はぐれ悪魔討伐を初めて体験・・・・・・というか、まともな戦闘を行ってから数日、俺は新曲作りに励んでいた。此処は部室で、目の前では小猫が黙々と俺の作ったお菓子を食べている。まともな戦闘なんて、生まれてこの方やったこと無いのに、よくできたものだ。・・・・・・いや、それよりもよく死ななかったと言った方がいいだろう。本業はアーティストだし・・・・・・。
「・・・・・・桜歌先輩、美味しいです」
「ん? そりゃあどうも、俺も美味しいって言ってもらえて嬉しいよ。今まで、いのり以外にはあまり食べさせたことが無いからね。これからも持ってきてあげるよ」
「・・・・・・よろしくお願いします。ところで桜歌先輩、何時になったら仮面を脱ぐんですか? いのり先輩も言ってましたけど、『そろそろ仮面はいらない。桜歌・・・力を手に入れたから』って言っているんですが、何時脱ぐんですか?」
唐突な質問だな~・・・・・・本当にどうしようか? 仮面を脱ぐにしてもタイミングと言うものがあるし、次のライブで脱ごうかな~? なんて考えても、衣装も変えて良いって言ってたし、いろいろとやることあるんだよな。本当、どうしようか?
「ん~・・・・・・次のライブかな? その時には衣装も変えて、出るつもりだよ。その時には新曲も発表かな? もう殆どできてるし」
俺はそう言って、自分で入れた紅茶を飲んだ。俺の紅茶スキルは、いのりに淹れてあげたり、自分で淹れたりするからどんどん上手くなって、最終的には凄く美味しくなった。その他にも家事などは俺が殆どやっているため、いのりに尽くしていると言ってもいいだろう。そのお陰か、俺の家事スキルまでも完璧だ。
「・・・・・・そうですか。新曲・・・・・・楽しみです」
「まあ、結構よく出来たから期待しててよ」
俺と小猫が話していると、扉がゆっくりと開いて、朱乃さんとリアス先輩が出て来た。どうやら授業も終わったらしく、鞄を持っている。
「あら、今日は来てたのね。それにそのお菓子・・・・・・美味しそうね」
「こんにちは、リアス先輩、朱乃さん。紅茶淹れますので、待っていてください」
俺はギターを置いて、立ち上がりながら言う。
「本当に良い香りですわ。紅茶もいい香りを出していますわ」
「でも、他の眷属に淹れてもらうなんて悪いわよ。あなたは座っていてちょうだい」
「いいえ、俺は眷属云々ではなく、1人の人として言っているんです。それに、お返しに朱乃さんには俺の紅茶を飲んでいただいて、評価してほしいと思ってましたから」
「そこまで言われちゃ、断れないわね・・・・・・朱乃、座ってましょ?」
「そうですね部長・・・・・・桜歌君の淹れる紅茶、楽しみですわ」
リアス先輩と朱乃さんは渋々といった感じで、ソファーに座った。俺はそれを確認すると、紅茶を淹れるために他の部屋に移動して、数分後に紅茶を淹れたティーポットを持って、ティーカップを二つ用意して、ケーキをお盆に乗せて持ってきた。
これらの道具は家から持ってきたもので、いのりにステージ衣装に燕尾服を着させられてから、ノリで買ったものだ。せっかく買ったのだから、雰囲気を出すために紅茶を淹れる練習など、執事の真似事などをネットで調べたり、サーゼクスさんの紹介でグレイフィアさんや執事さんに執事の仕事を叩き込まれ、完璧な執事の作法を身につけてしまった。
いや~、あれはスパルタって領域を越えてたな。グレイフィアさんや執事さん全員からOKが出るまで、不眠不休でやらされた。今となっちゃ、良い思い出だけど。
「どうぞ、お嬢様方・・・・・・まずは香りを楽しんでいただきたく、存じます」
「・・・・・・まるで執事ね」
「私も部長の家で少し修行しましたけど、桜歌君は完璧な動きですわ・・・・・・」
俺は紅茶をリアス先輩と朱乃さんの前に出して、ケーキを切り始める。ケーキを斬る方法も、グレイフィアさんなどに教えられた。しかも、崩さずに完璧に切る方法まで・・・・・・。
「どうぞ、これは私の作ったケーキでございます。お嬢様方にあわせるように、このショートケーキは甘さ控えめ、のどの調子や体調を調えるために、ミントなどのいろいろなものを使っております」
俺は難しい説明は面倒なので、いろいろと省く。というか、言わなくても大体わかるだろう。重要な情報は、どんな効果があるかなど、それだけなのだから。
「・・・・・・美味しいわ。今まで食べたどんなお菓子よりも・・・・・・ねえ、桜歌、あなた私の家の執事にならない?」
「本当ですわ。ステージ衣装もそうですけど、ここまで執事が完璧だなんて、嫉妬してしまいますわ。桜歌君、コレはどこで習ったのですか? 紅茶とケーキが完璧にマッチしていて、お互いに味を引き出しているというか、何というか・・・・・・凄いですわ」
どうやら凄い気に入ってくれたようだ。師匠の名に恥じぬようにしろとは言われていたけど、これなら問題ないかな?
「ハハハ・・・・・・それ、グレイフィアさんにも言われましたよ。俺の紅茶など、執事関係を教えてくれたのはグレイフィアさんです。最初は軽い気持ちで習ったのですが、ちょっと手違いというか、いろいろありましてね。それからも、いろいろと紅茶とケーキの勉強をしていたんです。独学ですけど」
「なるほど、グレイフィアね・・・・・・確かに、淹れた紅茶は美味しいけど、グレイフィア以上だったわ。コレを聞いたらグレイフィアが悔しがりそうね」
「うふふ、グレイフィアさんですか。私も少しだけ習いましたが、此処までは教えてもらっていませんからね。あれは私にはちょっときつすぎて・・・・・・」
紅茶を飲みながら微笑むリアス先輩に、紅茶を飲みながら何処か遠い眼をする朱乃さん。一体何があったのかは知らないが、相当スパルタだったのだろう。同情するよ・・・・・・。
「部長、失礼します・・・・・・あっ、いたいた桜歌君。今から剣の試合をしないかな?」
「ああ、木場か・・・・・・そうだな、夜まで暇だし、今からやるか。すみませんが、朱乃さん、後片付けはお願いしても良いでしょうか?」
「ええ、私も見たいですし、片付けてから行きますわ。部長も桜歌君の戦い方には興味があるでしょう?」
「そうね・・・・・・今の桜歌の戦い方には、興味あるわね。グレイフィアがあなたの執事修行を担当してたのなら、少しは何かグレイフィアが仕込んでいるかもしれないわ。いいわ、みんなで見に行きましょうか」
それから数分後、俺と木場、小猫に朱乃さん、リアス先輩は旧校舎の裏に来ていた。武道場もあるにはあるのだが、ギャラリーがいるといろいろと使えないという事・・・・・・何する気なんだろうな?
「じゃあ、始めようか桜歌君。最初は少し、軽気で行くよ」
「まあ、よろしくお願いします。こっちも一応本気で行くから」
まあ、俺の本気ってどの程度か知らないけど・・・・・・何とかなるかな?
俺は右手に掴んでいる木刀を握り締めて、軽く振る。振った木刀はヒュンヒュンと音を立てて、風を斬る。思ったよりも軽いな・・・・・・左手が寂しい。
「それじゃあ、桜歌君 対 祐斗君の試合を始めます。───始め!!」
朱乃さんが開始の合図と同時に、手を振り下ろした。それと同時に木場が地面を蹴って接近してくる。俺は迎え撃つために、何時もギターのピックを構える位置に木刀を持つ手を持ってきた。
そして、木場が凄いスピードで俺の首筋に木刀を振り下ろす。
それはスローモーションで俺の目に映る。
俺の頭の中では、それに合わせた音楽が流れて、俺の体を自然に動かす。
俺は右手を振り上げて、木場の振り下ろす木刀に自分の持つ木刀をぶつけた。それは木場の体を押し返して、木場を数歩後ろに下がらせる。
「・・・・・・凄いね、さっきは遅めって言ったんだけど、本当は僕のトップスピードだよ。それを始めて見て、打ち返すとはね。それに、僕の手がちょっと痺れちゃったよ」
木場はそう言いながら、木刀を片手に持ち替えてブラブラさせる。見たところ、木場の手は少し震えていて、結構な打撃を喰らったようだ。
「・・・・・・あれ? 俺、ただギターをやっているときと同じように振ったんだけど・・・・・・そんなに強かった?」
・・・・・・うん、訳が分からない。木場が嘘をついているようには見えないし、俺もただ楽器を思い出して振っただけだ。どうなってるんだろうか?
「じゃあ、次は連続で行くよ!」
木場はそう言うと、両手で木刀を持ち直して、もう一度地面を蹴った。そして、俺に木刀で連続の斬撃を浴びせようとする。
だが、俺はそれを正確に捉えて、打ち返していく。まるでギターの弦を弾いているようで、簡単に打ち返せる。
そうだ・・・・・・グレイフィアさんに教えてもらったケーキの斬り方でやってみよう。俺も悪魔になったのだから、グレイフィアさんと同じように
確かあの時は、高速で包丁を振っていたな・・・・・・俺は木刀を握り直して、一度深呼吸をした。その間にも、俺に斬撃が襲いかかってくる。
そして、目を開けると同時に俺は木刀を軽く数回振った。その後に、俺は木場の手から木刀を叩き出すために思いっきり横に一閃する。
ガンッ───!!
「なっ!? ・・・・・・僕の負けだよ。まさか、初心者の桜歌君に負けるとはね・・・・・・」
「うん、こっちも戦い方が少しわかってよかったよ。はあ~、もう一度グレイフィアさんに執事修行でもしてもらおうかな? 今度は悪魔関連込みで」
「グレイフィアさんか・・・・・・通りで、負けるはずだよ」
俺は地面に座っている木場に手を差し出して、それを木場が握ると引っ張り起こした。そうして俺と木場は飛んでいった木刀を拾うため、リアス先輩達のところに向かう。
「ちょっと、桜歌、これは何?」
「あっ、部長すみません。当たってないですか?」
「それより見なさい祐斗。あなた、何回斬られたか覚えてる? 私達のところからじゃ、二回にしか見えなかったわ。でも、これ・・・・・・」
「何言ってるんですか、部長。僕は桜歌君に二回しか斬られてません。というか、反応するのに精一杯でしたからね・・・・・・って、それなんですか?」
リアス先輩、朱乃さん、小猫の手には木の皮切れ・・・・・・ではなく、綺麗な尖った木の破片。さっきの木刀と同じ色の物体が握られていた。
しかも、断面まで綺麗だ。
「あの~、桜歌君、さっきの試合で最後は何回振ったんですか? いくらグレイフィアさんが知らぬ間に人間に仕込みをしていたとしても、限度がありますわ」
「何回振ったかって、そんなの最後の弾くのも合わせて5回ですよ? グレイフィアさんがケーキや魚を斬っているのを思い出して、俺にもできるかな~、なんて思ってましたから3枚卸にしてみたんです。どうやらちゃんと成功したようですね───ってどうしたんですか?」
周りは俺を見て、唖然としている。というか、『開いた口が塞がらない』ってこういう事だろうか? みんな口を開いて、俺と木刀を交互に見て、いのりと一誠が旧校舎の裏にくるまでずっとこの状態が続いたのだった。
時間は流れて、深夜近く・・・・・・俺と一誠は自転車をこいで、契約取りに向かっていた。本来は悪魔は魔法陣で転送出来るのだが、一誠には魔力が少ないらしく、出来ない・・・・・・。
「・・・・・・一誠、お前ハードな悪魔生活送ってるんだな」
「うるせえ、桜歌! というか、なんでお前汗かいてねえんだよ! 普通、全力でこいでたらもっと汗かくだろ?」
「う~ん、ライブの方が大変かな? たまに2時間ぶっ通しでライブやったりするし、最近は力が有り余りすぎて、運動量も増やしたんだけど、まだ足りないんだよな~。まあ、これも悪魔になったお陰じゃないの?」
「嘘つけ! 俺なんてこんなんだぞ!!」
俺と一誠は言い争いながら、自転車をこいでいく。俺は汗をかくこともなく、涼しい風を浴びながら自転車をこいでいるのだが、一誠は違った。一誠は汗を大量に流しながら、自転車を必死でこいでいる。条件は同じなのに、何でだろうな?
「あっ、一誠・・・・・・」
「何だよ桜歌、何か見つけたのか? それとも電話か?」
「さっき目的の家通り越した」
「早く言えよ!? 何で少し間を空けたんだよ!?」
「いや~、だって一誠が聞いてるかどうか怪しいじゃない?」
俺と一誠はこぎながらも方向転換をして、さっき通り過ぎた家までこぐ。家の前まで来ると、何か異様な雰囲気がした。それどころか、家の中が少し静かすぎる・・・・・・。
俺と一誠は自転車から降りて、扉の前まで来た。一誠が扉をたたいて、呼びかける。
「すみませ~ん。グレモリー眷属の兵藤です。呼ばれてやってきましたが、いませんか~?」
「なあ、一誠・・・・・・何か鉄みたいな匂いがする・・・・・・。それに、中から音が聞こえない。いや、一応聞こえるけど、靴の音だ。一誠・・・・・・嫌な感じがする。入るぞ」
「靴の音・・・・・・? もしかして、強盗か!? よし、入ろうぜ!!」
俺と一誠は扉を開けようとすると、簡単にドアノブが回る。どうやら、鍵は閉まっていないようだ。一誠はそのままドアを引っ張り、開けた。その瞬間、足音も止む・・・・・・。
もしかして、こっちに気づいた・・・・・・?
「失礼しま~す。どうも~、悪魔で~~す。お呼ばれしてやってきました~~」
「一誠・・・・・・その寝起きドッキリみたいな喋り方止めろ。どうやらあっちも、こっちのことに気づいたようだぞ。上にも誰かいるけど、後でいいだろう」
一誠はそろそろと音を立てずに歩いて、リビングへと進んでいく。家の中は暗いけど、悪魔になったお陰でよく見える。ライブの時も十分に見えたが、それ以上だ。
そしてそのままリビングに入ると、俺の目に最初に映ったのは、血塗られた壁に磔にされた夫婦らしき人達。その近くには、狂ったような笑いを浮かべる剣を持った白髪の少年、そしてその少年の進んでいくリビングの角には、頭と膝を抱えてうずくまる俺と同じくらいの少女。
「あれ~? きたねえ悪魔共のご登場? もしかして、助けに来たって落ちですかい? 俺っちのデザートの前に、サイドメニューが増えちまったなぁ! せっかく、気持ちよくデザートを食べようとしてたのに、此処で邪魔ですかいそうですかい・・・・・・でも、残念何だよこれがぁぁ!!」
俺らに気づいた白髪男が、少女に剣を振り下ろそうとする。俺は咄嗟に動いて、その白髪男と少女の前に割り込んで、白髪男を殴り飛ばす。
殴り飛ばされた男は、家具にぶち当たって止まった。家具は壊れて、そこら中に木の破片を散らばせる。俺の腕は、白髪男に少し斬られたのか血を流していた。それに、何故か煙まであがっている。
「ああ~、痛ぇぇなコノヤロウ! 俺っち少し、唇切っちゃったじゃん! 何々、デザートはまだお預けってこと? それとも、デザートの前にサイドメニューは平らげろって事なのね? はいはい、
わかりましたよ。俺っちわかっちゃいましたよ! 先にお前を喰えって事なのな!!」
そう言って、また白髪男は斬りかかってくる。
くそっ! いのりがいないから《王の能力》を使えない。一誠からは取り出せないし、この子は怯えていてうずくまっているし、何が出るかもわからない。こんな不安定な精神で、取り出したら何が起こるかもわからない。
俺に白髪男が接近した瞬間、一誠が俺と白髪男の間に割り込んだ。その手には赤い籠手をつけ、その腕で白髪男を殴り飛ばす。
「うっしゃあーー!! クリーンヒットだぜ!! 大丈夫か桜歌?」
「ああ、俺は大丈夫・・・・・・一誠、避けろ!!」
俺は金属の僅かに擦れる音を聞き、それと同時に叫んで、後ろにうずくまっている少女を庇うように抱き締めた。
ズチュン───!!
そんな肉を抉るような音とともに、俺の背中を激痛が走る。そして、俺が痛みをこらえながら後ろを向くと、そこには木の破片から何か銀色の筒が見えていた。
「ああ~、また殴られちまったよ! しかも、デザートを狙ったのに違う奴が当たるしよ! 何庇ってくれちゃってんの? 何処のラブコメですか? そんな事してモテるとでも思ったんですか? でも死んじゃったら意味ないよね~。というか、どうやって気付いたんだろうね? この拳銃、音が聞こえない筈なんだけどな!」
破片の山から出て来た白髪男は、手に持った拳銃をブラブラさせながら説明し出す。俺は血を流しながらも、少女の前に立った。
「アハハ・・・・・・そりゃあ、発射音はゼロだったよ。でも・・・・・・金属の擦れる特有の音は消せなかったみたいだけどな」
「そうかよそうかよ! でも、お前は動けないから、これで終わりだ!」
白髪男はもう一発銃弾を放つため、俺に銃を向けた。そして、銃弾を放つ。
ズドン───ッ!!
俺の目の前には、膝を突いた一誠が映る。どうやら、俺と白髪男の間に割り込んだようだ。本当に馬鹿なことをするな。
「いってぇぇ! お前、これを胸に受けたのかよ・・・・・・」
一誠が唸る中、そこに予想外の人物が現れる。
「終わりましたよ、フリードさん・・・・・・って、イッセー・・・・・・さん? それにこの臭い・・・・・・えっ?
イヤァァァァーーーー!! 何で、人が・・・・・・!!」
金髪のシスター服を着た少女、アーシアだった。壁に磔にされた人達を見て、アーシアは絶叫し、
涙を流す。どうやら、この惨状を知らなかったようだ。
「あれあれ、お疲れアーシアちゃ~ん。どう? これが悪魔に心を売った者の末路だよ! こいつらは悪魔と契約しようとしてたから、罪を洗い流させてやったんだよ! 血によってね!!」
嬉々として笑うフリードという男、泣くアーシア、驚く一誠、俺はこの状況で逃げる方法を考えていた。この子を連れて、此処から逃げる方法。
俺がそんなことを考えていると、床が紅く光り出す。
それは何回か見た魔法陣・・・・・・そこからは、リアス先輩達が出て来る。これなら、この子を連れて逃げられるだろう。
「大丈夫? 桜歌、イッセー。桜歌はひどい怪我ね、早く連れて帰らないと」
「部長! その子を、アーシアを一緒に連れていってください!」
リアス先輩に叫ぶ一誠だが、その期待はすぐに斬られる。
「無理よ、イッセー。これは眷属しか連れていけないわ」
眷属しか連れていけない? なら、この子もか? なら、俺は魔法陣で帰らない。いのりもこっちを見ているが、俺は少女を抱えて立ち上がる。
「そうですか、なら俺は走って帰ります」
俺はそう言って、窓を蹴破って飛び出した。俺と同じくらいの少女は、血塗られたパジャマ姿で、
目を瞑っている。そして俺はいのりの声を聞かないまま、夜の町に逃げていった。
異常な耳を持ったオリ主さん。
それに執事時代も持ってました。
まあ、軽い気持ちで執事のフリしてたんだけどね。
グレイフィアさんにいろいろと仕込まれたんだよ。