【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
なんでだと思う?と彼女は言った。
「妖怪と人間の違いなんて、人の腹に宿るかどうか。なんて謳う人もいるけれど、妖の血を継ぐ人間だっているでしょう?純粋な負の感情のみを妖怪とするなら、人の血と肉を持った
「妖怪なんかに焦点を当てるからいけない」
「では、その『妖怪』とは何でしょう?」
「ただの獣擬き。最初にそう言ったのはあなたでしょう」
即答する。
今のご時世、妖怪と人間の境界なんて、高貴ぶって定める必要なんてないだろうに。としか思えない。
このような答えも含めて、全部お前が言ったものだと、そう付け加える。
「小賢しい奴は、人間の姿を借りていたりするけれど、結局は人外。前も言ったわよね」
「確かにそうかもしれません」
彼女は笑って。
「妖怪にだって色々な種類がいる。鬼とか天狗みたいに、肉と血が流れる人間そっくりな連中、その癖亡霊みたいな肉の存在すら怪しい連中も。…これが『妖』に入るかどうかは結構怪しいけれど」
「……………」
「あなたの、今の意見を聞かせてくださいな、あなたが屠るべきと考える『妖怪』とは、どのような一線を定めているのでしょう?」
結局のところ、『人間じゃないもの』なら全てが『妖』なんだろう。
入道の妖怪だって、あれに人と同じ血が流れているとは思えないが、しかし「人間じゃないのは確かなのでは?」と聞かれると何も言い返せない。
だが、だから余計に
心底どうでもいいと、そうとしか思えない。
「あんた、何がやりたいの?」
「……そこは普通、『何が言いたいの?』とか…そうやって聞くところではありませんか?」
「
まるで、鈍器でも握っているかのような重圧。
たった数十センチしかない、
正確には、心が痛むだとか、楽しむといった感情の一切が生じていない為、『面白い』というのは心にもない、比喩としては適切ではない言葉選びであろう。
振りかぶって、下ろす。
たったそれだけで、まるで湧き水でも掘り当てたかのように、真っ赤な鮮血が宙を舞う。
地面を転げ回る『妖怪』は。
口から喉にかけて全力で抉られたというのもあり、叫び声や苦悶の声も、出したくても出せないのだろう。
「
大幣を突き刺し、喉の奥と地面を連結させて、捩じる。
苦悶の声にもならない、叫び声未満の汚い汚濁のみが、妖怪から発せられるだけ。
『哀れ』とも、『ざまぁみろ』とも思わない。
■■は一言も発さず、そのまま静かに霊力を込めて、妖怪を絶命させる。
「――――――――」
ザフッ。と布が風ではためくような音がして。
妖怪は消失反応によって、先ほどまで地面を濡らし、汚していた血と臓物の全てと共に、まるで最初からそんなものなかったかのように、一瞬でこの世から『消えた』。
こんなものが。
血も、骨も最後は残らない、まるでこの星の大地から存在を否定でもされているかのような、惨めな。
――
「――汚らわしい」
それら、言葉を口にしたのは、自分ではない。
普段からまるで、花でも咲いているかのような笑顔を振りまく、人気者の『青い巫女』である彼女の顔は。
まるで、汚物でも見るかのように冷たく、人を殺せそうな程に鋭い視線を、妖怪の残穢に向けていた。
妖怪などどうでもいいが、これは面白い。
村では周りから、『赤い巫女』と畏怖され、距離を取られている自分とは大違いだ。
しかもよりによって、この本性を知っているのが自分だけとは。そう■■は思う。
「ハッ、村の人気者がそれじゃあね」
「……………」
「何とか言いなさいよ」
普段あれだけ、男に媚を売るような可憐な彼女は、何も言い返さない。
別に、返答を求めて言葉を投げかけた訳ではないのだから、これといった悪感情はない。
妖怪退治、自分たち巫女の仕事。
もはや今の時代、それこそ神代から続いて来た人間の『狩り』とも言える行事に、愉快な点などどこにもない。
村の長が言うには、自分は歴代でも他に類を見ない才能の持ち主だという。
別にそれを、謙遜して受け流す程自分という人間はできていない事くらい、自覚はある。
自分がどれ程強く、そしてどれだけ恵まれた立場と出自であるか。
■■■は、どう思うだろうか?
周りから褒められるのが当たり前で、敬愛と欲情様々な形の好意を一身に引き受ける『青い巫女』たる彼女は?
ふと、■■は隣に立つ、妖怪を見下す。己と対を成す巫女である彼女を見る。
こんな享受するだけの、作業に等しい人生を、どのような感情で味わっているのだろうか。
「あんたは」
唇の端から音が漏れる。
「楽しい?今が」
満たされない日々。
言葉にできぬ窮屈さを胸に、一生このまま、こんな『箱庭』の中で生きるのか?と。
そう、『赤い巫女』は問う。
「まぁ、それなりに」
『青い巫女』は、すぐに答えた。
「…そう」
「あなたには何か、不満でもあるのですか?」
「…別に、なんでもないわ」
言葉にできない『飢え』というものを、どのようにして説明できるものか。
言ったところで、同意など得られる筈もなく。
「不満なんてないわ。修行は面倒臭いけど、飯は美味いし、人は私を敬って奉る。悪い気はしないし」
「……………」
『青い巫女』は静かに聞く。
「妖怪を退治して、修行して、誰かを助けて、それで」
「……………」
「うん。やっぱり、改めて口にして分かった、不満なんてどこにもないわね、これ以上何を望めばいいのか分からないくらい」
――嘘。
自己嫌悪するくらい、あまりにも分かりきった嘘。
だけど、彼女は気づかない。
「全く、私たちは選ばれた巫女なのですよ?」
「それよ。特に不満なんてないって言ったけど、『それ』だけは嫌だわ。誰がどの分際で私を選んだって?」
「…………」
選ばれただの、才能だの。
そう言った、『巫女』を表す言葉が、昔から大嫌いだった。
悪しきを挫き、弱きを助け。
滅私奉公…とはいかないが、朝起きて、そして寝る夜に至るまで、思えば自分の意思や自由は、あまりない。
それに対しての不満か、自分は自分で思っていた以上に、薄情なものであったのか?
何度も、何度も思い返してみても、分からない。
人を助けた時、感謝されるのは嬉しいし、満たされる。
無垢な子供は嫌いではないし、妖の被害に遭った人間を見れば、憐みも抱くし嘆きもする。
ただ、一定の周期で訪れる『それら』は。
恨み、傷つき、報復し。
何度も何度も、月の満ち欠けや、潮のような繰り返しに、足りない何かを思うようになった。
「最近、どうやら妖怪たちの動きが大人しくなってきているらしいです」
秘めた思いを封じて、意識を現実に戻す。
「…へぇ、そう」
無知な一般人ならともかく、それなりに修羅場を潜って来たから分かる。
それに「良かったね」とか、「じゃあ私たちの仕事も減るかな」とか、そんな呑気な言葉が湧いてくる確率は、万が一にもない。
「何かを企んでいるか、もしくはもっと別の『何か』が、新しく頭に鎮座したか」
「……………過去の記録ですが、また『竹姫』の伝承が本当だとしたら、また妖怪たちが徒党を組んでいることになります。警戒しないと」
「…うーん……………」
『青い巫女』としての、実にそれらしい見解。
過去に存在したとされる、竹から出てきた黄金によって栄え、そして『百鬼夜行』によって滅びたとされる、都に起こった事件。
あれも確か、今のように不吉な前兆があったことを思い出し、口にする。
だが、少なくとも自分は――
「なんか違うような気がするのよね」
「…根拠は?」
「勘よ、勘。なんとなくそんな気がするから」
「……………」
少なくとも、過去に起こったことを材料に、現在の違和感を暴こうとする彼女と、比べるまでもない、薄っぺらい答え。
馬鹿馬鹿しいと、ふざけているのかと、そう言われても何も言い返せない、『赤い巫女』たる、自分の言葉。
静かなため息が一つ、聞こえた。
「それは、私たち人間に危害が及ぶものですか?」
「あー?そんなのまだ分からないわよ、まぁまだ大丈夫じゃない?知らないけど」
「……………はぁ、本当にあなたは」
――昔から、不吉の前兆とも呼ぶべき何か。
■■には、■■■以上に巫女の才覚があるのに加えて、このような第六感とも称せる、形容し難い、曖昧な感覚が昔から備わっていた。
道を歩いている時に、頭の奥に違和感が『突き刺さる』ような感覚がして、咄嗟に右へ跳ぶと、そこへ落石が。
もう悪さをしない、許してくれと、頭を垂れて命乞いをする妖怪と対峙した時は、咄嗟に首を捻って、隙を狙っていた妖怪の不意打ちを躱す。
強いて言うなら、博打の際にもこれが働くせいで、まともな『賭け』ができない…という一点ぐらいだろうか。
ちなみに、「巫女の癖に博打などするな」と、以前に■■■から怒られてからは、もう数ヶ月は博打をやっていない。
何より、不思議なのは。
「それが『異能』ではないということが何よりの驚きですが…今に始まった事ではないですね」
「……………」
本当に少しだけ、僅かな羨望を滲ませて。
「…もしもの時は、頼りにしていますから」
「……………そ」
自分の事を、心の底からしっかりと信頼してくれている事実。
それが突きつけられると、どうしても自分が内に秘めた違和感が、決して正しいものではないと、お前は間違っているのだと、そう暗に告げられているようにも感じてしまう。
心が、良心が僅かに痛む――こともない。
不思議と、自分のことなのに何故か、他人事のように思えてしまう、そんな自分自身に驚いた。
「ねぇ」
■■■は、どうなのだろうか。
「『楽しい?』って質問にさっき。それなりに、ってあんたは言ったけれど」
自分以上に、それこそ自分以上に巫女らしい彼女。
少し行き過ぎにも思える正義感と、人外に向ける嫌悪感さえ目を瞑れば、どこに出しても恥ずかしくない、そんな逸材たる彼女は。
「何が一番楽しいの?」
「そんなの決まってるじゃないですか」
「汚物を処理する。たった一つの善行で、いくつもの命が救われる。人の役に立てる。それが嬉しくなければ、一体なんだと言うのでしょう?」
「……………汚物、ねぇ」
彼女は物心が付いて間もなく、両親を妖怪に殺された。
なんともまぁ、単純で簡単で、ありふれた『悲劇』の一つにしか過ぎない、そんな怒りの原動力。
目新しさも何もない、神代から古代、そして今の世に並ぶ、復讐という名の呪いの螺旋。
「あなたは、憎くないのですか?汚らわしいと思わないのですか?」
僅かに血走る眼は、彼女の怒り、憎しみがどれ程大きいものかを、充分過ぎる程に表していて。
同情する気も、面倒臭さを隠す努力すらせず。
「…さぁ…………」
どうでもいいと。
そう突き付けるような声色で、
自分たちは孤児だった。
もはや村では周知のものだが、宮出口という血筋はそれなりに由緒ある、古い神々の血を引いた巫女の系統らしい。
妖怪の種族、そして名前がとりわけ強い意味を示すこの世界において、人間の『名前』もまた、深い意味が込められている。
そして当たり前のように、彼女は『宮出口』という名に恥じぬ、素晴らしい才覚を秘めていた。
麗しい容姿、愛嬌のある性格。村の男から女、それこそ老若男女問わずに人望を集めるのも、当然と言えるだろう。
自分もまた、同じく由緒ある家系だと、後に知らされた。
そして宮出口のような。
それこそ全く同じ程、自分にも巫女の才覚が秘められていると分かった時から。
これから先の、自分の将来は決まっていた。
「私は向こうを見てきます」
「……………そ」
定められた生き方。
あの小さな村で、これから先もずっと。
長い、永い何十年を、巫女として生きていく。
僅かなとっかかり。
何度も、頭に浮かんでは必死に目を背けたもの。
「…?どうしました?」
宮出口は、こちらを見てそう言う。
その顔には、自分とは違って、『不自由』さはなく、今日この日まで変わらない、いつもの彼女の顔だった。
その、目を背けず。
「なんでもないわ、少し考えてただけよ」
下手に誤魔化さず、口にして開き直る。
自分ほどではなくとも、それなりに感覚の鋭い彼女は、口先だけでは誤魔化し切れないだろうと、そう踏んだから。
そして、自分のそんな考えは正しく。
本当に僅かだが、疑惑こそ覚えたらしいものの、それを直接口にはせずに。
「………そうですか」
そう、宮出口は背を向け。彼女は歩いて行った。
しばらく、その背中を目で追って、彼女の姿が森の木々に隠れて見えなくなってから、博麗は息を吐いた。
「…面倒臭い」
ざっと、視線と意識を集中させてもやはり、周りには先ほど退治した妖怪以外には、気配を何も感じない。
そうなると、後にやるべき事はやはり、結界の再展開だろうか。
一つ、二つと山をしらみつぶしに回って、結界で封鎖して、繰り返して。
「……………」
違和感。
ずっと目を逸らし続けてきた、己の導き出した答え。
それを受け入れるのも、もう潮時かもしれない。
「一生…」
一生、自分はこんな人生を過ごすのか。
一生、こうやって機械的な日常を続けるのか。
ずっと――
「一生――」
「そんな人生でいいのかしら?」
凛と、甘く囁いてくるような声。
女の声。
何より、今の今まで、
「これからも、欲張らず、そうやって延々と、目先の出来事に甘んじる生活を、あなたは一生過ごすのかしら?」
その妖怪は、物陰に隠れていた訳でも。
影に潜んでいた訳でも、背後から忍び寄ってきた訳でもなく。
文字通り、たった今『現れた』のだ。
巫女としての直感。
――何より、人間としての本能が、危険信号を発して止まらない。
「蛮勇にも、英雄にも属さない。ただ漂うように、透明に生きるあなたにとって、今の世界は息苦しいものでしょう?」
何もない筈の空間に現れる、幾数もの目玉が浮かぶ空間。
そこから、
彼女が人外、それこそ高位の妖怪であることが、否が応でも理解できる。
それほどに、圧と呼べるものが違った。
「水を得た魚は、時に逆らい、時に身を任せて波を生きる。鳥も同じように、風という名の足場を使って」
妖怪はそう言って、するりと細長い腕を、背後から回す。
「ねぇ、あなたは魚と鳥どっちが好き?」
顎に指先を添えられて。
博麗は、ふっと首元に当たる、人外の吐息で意識を戻す。
「……………鳥」
「あら素直。嫌いじゃないわよ、そういうの」
クスクスと、笑い声。
こちらの内心と違って、背後にいる妖怪は自然体で。
自分にとっては天敵である筈の、巫女を恐れる素振りも見せない。
「『籠』を知った鳥と、既に野で生きる鳥は違う。縛られ、自由の制限された世界に閉じ込められた鳥は、はたして可哀想なのかしら?かつての『籠』を夢想して、そうして死んでいく鳥に対して、あなたは何を思う?」
「……………」
「ねぇ、あなたは今の生き方が好き?」
「…………――」
ある程度。
ある程度、その先に聞こえてくるであろう問いは、薄々察した。
「あなたは、このまま一生、『自由な不自由』を続けるの?」
「――――」
まるで、悪魔の取引だと、そう感じた。
「人を助ける、誰かに感謝される。でも、それだけ」
「あなたは…」
「憎み、憎まれ、そうして互いに。無駄な復讐と殺し合いを続ける…」
「あなたは何を――」
「宮出口を含めて、
博麗は答えない。
あまりにも、言葉を着飾ることなく、心の奥底に封じた感想を、無造作に掘り起こされたかのように思えて。
奥歯を強く噛み締めた。
「妖怪は人を襲う、そして襲われた人間、もしくは残された人間が、妖怪を恨んで命を復讐で燃やす、そんな螺旋状の呪い合いを、あなたはくだらないと思える」
「……………」
「あなたは他人の呪いを、どこまでも達観できて、そして心のどこかで、『異変』という名の、日常を彩る調味料を求めている…そうでしょう?」
何も間違っていないわ。
そう、彼女は自分を否定せず、首を摩ってくる。
「ねぇ。もう一度聞くけれど」
その、胡散臭さを感じる声。
しかし淀みのない、真っすぐに向けられる、『利用』の視線。
いっそのこと清々しいそれを、背中で博麗は感じた。
「今のままで、いいの?」
「……………………………………………………」
長い、あまりにも長すぎる沈黙が訪れた。
数分、もしくは数十分か。
その間、背後の妖怪は一度も、こちらの答えを急くようなことはしなかった。
ただじっと、何かを期待するような視線を、こちらに向けてくるだけ。
――これは、賭け。
甘い言葉を囁いて、人を堕落させるか、もしくは誘い込んで殺す。
今まで相対した妖怪とは、そういうものだった。
(今のまま――)
聞くに値しない。
そう切り捨てるには、あまりにも妖怪の言葉は真っすぐで、清々しいもの。
何より、己の勘が訴える。
「博打はもうやめるつもりだったけれど――」
巫女としての、己の第六感が。
道に迷うこともない、命を守り、あらゆる賭け事で全勝を続けた『勘』が、うるさいくらいに躍動する。
この話は、決して悪いものでは――
「私を、どこに連れて行く気?」
まだ、彼女の提案する『計画』に同意するとは言っていない。
だというのに、振り返った先にいる、妖怪たる彼女はまるで、上手くいったとばかりに、頬を綻ばせて。
「ねぇ、もしも妖怪と人間が呪い合わない場所があるとしたら、どう思う?」
「…」
「命を脅かされる関係。時には妖怪が、そして人間が、たったそれだけで完結した…『箱庭』があったとしたら」
「ありえないわね、そんな場所」
これは、本音だった。
だってそうだろう、それこそ神代から続いて来た、人間と人外の関係性を、根底から、今更覆せるのかと。
命の奪い合い、それこそか弱い人間と、優れた能力を持つ妖怪なら。
そこには必ず、恨みがあって、妬みがある。
だが彼女は、それらを払拭すると、螺旋状の関係性を終わらせると、そう言ったのだ。
「ありえないけど、それを目指す道は、きっと楽なんてないのでしょうね」
「限られた箱庭で、身の丈に合った幸福と不幸を、私たちが作り、与える」
「神様気取り?でも、確かに今の退屈な世界よりはマシかもね」
もう、ほとんど答えは決まっていた。
そうだろう。何せ最初から、彼女の提案を、そして手を撥ね除けるつもりだったなら、こんなに長く話を続ける筈もない。
未だに、こちらに帰ってくる気配のない宮出口はきっと、この妖怪の手腕によるものだろう。
どこまで見えて、そして確信していたのか。
「…あんた、私の出す答えなんて、とっくに分かっていたんでしょ」
「あら、私は別に、全知全能じゃありませんのよ?」
扇で口元を隠して、いかにもわざとらしい言葉遣いと態度で。
「打算こそあれ、最終的な判断は全て、あなたに委ねていた。これは事実」
「…ふーん」
全く、本当に――
博麗は聞いた。
「もしかしてだけど、最近近くの妖怪が大人しかったのも」
「…ふふ、さて。どうかしら?」
「…………」
『勘』が囁く。
だがそれを度外視しても尚。彼女が否定でも、分かりやすい肯定もしなかった時点で、自分でも薄々と認めてしまっていた。
違和感だとか、それまで抱えていた躊躇だとか。
そういった感情はもう、どこにもなかった。
「あんたが作る箱庭。それってどんな世界?」
「……………………」
迷いはなく。
躊躇も捨てた博麗の問いに、目の前の妖怪は答える。
「――幻想郷」
「全てを受け入れる。――残酷で美しい世界ですわ」
ギリギリ元気です。
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