俺がオカルト研究部と言う名の悪魔の巣窟に入って一週間。一誠と俺は、帰りの道を二人で歩いていた。いのりと一緒に帰ろうと思ったんだけど、なにか用事があるらしく、一誠と帰ることとなったのだ。別に、男と帰るのが嫌な訳じゃない。出来れば、いのりと帰りたかったな~・・・・・・うん、考えれば考えるだけむなしいな。止めよう・・・・・・。
「一誠、この頃どうだ? チラシ配り楽しいか?」
俺は一つの疑問を聞いてみることにした。チラシ配りとは、悪魔稼業の一つで、眷属悪魔は必ずやらなければいけない必須の作業・・・・・・いや、仕事なのだが、俺はそれがない。
「そりゃ、楽しいわけないだろ・・・・・・。というか、お前は何でやらねえんだよ! 理不尽だ、不公平だ、お前は仕事が無いなんて!!」
「そんな事言うなよ一誠、俺は俺で仕事があるよ・・・・・・歌だけど」
嘆く一誠に、俺は淡々と答える。俺の悪魔稼業は特殊で、『EGOIST』で稼げばなんとかなるらしい。それどころか、俺1人でグレモリー眷属全員分を越える稼ぎが出来ているといのりが言っていた。好きなことをやるだけで、お金が貰えるし、契約も簡単にとれたらしい。
冥界で撮ったPVを、こっちで流したところ、契約が入れ食い状態だとか・・・・・・。俺がパソコンを操作して契約を取ろうとしただけで、一気に契約が3000を越えた。それからは少し様子を見るようで、今は仕事なし・・・・・・。
ちなみに、こっちでもサーゼクスさんがスポンサーなど、いろいろな事をしている。本当に何者なんだろうか? どういう経済力をしているのだろうか?
「今度、手伝ってやるから頑張れ」
「ありがとう、桜歌。やっぱお前、良い奴だよな」
「まあ、お前がやっている仕事がどんなのか気になるしな。それより、どうせ夜まで自由なんだし、ゲーセンとか行こうよ」
「そうだな、今日は昼間の部活は無しだしな~。本当に久しぶりの休暇だな。じゃあ、早くこのままゲーセン行こうぜ」
俺と一誠はゲーセンに行くこととなった。二人で変わらないペースで帰り道を歩き続けて、公園の近くを通った。その時に、目の端には目立つ格好をした金髪の女の子。見たところ、シスターのコスプレ? をしている。
「一誠・・・・・・あれ、どう思う?」
「・・・・・・金髪美少女・・・・・・だと・・・・・・? しかも、シスター服を着ている。あれ? でも、なんであんなに周りを見回してるんだ?」
凄い正直に答える一誠。よく見ると、周りをキョロキョロと見回している。その手には、小さな紙のようなものを持っている。
「なあ、一誠。もしかして、道がわからないんじゃないか? 見たところ、外国人だぞ」
「そうか、なら道案内してやろうぜ!」
一誠はそう言って駆け出して、金髪シスターのもとに走っていく。俺はその後を、ゆっくりと歩いて追いかけた。
「どうかしたんですか?」
「あっ、心優しい人が声をかけてくれました。私、アーシア・アルジェントと言います。実は、この近くの教会に配属されることになったのですが、道がわからなくて・・・・・・」
どうやら、本当に道がわからなかったようだ。一誠は何時ものアウトなフェイスではなく、普通に困った人を助けようとする顔だ。最初っからそんな顔が出来るなら、そう言う風にしてればいいのにな。普段の一誠が痛ましいよ・・・・・・。
「そっかあ~。なら、俺がそこまで案内するよ! いいだろ、桜歌?」
「うん、いいぞ。どうせ暇なんだし」
「いいんですか!? ありがとうございます! えっと・・・・・・」
嬉しそうな顔をするアーシアさん。だが、言葉が途中で止まってしまった。俺はそれを察して、自己紹介をする。
「俺は瀬戸 桜歌。この近くの駒王学園の二年生だ」
「俺は兵藤 一誠! こいつと同じ駒王学園の2年で、オカルト研究部所属だ!」
アーシアさんがぶつぶつと俺と一誠の名前を復唱して、笑顔になった。どうやら、俺達の名前を覚えたらしい。
「ありがとうございます。桜歌さん、イッセーさん!」
こうして俺と一誠は、金髪シスターのアーシアさんを教会に送り届けることになった。
俺は一誠とアーシアさんが並んで歩く後ろを歩いて、その後を追う。目の前では、楽しそうな会話を続けるシスターさんと一誠。俺の頭は曲作りに集中していて、会話に参加する事もない。・・・・・・と思っていたが、話題が俺にふられることになった。
「ところで、部活ってどういうものですか?」
「部活か・・・・・・そうだ、桜歌、ちょっと歌ってくれないか? お前、一応軽音楽部だろ」
「お前、説明を俺に投げるなよ・・・・・・。まあ、いいけど」
俺はため息をついてから、部活の説明をし始めた。
「部活って言うのは、まあ・・・・・・教会で言うと、祈りを捧げるみたいなものかな? 教会では神に祈りを捧げるでしょ? それが教会でやることとすると、部活でやることは部活それぞれの目的を行うためにあるんだ。まあ、目的のことを成し遂げるという意味では一緒だと思う・・・・・・」
俺のこの説明であっているはず・・・・・・というか、これでもわかりやすいようにがんばった方だ。まず、部活を知らないとなると、説明しにくい。
「祈りを捧げるのと・・・同じ・・・・・・。そうですか、凄く良いものなんですね。ところで、軽音楽部とは何ですか?」
「まあ、聞いてて」
俺は次の質問をしてくるアーシアさんに、そう言うと、胸に手を当てて少し声を調整する。教会の人間に歌うとすると、この歌かな?
俺は悲しくて、優しい歌詞の歌を歌い始めた。その声は、女性のような高音の声で、ゆっくりとした音の早さで響き渡っていく・・・・・・。この曲は新しく、天使や堕天使、教会の人間にあわせたような歌詞で、まだライブなどでは出していない。
それから数分後に歌い終えて、目を開けた。そうすると、目の前ではアーシアさんがキョトンとしたような顔で、俺の顔を見ていた。そして、ハッとして意識をこっちに戻したかと思うと、手をパチパチと叩いて、拍手をしてきた。
「凄いです! まるで、聖歌みたいです! それにあんな綺麗な声が出せるなんて、まるで天使様です。ああ、神よ・・・この方は聖女の生まれ変わりなのですね。いえ・・・もしかしたら天使様の生まれ変わりなのかもしれまんせん。どうかこの方に、加護を与えてください」
アーシアさんが手を合わせて、目を閉じて、天に向かって祈りを捧げる。そうした瞬間、俺の頭に痛みが走った。
「───っ!?」
「あれ? どうしたんだ、桜歌? 頭痛か?」
どうやら一誠に痛みはないようだ。祈られたのは、俺だけなので、痛みがないのだろう。俺は痛む頭を抑えて、一誠を見る。
「・・・・・・あれ? どうしたんですか? 桜歌さん」
「・・・・・・ああ、何でもないよ。ところで、早く行こうか。まあ、こういう風に軽音楽部は音楽をやる部活なんだよ。歌を歌うって事はわかるだろ?」
アーシアさんが祈るのを止めると、俺の頭の痛みも嘘のように引いた。
「はい。軽音楽部はお歌を歌う部活なのですね、わかりました」
「まあ、その解釈でいいよ」
俺はそう言って、また歩き始める。
そうしてあるいていると、泣いている子供が目に入った。公園の中で、こけたのか足を抱えてうずくまって泣いている。その子供を見たところで、アーシアさんはその子供に駆け寄っていく。
俺と一誠も、その後を追った。
「ほら、大丈夫ですよ。泣かないでください。どこを怪我したんですか?」
「うぅ・・・・・・ひっく・・・・・・お姉ちゃん、誰・・・・・・?」
一応、名前を聞く余裕はあるようだ。男の子は泣きながらも、アーシアさんの名前を聞く。アーシアさんはそれに対して、笑顔で答えた。
「私はアーシアです。怪我したとこは何処ですか? 今、治療してあげます」
「うぅ・・・・・・足・・・・・・」
アーシアの優しい雰囲気に、子供は足を指差して答える。膝にできた小さな擦り傷をアーシアさんは見ると、手を子供の膝にかざした。そして、手のひらから淡い緑の光が出てきた。それは膝の傷を瞬く間に治して、塞いだ。子供の膝は、傷一つない。
「なあ、あれって・・・・・・」
「ああ、神器だな。それも、回復系統だろう・・・・・・でも、詳しいことはわからない。もしかしたら、
魔力かもしれないし」
俺はそう答えて、アーシアさんが戻ってくるのを待つ。
「お姉ちゃん、ありがとう! ・・・・・・あっ、ママ! お姉ちゃんがね・・・・・・」
「ふふっ、もう転んじゃダメですよ」
足を治してもらった男の子は親の元に走っていく。それをみるアーシアさんは笑顔で、手を振っていた。母親は手を振るアーシアさんに慌てて頭を下げ、走り去っていった。
「不思議な力を人は恐れる・・・・・・未知の力は恐怖の対象、か・・・・・・」
「ん? なにか言ったか、桜歌・・・・・・?」
俺の呟きは一誠に聞こえなかったようで、俺を『どうしたんだ?』と言う風に見てくる。その間に、アーシアさんが戻ってきた。
「あれ・・・・・・どうしたんですか?」
「何でもない。さあ、早く行こうか・・・・・・」
俺はそう言って、アーシアさんと一誠の前を歩き出した。
それから歩いて、何分かたった。俺の視線の先には、もう既に教会の屋根が見えている。それに、
教会に近づくにつれて、悪寒が膨れ上がっていくのがわかる。
「あっ、もうすぐ教会です!」
「そうだな、もうすぐ教会だ。アーシア、楽しかったよ」
「こちらこそ、楽しかったです! 桜歌さんも、素敵な歌をありがとうございました」
「うん、こっちも喜んでもらえて嬉しいよ。俺の歌は、誰かに聞いてもらうためにあるからね」
いろいろなお礼を言ってくるアーシアさんに、俺は返した。一誠も楽しかったようで、笑顔でアーシアさんを見送る。・・・・・・それが下心でないと願いたい。まあ、こんな時も下心で動かされるなんて、流石にないだろうが・・・・・・。
「ありがとうございます。私、友達なんて今までいなかったので、楽しかったです。友達がいたら、こんなに楽しいんでしょうか・・・・・・」
「何言ってんだ、アーシア。俺たちもう、友達だろ? 桜歌も俺と同じで、そう思ってんだろ?」
「ああ、友達だ。これからは、ずっとな」
「・・・・・・ありがとうございます! そう言ってもらえて嬉しいです! じゃあ、私はこれで失礼します」
「またな! アーシア!」
「はい! また今度です!」
こうして俺と一誠は無事にアーシアを送り届けたのだった。
ヤバい。話の内容を思いつかない・・・・・・。