ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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平凡な日常です。


第四十九話  魔王親子の家庭訪問

 

 

 

 オカルト研究部───部室

 

 

 デートを中断した俺と朱乃さん、二人で一応の報告をするために、駒王学園のオカルト研究部部室に急いで帰ってきた。

その報告をと言い出したのは朱乃さんだが、俺は1人で行くという朱乃さんを1人にしないために一緒に来たのだ。最初は独りで十分だと言っていたが、俺も男なので朱乃さんが気になる。落ち込んでいたような理由も、朱乃さんの油断に繋がるだろうからだ。

 

「───堕天使総督のアザゼルがこのエリアにいましたわ、リアス」

 

「なんですって!?」

 

 相当悩み事が深いのか、名前を呼ぶ朱乃さんは"プライベート"と"王に使える女王"の公私が混同になっている。それに気づかないリアス先輩も、もうこの町にアザゼルがいたことに驚いているようだ。

 

「───何で総督が此処にいるのよ!」

 

「いや、リアス先輩、それは当然ですよ? 会談が行われるのはこの駒王の地・・・・・・それも、駒王学園で執り行われるんですから」

 

「聞いてないわよ!!?」

 

「え・・・・・・」

 

 何故かリアス先輩は知らなかったようで、俺にみんなの視線が注がれる。俺はいのり辺りに助けを求めようと、視線をいのりに送るも

 

「・・・・・・・・すぅ・・・すぅ・・・」

 

 眠っているので効果無し。いろいろと疲れたのだろう、真名と一緒に眠っていた。

 

「俺の王って自由だな・・・・・・まあ、無理はさせないけど」

 

「何さりげなく惚気てるんだよッ!!」

 

 逃げ場がないので1人呟くも、一誠が血の涙を流しながら床を両手で叩いた。悔しそうにドンドンと地面を叩く様に、俺は一誠のリア充さを疑ってしまう。

 

 何でこいつはアーシアの好意に気付かないのか。

 

 アーシアの話だとお風呂に一緒に入ったらしいのに、その時点で相手に何かしらの想いがあると気づく筈なのだが、一誠はその好意に気づかない。松田や元浜にもう勝っているのに、何でこう残念なのか・・・・・・。

 

「お前は早く気づけよ・・・・・・」

 

「何にだよ!?」

 

 話の流れからして気付くはずだが、この変態には鈍感属性でもついているのか、全くの効果がない。後ろではアーシアがなんとも悲しそうに、涙目で『うぅ、私には魅力がないのでしょうか・・・・・・』と嘆いている。

 

 

 ───嘆くべきは一誠だ

 

 

 こんなことを言ってもアーシアは納得しないし、無駄だろう。

 

「で、まだ話は終わってないわよ!」

 

「そうでしたね・・・・・・」

 

 軽い現実逃避をしていたのだが、リアス先輩によって現世に引き戻された。元はといえば原因はサーゼクスさんにあると思うのだが、言っても無駄だろう。

 

 と言うか、もう自分で話してもらいたい。

 

「───なら、僕が説明しよう!」

 

 そう言って扉を開けて中に入ってくるサーゼクスさんに、リアス先輩達が驚く。そういう俺は気付いていたのだが、サプライズ大好きなこの人は俺が喋らないことに賭けたようだ。

 

「いや~。やっぱり、もう気付いていたかい?」

 

「当然、俺は耳が良いですから」

 

 サーゼクスさんは失敗か、と呟くと気を取り直す。

 

「さて、もう堕天使総督のアザゼルが来たんだって?」

 

「ええ、それについてお話しいただけないでしょうか、魔王様」

 

 堅い話し方で話しかけるリアス先輩にショックを受けたのか、その冷たい言い方に固まるサーゼクスさん。そして、数秒で持ち直した。

 

「いや、今はプライベートで来ているから『魔王様』はよしてくれ。みんなも、気遣わないでいいよ」

 

「わかりました、"魔王様"」

 

 リアス先輩は『魔王様』と強調して呼び、サーゼクスさんは心にダメージを受ける。相当、リアス先輩は自分に話が伝わっていないことに怒っているのだろう。

 

「リーアタンが冷たいよ、桜歌君・・・・・・」

 

「変な愛称をつけるのはおやめになって下さいお兄様!?」

 

 これには冷静でいられずに、リアス先輩も素でつっこんでしまったようだ。

 

 

 

 ───閑話休題?

 

 

 

 取り敢えず、一度落ち着くために俺は紅茶を用意している。その時には朱乃さんも手伝うはずだったのだが、脳内を悩み事でいっぱいにしている朱乃さんはカップを落とし、割ってしまったので少し休んでもらった。俺は申し訳無さそうな朱乃さんをリアス先輩達のところに戻し、絶賛掃除中。

 

「ホント、訳ありだよな・・・・・・」

 

 リアス先輩の眷属はみんな、暗い過去を持ち合わせている。

 

 

 木場───聖剣計画

 

 白音───言われもない罪

 

 朱乃さん───兎に角、分からないけど堕天使関係

 

 一誠───レイナーレに弄ばれる(美女に殺されて本望だよね)

 

 アーシア───知らずに悪魔を治して"魔女"の烙印を押された

 

 ゼノヴィア───神がいないことをコカビエルが暴露

 

 

 紅茶を淹れ、茶菓子を人数分用意すると、その盆達が乗ったカートを押していく。そのまま扉を押し開けると、広い部室が姿を現した。

 

「レイヴェル、手伝ってくれ」

 

「分かりましたわ」

 

 嬉しそうに返事をするレイヴェルが紅茶を注ぎ、カップを配膳していく。俺はケーキを並べると、白音が嬉しそうに食べ出した。

 

「それで、お兄様は此処に何をなさりにきたのですか?」

 

 落ち着いた様子のリアス先輩はそう言い、紅茶をゆっくりと飲む。

 

「まあ、まずは会場のセッティング・・・・・・堕天使にも天使にも『EGOIST』は好評だし、ファンも多いから此処が最適だと思ったんだ。それに、此処は力が集まる場所・・・・・・"赤龍帝"はいろいろと招く、これまでも此処で何かが起こってきた。だからこそ、始まりに相応しい場所だと思ったんだ」

 

「だからって、逆に厄介事を招くだけよ」

 

 リアス先輩の言い分も尤もだ。赤龍帝の所為で最近疲れているし、何もそんな厄介事を招き寄せる赤龍帝の近くで会談なんて行わない方がいいだろう。フラグだ。

 

「いや~、それが階段を提示したのはアザゼルなんだけど・・・・・・天界側がどうしても此処が良いって言うから、僕もそれで良いと思ったんだよ。アザゼルもその話に乗り気になって、いろいろとね」

 

「だとしても、条件をのむ必要はなかったんじゃないかしら?」

 

 雲行きが怪しくなってきたサーゼクスさんはニコニコとして、まるでそれにもちゃんと理由があったかのように、何かの紙を取り出した。

 

「いや、僕には十分な理由だったよ。ほら、もうすぐリアス達は授業参観じゃないか? だから、視察兼授業参観をしようと思っていてね。もちろん、リーアの活躍は全部見させてもらうよ! あっ、グレモリー卿も来るから」

 

「・・・・・・誰よ、お兄様に教えたの・・・・・・」

 

 嘆くリアス先輩は哀れというか、あのシスコンサーゼクスさんが授業も関係無しに撮影をする姿が目に浮かぶ。それを受けて、顔を真っ赤にして慌てるリアス先輩・・・・・・お姉様象が総崩れ。いや、逆に男子達の萌える対象となるであろう。女子も女子で、ギャップ萌えをしそうだ。

 

 隣で朱乃さんが笑っており、少しは元気になった様子が伺える。

 

「ああ、僕に教えてくれたのはいのり君とグレイフィア。それと、リアスの女王様だよ」

 

「いのりも朱乃も何してるのよ!!?」

 

 どうやら仕組んだのは朱乃さんも一緒みたいで、いのりと朱乃さんを交互に睨みつけるリアス先輩。そのいのりは何時の間にか起きたのか、俺にもたれかかりながらケーキを食べていた。しかも、俺の食べかけのケーキ・・・・・・さり気なく行われた行動にだれも気付かず、起きてることすら誰も知らなかったようだ。

 

「ちょっと、いのり聞いてるの?」

 

「・・・?」

 

 いのりはぼーっとしているようで、一度だけ視線をリアス先輩に向けると可愛く首を傾げ、またケーキを食べることに集中しだした。

 

「・・・・・・無駄ですよ、リアス先輩」

 

「いいわ、なら桜歌も私と同じ気持ちを味わえばいいのよ!」

 

「いや、物理的に無理ですって。俺の親、もう既に死んでますし」

 

「だとしてもよ! お兄様、桜歌のところにも行くわよね!」

 

「いや、行かないよ。僕はリーアの写真を撮らなければいけないからね!」

 

 俺はこの日、授業参観が無事に終わると考えていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side《サーゼクス》

 

 

 その日の夜、慌てるリーアとアーシア、一誠君と一緒にリーアとアーシアのホームステイ先の一誠君のお家まで歩いていた。まだ僕が一誠君の家に泊まることも伝えてないし、親御さんには許可を取ったが、今からリーアの驚く姿が目の裏に浮かぶ。

 

「全く、お兄様は何を考えているのよ!」

 

「アハハ、部長がこんなに取り乱しているの初めてかも・・・・・・いや、桜歌の時も凄かったな」

 

「本当に魔王様なんですね、凄いです」

 

「うん、これからもリーアのことをよろしく頼むよ」

 

 目を輝かせるアーシアに、少し緊張気味な一誠君。打ち解けたいところだが、桜歌君とも早く打ち解けられればいいのにとも思っている。グレイフィアの子は僕の子だ。ミリキャスも懐いているし、最近はミリキャスも座学以上に滅びの魔力の使い方が上手くなっている。ミリキャスのお兄さんと言っても過言じゃない。最近は時間の合間にサイラオーグ君とも模擬線をやったり、サイラオーグ君が魔力を使えないことにも考えたりして、実に親戚付き合いも良好だ。もう、あれは正式に家の子になっても良いのではないか。壁があるけど。

 

「お兄様、そう言えばどちらにホテルをとってるのですか?」

 

「ん? 何処って、兵藤だけど?」

 

 リーアは一瞬だけ固まると、笑顔をこちらに向けて聞き返してくる。

 

「変わった名前ですね・・・・・・」

 

「うん、それは確かにあまり多くないね」

 

 リーアは現実逃避をして、目の前の兵藤邸に目を向ける。何時の間にかついたのか、それは紛れもない兵藤家───一誠君の家である。

 

「では、お兄様・・・・・・私たちはこれで」

 

「何言ってるんだい。此処が僕の泊まる場所だよ」 

 

 その後、リーアと一誠君の大絶叫が近所中に木霊した。アーシアは天然なようで、僕が泊まることになっても動じることがなかったのだった。

 

 

 

──────

 

 

 

「ようこそ、待っていましたよサーゼクスさん!」

 

「どうも、無理を言ってすみませんね」

 

 リーアは制服から私服に着替え、一誠君もジャージに着替え、アーシア君も私服に着替えて僕達はみんなで食事を取ることにした。用意したのは言わずとも一誠君の母親で、なんとも家庭料理らしきいい匂いが漂っている。鍋はみんなで囲むのが一番だし、リーアも逃げられない。一誠君にいたっては、自分の親の言動を心配そうに見ている。

 

「どうですか、サーゼクスさんもこれはいける口ですか?」

 

「おお、どうもいただきます!」

 

 兵藤父が取り出したのはビールで、僕は遠慮なく受け取った。兵藤父も酒飲み仲間が嬉しいみたいで、自分もビールのプルタブを起こして煽る。

 

「いや~、やはり誰かと一緒に飲む酒はいいですな!」

 

「ええ、普段はワインばかりですがこれも意外といけますね」

 

「あらあら、お父さんったら、はしゃぎすぎないで下さいよ」

 

 家族円満とはこのことか・・・・・・いや、暖かい家庭だ。ホームステイでも、リーアはこんなにいい人達に恵まれ、楽しく過ごしているのか・・・・・・うん、僕も見習わなければな。いっそのこと、僕やグレイフィアも桜歌君の家に住んでみようか。そうすればいずれ壁もなくなる。でも、仕事が忙しくてな・・・・・・ミリキャスにもあまり構ってられないし、実質は殆ど家の者に任せきりで僕よりも桜歌君の方が会っている。

 

「お兄様、あまりお酒を飲み過ぎないで下さいね?」

 

「ああ、わかっているよ」

 

「さ、リアスちゃんも食べなさい。こっちは任せておいてくれて良いから」

 

「はい、わかりました」

 

 そう言われると、兵藤母の前に引き下がるリーア。一誠君達と一緒に、楽しそうに会話しながら鍋のなかをつつき始めたのだが、こちらをチラチラと気にしている。

 

 

 

 

 

 30分経過・・・・・・

 

 

 

 

 

 此処までは良かった。

 

 だが、もう遅い。

 

 

 リーアや一誠君の昔の写真を肴に酒を飲んでいた僕と兵藤父は、話が弾みすぎてついつい酒を飲み過ぎてしまった。頭は既にアルコールで酔っており、まともな判断が少ししかできない。

 

 兵藤母は自分の息子の話が出来て嬉しかったのか、止めることすら忘れていた。

 

 

「いや~、これ僕の息子の写真なんですけど見ます?」

 

「お、息子さんの写真ですか・・・・・・なんと、これはサーゼクスさんに似て良い子ですな!」

 

 ミリキャスの写真を出すと、兵藤母は『あら、可愛い』と写真を見つめた。そこに、少し起こり気味なリーアが声をかけてくる。

 

「お兄様、飲み過ぎではありませんか?」

 

「大丈夫大丈夫(笑)」

 

 リーアは何か考えたのか、次の言葉を出す。

 

「もうこんなに酔っているじゃないですか! いいですか、もう少し自覚を持って下さい。グレイフィアに言いつけますよ?」

 

 だが、そんなの怖くない・・・・・・いつもは尻に敷かれ気味だが、今日くらいは自由だ。

 

「大丈夫だよ~、グレイフィアは今日から桜歌君のところで泊まるから上機嫌だったよ」

 

「え・・・・・・それ、桜歌は知ってるんですか?」

 

 一誠君が心配そうに聞き返すが、その声は嫉妬に包まれている。まあ、グレイフィアは美人だから仕方のないことだろうね。一誠君の家に来たの、男だもんね・・・・・・グスン。

 

 リーアに関しては、もうその顔は嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、桜歌邸では・・・・・・

 

 

「クシュン! ・・・・・・なんだろう、嫌な予感しかしない」

 

 疲れたので眠るところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻───グレモリー邸

 

 

「では、ミリキャス行きますよ?」

 

「はい、母様! 僕、楽しみです!」

 

 こちらでは、授業参観を楽しみにしている銀髪美人がいた。

 

 

 




うん、日常?って疑問だよね。
でも、戦闘が起こらないから平凡な日常だと思うのです。
でもね、これはフラグなんだよ。
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