらず、電話に出た桜歌は凄いというか、何というか・・・・・・また理不尽な事をやらされているのか。同情したいけど、俺も上級悪魔の試験にそんな量の敵を相手にしなきゃいけないのかな・・・・・・。

 

「桜歌先輩、えっと・・・・・・今、大変なんです」

 

『えっと・・・・・・堕天使コカビエルと"死神の殺戮鬼"の話だよね? そっちは戦闘中には聞こえないけど、いのりは無事?』

 

「はい。いのり先輩は何も関わっていません」

 

 桜歌が既に知っていることに俺は驚いた。それどころか、あっちに情報がいっていたと言うことにゼノヴィアもイリナも驚いている。若干、イリナは『凄い、桜歌様!』と興奮気味だけど。

 

「桜歌、何でそんな事知ってるんだよ? 誰もお前の試験勉強の邪魔したくないから、誰もお前に教えてないはずだけど?」

 

『ああ、黒歌に聞いた。あいつ、白音の事になると少し心配性だからさ。それで、要件がそれだけじゃ白音達が電話してくる筈もないし・・・・・・もしかして、関わるつもりか?』

 

 察しがいいのだろうか。桜歌は俺達の行動を言い当て、小猫ちゃんが少し間を置いてから木場についてやいろいろなことを話し出す。木場が聖剣を破壊したいという事、木場の過去を木場は自分で話し始めた。それに聖剣破壊の名前としてアーティストの名前を貸して欲しいことも・・・・・・。

 

 イリナもイリナで、是非力を貸して下さいと言っている。・・・・・・おい、一応桜歌も悪魔なのにそんな事言っていいのかよ? とか思うが、イリナに聞いてみたところ全然OKだと言われた。

 

 ───俺らとのこの扱いの差は何だろうか・・・・・・?

 

 社会って、理不尽なんだなとか思ったのは、これが初めてだろう。・・・・・・いや、女性の胸の大きさの違いを理不尽だと思ったこともあったかな。

 

『そう、でも此方からもお願いしたいところだよ。俺だって、その"死神の殺戮鬼"に聞きたいことが山ほどあるんだ。元から関わるつもりだよ。と言うわけで、イリナさん、悪いけど俺が関わることを許してくれないかな?』

 

「了解よ! 桜歌様の為なら、それくらい情報操作でも何でもやるわ!」

 

「イリナ、それはどうかと思うんだが・・・・・・」

 

「ゼノヴィアは少し難いのよ! 元から生きて帰れる確率も低かったんだし、これで生存率は百パーセントよ! じゃあ、桜歌様、お会いできる日を楽しみにしています!」

 

 そういってイリナが電話を切った。

 

 もしかして、イリナは桜歌に任務そっちのけで会いたいだけじゃないんだろうか、と思ったのは俺だけなんだろうか?

 

 何はともあれ、桜歌のお陰でいざこざは起きずに済むのだった。




時間軸が・・・・・・。
この頃は桜歌、試験中ですね。
そして電話に出る余裕・・・・・・。

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