【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
サグメ「勝つさ」
「何故嘘をついた」
時は再び遡り、月面戦争開始前夜。
いよいよ明日に進軍を控えた、目標である巨大な月を見上げる紫の背に、そう問うた。
反応はない。
「何故、
「…………」
もう一度、問う。
妖忌の言葉は何の脈略もないものだったが、その声色は真剣であった。
何を、という言葉も、眉を顰める反応も見せずに、紫は音もなく振り返って。
「あら、それは一体どれの話かしら?」
「……私から言わせる気か?なら単刀直入に聞こう」
はっきり言って、妖忌は八雲紫が嫌いだ。
いや、もっと正確に言えば『大嫌い』が正しい。
あの日、西行妖が封印された瞬間。生前の幽々子がその後、永遠に成仏できない事を代価として、同じく永遠に綻ばない封印の楔を埋め込んだ時。
記憶を失い、透明な少女となった幽々子に対しての、紫が見せた表情。
村を渡り、国を渡り、現世と幽世の狭間に生きる
あの時に感じた。
『……ごめんなさい、私、あなたの事も思い出せないの』
『大丈夫、それで合ってるわ。だって私たち、今初めて知り合ったんだもの』
嘘の気配。
「幽々子様の問いに、お前は『今初めて知り合った』と言ったな。――答えろ、何故お前は
「――――」
――八雲紫は、生前の幽々子を知っている。
妖忌がこの疑惑を確信に至らしめたのは、西行妖の事件の一幕ではなく、その後の違和感が原因だった。
確かにあの時、幽々子に話しかける紫に対し、疑惑を覚えたのは事実。
しかし所詮は勘に過ぎず、何よりこの妖怪の賢者が纏う仮面は鉄壁で、その心の最奥を暴く事はほぼ不可能。
こちらが事実と断定したものが、紫にとっては上手く相手を操作する為に用意した、偽の餌だった……なんて可能性はゼロではない。
だからこそ、最初妖忌は警戒し、疑惑を頭の片隅に追いやって、日々を過ごしていた。
だが、どうしても。
隙に見える行動や表層は、所詮張りぼての演技であると、そう仮定したとしても、尚。
あの日から都度、紫が幽々子に向ける視線には、間違いなく何かがある。
そう思わずにはいられないほどに、紫の態度はおかしかった。
まるで、表情を取り繕う余裕すらないように。
「お前は、生前の幽々子様を知っていたのか」
「えぇそうよ」
紫は頷いた。
「一体いつから」
「『最初の出会い』から数年。……そうね、分かりやすく言うなら……今から多分二〇年近く前かしら?」
「二〇年だと?待て、幽々子様はまだ成人していない。子供だぞ、数え間違いじゃないのか?」
「違うわよ、私が『最初』に会ったのは、その前。――つまり、あの子の父親がきっかけなの」
「なに?」
情報を聞き出す事に徹する筈だったが、思わず会話の流れを遮断してしまった。
妖忌は新たに浮かんだ疑惑と、会話を途切れさせない二つの目的として。
「父……となると、まさか『歌聖』か?お前はあの人を知っていたのか」
「彼は人間の中でも異端だったから、かしらね」
「……それは」
異端。
確かに妖忌の知る彼は、桜を愛し、それと同じくらい歌と家族を愛した男だった。
一宿一飯の恩から始まった縁ではあるが、妖忌にとって彼との縁の強さは、並の知人関係を遥かに凌駕するものだろうと自負している。
長い旅を続ける両者。
旅を続けながら、まだ容姿が麗しい自分とは対照的に、彼はどんどん年を取る。
半人半霊であるが故に、同じ時間を共には歩めない悲しみ。
それを飲み込み、だが彼と出会った事に決して後悔しないと、そう思っていた。
紫は笑みを浮かべつつ。
「彼にはね、ある夢があったのよ。知ってる?」
「……夢、だと?」
「明確に成し遂げたい、実現させたいと強く願うようなものではない。……それこそ深い眠りに陥った時に見るような、そんな奇想天外で、絶対に不可能なある夢を」
妖忌は少し黙ってから。
「聞いたこともないな、そんな話」
「当然よ、だってこれはただの夢……ただなんとなく、こうだったらいいなって夢想する程度の夢なんだから」
「して、その夢とは何だ?」
僅かな戸惑いを内包した妖忌の声。
それに続く、紫の過去を懐かしむような声。
「妖怪と人間が共生できるような世界」
「は?」
「ね、凄いでしょう?こんな馬鹿みたいな夢、叶うわけないじゃない」
妖忌は何を馬鹿なと思った。
人間は妖怪を恐れる、妖怪は人間を襲う。
この関係に疑念を挟む余地はない、あるのは生物間にある『弱肉強食』と『食物連鎖』に等しい、殺し殺され、呪い呪われるだけ。
歩み寄ることは不可能。
半人半霊は人間と幽霊、そのどちらにも成り切れず、どちらにも馴染めない種族。
故に、妖忌はその『夢』がどれだけありえない事かを、誰よりも理解できるのだ。
「…………」
だが、同時に思うのは
恩人である『歌聖』の目には、半人半霊である自分に対する嘲りの色はなく。
人間でも、幽霊でもなく『魂魄妖忌』として接してくれた彼の事だから。
きっと、紫に語ったと言うそれも、正しいのだろうと。
「出会いは偶然だったけれど、その後の付き合いは長くてね。彼が旅を続けながら作った歌を、私も楽しませてもらったわ」
「妖怪が歌を嗜むのか?」
「妖怪にとって『退屈』は死。それに言ったでしょ?最初は偶然だったって、私もまさか、ここまで彼の歌に入れ込むとは思わなかったわ」
「だからか」
彼の旅。
最初の出会い。
紫の言った二つの要点、それらが繋がった。
「お前は、幽々子様が赤子の頃から」
かつて摩多羅隠岐奈が零した『幻想郷』の計画。
このままでは皆が等しく、忘却による滅びを迎えるが故に。
八雲紫は月を利用し、楽園に相応しい妖怪以外を間引く。――そう思っていた。
月面戦争における八雲紫の『信念』はたくさん存在する。
愚かな妖怪を間引く。
月の兵器の情報を集める。
今も尚『虚無の世界』に居座っている、ある神を現実世界に引きずり下ろす。
一部は統合され、そしてもう一部は互いに反発する、正反対の矛盾した内容であっても。
『一番最初』の、信念の根っこは変わらない。
妖怪の救済だとか、救うべき妖怪の間引きだとか、それはただの『目的』に過ぎず。
オリジンとも呼べる『きっかけ』は、たったこれだけの、『あったらいいな』という腑抜けた思いだったのだ。
「最後に聞かせろ、八雲紫。――何故、お前は幽々子様が月面戦争に参加するのを止めなかった?」
「……何故『誘ったか』とは聞かないのね」
「見くびるな。確かに私はお前が嫌いだが、お前が幽々子様に危機を与えるような下衆ではないと分かっている。……幽々子様から、なのだろう?」
「…………」
紫は何も言わない。
妖忌は、まるで腹の底から絞り出すように。
「きっと、幽々子様の残滓なのだろう」
西行妖の封印は既に、幽世の一部と閻魔にも話が行き届いていると聞く。
封印を決行したのは幽々子一人だが、その行為には彼岸が深く関わっているのもあって、西行妖を含めた白玉楼の位相は近い内に、冥界にまるごと転移する事となっていて、それは丁度、月面戦争が始まる翌日に決行の予定だった。
そうなるともう、幽々子は現世との関わりを永遠に失う事になる。
たった、たったそれだけの、リスクに見合わない目的の為に。
月という未知と危険の場所に、彼女は進むことを選んだのだろうと、妖忌は推測する。
本音を言えば『何を馬鹿なことを』と、そう言って引き留めたい。
わざわざ戦場を選ぶ必要はない、
だが――。
「私は、あの子をこれ以上縛れない」
紫はまるで、懺悔するように。
「『どの分際で』、それは百も承知よ。それでも、どうかお願い」
「分かっている」
白玉楼の庭師。
――否、一従者としての覚悟。
「今度こそ、守ってみせる」
戦場。
分かっていた事だ、覚悟して来たことだ。
相手は月の民で。
それは月人という名の、穢れから逸脱した事で寿命を克服した
そして今、妖忌の目の前にいる男は、その天上の存在の中でも、更に一握りの選ばれた者。
残穢を辿り、全力で駆け付けた事に後悔はない。
主を甚振るこの男に対し、言い訳の機会を与えるつもりなど毛頭ない。
身体を焼き焦がす程の怒りを自覚しながらも。
妖忌は、それでも――。
「名を名乗れ、
細愛親王の問いに、ごくりと重い唾を飲み込んだ。
――斬れるか?
例えば、目の前に大きな岩があったとしよう。
妖忌は疑問を挟む余地なく、刀を振り下ろして答えを出すだろう。
衝撃と振動。それらが刀の鉄、そして手首から身体の中心に向かって迸る感覚は愛おしい。
敵を、障害を斬り伏せ、頂に手を掛ける。
人間より優れた寿命を贅沢に使い。長く、永く鍛錬を重ねるのは好きだ。
――斬れるか?
例えば、目の前に『時』があったとしよう。
そこでようやく、最初の疑問を妖忌は噛み締める。
――
疑問と迷いは腕を鈍らせ、鋭く、鞘を走る刀が
結果、斬れない。
本当なら斬れる筈なのに。『成功した未来』を、『今より強くなった自分』を想像できないから、斬れない。
こうして考えると、まるで最初に自問を繰り返してしまったせいで、この迷いという名の弱さに繋がったのではないかとさえ思う。
雨を斬るのに三〇年、空気を斬るのに五〇年、時を斬るのに二〇〇年。
妖忌はまだ、空気までしか斬れない。しかし逆に言えば、
疑問は。
迷いは。
不安や恐怖は強くなる為の足枷でしかない。しかしその弱さを知り、克服しなければ『強さ』にはならない。
ならば、この程度の『強敵』を相手に、怖気づく余裕なんてどこにもない。
敬愛する主の従者として。
今度こそ、守ってみせるとそう誓い。
その上で、今一度己に問う。
――斬れるか?
当然、答えは――。
「貴様に名乗る名はない」
返答は一つ。
妖忌は腰に携えた『楼観剣』の柄を握る。
次に妖忌が動きを見せるのは、口ではなく刀だ。
間合いの範囲内。
既に抜刀準備を終えた妖忌に、体勢を瓦解させる隙はない。
「…………むぅ」
――居合。
腰を落とし、柄に手を置き静止する動き。
その光景を見れば、例え剣に疎い幼子であっても、そうだと簡単に分かる光景。それに細愛は一瞬苦い顔をした。
ここは戦場だ。
一対一の真剣勝負など笑止千万。
戦争とは確かに『戦い』ではあるが、そこに武芸者が言う『戦い』の意味はどこにもない。
愚直な戦い方だ。しかし細愛は今、そんな愚直な
何故なら細愛は既に、妖忌の間合いの内側にいるのだから。
細愛は最初から、剣の柄に手を置いている。
その状態で妖忌が始めた居合の拮抗。
これにより細愛は、『今の体勢から繋げられる動き』以外全てが、そのまま己の命を脅かす不利に変化する。
仮に、細愛が
細愛の選んだ答えは。
「……いいだろう」
――同じく、居合勝負。
互いに威圧し、見合う拮抗。
細愛が練り上げる霊力。
妖忌が練り上げる呪力。
両者が放つ殺気はまるで水と油のようで。
それらがぶつかり、結果色のない空間に『歪み』を生み出している。
「半人よ、
「私の主をそれ呼ばわりか?」
怒りを滲ませ、妖忌は問う。
細愛は鼻を鳴らして。
「そう怒るな、
「その
交渉の余地はない。
むしろ、互いが互いに向けて嫌悪を滲ませ、武器を強く握りしめている。
空気が軋む。
一秒、二秒と時が進むと共に、両者の空気がより小さく、重く、鋭い殺傷能力を纏っていく。
互いに警戒を向けるのは、刀の性能。
妖忌が今、抜刀用に握っている『楼観剣』は、その長すぎる刀身から本来、居合には向かない。
細愛との距離は二〇センチほど。
更に細愛が所持している剣は、居合勝負には向かない形状ではあるものの、その刀身は標準。
『刀』と『剣』。
積み重ねた歴史こそ異なるものの、立派な『人斬り』の道具たち。
互いの殺気がぶつかる異音。
それはまるで、両者の武器が、互いに互いを斬り合える機会に恵まれた事へ、歓喜の声を上げているようにも思えた。
「――――」
「――――」
未知の道具。それへの不測の出来事を懸念し、放つのは渾身の一振り。
ヒュンッ!と、風を斬る音が二つ同時に聞こえ。
まだ、刀身を鞘から半分しか出せていない妖忌と違い、細愛は鞘から剣を抜き切っていた。
白金のように輝く剣。
それが妖忌の胴体に向かって、吸い込まれるように加速する。
――次に来るのは絶命。
「フッ――」
勝利の確信。
確実に決まったであろう一撃を目で見て、細愛の脳内に早すぎる勝利後の幻想が映る――が。
当然、妖忌はそれを読んでいた。
ガンッ!と、細愛の予想を裏切る形で、抜刀途中の刀身が細愛の一撃を止める。
しかも、それでいて妖忌は細愛の一撃を喰らいながら、更には重く扱いにくい筈の『楼観剣』に、振り回されることはない。
迎撃はおろか、防御すらままならない筈の体勢からどうして。
細愛の疑問に答えるのは、妖忌の手そのものだった。
一発限りの速度勝負。
――それに見せかけた、カウンター狙いの一撃こそが妖忌の目的。
「シィッ――!」
逆手持ちにする事で、妖忌は関節に余裕が生じる。
本来、身体の構造上届かない右腹部から肩にかけた被弾箇所を、鞘と抜刀中の刀身を壁に見立て、防御する。
次に――。
「――――っ」
ザッ!という地面を力強く蹴る音。
居合勝負を始める前、両者の距離は二〇センチほどしかなかったというのに。
いつの間にか両者の距離は、一メートル近くにまで伸びていた。
さっき聞こえた音は、妖忌のカウンターをすんでの所で避けた細愛が全力の限り、地面を蹴って後方へ避難した音だ。
外した。――が、目に物は見せた。
赤。
細愛親王の頬、そこに歯に届く程の深い裂傷が刻まれている。
「チッ、斬り損ねたか」
「…………」
居合に満足行かなかった妖忌は忌々しく。
対する細愛は、どくどくと頬から流れて落ちる自分の血を、無表情のまま目だけを動かし、観察していた。
先ほどの居合、何より同じ人斬り道具を扱う練度の違いからして、剣術のみなら妖忌が勝る。
妖忌の狙いである、『居合勝負を仕掛けたと思わせ二撃・三撃目で斬る』も簡単に通じた。
かつて白玉楼に身を置く前、『試合』を挑み続けていた頃では信じられない。
主を傷つけられた怒り、そして敵への憎しみをしっかりと、
妖忌は前方の細愛を見据える。
「妙だな」
剣に紫電を纏わせながら、細愛は言う。
「お前、呪力のみが練れなくなっているのか?」
「……何を今更、お前がやったんだろう」
「違う。我の能力は神秘そのものに作用する。今、我の剣が貴様に触れた時……何故か
「…………」
「――なるほど、そういう事か」
人間にのみ宿る神秘の『霊力』と、
それらも例外ではなく、細愛が持つ『力を散らす程度の能力』が発動すれば最後、一瞬で最初からなかった事にされる。
相手の身体強化すら解除する力。例え空を飛び、駆ける事ができる程の強者であろうと、触れるだけで何もできなくなる、正に理不尽の力だ。
だが先ほどの、細愛が剣に紫電を、『力を散らす程度の能力』を宿して斬りかかった時の違和感。
それは妖忌が練り上げる呪力のみを散らし、彼の身体に宿る霊力は一切変化がなかった。
「元より、半人半霊が扱える霊力など雀の涙に等しいと聞くが――しかしそれとは別に」
――呪力を扱えるとなれば例外ではない。
「フィジカルの強化……生まれつき霊力が並の人間以下だからこそ、その対価として
半分が人間で、もう半分が幽霊であるからこそ。
人間と幽霊のいい所を合わせた存在である、半人半霊が完成したのだ。
「となると、
対価は『霊力』。
しかし半人半霊にとって、主に肉体の強化で扱うのは『呪力』であり、デメリットはないに等しい。
更に言えば、普通の人間より遥かに長い寿命を持つ点からも分かる通り。
半人半霊はある意味、人間の上位互換と言っても差し支えはないだろう。
「天与呪縛……フィジカルギフテッド」
細愛は笑った。
嘲りの色を浮かべた、月人らしい見下す視線のままで。
「それが何だ?我々は日々鍛錬し、鍛え上げた肉体を更に神秘で強化して戦うのだ」
細愛は剣を握り、腰を落とす。
両者の距離は、約二メートル。
「
「それにまんまとやられたのはどこの誰だ?」
再び、両者の間に沈黙が降りる。
先ほどまでと違うのは、その沈黙に両者が込める殺気の濃度。
最初に放った威圧が肌を裂くかまいたちだとするのなら、今両者が放つ威圧は、正に嵐。
ただ睨む、武器を握る。
それ以外に動きはなく、両者の身体は直立したまま動いていない。
だというのに。
まるで、互いが放つ濃密な殺気が質量を持って暴れているかのように、両者の服の袖が乱れ狂っている。
互いに、鞘から刀身を剥き出しにした状態。
先ほどまでの『勝負』とは違う。
正真正銘の命の削り合い――『戦争』が始まろうとしていた。
だが。
(ッ……不味いな)
妖忌には、たった一つだけ焦りがあった。
確かに、細愛親王は強く、決して油断できない相手だとは百も承知。
先ほどの居合勝負の結果もそうだ。
あれはあくまでも一方的に相手を自分の得意に持ち込み、策に嵌めたからこそであって、あの時の細愛の強さは、本来の実力の半分にも満たないであろう。
だが、ここからは違う。
『居合』に当てはめるには、あまりにも距離が遠すぎる。
あの一瞬の斬り合いでも恐ろしいと思ったのだ。そんな彼が、思う存分力を振るえるようになる。
それは、
何故なら――。
(幽々子様……!)
妖忌の背後には、守るべき主がいる。
幽々子は妖忌が来た直後に意識を失い、今もずっと気絶したまま。
会話も、移動もできない状態。妖忌以外に仲間はいない為、彼女を安全地帯に運ぶ事もできない。
細愛の目的は幽々子だ。
負けるつもりはない。むしろ勝つ気は充分にある妖忌であっても、『無防備な幽々子を守りながら戦えるか?』と聞かれれば、答えは否。
細愛の『力を散らす程度の能力』は、その一つ一つが亡霊である幽々子には天敵だ。
戦いの流れ弾もそうだが、何より細愛が妖忌を無視して、幽々子を積極的に襲う事だって考えられる。
(どうする……どうする……!?)
こうしている間にも、細愛が身体に纏う紫電はより大きく、おどろおどろしく変化していく。
時間はない。
いや。仮に時間があったとしても、この男は妖忌に
――詰み。
「まずは手始めに、そこの亡霊を今度こそ――」
その時。まるで一瞬時が飛んだかのように。
――星空が、青く変わった。
「っ、な」
「――これは……!?」
星々が輝く黒い夜は、まるで最初からこうであったかのように。
たった一つ、空に青紫色の渦を残して、夏の晴れ空のように変化する。
まるで、
「これは、まさか」
細愛は困惑する。
何故なら、この現象と違和感は。
彼がよく知るものであったから――。
「――稀神の力」
同時に。空に一つ残した青紫色の渦から飛び入るのは。
西行寺の呪いを継いで生まれた者。
その呪いを捨て切れなかった者。
――
「……近づくと危ないぜ」
「今の私は――虫の居所が悪いんだ」
剥き出しの肉体――その躍動を!!
半人半霊
生まれつき霊力がカスの代わりに、対価として軽めのフィジギフ(レベルは覚醒前真希くらい)。
その代わりに呪術原作とは違い、彼らは外付けで呪縛以外の神秘(呪力)で身体を強化できるのでデメリットは皆無。なのでこの世界だと半人半霊は普通の人間より遥かに強かったりする。
原種より雑種の方が強くなる……まぁ半喰種みたいなもんですね。
二次日間12位になれてたので急遽仕上げました。
投稿時間は何時がいいか
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7:00~9:00
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10:00~12:00
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13:00~15:00
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16:00~18:00
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19:00~21:00
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22:00~0:00