ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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短めです。


私は弱さを知った。

 

 

 

 お見合いの翌日、私は気持ちのいい朝の光で目を覚ました。昨日は本当にイライラする事ばかりだったけど、桜歌に会いに行けるのだから全部忘れよう。それに、彼の前でふてくされてたらそれこそ嫌われる。どうせ魅せるなら、笑顔が一番よね!

 

 

 ───あっ、もちろん桜歌だけよ?

 

 

 だって、あんな未来のお婿さん(笑)とかに見せる必要なんてないじゃない。あんな子供、私のタイプですらないし私のタイプは桜歌なの! 

 

 年の差はどうしたかって?

 

 そんなの、桜歌は例外に決まってるじゃない。寧ろ、いのりの方がまだ大人よ! 家事とかは出来ないけど、あの落ち着きは悪魔の中でも凄いわ。感情が薄いだけなんだろうけど、本当に子供でガキなトリトンよりは良い! ───訂正、比べるまでもないわ。いのりに失礼ね。

 

「取り敢えず、早めに家から出て桜歌にご飯でも食べさせてもらおうっと♪」

 

 喧嘩別れみたいになっていることを忘れた私は、機嫌良くしてベッドから飛び降りる。今から最愛の人に会えるというのに、テンションが上がらない方が可笑しい。

 

 寝間着から可愛いドレスに着替えるためにクローゼットを漁り、白のドレスを選ぶと着替え始めるのだが、使用人なんて呼ばない。

 

 そうして着替え終えると、私は気分良く廊下に出た。長い廊下とか嫌気がさしてくるが、今日は足が軽い気がするので問題無い。

 

 そのまま進んでいくと・・・・・・

 

「やあ、マナおはよう! か、かか、可愛いよ」

 

「・・・・・・」

 

 トリトンが何故かアンドロマリウス邸に出現した。その服は人間界に売っている服で、子供用の服なのだが、着方を間違っている。それに、桜歌の方が着回しは良い。

 

 ───テンション下がった

 

 ───もしかして、ストーカー?

 

 ───子供っぽすぎて引くわ・・・・・・

 

 朝からトリトンに会ってテンションダウン、がた落ちだよ・・・・・・それに、何でこいつがこんなとこにいるのよ。しかも、こんな朝早く! コレ、寝てる間に体触られてたら間違い無くこの世から消していた。桜歌にも触らせてないのに! 寝起きドッキリなんていらないわよ!

 

 此処はアンドロマリウス邸で、ウァレフォル邸じゃないはずだ。寝ている間に転移とか、笑い事でもないし冗談じゃない。

 

「ええ・・・・・・おはよう」

 

「う、うん! おはようマナ!」

 

 無駄にテンションの高いトリトンは、私に話しかけられるだけでテンションMAXになり、なんとも幸せそうな笑顔、だが・・・・・・嫌なもんを見た。

 

「大雲、何で此処にトリトンが居るの?」

 

「失礼ながらお嬢様、トリトン様は朝食を一緒に食べるご予定です」

 

「そう・・・・・・」

 

 何時の間にか、世話係の大雲が私の後ろの曲がり角に隠れていた。それを当然の如く見つけた私は問いただすわけだが、計画失敗だ。

 

 私は仕方無く、父と母、いのりが居るであろう部屋に向かう。大雲にもついてきてほしいが、あまり振り回すのも面倒なのでそんなことはしない。

 

 長き廊下を重くなった足取りで進み、一つの扉の前に辿り着いた。朝から桜歌だけの声を聞きたかったのに、何たる厄日・・・・・・さっき挨拶したトリトンは、私の後ろで縮こまりながらも私の手を取ろうとして。

 

 

 ───バシッ───!

 

 

 その手を私が思いっ切り払いのけ、トリトンは残念がる・・・・・・訳もなく。逆に私の手に触れたことで、喜んでいた。

 

 それを無視し、私は扉を開ける。

 

 全く、レディーファーストという言葉を知らないのか、紳士のかけらもない。扉を女に開けさせるし、何故か止まった理由を勘違いするし。

 

 開かれた扉の向こうには、予想通りに両親といのりが席に着いている姿が目に入った。私も急ぎ足で歩き、席に着く。

 

 だが、トリトンは座る場所がわからずにオロオロとしている。

 

 

 ───いい気味だ

 

 

 だけど、そこで父さんが余計なことを言った。

 

「トリトン君、君はマナの隣に座ったらどうかな?」

 

「あ、あ、ありがとうございます、アンドロマリウス卿!」

 

 若干裏返った声で、トリトンは返事をする。私の今の顔はひきつっているだろうが、桜歌に見られないだけマシだ。

 

 トリトンが席について数分で、料理が運ばれてくる。

 

 パンにスープにサラダ、後はローストビーフが二切れ。ついでにオムレツ。そんな見栄えも余りしない料理を、食べ進める。

 

「そうだマナ、トリトン君からプレゼントが───」

 

「いらない」

 

 最後までお父さんが言い切る前に、私は言葉を遮って朝食を食べる。食事中に会話って、あまりしたくないしそれだけでイライラする。

 

「マファ、ヘッタイニヨロホブホ」

 

「ほら、トリトン君もそう言ってるんだし」

 

 口にモノを入れながら喋るトリトン、明らかに躾がなってない。喋るか食べるかのどっちか、というか喋らないでほしい。

 

 そこで、私はある提案をした。

 

 絶対にわからない提案。

 

 それに、わかったとしても無理な提案だ。

 

「じゃあ、私の欲しいものがわかるのならいいわよ。それと、それを手に入れなきゃ他のモノは必要ないから」

 

 勿論、その欲しいものとは桜歌だ。モノですらないために、あの堅物たちじゃいくら頭を捻っても答えは出ないだろう。それに、"婚約者"という縛りに捕らわれている時点で、この正解にたどり着くことは出来ない。

 

「こら、マナ、それはいくら何でも───」

 

「夫になる人が、私の好きなモノを答えられないなんて馬鹿みたいね。なにも知らないで、偽りの笑顔で喜ぶとか、そんなの愛じゃない」

 

「そっか・・・・・・僕、マナの欲しい物を当ててみせるよ!」

 

 意外にもやる気を出したトリトン、『妻の願いを叶えるのは夫のつとめ』とか言っているが、そんなのはどうでもいい。試練だとでも思っているのか、真剣だ。元からこのゲームは勝ち目がないし、

トリトンの負けは確定している。

 

「むっ・・・・・・それもそうだな。まあ、今日はマナはトリトン君と遊んでいてくれ。教育課程なんて保々終わっているし、問題ないだろう」

 

「はぁッ!? 私に子守でもしろって言うの!!」

 

「マナ、私は子守じゃなくて二人で遊んでこい───つまり、デートでもして仲を深めてこいと言うことだ。まあ、トリトン君も頑張りなさい」

 

「はい、お父さん!」

 

 もうアンドロマリウス卿をお父さんと呼んでいるトリトン、私は予定が潰れたことに心の中で嘆きながらトリトンを睨みつけるのだった。

 

 

 

 

 

 時刻はお昼前の11時、私はイヤイヤながらもトリトンの相手をしている。あっちからは喋りかけてくることもないし、それはそれでいいんだけど、これはこれでイライラする。早く桜歌に会いたいし、こんな馬鹿に構っている暇はない。

 

「・・・・・・え、えっと、マ、マナ・・・・・・何したい?」

 

「・・・・・・そうね、あなたは何が出来るの?」

 

 オドオドとしているトリトンは、子供っぽい。・・・・・・いや、子供っぽすぎて本当に桜歌との差が歴然としているし、今更比べるまでもない。

 

 そう思った私は、そう聞いた。

 

「えっとね・・・・・・僕は、その・・・・・・花飾り作れるよ!」

 

 ───乙女か!

 

 そう思った私は悪くないと思う。女子の気を引こうとしたのだろうが、私の趣味ではないので何の効果もない。

 

 男らしいことはなにもできないのか?

 

 そう思うと、やっぱり桜歌が恋しい。出会って全然経っていないけど、完全に惚れた私にはそんなことどうでもいい。もう逢いたい! 触れたい! キスしたい! 自分だけを見て欲しい!

 

 周りを見渡し、私は聞きたいことがあったのでトリトンを見る。そして、目の前には木が倒れて川の向こうまで橋のように続いている。

 

「ねぇ、トリトン。あなた、人を殺したことはある?」

 

「・・・・・・えっ?」

 

 トリトンはなにを言っているのか? というような顔で、私を見ている。この顔は殺したことがない、弱い物の顔・・・・・・悪魔のくせに、そんな覚悟も出来ていないのか。

 

「あなた、クズね・・・・・・正真正銘のクズ。まさか、此処までとは思わなかった」

 

 そう言って、私は手にアポカリプス結晶を出現させ、自分の手に傷を付けて血を流す。それを見たトリトンの顔は、恐怖を浮かべている。

 

 アポカリプス結晶を持ち、私はトリトンの頬を少し斬った。そして、なにをされたのかわからないというようなトリトン。

 

 数秒後に自分の頬に触れると、その手に着いた赤い液体を見て、更に恐怖を浮かべた。

 

「ひっ・・・・・・!?」

 

 これしきのことで驚くとは、悪魔の中でもクズ・・・・・・最低辺だ。

 

「───な、何をするの、マナ・・・・・・!?」

 

「ホントっ、あなたは良いところの一つもないわね・・・・・・この世界で生きて行くには、殺す覚悟と殺される覚悟、両方がいる。出来ることも普通以下、本当に呆れたわ」

 

 私が怒っていると思っているのか、トリトンは私の機嫌を取ろうとする。

 

 私が好きなのは、こういう人の機嫌を伺うような奴でもなくて、桜歌のような誰かを引っ張ったりして、誰にも干渉されない人・・・・・・こいつは真逆だ。

 

 私は、私を引っ張ってくれるような、守ってくれるような人が好き・・・・・・。

 

 最後のチャンス、それをやろうと思った。それと同時に、こいつがクリアできなければ私はこいつの事なんて気にしなくなる。目にかける意味もない。

 

「トリトン、最後のチャンスをあげる・・・・・・これを渡って見せて」

 

「えっ? こんなの無理だよ! 危険すぎるよ!」

 

 そう叫び、ガタガタと震えているトリトンを無視して私は歩く。木の橋を渡り、私は向こう岸まで余裕で渡り、トリトンの方をみる。

 

 ───呆れた

 

 ───こんなことも出来ないなんて

 

 トリトンは地面に座り、動けずにこっちを見ている。もし、大切な人が危険なときでもこんな事をしてるということは、なにも救えない。助けてくれやしない。

 

 桜歌に会えることに喜びを思い出しながら、私は転移魔法で場所を指定する。最後に何時の間にか現れたはぐれ悪魔に囲まれているトリトンを見て、私はその場から桜歌の元へと消えた。




桜歌の出番がぁぁぁーーー!!
まだ続くよ、過去。何時になったら終わるかわからないよ!
ロストクリスマスを起こさなきゃいけないからね、
重要なんですよ、最終決戦の前に・・・・・・。
三角関係みたいな?
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