ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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続きです。


第四十七話  勝者と強者

 

 

 

「じゃあ、練習とウォーミングアップも終わったことだし、始めるわよ」

 

「ふふふ、負けませんわ」

 

 開始宣言を告げるリアス先輩と微笑みを浮かべる朱乃さん。遊びの筈なのに、その顔は両方とも自信に満ちあふれていると同時に、その目には闘志が燃えているようだ。

 

 俺は綾瀬と愛歌ちゃんの隣に座っており、その姿を眺めているのだが、殆どの女の子達が同じようなオーラを纏っているために何か危険を感じる。

 

 そして、隣でも・・・・・・

 

「負けないでね、愛歌ちゃん!」

 

「はい! 綾瀬の為にも負けません!」

 

 綾瀬が愛歌ちゃんを応援しているのだが・・・・・・どうやら、愛歌ちゃんは動けない綾瀬の代わりに泳ぐことになっているようだ。魔術使用無しの水泳大会だと思うのだが、"神器"が出場の時点で大きくパワーバランスが崩れる。愛歌ちゃんは元のスペックがチートであり、まあそれを言うと悪魔自体がチートなのだからスルーしようと思う。人外の時点でそんなくくりは存在しない。

 

「じゃあ、泳ぐわよ!」

 

「・・・・・・ちょっと待った」

 

「何よ?」

 

 いきなりスタート位置についたリアス先輩達に静止の声をかけ、止めると逆に聞き返された。そんな不思議そうな顔でもなく、『まさか、負けるのが怖いの?』とでも言いたげな顔が何故かムカつく。

 

「リアス先輩、なに平然とみんなで泳ごうとしてるんですか。水中騎馬戦でもするつもりなんですか!」

 

「しないわよ」

 

「ルール無いと全員で競おうとしてましたよね!?」

 

「いいじゃない」

 

「良くないですよ!」

 

 俺がこう言うのも納得出来ると思う。目の前では平然と飛び込もうとスタート位置についている女子の皆さんだが、それも"全員"なのだ。止めない方が可笑しい。ぶつかったらどうするんだろうか? 怪我人続出で、回復をこんな事に使うって馬鹿げている。

 

「それともう一つ・・・・・・」

 

「何よ?」

 

「───何でお前まで飛び込もうとしてるんだ、一誠?」

 

 リアス先輩達が飛び込もうとしている近くで、いのりと真名の横に隠れてコソコソとしている一誠がいた。怪しさしかないその様子は、俺にとっては注意する点であり、何かするのは予想できていた。

 

 

「いや~、俺は下から不正が無いか監視を・・・・・・」

 

 バレて焦る一誠は余裕がない表情で頑張るが・・・・・・

 

「お前のことだ、どうせ下から眺めるか混じって何かしようとしてたんだろう?」

 

「───しねえって! するとしても、"赤龍帝の籠手"でブーストした視力で下からプルンプルンなおっぱいを眺めようなんて一回も───はッ!!」

 

 少し聞くだけで完全なボロを出した。一誠にしてはよく"赤龍帝の籠手"の応用法を思いついたものだが、使い方がエロというしょうもないことなので褒めようがない。

 

 ───その証拠に

 

 白音とツグミが嫌悪感丸出しの表情で一誠を睨んでいる。手で胸を隠し、一誠からまだ遠ざかろうとしていたのだ。いのりも真名も距離をとって、隠れる場所なんてない。

 

「それが戦闘で使えればな・・・・・・宝の持ち腐れにも程があるぞ」

 

「うるせぇ! 俺がお前に勝ったら、一回だけ言うことを聞いてもらうッ!」

 

 

「・・・・・・その心は?」

 

 

「お前に言うことを聞かせて、いのりさん達にメイド服やらコスプレを───って、しまった!?」

 

 また簡単にボロを出した一誠は、鼻の下をのばしている。流石に隣の綾瀬も一誠の変態性に引き、俺の腕をつかんで隠れるようにしている。

 

 

「ホントに変態なのね・・・・・・」

 

「せめて、される人のことを考えればもっとまともなのに・・・・・・」

 

 一誠は綾瀬に必要以上に嫌われた。

 

 

 

──────

 

 

 

「じゃあ、不甲斐ないリアス先輩に変わってルール説明です」

 

 あの後は、一誠は白音とツグミによって粛清され、縄で縛られた。これで一部の女子達の不安は消されたので、何も考えていなかったリアス先輩に変わってルール説明をする。

 

 ミリキャスがリアス先輩じゃなく、俺に魔法の使い方を聞いた理由がわかったわけだ。

 

「───まず、グループでいきましょう。ルールは簡単、異能は使うの無しでお願いします。あくまで青春を楽しむ前提で、身体能力だけで競います。使ったら、俺にバレますから注意してください」

 

 リアス先輩が何か言ってるが気にしない。

 

 怒っているようだ。不甲斐ないは言い過ぎたか? でも、子供みたいに熱くなってルールすら作ることも忘れている時点でそう言い切れる。

 

 ───グレイフィアさん(魔王の嫁モード)だって、言ってるし

 

 

 

 

 

 程なくしてグループは決まった。

 

 

 リアス先輩、いのり、レイヴェル、真名のお嬢様チーム。

 

 俺、朱乃さん、レイナーレ、イリナ、祭、一誠の使用人チーム。

 

 黒歌、白音、ツグミの猫チーム。

 

 

 これで全部・・・・・・だと思う。誰の名前を言ったか覚えてないんだよね、もう覚える気力すらないし、疲れて勝ちなんてどうでもよくなってきた。

 

 一誠が何で入っているかというと、まあ許したわけだ。変なことをしたら潰すという白音の約束付き、黒歌の白音に手を出したら潰すという約束もおまけで。

 

 

 ───勝たせる気はない

 

 

 一誠だけは、勝たせちゃイケナイから一誠が落ちたら休むつもりだ。

 

 

 

 俺はスタート位置に立ち、準備をする。隣には一誠でその向こうは壁。女子達が隣で泳がれるのは嫌というので、俺が隣になったわけだ。

 

「よーい、■■■■!!」

 

 真名の冥界での言葉により、スタートの合図が出された。俺は即座にプールに飛び込み、朱乃さんも知っていたようで少し遅れながらも飛び込む。一誠と祭、レイナーレにイリナは意味をわかってないが負けたくないのか続いて飛び込んだ。

 

 

 ───異能を使うのは無しと言ったが、誰も日本語で『スタート』の合図をしろなんて言ってない

 

 だから反則ではないし、ルール上は何の問題もない。・・・・・・俺が仕組んだわけでもない。

 

 朱乃さんも速いが、俺はあまり泳ぐといったことについては身体能力などでは標準的。走れと言われれば誰よりも速いだろうが、如何せん水の中では水を弾き飛ばすという荒技を使うべきではない。・・・・・・やろうと思えば、身体能力でいろいろと荒らせるがこれは楽しむための競技だ。・・・・・・俺が暴れるのは反則。

 

 だが・・・・・・

 

『卑怯だぞ、桜歌! "赤龍帝の籠手"!!』

 

【boost!!】

 

 

 一誠の声と機械音が水の中で反響し、力を倍増する合図がなされた。言ったそばからよくもまあ反則行為を行うことですね・・・・・・こいつ失格、ついでに俺も失格になるか。

 

 スピードが上がった一誠が俺に追いつこうとするが、俺も黙って反則を見逃す訳じゃない。水に魔力を流し込んで一部を操作すると、一誠に何かが迫る。

 

『うおっ!? ちょっ、ゲホ───ッ!!』

 

 一誠にぶち当たった何かが攻撃し、俺はそれを確認すると水面に顔を出して立ち止まる。見てみると一誠は宙に浮かんでおり、触手のようなものに捕まっていた。足を掴まれ、宙吊りにされている姿は哀れと言うほかはない。

 

 周りのリアス先輩達、祭にレイナーレ、イリナは一誠を見ながら呆然と突っ立っている。

 

「俺と一誠は失格、ということでいいよな」

 

「わかった! 降ろしてくれ!」

 

 暴れる一誠を降ろす。という名目で魔力を途切れさせると、一誠はプールサイドに落ちた。

 

 

 ───ガンッ!!

 

 

 痛そうな音を響かせ、頭を打つと一誠はピクピクと痙攣しながらその場に横たわった。

 

 

 

 

 その後、アーシアが心配そうに駆け寄ったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 午後3時

 

 

 負けた───もとい、反則を反則で返した俺は一誠を(乙女の)戦場に放置し、同じく負けたいのりと真名と共に校内を探索していた。

 

 一誠が反則を犯したレースは動じなかった朱乃さんが勝ち。

 

 リアス先輩のレースでは、いのりは自由気ままに泳いで、真名は体がまだ万全じゃないために敗北。レイヴェルは泳ぐも勝てなかった。

 

 そして猫チームでは、ツグミが勝った。

 

 

 決勝では、最初は普通に泳いだ。───が、終わった後に勝った朱乃さんに悔しいのかまた勝負を仕掛けたリアス先輩は朱乃さんと魔力で打ち合っており、放ってきた。

 

 

 ───俺は何を要求されるのか?

 

  

 気になるが、今は気にしても仕方無い。ただの気まぐれかもしれないし、俺の特技といえば歌と執事の仕事だけなので考えても何も浮かばない。

 

 

「にしても、3人でいるのは久しぶりか・・・・・・」

 

「うん・・・桜歌が思い出して、真名も戻ってきて・・・」

 

「邪魔する者はいない!」

 

 右腕は真名がくっついて、左腕にはいのりがくっついている。二人とも私服を着ているため、可愛いの一言に限るがいつものことだから気にしない。

 

「ところで、いのりは何時、思い出したの? 私は記憶を2回、奪った筈だけど」

 

 確かに気になる・・・・・・忘れたのなら、思い出すことは出来るだろうが、思い出した後に何かしらあったはずだ。『2回』

奪われたのは事実で、『2度あることは3度ある』という感じで、"また"奪われたのだが・・・・・・中学生くらいだったかな?

 

 ・・・・・・うん、2度しかない。うろ覚えなのは記憶を消されたショックだろう。

 

 

「私が思い出したのは、高校で2度目の再開をしてから・・・正確には教えない」

 

「え~、教えてよ~」

 

 そう言うと同時にいのりは抱き付く力を強くして、嬉しそうにしながら歩くのに邪魔にならない程度の距離は保っているのだが、真名はお構いなしにもたれ掛かってくる。

 

 

 ・・・・・・ほんと、どっちが姉なんだか・・・。

 

 そんなとき、少し見覚え───感覚に覚えのある魔力、気配を感じ取った。微量だけど抑えているのかそれはほとんどの人が捉えられない、誰が来たかすらわからない。

 

 ───リアス先輩は気付かないな

 

 

 勝手な結論をつけると、面倒ながらも何の挨拶をしにきたのかわからない気配の元へ───校門へと、気付いているのか気付いていないのかわからない、いのりと真名と一緒に向かう。

 

 校門へと近づくと、そこには銀髪の男が立っていた。黒いコートを着て、腕を組みながらもたれかかり、下を向いて動くこともない。

 

 ・・・・・・よし、スルーしよ。

 

 最近、心に余裕がない俺は即決即断すると、何事もないようにその銀髪男の前を通り過ぎる。

 

 

「ちょっと待て」

 

 ・・・・・・スルー出来なかった。

 

 

 端から見たら両手に花の男に、一匹狼のそこらのヤングマンがカツアゲ(女性)をしようとしているようにしか見えないだろう。

 

「折角の休暇です・・・・・・何のようですか、白龍皇?」

 

「気付いていたのか。・・・・・・何故、通り過ぎようとした?」

 

 立ち止まると真名もいのりも驚いていないのか、何事もないように白龍皇を見ている。溢れている龍の気を抑えているようだけど、戦闘狂に関わりたくない。その戦闘狂の証拠に、白龍皇の心臓の音が早鐘を打っているような気がするのだ。───いや、聞こえてる。

 

「さっき答えました」

 

「俺としては君と戦ってみたいのだがな」

 

 結論───戦闘狂に間違いはなかった。

 

 何でこうも赤龍帝は厄介事の種を・・・・・・! ああ、何時になったらただの音楽家になれるのか、少なくとも昔はただの夢見るアーティストだったんだけどな。

 

「会いに来たのは赤龍帝だろう?」

 

「いや、君にも興味はある」

 

 さっき言ったね・・・・・・見る限り、不機嫌そうな真名が白龍皇を嫌そうに睨みつけている。

 

「俺の休暇をぶち壊さないでくれる? キレるよ(真名が)?」

 

「いや、今日はただの挨拶だ。流石に3人はヤバい。あいつとコカビエルを片付けた事と、そこの怒りかけのお姫様は能力の相性が悪いからな───それと、目的の宿敵も来たようだ」

 

 

 振り返るとそこには、制服を着た一誠が歩いてきているところだった。無事に目を覚ましたようで、外見的には怪我もない様子で・・・・・・心配はしてない。覗くぐらいだし、何時も女子に滅多打ちにされてるし、悪魔だし、グレイフィアさんに修行をつけられるよりは、ね・・・・・・?

 

「おーい、桜歌、なにしてんだよ! ───って、その人誰だ?」

 

「ああ、お前のお客さんだ。一誠───俺は帰ることにするよ。じゃあな」

 

 プールと日常とで疲れている俺は、丁度いいところに来た一誠にいろいろと押し付けて、今日の夕飯を楽しみに帰るのだった。

 

 

 

 

 

「真名、いのり、今日の夕食は何がいい?」

 

「「桜歌の作るもの全部♡」」

 

 

 ・・・・・・困ったな。

 

 

 

 

 

 

 




そろそろ朱乃さんは攻略しなければ・・・・・・!
というわけで、勝者は朱乃さん。
一誠にいたっては、もうバカとしか言えないですね。
そしてオリ主は無気力症のもようです。
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