過去話を突っ込みたかったんだけど、あいにく思いつかない。
翌日。俺は差し込む朝の光の中、いつものように目を覚ました。ただ少し違うのは、イリナが裸で一緒に寝ている事だろう。
この原因は、昨日の内にイリナが俺の眷属になったことと、発言が問題だった訳なのだが、それも仕方ないだろう。
まず一つ目は、ベッドが足りなかったこと。いきなり3人も住人が増えたから、人が増えるのを想定していなくて家になかったのだ。綾瀬とツグミのベッドは、俺が大雲さん達の住む場所として使っている家から転移で持ってきたのだが、夜なので流石に買いに行くのも面倒だった。
そして2つ目は、イリナが俺に奉仕をしようとすること。俺的には問題ないのだが、最初の事の発端はイリナの『一緒にお風呂に入ろ♪ ご奉仕してあげるね♪』という言葉だ。断る理由も無いので一緒にお風呂に入ったわけだが、イリナに体を洗われたりしたのだ。そしてお風呂から上がると俺はベッドを明け渡していのりと寝ようと思ったのだが、イリナが『ねぇ・・・・・・私と一緒に寝るのはダメなのかな?』と赤い顔を伏せて、お願いするように言ってきた。
どうしたのかと聞くと、イリナは『好き・・・・・・』と言っていきなりキスをしてきた。
───と言うわけだが・・・・・・
この娘はアーシアよりも、ゼノヴィアよりも信仰が強い。神を信じ、それ故にその場に崩れ落ちて戦意喪失するほどに・・・・・・でも、自我を崩壊しかけたこの娘は、神のために今まで生きてきたこの娘は昨日、泣きながら俺に縋った。
今まで、泣きもせずに抱え込んでいたのだろう。アーシアはアーシアで、新しい幸せを掴んでいたからこそ大丈夫だったが、この娘にはなかった。
・・・・・・いや、あるとしたら俺。
この娘は・・・・・・イリナはゼノヴィアじゃなく、俺を頼ってきた。コカビエルを倒すのに一緒の仕事をしたのはゼノヴィアなのに、俺。
泣いているイリナは、拾われたことで、それを全部泣いてはきだした。安心したと同時に、もっと安心できる場所になって欲しいとでも願ったのだろう。
神を信仰していたのを、対象を俺に変えた。信じる対象を、愛する対象を俺に変えたのだ。
全てを吐き出したイリナは、愛されることの温もりを感じたいが為に、俺が貸したワイシャツを脱ぎ捨てて裸で抱きついてきた。そして───
───全部、もらって・・・・・・?───
とイリナは迫ってきた。
勿論、俺は勢いだと思って拒んだ。だけど、イリナは真剣だと訴えてくる。『勢いじゃない、私は桜歌様が好き! 最初は憧れだったけど、何時の間にか私は・・・・・・!』と言って、俺に柔らかい胸や肢体を押し付けて・・・・・・。
別に嫌いな訳じゃない。俺も、結構気になっていた。
───で、現在───
イリナは幸せそうな寝顔で、綺麗な体を晒しながらも俺の横で寄り添うように眠っている。暑い中そんなことも気にせず、だ・・・・・・。
「んっ・・・・・・ふぁぁ・・・あぁぁ・・・・・・」
寝ぼけながら体を起こすイリナは、欠伸をしながら胸をぷるんと揺らし、天井に向かって伸びをしながら俺を見る。
「ひゃっ・・・・・・桜歌様・・・・・・」
顔を次第に桜色に染めるイリナは、何も隠さずにただその場で俺を見つめる。
「えっと・・・・・・おはよう、イリナ?」
「・・・・・・夢じゃない!」
俺が朝の挨拶をすると、イリナは俺にそんな言葉と共に抱きついてきた。そこまで嬉しいのか、凄く嬉しそうな笑顔。
「ああ~、そうだ。イリナ、今日はパーティーだからドレスを着てね?」
「パーティー? 何のですか?」
思い出したように俺は、パーティーの事を告げるがイリナは不思議そうにしている。だが、やがて何か感づいたのかイリナは笑顔でこういう。
「──あっ、もしかしてアーティスト活動の関係ですか!?」
「いや、違うよ。堕天使コカビエルと"死神の殺戮鬼"を問題が肥大する前に倒したお礼に、サーゼクスさんがパーティーを開くんだって。まあ、歌うけどそのお祝い、かな?」
「そ、そんなものに私が出てもいいの? ほら、元は私は教会側だった訳だし、昨日に眷属になったばかりの私なんかが・・・・・・」
心配そうなイリナは、ネガティブ発言と共に下を向いて人差し指をつつき合わせ、こっちの様子を伺うように下からのぞき込んでくる。少し離れているが、安心する言葉でもかけて欲しいのか、期待しているような目で俺を見る。
その姿は飼い主のご機嫌を伺う子犬のようで、非常に可愛らしい。俺は躊躇もせず、イリナを抱きしめ寄せて頭を撫でた。
「ほら、気にしないで。この件ではイリナも相当頑張ったし、俺が戦う相手の数を減らしてくれたのもイリナなんだよ? コカビエルとギル相手にして、愛歌を助けるときにも君は時間を作ってくれたよね? それに、イリナの全部を貰っちゃったんだし、悲しさも寂しさも、嬉しいも怒りも、辛いことも全部を俺が一緒にこれから背負うんだ。これからずっと・・・・・・」
「はぅ!? 私の初めて・・・・・・ただ、貰ってほしかっただけなのに・・・・・・」
俺の発言に、イリナは顔を煙が出そうな程真っ赤にして、狼狽える。これがプロポーズに近い言葉だというのを、俺は知らない・・・・・・。
約一時間後。俺といのり、祭に綾瀬、ツグミに大雲さんとアルゴ、レイナーレと黒歌にイリナにレイヴェルはオカルト研究部の部室に集まっていた。そして、リアス先輩の率いるグレモリー眷属とゼノヴィアもこの部室に集合中。
ライザーが眷属を出したときにも思ったのだが、何かとこの部室が不便になりつつある気がするのは気のせいだろうか? と言っても、人口密度があれだ・・・・・・リアス先輩と一誠の周りは問題が無いが、俺の方は人口密度がヤバい。
まずは、俺の膝の上に白音が座っている。右腕は祭が胸で挟み、左腕は綾瀬が祭以上はあるであろう巨乳で挟み、俺の首にはソファーの後ろから黒歌が抱きつくというハーレムには有り得るであろう光景が広がっている。
「・・・・・・私に対する当て付けですか」
膝の上に乗りながら白音はそう言い、少し怒ったような表情で俺を見る。でも、膝の上に乗っている所為か少し嬉しそう。
「いや、当て付けも何も・・・・・・前に、胸の大きさなんて関係無いって言わなかった? 白音は白音で凄く可愛いと思うよ」
「・・・・・・桜歌先輩は卑怯です」
俺の言葉を聞いた白音は頬を桜色に染めて、満足そうな顔で俺に背中を預けてきた。ギリギリ届く右手で、俺はその白音の頭を撫でる。撫でられた白音は気持ちよさそうに、頭をすり付けてきたが、
何か凄い空気を感じる・・・・・・。
「桜歌ァァァ!! 俺に対する当て付けかァァァーーー!!!」
「まぁ、こうなったのは自然と・・・・・・うん、気づいたらこうなってた」
「天然か!? それとも、イケメンの余裕なのかッ!?」
「違うわ、イッセー。桜歌は完全に落とすまで気付かないけど、気付いたら女の子が増えてたって天然なのよ。・・・・・・でも、気付くだけマシね」
この空気に耐えきれなくなった一誠が吠え、リアス先輩が宥める。アーシアもアーシアで、一誠に
『わ、私が何でもします! イッセーさんの為なら』とか言ってる。
「くっ! まだ言いたいことはあるけど、それは置いといて────部長、イリナとゼノヴィアは何で部室に? また問題ですか?」
「違うわ。イリナは知らないけど、ゼノヴィアは私の眷属になったのよ! フフン、これでいのりか桜歌に勝てるかもしれないわね」
一誠は今頃その疑問を持ったのか・・・・・・というか、イリナとゼノヴィアが持つ悪魔の気配に気付いていないのか、そんな質問をする。それにリアス先輩は、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの顔で、答えた。
「・・・・・・無理です」
「・・・・・・無理だね」
「・・・・・・無理ですわね」
「ちょっと! 何でみんなはそっち側なのよ!!」
だが、そうは思わないグレモリー眷属の白音に木場、朱乃さんは否定した。もう既に諦めムードで俺といのりを見て、溜め息をついている。
「まず、体術が完璧な桜歌先輩に近づいたらアウトです・・・・・・それに、愛歌という神器はギルを倒した本人・・・・・・その軍勢に出会ったら、一瞬で沈められます」
「あぅ・・・・・・」
トップバッターは白音で、いのりの眷属の体術について語っていく。
「桜歌君の剣技だけど、僕も勝つのは無理かな・・・・・・自己流だけど、全く剣を振ったのが見えないんだよね・・・・・・ギリギリ目で追えるか追えないか・・・・・・それに、アルゴ君もナイフ捌きは凄いし、対人格闘も人並み以上だからね」
「あぅ・・・・・・」
次は木場が責めて・・・・・・
「そうですわね・・・・・・まず、桜歌君の魔術はどれも一級品。それに、部長と違って自分だけのオリジナル技を使えますから・・・・・・いのりも部長以上。それと回復に関してはアーシアさんより祭さんの方が圧倒的。既に"禁手"も会得してますし、コカビエル相手にあの絶対防御ですから・・・・・・」
「あぅ・・・・・・じゃ、じゃあ桜歌が王の場合は! 今は眷属が居ないはずよ! これなら、いくら桜歌が強いと言っても───」
「はぁ~、諦めなさいリアス。確か、レイヴェルちゃんも黒歌さんも、イリナさんもレイナーレさんも眷属になっています。それに、もしティアマットとかが女王になったらどうするんですか、桜歌君個人だけでも校舎を半分溶かし、木を無くす事ができるんですよ? 祭さんの禁手が無ければ今頃は皆さんで川を渡っていたところですわ」
「うぅ・・・・・・」
容赦なく、朱乃さんがリアス先輩にとどめを刺した。その目はSっ気があるような、快楽を楽しんでいるような瞳で、明らかにSモードが発動している。でも、個人的にはMの朱乃さんの方が可愛いと思うんだけど。
「そ、その話は置いといて行くわよ! イッセー、ゼノヴィアは私の眷属。イリナは桜歌の眷属ということで問題はないわね! さ、行きましょう!」
この場を逃れようと、立ち上がるリアス先輩・・・・・・。
だが、俺的には個人的に知りたいことが一つだけ・・・・・・朱乃さん、俺は誰を眷属にしたか話してないのに何で知ってるんだろうな?
side《真名》
その頃、私は桜歌の目を通して部室でのやり取りを見ていた。やることもないし、此処は暇なのよ暇。桜歌に話しかければいいんだけど、泣いちゃったし、桜歌と愛を語り合いたいけど実態もまだ出られていないから、桜歌を感じられない・・・・・・勿論、桜歌の見ているものを見るのって楽しいけど何か複雑・・・・・・昔は私をあんなに拒んだのに!!
今も女の子が桜歌を囲んで、桜歌は凄く楽しそう。出来るなら、私も抱きつきたいし、私の体に触れて楽しんでもらいたい。でも、それもトリトンがまた来て、私の封印を解除してくれるだろうから問題はない。
もし、私と桜歌の邪魔をするなら消すだけ。・・・・・・それも、痛みは無いしすぐに訳の分からない現象で消えていくだけ。抵抗もできないし、させない。
桜歌がパーティーに行くのに、私はまた一人・・・・・・私もパーティーに行きたかったけど、実態が封印されているからそれは出来ない。綺麗なドレスも着たいし、桜歌に手を引っ張って行ってもらいたいのに・・・・・・残念。
『あっ、すみませんが忘れ物を取りに行ってくるので、先に会場に行ってて下さい。ライブまでには、俺も着きます』
『桜歌・・・行ってらっしゃい・・・』
そんなとき、新婚夫婦のような桜歌といのりのやり取りが聞こえてきた。周りの桜歌の眷属はついて行くと言い、それを桜歌が拒む。
「うぅ・・・・・・ひっく・・・・・・えっく・・・・・・」
何故か、私は急に涙が溢れてきた・・・・・・声を抑えられなくなり、小さなすすり泣きを一人の部屋でする。
泣いてないもん。別に、昔の桜歌を思い出して自分の惨めさを思い出した訳じゃないもん。別に桜歌に私以外の女の子が増えたからって・・・・・・泣いてない! 桜歌が私を忘れてパーティーを楽しみに行くというのが許せないわけじゃないもん!
一人泣き・・・・・・そんな事をしていると、不意にトリトンが"失われた聖夜と結晶の森"に近づく、そんなアラームが私の中で鳴り響いた。
アポカリプス結晶で出来たプレートを目の前に展開すると、案の定、片腕を亡くしたトリトンが私の聖域に近づいてきている姿が・・・・・・途端に、寒気を感じる。
───あのストーカー男、まだ懲りてないんだ・・・・・・。
でも、これはチャンス! 私はこれからただの手足となって、私を解放してくれるであろうトリトンに薄い微笑みを浮かべる。
───これで、私はあなたの元へ───
「これで、俺は真名と・・・・・・!」
1人のストーカーが、結晶を前にしてそう呟いた───
「此処が"失われた聖夜と結晶の森"・・・・・・もう、絶対に1人にしないよ。真名・・・・・・」
"失われた聖夜と結晶の森"で、1人のアーティストがそう呟いた───
いのりの眷属
王──いのり
女王──瀬戸 桜歌
僧侶──校条 祭
僧侶──ツグミ
戦車──大雲(駒を二つ消費)
騎士──月島 アルゴ
兵士──篠宮 綾瀬(足が悪い所為か、駒を1つ消費)
桜歌の眷属
王──瀬戸 桜歌
女王──???
僧侶──黒歌
僧侶──???
騎士──紫藤 イリナ
戦車──???(二人考えているけど、まだ決まらない)
兵士──レイナーレ(一つ消費)
これが現状?ですね