ハイスクールD×D ~歌姫と罪の王~   作:黒樹

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眠いです。


第七話  幼なじみ

 

 

 

 俺の周りは暗い海、視界は真っ暗で何も見えない。そんな中、俺は波に揺られて暗い空間をさまよっている。

 

『此処はどこ・・・・・・?』

 

 そんな質問に答える奴はいない。いたとしても、無機質な何かだろう。俺はただ揺られていると、いきなり波が荒れ狂い、俺を飲み込んだ。

 

 

 次に俺が目を開けると、そこは太陽の下だった。何処か懐かしいような、そんな気がしてしまう。

 

 そして、俺の目の前には、1人の少年と1人の少女。片方は髪が短いが、白い髪をしている。その少年は、昔の俺。もう片方は、リボンで髪を結んだ少女。確かこれは、もう1人の幼なじみが事故で足を悪くした1ヶ月後立ったはず・・・・・・。そして事故にあった少女が、引っ越した後だった。

 

『ねえ、桜歌。これ・・・・・・受け取ってくれる?』

 

『なに? いきなりどうしたの?』

 

 少し顔が紅い少女に、少年は何がなんだかわからないような顔をしている俺。確か、この日は俺の幼なじみが引っ越す日。俺の両親はすでに死んでいて、俺が独りぼっちになる日だ。

 

『私・・・・・・今日、引っ越すんだ。だから、もう一度会えるようにこれ・・・・・・受け取ってほしいの。大人になっても、桜歌がわかるように・・・・・・』

 

『そっか・・・・・・(はれ)も此処からいなくなるんだね』

 

 少年の俺は悲しそうな顔で、祭が差し出すものを受け取る。それは、黒いリボンのような、細長い紐のようなもの・・・・・・祭の髪を縛るリボンだ。

 

 彼女の名前は校条(めんじょう) (はれ)・・・・・・俺の幼なじみで、俺の音楽のファン第一号というか、俺の歌を聞いてくれる女の子だ。

 

 何で俺はこんな夢を見ているんだろうか? というか、今まで昔のことを思い出したこともなかったな・・・・・・走馬灯かな? でも、あれくらいで俺は死なない。死んじゃいけない。

 

『私・・・・・・桜歌が音楽をずっとやるんだったら、絶対に聞く! 人気が無くても、私だけは絶対に聞き続けるから・・・・・・だから、その目印にそのリボンを持ってて!』

 

『ハハハ・・・・・・なれるかはわからないよ。ミュージシャンやアーティストは簡単になれないけど、何時かなるよ』

 

『私・・・・・・また戻ってくるから、また音楽を聞かせて』

 

『うん、祭。俺も音楽続けて絶対にアーティストになるよ、あいつも俺がアーティストになるの楽しみにしてるし、テレビに出るのだって応援してる。足が動かなくて頑張っているあいつに、俺の音楽を楽しみにしているあいつに聞かせてやるさ。俺の音楽を・・・・・・絶対に』

 

 それを少年の俺が誓うと同時に、また視界は闇に包まれた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 俺はぼやける視界の中、目を覚ました。俺の目の前では、助けた少女が泣いて俺に手をかざしている。それに、その手からは緑の淡い光がこぼれている。

 

「死なないで、桜歌・・・・・・! 私・・・・・・桜歌にまで死なれたら・・・・・・独りぼっちになっちゃうよ。また、音楽を聞かせてよ・・・・・・!」

 

「・・・・・・あれ? お前・・・・・・もしかして、祭か!?」

 

 俺はぐらつく頭を抑えて、起き上がった。どうやら血が流れすぎて、今まで意識を失っていたようだ。それに、此処は俺の家で、泣いているパジャマ姿の少女は祭だった。

 

 まさか、この町に帰ってきていたとは・・・・・・それも、最悪の形での再開。ということは、あの壁に磔にされていた夫婦はおじさんとおばさんか・・・・・・。

 

「桜歌・・・・・・! 死んだと思ったよ! でも、これがあって・・・・・・良かった」

 

 祭はそう言って、涙を流しながら抱きついてきた。俺の服も、祭のパジャマも血で塗られていて、

赤黒く染まっている。

 

「そうか、あれはおばさん達だったのか・・・・・・悪いな祭、おばさん達を守れなかった」

 

「ううん、ありがとう桜歌。私を助けてくれて、ありがとう・・・・・・! 桜歌が来なかったら、私も死んじゃってたんだよ」

 

 俺は祭を抱き締めて、壁にもたれる。今は痛みもなく、銃弾を受けたのが嘘のようだ。今だに祭は怖いのか、泣きながら俺にしがみついている。

 

「悲しいなら、泣いていいよ・・・・・・。おばさん達が死んだんだ、祭が耐えなくても、いいんだ。話はそれからでいいだろ?」

 

「ありがとう・・・・・・桜歌、本当にありがとう・・・・・・!」

 

 祭はそう言って、俺に抱きつく力を強くして泣き始めた。すすり泣きに近いが、祭は悲しみを全てぶつけてきている。俺は祭を胸に抱いて、頭をなで始めた。

 

 陶器を扱うように、優しく祭の肩を抱き締める。

 

 壊れてしまわないように、すべてを包み込む。

 

 親を亡くした悲しみならわかる。

 

 それから祭が落ち着くまで抱き締めて、収まった頃に俺は祭を離す。目は赤くなって、頬は少し赤くして、目元を袖で拭った。

 

「恥ずかしいとこ、見られちゃったね・・・・・・」

 

「気にするな。親をあんな奴に殺されたんだ、泣かない方がおかしい」

 

 俺がそう言うと、祭は優しげな微笑みを向けてきた。俺と祭の間では少しの間、沈黙が続いた。部屋は静まり返っていて、静寂が二人の間に流れる。そしてそれを先に破ったのは、祭だった。

 

「桜歌・・・・・・そのリボン、まだ持っていてくれたんだ」

 

 俺の髪に結ばれたリボンを祭が解いて、手に握る・・・・・・。それと同時に俺の束ねていた髪もバラバラに放たれた。

 

「むぅ・・・・・・桜歌の髪、私の髪より綺麗じゃない?」

 

「お前は何言い出すんだよ・・・・・・まあ、そのリボン貰ってから、髪伸ばしたからな。それにしても、

何時この町に戻ってきたんだ? 教えてくれれば良かったのに」

 

 祭は俺の髪をイジリながら、文句を言う。それに答えるように、俺の髪にリボンを結び直しながら、答えた。

 

「桜歌、この前ウェブに動画を乗せたでしょ。『EGOIST』って名前で、綺麗な女の子と一緒に、仮面を付けて歌ってた。それを少し前に見て、お父さんの転勤も此処の近くになったから此処に来たんだ。でも・・・・・・桜歌はその女の子と楽しそうにしてたから、話しかけれなかった」

 

「なるほど、リボンが目印だったわけか・・・・・・約束通りだったな」

 

「うん・・・・・・でも、また会えたのにおじさんとかに引き取られるんだろうなぁ~。次はどこかわからないけど・・・・・・でもまた───『なら、俺の家に住めば?』───いいの!?」

 

 祭に提案すると、凄い食いついてきた。しかも、俺の顔に自分の顔を近づけて、さらには何時の間にか育った豊満な胸が俺に密着する。

 

「ああ、大丈夫だよ。お金なら問題ないし、バイトしなくてもいいから。それに、部屋も数部屋余ってるし、後は家庭事情さえ覚えてくれればいいよ」

 

「え? 住ませてもらうのに、それはダメだよ・・・・・・。何時お金が無くなるかわからないし・・・」

 

 祭は俺に密着しながらも、遠慮がちに言ってくる。それよりも何このワガママボディ!? 俺の理性がヤバいんだけど!! パジャマ越しに祭の体の柔らかい感触が伝わってくる。

 

「ちょっと、祭、少し離れてくれ。その・・・・・・お前の柔らかい胸が当たって、こっちの理性がヤバいんだけど・・・・・・」

 

 別に嫌な訳じゃない、寧ろ嬉しいけど、幼なじみを襲うとか問題大ありだ。それも住まわせる幼なじみに、体目当てだと思われてしまう。

 

「桜歌・・・・・・その、桜歌は私とそういうことしたいの? 桜歌なら・・・私に何してもいいよ。私、ずっと桜歌が好きだったから」

 

「そう・・・なら、私と桜歌を分け合う? 桜歌も・・・それでいいと思うから」

 

 幼なじみの告白にあわせて、いのりが何処からか現れた。というか、今爆弾発言に近いことをしませんでした? いのりさん、タイミング良すぎますよ。

 

「いのり、何時の間に帰ってきたんだ?」

 

「全く、桜歌も無茶な事をするわね。あの中で王の言うことを聞かなかったのは、あなたくらいよ。

それにその子、神器持ちなのね。これは掘り出し物だわ」

 

 次に出てきたのはリアス先輩で、隣には朱乃さんを連れている。あなた達、盛大に女の子の告白をぶち壊しましたね。凄いですよ、もう笑いもんだよ。というか、祭が凄い困惑して俺にしがみついている。それに凄い涙目だったのは気のせいでは無いだろう。

 

 

 

 

 

 それから数分後、俺達は旧校舎の部室にいた。時間は午前二時、そろそろ寝ないと明日の授業も満足に受けられないだろう。

 

「それで、あの後1人で逃げたはいいけど、堕天使にもあわずに家にたどり着いたまではいいが、血を流しすぎて倒れたのね? 全く、よく心臓を貫かれて生きてたわね。その子が居たお陰かもしれないけど、最近あなたの底が分からなくなってきたわ。何で家に帰るまで保ってたのよ?」

 

「そんなの、俺が知るわけ無いじゃないですか。第一、あんなとこにエクソシストが居るなんて聞いてませんよ。走馬灯見えましたからね!?」

 

「桜歌・・・死んだらダメ。それに・・・桜歌が死ぬわけ無い」

 

 リアス先輩は呆れているのか褒めているのかわからない事を言う。いのりは怒っていないのか、俺の隣で反対側にいる祭を見ていた。

 

「まあ、あんな奴に両親を殺されたのは災難だったわね。それでも、知ってしまったあなたには選択を与えるわ。あなたの持つ神器は”聖母の微笑”、全てを癒す力。それを持つ限り、あなたは何かに狙われるでしょうね。そこで提案よ、あなたは私の眷属かいのりの眷属、どちらになるか選びなさい」

 

「その、それは絶対ですか?」

 

 祭は困ったように聞き、リアス先輩を見る。そうして数分見た後、俺の方を見た。どうやら、俺に何かを聞きたいようだ。

 

「リアス先輩、それは強制ですか?」

 

「私も親を亡くしたばかりで言いたくないけど、仕方ないのよ。このまま帰してもいいけど、いずれあなたはまた襲われるでしょうね」

 

 リアス先輩が困ったように言い、俺は祭を見る。どうやら不安らしく、小刻みに震えていた。俺の服の袖を掴んで、体の震えが俺に伝わってくる。

 

「祭、俺は最近悪魔になった。いのりの女王は俺だ」

 

「そう・・・なの? なら、私もいのりさんの眷属になる。桜歌と一緒なら、少しは大丈夫だから。どうせ一緒に住むのなら、その方がいいよね」

 

 祭は即答して、俺の手を取ってきた。それと同時に放たれた発言により、何故か朱乃さんと小猫から黒い何かが溢れた。一誠は先に帰らされたので、今はいない。

 

「・・・・・・桜歌先輩、何時落としたんですか?」

 

「うふふ、その子を一夜にして落としたなんて、桜歌君も罪作りですわ。もうキスは済ませたんですか?」

 

 キスですか・・・・・・いや、済ませてないと言えば、そうなるけど。ちょっと昔の何処かに心当たりがある。ちなみに、初キスはいのりじゃなかったりする。

 

「桜歌は私と昔、キスしましたよ」

 

「そうなの? 桜歌・・・私より先にその子を好きになったの?」

 

 祭は爆弾を投下して、俺の腕にしがみつく。それに嫉妬したように、いのりは反対にくっついてきた。どうやら、修羅場になりそうな予感・・・・・・。

 

「いや、あれは不意打ちだろ。それに、子供の頃だったし・・・・・・あの時は、いきなりされて意味が分からなかったからな。引っ越す前だっけ?」

 

「桜歌の初キスは綾瀬ちゃんだよ? 桜歌が寝てる間に、してたの見たし。それで私も負けたくないから、不意打ちにしたんだよ」

 

 ・・・・・・あれ? 俺の認識がいろいろと違うようだ。それどころか、俺の初キスが綾瀬? 祭の奴、

居ないからって、暴露しすぎだろ? というか、したらだめだろ。何にしても、祭が元気になったのはよかったと思う。

 

「桜歌・・・綾瀬って誰?」

 

「ああ、俺のもう1人の幼なじみ・・・・・・祭と綾瀬は昔、引っ越したんだ。それで、祭は戻ってきたけど、こんな事になったんだよ」

 

 俺の幼なじみ発言に周りはビックリしている。俺がボッチだと思ってたのは、この部活の全員のようだ。いのりと会ったのも、高校入ってからだしな・・・・・・。

 

「幼なじみね・・・・・・まあ、一誠にも言ったけど、明日は休みなさい。その間にその子の用具をそろえたり、休んでいいわ。結構疲れたでしょ? 光の力を食らったのだから」

 

 リアス先輩はそう言っているが、一誠も休みか・・・・・・確かに、なんか疲れが凄い出る。光の力ってこんなに疲労感が溜まるものなのか・・・・・・修行しないとな。

 

 それに、祭も疲れたようで、俺に寄りかかって、ウトウトしている。今日はいろいろとあったからな。俺はこの日は家に祭を連れて帰り、休むことになったのだった。 




はい、幼なじみ設定ですね。
ついでにもう1人の幼なじみの名前を出して、
ガールズトークに突入する両眷属達・・・・・・。
コレはもう、旅行のノリですね。
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