【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
何が何だか分からなかった。
「ふ、が……っ、ふざ――」
目前にはあの月人が、細愛親王が倒れている。
つい先ほどまで、厳然たる強者の貫禄を身に纏っていた彼は今、無様に地面に這う形になっており。
血と胃液を垂れ流しながら、今も言葉にならない呪詛を吐き続けている。
一体、何が起こったのか。
何がどうなっているのか、妖忌には分からない。
突然、夜空が青空に変わっただけに留まらず。
そこから息をつく間もない怒涛の展開が、妖忌を困惑の中に置いてけぼりにしたまま、今も。
声が聞こえる。
「お、やっぱ生きてるのね」
――あれは誰だ?
妖忌はその時、強敵へ向ける警戒ではなく。
得体の知れない何か、もっと恐れるべきものに向ける類の、そんな重厚な敵意を彼女にぶつけた。
夏の晴れ空を思わせる透き通った青の長髪と、虹を倣った服の装飾。
それらは一見すると、彼女に『優雅』な印象を与えているように思える。
だが、妖忌は不思議と彼女を見ても、そんな『優雅』さや儚さを感じる事ができなかった。
――『化け物』。
雨を斬るのに三〇年、空気を斬るのに五〇年、時を斬るのに二〇〇年。
細愛に対する疑問や迷いは、最初に相対した時にはもう、後は刀を振るって晴らすだけだった。
想像。
あれに勝つ
「――ッ…!」
攻撃しようと考えても。
自分の刀が当たる未来、それを見る事が叶わない。
反撃はもっと無理だ。あの細愛を吹き飛ばした一瞬の挙動、あの膂力を見てしまったせいで、自分の方が
彼女は――比那名居天子は堂々と歩く。
注連縄のついた『要石』を、まるで飼い慣らした動物でも侍らせるかのように周りに浮かべながら、笑っていた。
まるで、冷や汗を隠せない妖忌を、見下しているかのように。
(あいつが来なければ最悪幽々子様が戦いに巻き込まれた……だがそれよりも、何より一番の問題は――)
彼女は敵か、それとも味方か。
「幽々子様、離れて下さい」
「…………」
妖忌は、既に抜刀済みの『楼観剣』の切っ先を突き出す。
実力の一点で考えれば。
今、一番勝率が高いのは幽々子の『死を操る程度の能力』に頼る事だろう。
しかしまだ傷を負っていない妖忌とは違い、幽々子は霊体を傷つけられ、更にはついさっき目覚めたばかり。
これ以上の無理はさせないと、決意を新たにして。
「……、……――」
一歩、斬りこむ為に前へ踏み出した。
その時だった。
「何やってるんですか、総領娘様」
上空から、声。
ただでさえ数多の混乱を解消できていない妖忌に構う事なく、その新しい乱入者は、ふわりと妖忌の目の前に降り立った。
紅白の羽衣を纏い、ピリピリと小さく電気を迸らせる紫髪の少女。
『竜宮の使い』永江衣玖だった。
天子は目を細め。
「何って、こいつが異様にビビってるだけでしょ?」
「そうではなく。何故勝手に
「あー?……まぁ、色々?」
「……はぁ、なるほど?まぁ多分あれは――」
衣玖がブツブツと言った後。
天子は軽く首を横に振って。
「そんな事より衣玖。あんたこそどうしてここに来たのよ?私を追ってきた?もしかして仕事?」
「違いますよ。あなたなんて、どうせ放っておいても問題ないと『上』は判断してます。だから仕事じゃありません」
「へぇ?じゃあ私を心配してくれたの?」
「いいや?」
衣玖は笑って。
「どうせあなたが死ぬ訳ないし、心配するだけ無駄ですよ」
「……それ褒めてんの?」
「別に。むしろ死神様の為にもさっさと死んであげたらいいのでは?とさえ」
「ハッ、やなこった」
天子もまた。
あくどい、過剰に頬を吊り上げた笑みを浮かべ。
「それより、あんた『上』に言われた訳じゃないのならさ、なんで
「え?あー……そういえばそうですね」
「ご丁寧に天狗共と縛りまで結んだって言ってたじゃない。まさか縛りを破る気?」
「いやいや。私が結んだ縛りはあくまでも情報共有と『戦争への参加』だけです。散々やってきた事でしょう?縛りは自他の認識をすり合わせながらも、自分だけに得がある裏道を作るものと」
『……む』と、黙り込む天子を後目に、衣玖は続ける。
「縛りを結ぶ前、龍神様に仕える立場上で云々……と、それっぽい事を言って参戦の強要は防ぎましたよ。縛りを結ぶ前なら、虚偽を交えても
「それに?」
「……
「――ッハハハ!!あんたやっぱ性格悪いわ」
天子は赤い目を細め、愉快そうに笑った。
「それに、私に命令していいのは龍神様だけです。……これで納得はしましたか?」
「えぇ。ならいいわ」
「一応言っておきますけど、総領娘様。この事はどうか内密に」
「はいはい分かってるわよ。その代わり……この後たんまり報酬を貰うんでしょう?私にも少し分けなさい」
「……え~」
「その金で何か食べましょう。接待に使ってる店、連れて行きなさいよ」
「嫌ですよ。だってあなたの胃袋って限界知らずじゃないですか」
小さな吐息を交え。
衣玖は『それに』と付け加えてから苦笑し。
「私があなたと関わるのは、
ふわりと、空に向かって飛翔した。
妖忌は目の前の会話と、二人の事情を呑み込めない顔をしていると、天子は言葉を続ける。
「全く。ならなんで私の所に来たってのよ」
しょうがないと、不快感なく笑う天子。
妖忌には、そんな二人の会話が持つ意味が分からない。
突然この戦場に参加し、強敵と判断した月人をいとも簡単に下せる力も当然。
こちらの事を一切気に掛けることなく、二人の間でしか伝わらない会話を、目の前で一方的に続け、そして別れる。
何もかも、情報が足りない。
何もかもが分からない。
「言っとくけど、私は敵でも何でもないわ」
と、天子は振り返り、言う。
「だから、その矮小な刀をこっちに向けるのはやめなさい」
「……何だと?」
「おーこわ、怒っちゃった?事実を言ってあげただけなんだけど」
「……――」
あからさまなその態度に、妖忌は得体の知れなさを忘れ、激する。
しかし、例えどれだけ怒ろうとも、肉体に宿る『力』の差はどう足掻いても覆せない。
天子もまた、それを妖忌以上に理解しているからこそ、傲慢たる態度を崩さない。
妖忌は問う。
「お前の目的はなんだ?」
「……別に、ただ面白そうな事やってたから、暇つぶしで戦っただけよ」
「暇つぶし。それでお前はあの月人のみを狙ったのか?……馬鹿馬鹿しい正直に言え、本当は何が目的だ?」
「別に」
変わらず、天子は呆れたような声を出し。
「で、話は終わり?言っとくけど。私はあんたみたいな雑魚ボコった所で楽しくないのよ」
「……」
「言ってるでしょ、私は敵でも何でもないって。あんたが私を気に入らないとか、怖いと思おうが
「――――」
「じゃ、また」
背を向け、去っていく天子。
刀を納める訳でも、振るうでもなくくすぶり続ける妖忌だったが、実際それ以上の動きに移れなかった。
何せ、相手の体質は自分の上位互換であり、しかも『技』をねじ伏せる圧倒的な『力』の体現者でもある。
今もこうして、こちらに背を向ける無防備な態度にも、妖忌は冷や汗を止められなかった。
その時。
「――あのっ」
天子の動きが止まった。
その声は妖忌ではないし、当然先ほど姿を消した永江衣玖のものでもない。
未だ謎に満ちた、敵か味方か判断がつかない相手に向かってかける声。
声の出自は妖忌の背後から。
「えっと、その……」
西行寺幽々子の声だった。
「…………」
天子は振り返る。
今までと同じ、まるでこちらを見ていない目。
冷たく、奔放に世に在るかのような。
暴君の如き、赤く暗い目を――。
「……、っ」
『その目』を見て。
妖忌はまるで信じられないようなものを見たかのように、両目を大きく見開いた。
先ほど、自分を有象無象と切り捨てた目。
そこにはまるで、小さく揺れる幼子のような儚い光が宿っていて。
だが、同時に。――妖忌はそれでも、
あの力。
あの存在感。
気味が悪いとも、近づきたくないとすら感じてしまった。
妖忌ですらこうなのだ。戦いに疎く、敵意への『慣れ』がない幽々子はきっと、妖忌以上にそれを思う筈。
だけど、幽々子は。
「妖忌の事、結果的にとはいえ助けてくれたでしょう?だから」
だけど、幽々子はにかんで。
決して嘘偽りのない。
怯えのない、感謝の本音を込めて言った。
「ありがとう」
「……――」
その時、妖忌の目には。
「――いいのよ」
「これでいいの?」
「さぁ?私にも分かりません」
何の気なしに、ドレミー・スイートは言った。
「運命……に限りませんが、物事の『流れ』というのは川のようなものです。無理にそれを変えようとして土壁を作っても、土壁が壊れるか、それとも溢れた水がまた別の川となるかは、せき止めた水を解放してからでないと分からない」
「どうして私じゃなくてあなたの方が詳しいのかしら。……というか」
眉一つ動かすことなく、サグメは宙に浮かぶクッションに身を沈めて。
「それなら、あの天人は何なのよ?あなたの見た『未来』にあれはなかった筈じゃ?」
「いやぁ、私もそう思ってたんですけどねぇ……」
赤いナイトキャップを揺らしながら、ドレミーは思い出す。
全てを捨て去った者。
剥き出しの肉体。
この世で一番縛られたが故の、何物にも縛られぬ自由。
あれこそまさに、天与の力。
「あの月の剣士が世界を断絶するに至るのも、山の四天王がそれの姉に攻め切れないのも、西行妖の被呪者があの荒魂の化身に負けるのも、全部予知はできていたんです。――というか今も見えてるんです。しかしあの天人だけは、
「つまり?」
「はい!ぶっちゃけ私にも何が何だかさっぱ――ぐぇっ」
鞭のように右翼をしならせ、サグメはドレミーの頬をひっぱたいた。
パァン!という軽快な音とは裏腹に、ドレミーの顔の芯をしっかりと狙った一撃は、決して軽いものではなかった。
ドレミーはしくしくと、あざとい擬音を口で奏でてはいるものの、頬を赤く晴らし。
「いてて……まぁ、あれは完全なイレギュラーで、要に見据えるのは危険なのは確か。しかし事態を悪化させる程の存在でもない……とだけ言っておきましょう」
「……イレギュラーなのに?あなたそれ矛盾してない?」
「事実です。実際あの天人が牙を剥いたのは、半人半霊ではなく荒魂の化身だったでしょう?まぁ彼は可哀想ですが」
ドレミーとサグメ、二人の周りを漂うふわふわの綿。
そこには現在の月の光景が映っており。それは月の都近くの乱闘から綿月豊姫と山の四天王の戦い、更には今も膠着状態を続ける綿月依姫と八雲紫……見れない場所はどこにもない。
そんな中ドレミーが見ているのは、つい先ほど話題に上げた『豊かの海』で、そこでは今も瀕死のままの細愛親王がいて。
魂魄妖忌と西行寺幽々子が去り、一人瀕死のまま置いて行かれた彼は、今になってようやく玉兎たちに発見され、その場での集中治療が始まっていた。
彼がこの先立ち直れるかどうか。
ドレミーにとっては夢の世界を通し『未来』を見れば、すぐに分かる事。
だがあえて、ドレミーはそれを見ない事にした。
全てが分かる、好きにできる権限を持つが故の楽しみ。
人間も妖怪も、月人も等しく。
「私が介入するのはここまでですよ」
『何が起こるか分からない』、そんな可能性をあえて残しておく。
「ま、それに結果オーライってやつですし。後は好みの『未来』に向かって、ちょちょいとお膳立てを続ければ……」
『夢』は個々のものではなく、生物の無意識が繋がった世界。
強い祈りや念。
それらから読み取れるのは過去や現在だけでなく、未来も含まれている。
夢の支配者たるドレミーにとって、それらの未来を読み解き、『夢』から干渉する事は赤子の手をひねる様に容易く。
八雲紫の敗北から、全ては順調に事が進んでいた。
当然、いくら生物の無意識に干渉できるドレミーとはいえ、全ての生物を思い通りに動かすなんて事は不可能。
一人や二人、一匹や二匹程度なら問題はないが、数百から数千もの命が蔓延る月面戦争では、流石のドレミーも手が足りない。
だから――『舌禍』を体現する、この少女の力を借りたのだ。
ドレミー・スイートにとって気の置けない『友達』。
彼女なら、自分の悩みの種の一つである■■■も、必ず――。
と、稀神サグメは欠伸混じりに。
「私はもう仕事したから、
「えぇ〜……私あの
「いいからさっさと行く。
「…………嫌だぁ」
混沌極まる戦況とは裏腹に、夢の世界ではのほほんとした空気が満ちていた。
綿月豊姫は苛立っていた。
渦巻きのような軌道を描いて放たれた炎を躱し、空中に浮遊する。
正確には、空中に浮かぶ正六面体の箱の上に乗っている形だが、とにかく。
豊姫は空中に浮かびながら、『乱入者』に絶対零度の視線を向けた。
地上と同じように、月にも重力はある。
だが豊姫が睨みつける『乱入者』は、豊姫と違って空中に浮かぶ力を持っていないらしい。
その場で地団駄を踏み、悔しそうに顔を歪ませている。
「だークソッ、当たると思ったのになぁ」
「…………」
まるで遊んでいるような態度。
月への侵攻。それにより穢れが流布される事の悪影響を懸念する豊姫にとって、その態度はあまりにも目に余る。
ここは戦場。
相手は自分たちの安寧を破壊しようとする敵。
それどころか、穢れを持ち込む事により寿命が誕生する事は即ち、『月人』の歴史と生命が終わる事を意味する。
腹ただしいその態度。
何より『乱入者』は、
「巫山戯るのも大概にしなさい」
豊姫は一言。
そして、右手の扇子を振るおうと腕を上げて、正六面体の足場から飛び降りる。
憐憫の目も。
笑みも浮かべず、ただ無機質な表情のまま。
豊姫は『乱入者』に向けて扇子を、月の最新兵器を振るった。
一見するとただの扇子。
だからこそ、その無害そうな見た目に騙されて、『乱入者』は反応が遅れる。
互いの距離は一〇メートル近くあるが、そんなものは関係ない。
見た目は数十センチ程度の扇子。しかしそこに内包されているのは、月の最先端の科学。
『兵器』は迷わない。
それがもたらす破壊力――
ギュウンッ!と、分厚い鉄板がねじ切られるかのような音が聞こえて。
風が大気を裂き、裂かれた大気が更に暴風として荒れ狂い、それすらも押し潰す、扇子の放つ浄化の風が顕現する。
変化は一瞬。
扇子自体に火力を調整する機能が備わっているのと、豊姫が能力で余分な風を『転送』する事で、被害も最低限。
ドチュ、と水風船が破裂したような音と共に。
間延びした声。
「あーあ」
それは『乱入者』のもの。
右肩から右腕にかけて消失。
ねじ切られ、浄化された断面からは、どろりと粘性の高い血が垂れ流しになっている。
ただ刃が肉に入り込むのとは違う。
神経をねじ切り、肉を焼きながら、骨を粉砕する三重の痛み。
それを味わっても尚、その『乱入者』は顔色を涼しくしていて。
「終わりよ」
それを気味悪く思いながら。
豊姫は念入りに止めを刺すために、もう一度扇子を振り上げ――。
ようとする前に、豊姫の顔を『
その光景を誰が予想できようか。
炎々と輝く右腕は、一瞬で豊姫の攻撃を喰らう前の、健全な肉体そのものとなり襲い掛かった。
「ッ――!?」
ガガガッ!!と。豊姫は地面に後頭部を強く打ち付けられ。
そのまま数メートル、地面に頭を押さえつけられながら引きずり回され、投げられる。
しかも、それでいて『乱入者』の猛攻は止まらずに。
今も空中できりもみ回転を続ける豊姫を追いかける。
豊姫は歯軋りした。
(再生速度が尋常じゃない!その一点のみ、あの
破壊力に割いた攻撃は相性が悪い。
相手の体躯、そして戦闘スタイルから逆算して、今最も効果がある武器。
これらを一瞬の思考で纏め、豊姫は叫ぶ。
「レイセン!『
豊姫は新たに呼び出した三角柱型の兵器を展開。
それぞれが赤、青、黄の光を纏い、頂点からレーザーを放つ。
『乱入者』はそれを見ても、疾駆の姿勢を崩さない。
獰猛な笑みを浮かべたまま。
「なっ…!?」
扇子ほどの範囲がない代わりに、穿った場所を迅速に浄化するレーザーを受け、脳髄が宙に散る。
しかし、『乱入者』は鼻から上が吹き飛びながらも、口元を悪魔的に歪ませながら、決して止まらない。
みるみるうちに欠けた肉片は再生し、炎を纏いながら元の形に回帰する。
もしや痛覚がないのか?
あれは、なんだ?
背筋に冷たいものが走るのを自覚しながらも、豊姫は叫ぶ。
「答えろ!『乱入者』――!お前は人か、それとも化け物か!」
人間と化け物。
月の『最強』綿月豊姫と対峙するは――。
「いいね、燃えてきた」
――『不死身』藤原妹紅。
視点は切り替わり、異空間。
『穢れ』の気配が濃くなった事を、ある少女が察知する。
「…………」
「はぁ――はっ、ぐ………」
綿月依姫は、ようやく限界が訪れた異空間、その綻びの下に立っていた。
必死の抵抗も虚しく。異空間の主導権はもう既に、豊姫が半分以上を握っている。
細かいガラスの破片のようになった、数百もの『光』は、八雲紫の『スキマ』の残滓。
一秒過ぎる度、それが剥がれ落ちていく量は多くなっていき。
紫の顔から生気が薄れ、呼吸も荒くなっていく。
それを見る依姫の顔に、表情はない。
今、依姫が真に興味を向ける先は異空間の外。
そこから感じられる、あまりにも重厚な気配。
依姫はそれに覚えがあった。
視界に入れるのも、肌で感じるのも悍ましい莫大な瘴気の中に隠れる神力に。
そこにはかつて、まだ未熟だった頃の自分を折り、成長のきっかけとなったあの神がいる事を、薄々察した。
八坂神奈子の気配が、そこにある。
「……――」
綿月依姫にとって、八雲紫はもう眼中にない。
山の四天王と名乗った鬼二匹も。
それどころか、自分より前の『最強』であった細愛親王でも届かない。
満たせない、そんな強者の飢えを満たせる存在。
それが、今――。
「普通なら、新たな脅威を前に警戒をするべきなのでしょうけど」
口端が吊り上がる。
先ほどの、不利の状況から脱する際に会得した世界を断つ斬撃は当然。
その後、僅かに疲弊した身体と精神の両方を癒せる時間と、鍛錬を挟む余地。
「………………いい機会、か」
依姫は分かる。
今、感じた気配の主は間違いなく、
このままでは、勝負が成立するのは一瞬。
理屈ではなく、本能でそう理解できるのだ。
鍛え上げた技や肉体は充分ある。
後は、壁を超える為のきっかけを――。
「すみません、お姉様」
依姫は、今手に持っていた刀を地面に投げ捨て。
代わりに自分の肉体、そこに刻まれた能力に目を向ける。
体内を領域とする『縛り』による、一時的な効力の増強。
強くなる為に、
「約束、破ります」
――『神下ろし』の力が
「――極ノ番」
呪術廻戦とのクロスオーバーの癖に140話近く連載しての大トリが極ノ番。
嘘みたいだろ、現実なんだぜこれ。
続きは明後日です。
投稿時間は何時がいいか
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