【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
夏くらいに完結いけるかぁ…と思ったらなんか春のうちに終えれそうでビビってます
それが、醜い八つ当たりなのはわかってた。
ぶつけるべき相手ではないことも、そして何の意味もないことも。
それでも、どう頑張っても、どうしようもないその衝動を、行動を抑えることができなかった。
産土神と土着神。
似ているだけで実際は、信仰の有無によってその後、どの程度
ただ神というだけで、ただそれだけで、自分は彼女に当たったのだ。
なんて弱くて、醜くて情けない。
「――諏訪子ッ!」
てゐの悲痛な叫びが響く。
妖力を込めていないとはいえ、少なくとも萃香はあの時、鬼の膂力に任せて全力の一撃をぶつけた。
あまりにも咄嗟の出来事。そのせいで神力による防御すら叶わずに、諏訪子には今、凄まじい激痛が走っている筈であった。
空中できりもみ回転をしながら、しかしなんとか着地に成功した彼女の鼻、そして口からは大量の血液が流れ落ちている。
初めて見せる、出血と痛みに喘ぐ彼女の息遣いに、てゐは喉を鳴らして顔を歪める。
「っおい…!」
山の四天王に、鬼の頂点である萃香に臆することなく、てゐは怒りを込めた視線を向ける。
そうだ、それが当然の反応だと、萃香はそう思う。
てゐからすれば、諏訪子からすれば。萃香が過去に経験した物語など、身の上話など知ったことではない。
いきなり声をかけられ、そして勝手に因縁をつけられ、こうして殴られた。
反撃だってするだろう、対話のための問答を試みようともするだろう。
いきなりだ、卑怯だ、何を言われようとも構わない。
元より自分は裏切り者、醜い嘘つきの軟弱者だ。萃香は諏訪子がこれからするであろう抵抗も、反撃も受け入れるつもりだった。
なのに。
「…おい」
諏訪子は何も言わない。
痛みで苦しむ素振りすら見せず、彼女は静かに萃香を見た。
「…なんだよ、その目」
痛いだろう。間違いなく顔面の芯を捉えたから。
苦しいだろう。防御できなかったせいで内臓も痛んだ筈だ。
憎いだろう。突然理由もなく殴られたから。
それなのに、何故――
「なんで、やり返してこない」
「………」
「…っ!」
やめろ。
汚く罵れ。私を否定しろ。
そんな目で、そんな真っすぐに見透かした目で――
「――んとか言えよ!」
まるで骨が砕けたかのような、ガンッ!という不快感の強い音が一つ。
再び拳を握った萃香。そしてそれを、握った指で顔面を削るように、叩き潰すように振り下ろす。
再び炸裂した攻撃。
鬼の全力だ。
相手を壊すものじゃない。より多くの痛みを与える為の、邪道の技だ。
その衝撃を受け流すことも、防ぐこともせずに、彼女は地面に叩きつけられ、そして身体を埋めた。
ほら、また倒れ――
「…おい」
ぐんっ!と急加速し、諏訪子は陥没した地面、そこから手を使わずに起き上がる。
赤紫に変色した顔面と、より苦しい筈の容態を相手に悟らせない、一切の震えがない身体。
何より、その瞳だった。
鬼である自分だからわかる、嫌という程に理解してしまう。
これだけ痛めつけても。
こんな醜い八つ当たりをしても。
彼女は、自分を恨んでなんか――
「……なんで」
洩矢諏訪子。神でありながら、土着神でありながら人間の魂を持つ
生まれた時点で、棚から牡丹餅である一定の力を得た彼女は、これまで様々な戦いとも呼べぬ作業を繰り返してきた。
かつて敵対していた百足も、地底での入道も、そして大妖怪である筈の大百足でさえも。
怪我もした、それなりに緊張もした。しかし真の意味で死の恐怖を、身の毛がよだつ経験を味わったことがない。
本気で力を振るえば、技を見せれば全てが解決したから、いつしか日常の選択肢にも、力を見せびらかすという行為が出しゃばる程に。
しかし今は違う。
これは、今までのとは違う。
戦いでもない、力で解決するものではない。
避けもしない。反撃もしない。
萃香が今、自分自身に向けている怒りを、受け止める為に必要なのは、これだ。
「……なんで」
「私さ。まだ短いけど、色んなのと話したんだ」
諏訪子とて、防御すらせずに鬼の攻撃を耐えられるほど頑丈ではない。
痛みも感じるし苦しみもそうだ。何より人間だった頃の記憶のせいで、人一倍痛みには過敏でもある。
それでも、ただ彼女は黙って八つ当たりを受け止め、そして一切の負の感情を湧かせなかったのは――
「色んなやつがいた。内心では人間を見下して、口先だけで仲良くしようとするやつ」
「……」
「本当は好きなのに、妖怪だから、歳が違うからって理由で、素直になれない人間も妖怪もたくさんいた」
「…なんで」
「もし君が、私をただ痛めつけたいって理由で殴るようなやつなら…」
何故そこまで、その理由は単純明快――
「そんな顔、しないと思うけどな」
「…っ」
その言葉で、やっと自分がどのような顔をしていたのかに気づけたようだった。
いつの間にか、取り残されたのは萃香のみとなっていた。
てゐもすぐ、拳を振り抜いた後の萃香の、泣きそうなほど苦痛で歪んだ顔を見て気づいた。
今までに見てきたもの、幸運にあやかろうとしてきた人間のそれと、同じだったから。
「…最低な八つ当たりだ」
「そっか」
「種族も、名前も、見た目も違うのに。違うとわかっていて」
「いいんだよ、別に。どうしようもなかったんでしょ?それってまるで」
まるで、その矛盾に満ちた心と身体は。
「人間みたいでさ、素敵じゃない?」
「……ははっ」
――まるで人間のような。
その言葉に、今は救われたような気がした。
「それじゃあメリー、情報共有をしよう」
『えぇ』
丑三つ時、月の強い輝きと虫の鳴き声が存在感を放つ時。
諏訪子の右にてゐ、てゐの右に萃香の三人が、中央に置かれた小さな祟り神を囲って覗き込む。
現代社会でよく慣れ親しんだ、プロジェクターに近い構造のそれが、空中である景色を映し出していた。
それが見せるのは、欠伸を噛み殺しながら大量の書物を携えたマエリベリーであり――
「出所不明の噂である八岐大蛇の有無、それに関する情報からだね」
『同感よ、じゃあ先に諏訪子の方から聞かせて?』
「了解」
諏訪子の旅の目的である、八岐大蛇。
神代に討伐され、そして一切の情報もなく、神話としてその最後のみが語られ続けてきたそれ。
既に死んだはずのそれを、どうして今になって探し出そうと思ったのか。
改めて、今からそれを整理しよう。
諏訪子はまず、天弓千亦と初めて出会った時に八坂神奈子が今も、どこかで封印されていることを知った。
封印というのは高度な結界術であり、そして数万数億もの効力と事前準備による足し引きを繰り返してようやく、大百足のと同じような、高度な結界術が生まれる。
そうなると、八坂神奈子が一時的な眠りのため、未来へ渡るための簡易的な用途とはいえ、それこそ国宝レベルの"資料"が必要だ。
どれほど優れた術者であろうと、それこそ神奈子のような神であろうと、俗に言う
必ず残っている筈だ。
必ず痕跡がある筈だ。
誰かが残した、神奈子自身も教材として使った、その封印の情報が。
いつ神奈子が目覚めるのかは、あの市場の神である天弓千亦ですらも知らない。
つまり
そして何より、諏訪子がこの世界で成すべきこともある。
それは史実とは違い、八坂神奈子に勝利すること。
この世界は既に、諏訪子がかつて知る日本の歴史のそれとは違い、細かな相違点がある。つまりもし史実通り諏訪子が負けたとして、その後も史実通りに生きていられるかどうかはわからない。
だが千亦の言う通り、神奈子が封印されているとして、対策はある。
諏訪子はするつもりはないが、一つは再封印。
二度と彼女を起こさない。それこそ科学が発展し、妖怪たちの生きる場所が奪われるような時代まで待ってから、そして初めて神奈子の封印を解き、弱体化した彼女を相手にする。
これには何個かの危惧すべき点があり、それこそ神霊である神奈子は弱体化こそすれ、その存在が消えることはない。となると八百万の神である諏訪子の方が先に、信仰が途絶え寿命で死ぬ可能性がある。
勿論、諏訪子はそんな理由とは別に、再封印するつもりは微塵もない。
二つ目は、というよりほぼ確定しているのが、目覚めへの対策。
大百足がいい例だ。たとえ人間が補修を繰り返そうと、どれほど強力な封印であろうと、必ず封印には劣化という概念がある。
つまり神奈子が目覚めるのを承知で、それこそ目覚めてもいいように準備すること。
ただ突然目が覚めて、起きたばかりの彼女を相手にする…という手段もある。
だがこれは戦争、それこそ神による国奪いのものとなれば、いくら諏訪子が祟り神を大量に所持していようと、焼け石に水だ。
逆に考え、神奈子が目覚める時間を知っていればどうか。
封印の結界、それの解析と予測で神奈子の目覚めを予知し、それに備えて諏訪子自身がレベリング…つまりは地力を底上げし、軍隊も用意する。
勝率を極限にまで引き上げ、そして神奈子と戦い勝利し、歴史を変える。
それのため、諏訪子は藻搔き続けることを選んだのだ。
マエリベリーが言う。
『まず噂の真偽だけど…』
「八岐大蛇が今も生きてる…ってやつだね、それで?」
『残念ながら、噂の
「噂が独り歩きしてるのか、それじゃあ最初に言い出したやつが誰かもわからないし、それに…」
『
根も葉もない噂だ。諏訪子はそう思う。
遥か昔に討伐され、そして既に骨も残らぬものである筈の、その伝説の龍。
失笑するにも値しない、くだらない妄言だ。
しかしもし、それが本当だと仮定した場合。
大百足が生まれ、理由はどうあれ天狗たちから大量の畏怖を吸収し、発展途中とはいえ国ができた。
その後、かの神代の龍王が降臨するとすれば、まるで――
「やっぱり、
『……』
諏訪子の呟いた言葉に、マエリベリーは沈黙で是と答えた。
あまりにも、事が行き過ぎているように思える。
それこそかつて、諏訪子がヘカーティアと出会った地獄での戦闘も含めれば、全てが丁度いいのだ。
圧勝と成長。強化と善戦。そして更なる成長と新たな敵――
「どれも偶然?まさか……だとすれば、私はあまりにも強くなるのに幸運すぎる」
『誰かが随時、その時の諏訪子に合った敵を用意している…?でもそれじゃあ』
「うん、まるで」
まるで自分を
「――神奈子には側近とか、それこそ今でも生きてる古参とかはいないの?」
その問いに答えられる者は、この場に一人しかいない。
諏訪子が視線を向ける先、胡坐をかいて、顎を搔きながら沈黙を保ち続けていた、あの時代の生き証人。
八坂神奈子の作った国、今は歴史にすら残らず、自然消失してしまった大和の国、それを見た唯一の者。
因幡の白兎。ダイコクの祝福を受けた幸運の兎、因幡てゐ。
「少なくとも、私は神奈子の傍に誰かが付きっ切りでいたのを見た覚えがない。山の四天王…星熊勇儀や茨木華扇も同じだ、今はどこにいるのかは知らないけどね」
「なるほど」
「…でも、一人……というか一匹だけ、もしそれができるとするなら……」
てゐの錆びついた記憶、あの列島制覇の夜の記録が。
脳の、魂の本棚から引き出されていき、そしてもしもの、可能性の答えを導き出す。
同格とは言わずとも、間違いなく神奈子と釣り合いがとれ、そして山の四天王と同じく消息不明。
神奈子の味方である存在、それは――
「
『八咫烏…?でもあれがいた時代は……いや、今更ね』
「あいつは神奈子に負けた身だ。もし何かを命令されていれば……」
八咫烏。
それに関する記述は古事記や日本書紀と様々だ。しかし現代では多くの人間が、その神の容姿を三本足の烏であることを強くイメージするであろう。
その理由。八咫烏が三本足であるという情報は、現代に残る文献では平安時代のものであり、その当時中国や朝鮮の伝承にあった
しかしてゐの喋った内容からして、どうやら八咫烏も既にこの古代の地に、それこそ最初から三本足で顕現しているようだ。
諏訪子は問う。
「え、じゃあ八咫烏がわざわざ八岐大蛇の噂流したの?何のために?」
「さぁ?私はあいつと喋ったことも、会ったこともないから知らん。だから見た目も、記録で残る程度の事しか知らないのさ」
「うーん……」
しかしそうなると、出来すぎている…という諏訪子の直感にも理由はできる。
だが理由ができるのと同時に、無視できないある問題が生まれるのも確か。
八咫烏が仮に、天狗の山に混じるとしてだ。
あの八咫烏が、天狗たちに化けて諏訪子一行を裏で操った?
諏訪子は首を左右に振って。
「本気で擬態した私でもバレるんだよ?絶対気づかれるって」
「天狗がグルになって…はないな。もしそうなら宴会であんな馬鹿な真似はしない」
「だよねぇ」
「となるとあいつも一時的に眠ってるか、それとも雲の上でぼーっとしてるか…」
「案外後者だったりして」
妖怪や神が人に化ける場合、どれほど優れた変化術を持とうとも覆せない欠点が一つだけ存在する。
それこそが霊力であり。生まれついての純粋な人間しか、人外には決して操ることは叶わない力の有無がある。
それは諏訪子もだが、神奈子や八咫烏も例外ではなく、彼らは決して人間には、そして何より妖怪に化けることは不可能。
仮に妖力を真似できたとしても、種族として魂に刻まれた情報、それが味方の有無、変化した敵であるかを簡単に見破ることもできる。
マエリベリーがおずおずと。
『…?ねぇそれより…』
「ん~?」
『かなり話が脱線したから…単刀直入に言うわ』
マエリベリーは、まるで焦げたかのように思える、表紙が爛れ、汚れた小さな本を取り出して開く。
その中に書かれた内容を、諏訪子たちにも見えるようにして。
『大百足のはまだ見つかってない。でも代わりに、八岐大蛇の討伐…そして
「……マジ?」
驚愕。
諏訪子やてゐもだが、一番空気を変えたのは萃香だ。
先ほどからずっと、静かにマエリベリーの話を聞いていた彼女は、その瞬間だけだが、凄まじい圧を体外に漏らした。
それにてゐが気づくも、マエリベリーは咳を一つ零してから。
『こほん、とにかく…私が言いたいことはこう。八岐大蛇は間違いなく討伐された。でも完全には死んでいない』
「つまりあれ?理由は知らないけど、魂だけが何とか無事だったからってこと?でも八百万の神は…」
『諏訪子の疑問も尤もね、でもそれが違うのは……あなたならわかるんじゃないかしら?てゐ』
「…ホント、最悪の予想ばっか当たるね」
『あの宴会で、あなたが教えてくれたわよね』
てゐがあの夜零した、ある話。
それはかつて、八岐大蛇が討伐される瞬間、彼が八百万の神ではなく、死の直前に神霊に成りかけたというもの。
神霊は八百万の神と違い、信仰がなくとも弱体化するだけ、つまり真に死ぬことはない。
だがありえない。土着神や産土神、そして神霊という同じ神の括りではあるが、その生態は決して同じものではない。
大百足が死に、その呪いで姫虫百々世が誕生したのと同じように、彼もまた呪いで来世に託したのか――
否。
八百万の神が神霊に、それも
彼の目的は、八岐大蛇が目指す先、それは――
『あくまでも討伐されたって扱いだから…この本には"八岐大蛇は死んだ"とだけ書かれていたわ。そして、ある場所を禁足地にするとも』
「……禁足地ねぇ、まさか残留思念とか瘴気とか…そういうのじゃないよね?」
『正解よ。本当は死んでないって言ってるようなものだし、誤魔化し方が下手で笑うわよね、それより…』
続けてマエリベリーが語ったのは、その討伐記録。
その中に小さく書かれた、討伐される寸前までに犠牲となった、数多の人間たち。
マエリベリーが続けて。
『何かが起こり、八岐大蛇は神霊に成りかけた…そして彼が死ぬ前に、ある事件があったわ』
「事件?何があったのさ」
『人が死んだのよ、
「…もしかして」
『最後の犠牲者になる予定だったのはクシナダ…ここまで来れば私でもわかるわ』
その地はかつて、妖怪が一匹もいない平和そのものであったという。
そしてある夫婦は、八人の娘と幸せに暮らし、その安寧を貪っていた。
しかしその束の間の平和も、その化け物が来たことで終わってしまう。
スサノオによって終わった悲劇。しかし間違いなく、彼の化け物は人を喰らっていたのだ。
『正直、見ていて気分のいいものじゃないわ。でもおかげで彼が死んでない理由も知れた』
「…私も"もしも"…って、一回だけ考えたことはあるんだ」
『……そう、じゃあ種明かしね』
マエリベリーが、言う。
『八岐大蛇の目的は一つ、
受肉。
言葉の意味も、先ほどの話からそれが、この場合はどのような言葉を意味することも。諏訪子はしっかりと理解していた。
神霊とは元より、個か群かの違いこそあれ、神となる前は
つまり魂を喰らうのだ。人間を殺し、神霊の資格を得る為の最悪の行為。
『…でも、神霊には成ってない、あくまでも成りかけだってのは』
「言わなくてもわかるよ、クシナダを食えなかったから…だね」
『………』
最悪な行為だ、忌むべきものだ。
諏訪子自身も、一度いつかは必ず訪れる"もしも"に怯えたことはある。
だが死の恐怖から逃げる為とはいえ、人を積極的に喰らおうなどとは考えない。
そんな生理的嫌悪を含めた、諏訪子の吐き捨てる言葉に、マエリベリーは。
『違う、そうじゃない』
一息、喉を震わせながら。
『ただ人を喰らうのではなく、ある特定の部位が必要なの』
「…部位」
『それには最低でも六回…いや、八岐大蛇は七回…それをした』
「…七?でもさっき…」
『聞いて。純粋な八百万の神とは違って、八岐大蛇は妖怪の王でもある。そして生贄になったのはクシナダ含め、純粋な人間ではない』
その身に受けた呪いと瘴気は、諏訪子の純粋な恐怖とも違う、もっと爛れて醜いもの。
マエリベリーが言うに、諏訪子のような、純粋な八百万の神が受肉をしようと思えば、わざわざ分割してやる必要はない。
だが八岐大蛇は神であると同時に妖怪だ。その目的を果たすには、ある条件があったのだという。
『最初は嬉々として彼女たちを丸呑みにしたでしょうね、でも肝心の変化は訪れなかった』
「メリー」
『彼は悩んだわ。どうすれば神霊になれるのか、どうすれば高天原の神々のように、自分も滅びない魂を持てるのか…!』
マエリベリーの声は、指は震えていた。
その声色が、そして表情が、言葉を紡ぐ度に。
「メリー」
『彼が選んだのは…人間の身体という器に、一度で自分を入れるのではなく、自分の魂も、何より器の数を増やすことだった…!』
「メリー…!」
『そのために、そのためだけに…こんな惨いことを…!』
「……何があったの」
妖怪の受肉、出来損ないの八百万の神が、神霊への進化への片道切符を掴む手段。
嫌な予感はした。それでも、心のどこかで軽く見ていたのも確かだった。
今までも同じように、犠牲者を出さずになんとかできると、そう――
『二人目以降、八岐大蛇が食らった女の子は、ある場所を残して
八岐大蛇は今も生きている。
どこかでひっそりと、表に出てこないだけで確かにいる。
かつてできなかった、到達できなかった頂へ至るために――
八岐大蛇の記録、その中の被害者の死体に関する記述。
マエリベリーが読み上げたそれは、てゐも顔を顰め、諏訪子ですら、気分が沈むものであった。
最初に食われた少女は、骨すら残さずに消化された。
二人目の少女は、右腕以外がぐちゃぐちゃにされた、醜い肉塊として帰って来た。
三人目は左足と内臓の一部が戻ってこなかった。
四人目は両目が抉られていた。残りの死体は遠くの地で妖怪に貪り食われた。
五人目は――
四人目は両目が抉られていた。
次回からテンポよく一気に駆け出します、あとついでに感想もお願いします
突然の作者のスマホ内ネタ帳を投下
霊夢 〇〇〇〇万〇〇
依姫 〇籬〇〇
萃香 〇〇〇愛〇
勇儀 五〇〇〇〇
華扇 〇〇堕〇
何とは言いませんが、全容はいつかをお楽しみに
呪術廻戦はどこまで知ってる?
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最新の単行本(人外魔境)まで
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アニメの内容(渋谷事変)まで
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あまり知らない(領域展開は知ってる)
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全部わかる