翌日、俺は日の昇る前に目を覚ました。俺の両腕には圧迫感があり、右腕には俺のワイシャツだけを着た祭が俺の腕を抱き締めるようにして寝ている。左腕には、下着姿のいのりが俺の腕に抱きついて寝ている。
正直、祭の体を守るものが俺のワイシャツ一枚な為、胸の柔らかさが直接に近い形で伝わってくる。しかも、二人からは甘い香りが・・・・・・うん、早く起きよう。このまま二度寝したいところだが、
俺の理性がやばい。襲ったとしても、許してくれるだろうけどな・・・・・・。
枕元にある時計をみると、午前4時・・・・・・俺のトレーニングを始めるには、ちょうど良い時間だ。
俺は二人から腕を放して、起き上がる。そうしてジャージに着替え、俺は家から出た。
午前6時、俺はランニングとトレーニングを終えて、家に帰ってきた。今日のメニューは1時間のランニングに、各筋トレを千回、最近悪魔になったからか、体力が有り余っているのだ。今までのトレーニングだけでは、満足できない。
玄関から家にはいると、良い匂いが玄関にまで漂ってくる。いのりは家事が苦手で、料理はあまりやらないはず・・・・・・ってことは、祭かな?
リビングに移動すると、予想通りに祭が俺のワイシャツ一枚の姿で料理をしていた。この何年かに料理の練習はしたのだろう、本当に良い匂いだ。
「あっ、桜歌お帰り。もうすぐご飯出来るから待っててね」
「おはよう、祭。う~ん、それ俺の仕事なんだけど、どうしたんだ? お前はゆっくりしてていいから、代われ」
俺は祭から手に持っているお玉を取り上げようとして、後ろから近づく。そして、祭の持つお玉を持とうとした時に、手が重なった。
「わぁっ! お、桜歌・・・・・・少し大胆だよ・・・・・・。その・・・桜歌なら何してもいいけど・・・せめて、ご飯が出来てからにしてくれないと///」
祭の体が俺に密着して、祭は誤解をしだす。顔を赤くして、恥じらう姿は可愛いと言えるだろう。
俺はそんな祭に後ろから抱きついて、引き寄せる。
「じゃあ、俺はいのりにおにぎり作るからよろしくな。あと、今日は午後から祭の日用品とか揃えるから、買い出しに行くよ。それまでは自由だから、好きにしててくれ」
「ひゃっ! 桜歌・・・でも、私にも家事を手伝わせてよ。こう見えても、私は家事全般得意なんだよ。それに、お世話になるんだしそれくらいしないと・・・・・・」
祭は赤い顔を俯かせて、言ってくる。今までは俺が家事全般をしてたし、いきなりそんなことを言われてもな~・・・・・・あっ、あったな。どうせなら、食事以外を担当してもらおうか。
「そうか、なら食事以外・・・・・・洗濯と掃除でも頼もうかな? 昼からは俺がご飯作るから、今日からそれを担当してくれ。じゃあ、俺はいのりのおにぎり作るから」
「うん、わかった。じゃあ、あとで洗濯と掃除やっておくね。それに、昼からは楽しみにしてるからね。・・・・・・ふふっ♪ 桜歌とデート出来るんだ♪」
可愛く微笑む祭からは俺は離れて、炊飯器の前に来た。ご飯はすでに炊けていて、三合くらいの米が炊飯器に入っている。
俺が炊飯器の前に立っていると、ランニングから帰ってきたいのりが、隣に立っていた。汗をかいているのか、少し顔が上気している。
「桜歌・・・おなか減った。今日は1人で学校に行くから、お弁当は・・・・・・?」
「待ってていのり、先に風呂に入ってきてくれ。弁当か・・・・・・祭、弁当って作ったか?」
俺が先にいのりに風呂に入るように言うと、いのりはゆっくりと風呂場に向かっていった。俺はそれを確認してから、祭に聞く。
「えっ? お弁当、いつも作ってるの? ごめん、作ってないよ・・・・・・今から作るね」
「ん~・・・・・・祭、おかずはウインナーと玉子焼き、あとはレタスだけでいいよ。いのりはあまり食べないから、おにぎり入れておけば十分だから」
「そうなんだ~、いのりさん、少食なんだね。わかった、いのりさんのおかずは私が作るよ。桜歌はおにぎりお願いね」
少しアクシデントがあったが、いのりが少食で助かったな。学校の時間までには、間に合いそうだ。それに、いのりは何故かおにぎり大好きだし・・・・・・俺の握ったやつ限定だけど、俺の作ったご飯なら好き嫌い言わずに食べてくれる。嫌いな食べ物はあるんだろうか? 今まで、美味しい以外何も言わないから知らないんだよな・・・・・・。
俺は炊飯器からご飯を取り出して、ドンドン握っていく。いのりの昼飯用に少し小さいのを3つ、
朝ご飯用に少し大きいのを3つ作った。俺は握っても握らなくても、どっちも好きなのでしない。これでただの塩握りが完成した。
俺は棚から箱を取り出して、ラップに包んだおにぎりを詰めていく。祭も鼻歌を歌いながら、いのりの昼食になるであろう食材を焼いていた。デートが楽しみなんだろう、歌詞の途中から『デート、
デート、桜歌とデート♪』って聞こえてくる。小声だけど、聞こえてますよ祭さん。そんなに楽しみなのはわかったから、油には気をつけてください。
それに、俺の耳もちょっと良くなりすぎだ。これなら、心の声まで聞こえてくる気がする。まあ、
密着してたら心音まで聞こえてくるから、嘘か本当かはわかるんだけどな・・・・・・。
「そうだ、桜歌。何でいのりさんは朝ご飯にもおにぎりを作ってるの? いのりさんって、そんなにおにぎりが好きなの?」
いのりの朝食におにぎりを作っていることに疑問を持ったのか、祭が不思議そうに聞いてきた。
「う~ん、何で好きかは知らないんだよな。でも、俺が作ったおにぎり以外のおにぎりは食べないんだ。だから、何時も俺が作ってるんだよ。・・・・・・何でだろうな?」
「ふ~ん、そうなんだ・・・・・・。いいなぁ~、いのりさん、今まで桜歌の手料理を食べてきたんだ。これを綾瀬ちゃんが知ったら、嫉妬するかもね」
手を顎に当てて答える俺に、少し不機嫌になる祭。どう考えても、嫉妬してるのは祭だと思うのは気のせいだろうか?
俺が1人考えていると、シャワーを浴び終わったいのりが、リビングに入ってきた。ピンク色の髪はまだ濡れていて、首にはタオルがかかっている。
「桜歌・・・おなか減った。ご飯まだ?」
「ああ、もう出来たから座ってろ」
いのりは言うとおりに座り、俺は棚からドライヤーを取り出す。そしてコンセントにプラグを繋ぐと、スイッチを入れていのりの髪を乾かすために、いのりの髪を手に取る。
俺が髪を乾かしている間に、祭が作ったご飯をいのりの前に運んできた。いのりは気持ちよさそうにしながら、おにぎりを手に取る。
「いのり、暑くないか?」
「うん・・・凄く気持ちいい。桜歌は凄く上手いから」
これもグレイフィアさんに仕込まれた執事仕事なんだけど、周りから見たら本当に使用人だな。祭も知らずの内に、給仕をしているように見える。
それにさっき、俺といのりの会話に祭が反応したのを確認したのか、いのりがさらなる爆弾を投下しようとした。
「それに・・・桜歌はエッチも気持ちよくしてくれる」
「えっ! 桜歌がそういうことしたいんだったら、私に言ってくれれば何時でも・・・・・・///」
「いのり・・・・・・朝から話をそっちに持って行くな。それと祭も少し、自分の体を大切にしろ。じゃないと、本当に襲うぞ?」
朝からカオスな状態になるリビングと、真顔で爆弾を投下したいのり。それに反応した祭は、顔を赤くしながら両手を胸元に持ってきて少し恥じらう姿は可愛い・・・・・・というか、この幼なじみはこんなに大胆な奴だったか?
「襲うなら、今から襲ってくれてもいいよ。心の準備は出来てるから」
「桜歌・・・可愛いものが好き。それに、綺麗なものも好きだから、可愛い下着で襲えば桜歌もその気になってくれる。たまにスイッチ入ると、凄いよ?」
「何をバラしてるんですかいのりさん・・・・・・そりゃあ、可愛いものや綺麗なものは好きですけど、そこまで人の秘密バラします? それに祭もメモらないでください、お願いしますから」
人の秘密を暴露しているいのりの横には、なにやらメモをしている祭。この二人は相性がいいのだろう、そんな気がする。
そして、祭の書いている手が止まったかと思うと、涙目で俺を見上げてきた。上目遣いで、俺の心の何処かを擽る。
「桜歌・・・・・・酷いよ。私、桜歌に会えない間、凄く寂しかったのに・・・・・・ずっと、会ったらこうしようと思ってたのに・・・・・・」
俺は涙目の祭を抱き締めて、頭を撫でていた。いのりから『桜歌・・・スイッチが入った』とか、祭から『きゃっ!』とか聞こえたが、気にしない。
「ああ~、可愛い・・・・・・このまま食べたいくらいだよ。体も柔らかいし、良い抱き心地だなぁ~。もうハーレムでも何でもいいや。祭はもう俺のモノだから♪」
「ふぇぇっ! 何でだろう、凄く安心する。ああっ、桜歌の体温かいよ・・・・・・」
祭はさらに顔を赤面させて、俺の体にくっついてくる。俺の頭の上には、ハートが浮かんでいるだろう。その間にも、いのりはご飯を食べ終え、立ち上がって言った。
「桜歌・・・夕方まで会えないから、抱き締めて?」
「うん、わかった」
俺はそう言ったいのりを抱き締めるために、祭から離れる。そうして祭から離れて、いのりの前に来た。そして抱き締めようとした瞬間、いのりの顔が俺に近づき、唇に何かが重なった。
それから数秒後にいのりは唇から離れて、俺の前に立つ。・・・・・・うん、キスされたね。祭は赤面して、俺といのりを指で交互に指している。
俺は立っているいのりに近づいて、抱き締めた。いのりは俺の背中に手を回して、抱きしめ返してくる。
「うん、いつも通り可愛いね。じゃあ、行ってきてね。町の中にいる暴漢とかには、気をつけるんだよ。あと、何かあったらすぐに連絡して」
「桜歌・・・少し過保護。リアスが今日の夜は部室に来るようにって、言ってたから、今日は夜が部活。それまでは、ゆっくりしてて」
俺はいのりに注意をして、抱き締めていた腕を解く。いのりは過保護とか言うが、俺は独占欲などが強いから仕方ない。多分、襲った奴をボコボコにする自信はある。そうだ、早く魔術などを勉強しよう。耳や目だけじゃ、守るのに限界があるからな。それに、あのエクソシスト相手にいのりが居なきゃ勝てないし・・・・・・少し、力がほしい。《王の能力》だけでなく、守る力が。
それから約1時間後、いのりが学校に行ったので、今は俺と祭の二人きり。家の中も静かで、俺は自室でファンレターの整理を行うために、自室にいた。俺の机の上には、大量のファンレターが山済みにされている。
「さて、コレ全部読まないとな・・・・・・」
いのりも同じくらい送られてくるのだが、いのりは読むだけ。俺は性格が性格な為、律儀に返事を返しているのだ。まあ、よく送ってくれる人限定だけど。
今は祭は家事をしていて、リビングあたりに居るはずだ。俺が椅子に座って、ファンレターを開けようとした途端に、家の中から祭の悲鳴が───。
『キャアァァーーーー!!!!』
「祭・・・・・・?」
俺はファンレターをほっぽりだして、部屋から急いで出た。その時にファンレターの山が崩れたが、気にせずに廊下を走り、階段を駆け下りる。リビングの前に俺は来ると、扉を勢いよく開けて中に入った。
「大丈夫か! 祭・・・・・・って、お前、何やってんだよ・・・・・・」
俺の目の前には、豊満な胸を後ろから揉まれている祭がいた。そして、その後ろに祭の胸を揉んでいるエロ猫が一匹・・・・・・うん、黒歌だな。
「凄いにゃ♪ 桜歌の家に来てみたら、女の子が増えてるのにゃ♪ それに、この胸の弾力もなかなかなのにゃ。私のよりは小さいけど、良い乳にゃ」
「助けてよ、桜歌ぁぁ~。桜歌にも触られたこと無いのに・・・・・・」
祭は涙目で、エロ猫は楽しそうに祭の胸を揉んでいる。俺は祭の胸を揉むのに集中しているエロ猫の背後に忍び寄り、はだけている着物の中に手を入れて、胸を掴んだ。
「みゃっ!? あっ・・・そこはダメニャ・・・桜歌・・・激しすぎるにゃ・・・♪」
「そうか、黒歌・・・・・・早く祭を離さないと、生殺しにするぞ」
「にゃ!? それはだめなのにゃ! わかったにゃ、離すから激しくしないでにゃ! 桜歌も手を止めるのにゃ!」
俺の手は黒歌の大きな胸を直に掴んでおり、その胸を俺は揉み荒らしている。黒歌はエロい表情をしながらも、潔く祭の体から手を離した。俺もそれを確認すると、黒歌の着物の中から手を引っこ抜く。
離された黒歌は、俺の体に擦りよってくる。はだけた着物をこのエロ猫は直さないので、いろいろと露出が多い。まあ、可愛いからいいんだけど・・・・・・ちょっと祭が可愛そうなことになっている。
「うぅ・・・・・・まだ桜歌にも触られてないのに・・・・・・ひっく・・・・・・酷いよ。桜歌以外には触られたくなかったのに・・・・・・うぅ・・・」
俺とエロ猫の前には、床にぺたりと座り込んでいる祭がいる。しかも、泣きながら袖で涙を拭っているが、どんどん涙が溢れてくる。相当嫌だったんだな・・・・・・。
「にゃ!? 泣きすぎじゃないのかにゃ!? 少し揉んだだけ───って痛いにゃ! 何するにゃ、桜歌?」
「このアホ猫・・・・・・いくらお前でも、少し怒るぞ。あいつ、昨日親を殺されたんだよ。それも、狂ったエクソシストの野郎にな・・・・・・」
俺がそう言うと、黒歌はシュンとして、俯いた。どうやら、悪いことをしたのを自覚したようだ。
シュンとして可愛い黒歌を抱き締めたいが、目の前に抱き締めなければいけない奴がいる。
俺は黒歌を一瞬抱き締めると、祭の近くに歩いていった。そして、俺は祭を正面から抱き締める。
「ほら、あのエロ猫も反省してるから、許してやってくれないか? あいつも悪気があった訳じゃないし、あいつもお前と同じで訳ありなんだ。だから、仲良くしてくれないか?」
俺は祭を抱き締めながら、頭を撫でる。今日は抱き締める事が多いな~と思いながらも、祭を優しく包み込んだ。
エロ猫が『桜歌がハーレムに落ちたにゃ』とか言ってるが、放っておこう。そんなの、俺がアーティストになる前からだ。俺の使い魔? と呼ばれる人は、全員女だったりするのだ。歌ってたら集まってしまったのだから、仕方無い。
「うぅ・・・桜歌・・・キスしてよ。じゃないと、割に合わないよ」
「あれ? 俺が責任とることになってる? 要求おかしくないですか? 祭さん?」
祭がキスを要求して、俺にしがみつく。さて・・・・・・どうしようか? 俺は困ったので、黒歌に視線を送ると『私は桜歌の使い魔にゃ。飼い主が責任を取るのは当たり前にゃ』・・・・・・はい、そうですね黒歌さん。だが、あとで聞きたいこととかあるから素直に従っておこう。
「祭・・・・・・顔を上げて?」
俺が祭にそう言うと、祭は『なに?』という風に顔を上げる。その瞬間に、俺は祭の唇を自分の唇で塞いだ。
黒歌が見ている中、祭は恥ずかしいのか、唇を離して顔を背ける。顔を真っ赤にして逸らす姿はただの女の子という風だった。
「あぅ・・・・・・桜歌のキス・・・・・・その子、桜歌の何なの? いきなり人の胸を揉んでくるし、何時の間に家に入ったのかも分からないし、誰?」
平常運転に戻った祭は、いろいろと質問してくる。このエロ猫、何時も気紛れだからな。音もなく家の中に入れるし、俺も気づいたら居るって感覚なんだよね。でも、悲しいことを背負っているのはわかる。前に愚痴られたし・・・・・・。
「そうだな。俺もよくわからないけど、使い魔って奴になったらしい。俺の使い魔って、凄い個性的というか、いろんな奴が居るんだよ」
「使い魔・・・・・・? それって、悪魔関係? じゃあ、この人は人間じゃないの?」
うん、ネコミミや尻尾に気付いてなかったのかな? 俺も最初見たときは、コスプレ? って思ったけど、本物だったんだよな。ビックリしたよ。
「ん~、最初ははぐれ悪魔って奴だったんだけど、訳ありでさ。いのりもバラさないでくれているけど、本当は悪魔にバレたらこいつ捕まっちまうんだよ。でも、俺が面倒を見る代わりに、いのりには黙ってもらってる。まあ、俺の『好きなようにすればいい』と言ったいのりも、納得してるんだけどね」
「そうなんだ・・・・・・でも、使い魔ってなに?」
うん、わからない質問されたな。俺の使い魔と言われる奴らは、俺が意味をわからない内に勝手に使い魔になるとか言ってたからな。正直、使い魔は友達だとか、自分のものだとかそう言う解釈をしろとしかその使い魔達には言われてない。なので、現状はわからないのだ。
そこで黒歌が空気を読んだのか、自己紹介を始めた。
「私は桜歌の使い魔の黒歌にゃ。訳ありで桜歌にはお世話になってるにゃ。それで、使い魔について知りたいなら、教えてあげるにゃ。使い魔は、ご主人様のペットだにゃ」
「ペット・・・・・・///」
黒歌のペット発言に、祭は顔を赤くする・・・・・・一体、何を想像したのだろうか? コレに関しては、さすがに読めない。
「ペットってことは、つまり・・・・・・その、夜な夜な首に首輪をつけて、散歩したり、外で桜歌が肌を黒歌さんに露出させたりする事ですよね?」
「そうだにゃ、桜歌が私に首輪を付けたり、夜の公園を四つん這いで散歩させるのにゃ。そんな過激なことをさせるのが、桜歌の仕事にゃ」
何を話しているんだろうか、この二人は。俺にそんな性癖はないし、そんなことを黒歌にさせるわけがないだろう? 俺は止める立場だ。
「おい、そこのエロ猫と祭。俺にそんな趣味や性癖はないからな? もっと大切にするに決まってるだろう? おい、ちょっと待て祭。俺はしないって言ってるだろ」
俺が二人の妄想を止めようとしていると、祭が『私なら・・・・・・』とか言っている。もう少し、限度というものを持って欲しい。
「そうだ、黒歌に聞きたいことがあるんだ」
俺がそう言うと、二人はどこのセカイからか意識を現実に引き戻した。黒歌は不思議そうな顔で、
俺をみてくる。
「何にゃ? 桜歌の言うことなら、何でも聞くにゃよ?」
「じゃあ、一つだけ。俺、強くなりたいんだけど、どうしたらいい? 一応、転移の魔法陣は使えるんだ。でも、あまり上手くないからさ。それに《王の能力》ってのもあるんだけど、それだけじゃ守れるものも守れないからさ、戦い方を教えてくれないか?」
「にゃ? 《王の能力》ってなんにゃ? それがあるんだったら、それを極めれば強くなれるにゃ」
黒歌はそう言うが、俺が目指すのはそれなしでも戦えるような力だ。何時も隣に女の子がいないと戦えないって、いろいろと問題だからな。仕方無い、説明するしかないようだ。
「祭、少しだけ体を貸してくれ」
「えっ? う、うん。桜歌のためならいいよ」
俺は祭から許可を貰ったので、祭に目を合わせる。そして、俺は右手を祭の胸の中心に突っ込んだ。右手は光を帯びて、祭の中に入っていく。
そうして何かを掴むと、俺は手を引っ張り出した。その手には、包帯のようなものが握られている。祭のヴォイドは、包帯かな? 一体どういう能力だろうか? 黒歌は不思議そうに見つめて、祭のヴォイドの包帯を見ている。
「凄いにゃ・・・・・・何か祭の中から出てきたにゃ。コレは何にゃ? 今まで、こんな能力はあまり見たこと無いにゃ。いや、あるにはあるけど、これはいのりの家と同じ能力にゃ?」
「うん。これはヴォイド。人の心を武器にしたもの何だけど、俺は何故か女の子からしか取り出せないんだ。それに、女の子がいないと使えないんだ」
俺は祭のヴォイドを手放すと、祭の中にヴォイドが戻っていった。それを見ていた黒歌と祭は、今だにぼーっとしている。
「なら、私からも取り出してみるにゃ」
「えっ? まあ、いいけど・・・・・・」
俺はそう言って、黒歌に目を合わせて手を黒歌に突っ込んだ。黒歌は少し声を漏らして、着物をはだけさせる。俺は黒歌の中で棒状のものを掴むと、手を引き抜いた。引き出された手には、白い刀が握られている。この握られている白の刀は、白音への思いによるものだろうか。確か、白音は髪が白いというか、そのまんまだと言ってたし・・・・・・それに、愚痴も白音に関することだった。
「それが私のヴォイド・・・・・・心かにゃ? 白くて綺麗だけど、白音を思い出すにゃ・・・・・・。何でかにゃ? なんか、悲しくなってきたにゃ」
「ごめん、黒歌。今すぐしまうから」
俺は白い刀を手放して、その刀は黒歌の中に戻っていく。俺はそれを見届けると、黒歌に向き直った。黒歌にヴォイドがコンプレックスだと話すと、さらに落ち込みそうなので話さないで置こう。
「それで、俺にコレを使わずに戦う方法を教えてくれないか? 俺は《王の能力》主体で戦うけど、
1人の時は役に立たないんだ。だから、いろいろと教えて欲しい。ダメかな?」
「・・・・・・少し聞くにゃ。さっき、あの刀と桜歌から・・・・・・ううん、今も桜歌から同じ気がするにゃ。
もしかしたら、桜歌も仙術を覚えられるかもしれない。でも、仙術は危険にゃ。私が暴走したのも、
負の感情が溜まってしまったせいにゃ。大切な人をきずつけるかもしれない、中途半端な覚悟なら、
止めておくことをおすすめするにゃ。それでも、桜歌は仙術を会得したいかにゃ?」
仙術・・・・・・確か、黒歌が主を殺すきっかけになった術。それも、ただ主のせいだと言えるけど、黒歌は忠告してくれている。俺は真剣な黒歌の目を見て、ため息をつく。
「確かに、危険かもしれない。でも、俺はいのりのために強くならないといけないんだ。だから、教えてくれないか? 俺は、やらずに後悔するより、やって後悔したい。それに、暴走なんて起こさないさ。いのりは優しいし、そんなヒドい主じゃない。黒歌も知ってるだろ?」
「・・・・・・はあ~、桜歌も変わったにゃ。まるで、一人の騎士・・・・・・いや、王を守る盾かにゃ? というよりも、女の子を守りたいのはわかったにゃ。それなら、明日あたりからいろいろと頑張るにゃ。
悪魔稼業もライブだけのようだし、無理はないと思うにゃ。じゃあ、明日また来るにゃ。何時かオーフィスをつれてくるから、そのときはよろしくにゃ」
黒歌はそう言って、何処かに黒い穴を空けて消えていった。なるほど、仙術ってそんなことも出来るのか・・・・・・これは、使えるようになるのが楽しみだな。
俺は黒歌が消えた穴が消えるまで、その場で黒い穴を見つめるのであった。
その間、祭がビックリして壁に開いた黒い穴と俺を交互に見ていたのは、おもしろい光景だった。
はい、エロ猫ですね、黒歌。
今回は、黒歌出てきて何しに来たんだろうね?
元の目的が何もなかったよ。
早く綾瀬さん出したいよ。でも、タイミングが悪いよ。
どうしろと言うのだろうね。
はい、まずは祭のヴォイド紹介
《すべてを癒す包帯》
所持者:祭さん
有機物と無機物、両方を治せます。
正直、”聖母の微笑”より回復能力上です。
次は黒歌のヴォイド紹介
《妖刀 白銀》・・・・・・読み方はしろがねです
ヴォイドばかり言っていると、こんがらがってくるのでオリジナルのヴォイドは名前を付
けました。
所持者:黒歌
能力は、斬った相手の傷を無機物だろうが何だろうが大きくする
掠り傷でも切り傷になります
斬撃を空間を越えて放てる
一応、能力を紹介しておきました