【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
ほんの小さな違和感だった。
最初は本当に、気にも留めない小さなものだった。
虹龍洞はその構造、山の上部にあるという特徴から、外の変化にはかなり敏感な場所である。
雨が降りそうな時には百々世は当然、
肌が焦げそうな晴天の日は、それこそ喉が渇いて仕方がないくらいに、空気は乾いて不快感が凄まじい。
幸いなのは唯一、湿度と違って変わらないのは洞窟内の温度ということだろうか。
虹龍洞とは一種の生物。人間が太陽の熱に苦しみ、夜の冷たさに怯えるのと同じ、虹龍洞は生物そのもの。
その変化の数は計り知れず、それこそ両手の指を使っても数えきれないくらいだ。
しかし、今。
今日の虹龍洞の変化は劇的なものであった。
穏やかに呼吸を続けていた虹龍洞が、小さな違和感のすぐ後、突如爆発するように躍動した。
「な、なに…?」
洞窟が怯えている。
まるで恐怖に泣き叫ぶかのように、洞窟内に風が吹く。
ギラギラと輝く数多の鉱石たちがたちまち、その"何か"を感じ取ってからというもの、時間経過で放つ光の量が増えていく。
まるで危険信号を発するかのように、洞窟内に響く不協和音、岩が軋み、鳴くような音。
生き物が何かに怯えるような、身体を震わすようなその現象。
あまりにも突然。起こったその現象に龍は尻餅をついて怯え――
「ぐっ…ぅ…!」
声が聞こえた。
自分のものではない、別の誰かが苦しみ喘ぐ声。
それが誰の悲鳴か、龍はすぐに理解した。
すぐだった。
まるで条件反射のように、龍は彼女に向かって走り出した。
今も洞窟は揺れている。"何か"の気配は今もある、言い表せない焦燥が胸中で暴れている。
だがそんなことが、頭から一切消えるくらいの衝撃が、龍の身体を突き動かした。
「ッ百々世!おい!しっかりしろ!」
「ぐぅ…ううっ…」
「おい!しっか、り…っ!?」
そして龍もまた、突如襲い掛かって来た頭痛に顔を歪めた。
頭が割れそうだった。
まるで陳腐な言葉の表現だったが、突然苦しみだした百々世と同じく、自分にも突如襲い掛かってきたそれ。
理由は。
原因は――
脳を直接食い破られるかのようなそれに、龍は百々世を抱えながら何とか歩き出す。
今までの様子とは一変して、百々世の表情には一切の余裕がない。
そして時折、彼女の身体から溢れ出す――瘴気。
「ぐっ…ぅ…う…!」
頭が砕けたかのようだった。
百々世の身体から溢れる瘴気を少しだけ、本当に少しだけ吸ってしまっただけで、ただでさえ辛かった痛みが更に、数段階上のものへ変化した。
足が止まり、喉元までせり上がってきた胃液を飲み込んで。
再び歩く。
「おい…俺は置いていけ…」
「クソッ…一体何が……」
龍は、百々世の言葉を無視した。
「ッおい!お前じゃこの瘴気は…」
「聞こえないな!悪いが何も聞こえない!」
「……馬鹿」
できるだけ呼吸を抑え、龍はようやく目的の場所に着いた。
長い洞窟をくぐり抜け、目に映るのは以前と変わらない、美しい山の景色。
――その筈だ。
「…………おい、あれは…」
――あれはなんだ?
山も、集落も、今も発展を続ける国も、以前と同じ美しい景色だ。
逢魔が時。半分ほど沈む太陽を背に。
国を見ているそれは。
山、国の外殻に位置する、あの大量の肉塊は――
それは、あまりにも異質だった。
かつての大百足退治とは違う景色が、地獄絵図が。
「何なんだ…一体…ッ」
鬼が、いる。
かつて天狗たちを下僕にしていた、暴虐の化身。
千にも達する鬼の軍団が、国に向かって行進している最中だった。
鬼が座っている。
天魔の屋敷に。
天魔の為だけに用意された玉座に、一人。
かつて山の大将として降臨し、そして天魔が同族を連れて逃げるように、去った後に神奈子によって統治されていた筈の鬼。
あの頃の恐怖も薄れ、大体の天狗たちが鬼を忘れていたという頃合いを、まるで狙ったかのように彼女は現れた。
かつて天狗を下僕とし、好き放題に暴れ、気に食わなければ、暇になれば玩具感覚で殴り殺す、そんな暴虐の化身が。
今になって、そしてその大将すらも、こうして現れた。
――何故今になって。
天魔はわからない。
それはきっと、背後に立つ二名の大天狗も同じだろう。
立ち姿こそ堂々としているが、天魔は彼らが今も、鬼に対し忘れられない恐怖を植え付けられている事を知っている。
内心で怯える大天狗を手で制止し、その怯えを悟られないようにしてから、天魔は一歩前へ踏み出した。
――いや、今だからこそか。
だがしかし、外れて欲しい直感が今回ばかりは、どうしようもなく正しいのだと、目の前で座る鬼が視線でそう答えたのだ。
天狗の頂点たる天魔、その屋敷の中だというのに、彼女らはまるで自室のように占拠している。
本来は天狗の中でも限られた、選ばれた者しか入れない屋敷だというのに、天魔の権力を象徴する座だというのに、彼女は我が物顔でそこにいる。
空気が重い。
存在感が違う。天魔にも匹敵する圧倒的な実力と、そして決して薄れることのない返り血が染み込んだ暴虐の証。
山の四天王――茨木華扇は本来、天魔が座る場所である筈のそこを、堂々と占拠し、笑っていた。
「よぉ天魔。恥知らずの卑怯者」
かつての大将を前にしても、相も変わらず威風堂々とした態度を崩さない。
天魔は華扇の挑発を聞き流し、呆れたように息を吐いた。
「何故あなたがここに?」
「ハッ、私たちから逃げるように住居を変えて、お山の大将をやってるお前が言うのか?」
「私は何故、ここにいるのかと聞いたのですが」
「焦んなよ、今話してやる」
軽蔑。
侮辱。
そのどれもに誇張した表現はなく、嘘すらない文字通り本心の言葉。
華扇は本気で、そして憎むわけでも嫌うでもなく、純粋に天魔を、天狗を見下して笑っているのだ。
自分よりも劣る者だと、取るに足らない下僕だと。
天狗そのものを下に見た発言に、天魔は勿論大天狗たちですら、それに反抗することができない。
そして、言う。
「人間を殺す」
華扇はその見た目通り、凛とした声で何でもないように告げた。
その言葉を聞き、天魔の背後に立っていた大天狗も、敵意を露わにする。
人間であれば即失神するような、濃密な敵意と殺意によって充満する小さな部屋の中で。
華扇は変わらず、続けた。
「この国の人間を殺す」
「…………今何と」
「人間を殺す。続けて言おう、
一字一句先ほどと同じ事を、そして更に装飾を加えた悪辣な言葉を華扇は吐く。
大天狗が思わず息を呑み、天魔もまた一瞬だけ、眉を動かし反応する。
華扇は見下すような顔をして、そして明るく笑ってから。
「邪魔が入るだろうな。だからお前も手伝え」
告げた。
命令だった。
決して断りなど許さない、絶対的な存在であった。
「……我々に、我ら天狗一同に、洩矢神を裏切れと」
「知らん。誰だそれは」
天魔の代わりに問うたのは大天狗。
それに対し華扇は知らんと、興味なさげに酒を飲みながら。
天魔が諏訪子の為に用意した、極上の味を誇る、しかし酔わないように度数を調整した贈り物が。
「まっず」
盃が砕ける音がする。
華扇はそれを、投げ捨てた後の残骸に唾を吐いた。
そしてすぐ、苛立ちを交えた声で。
「八坂神奈子が復活した。後に一匹余すことなく全ての鬼が…それこそ過去と全く同じ、塵殺を禁じて飼い慣らされるだろうよ」
「…………」
「気に食わん。だからあいつよりも先に殺す。あいつが私たちを邪魔するよりも、人を一人助ける前に二人殺す。三人でも四人でも、とにかく殺す」
「…………」
「邪魔するやつは皆殺す。肉を裂き、骨を砕き。その全てを肴にして、鬼の華たる蹂躙を再び取り戻す」
「……」
「ちなみにだが、邪魔するやつは殺す…というのは」
華扇は僅かに身体を動かす。
だがそれだけで、見上げる程の巨山が動き、自分を見下ろしているかのような印象を感じた。
「天魔。お前を含めた天狗全員もだぞ?」
屋敷のあちこちから、何かが破壊されたような音が聞こえてくる。
華扇の殺意と狂気に染まった瞳が、天魔を射抜き動きを封じる。
そうしてあっという間に、動けない天魔を囲うように数人の鬼が現れた。
「…洩矢神が動きますぞ」
「知らん、ならそいつも殺す」
「後悔しますぞ」
「餓鬼が、くどいんだよ」
今度こそ、華扇は本気で凄んでみせた。
今までのとは毛色が違う、本気の苛立ちと手が出る直前の、鬼の暴力性が爆発しそうな気配。
これ以上の問答はいらないと。
早く結論を出せと言わんばかりに、華扇は妖力を解放し、静かに答えを待つ。
再び選択を迫られた天魔。しかし答えは既に決まっている。
ゆっくりと息を吐き、強張る身体を少しずつほぐして。
「……そうですね」
軽く、手を握りしめて。
躊躇う要素は無い。
もはや、これまで。
今までに味わった屈辱も、そして歴史も。全て。
最悪の決断の時――が訪れるよりも先に。
「…これが答えです」
旋風の如き動きだった。
華扇が完全に油断し、舐め腐った態度を崩さなかったからこそ、その蹴りが炸裂した。
天魔の振り上げた足が、下駄が華扇の顔面を貫き、吹き飛ばす。
首と胴を泣き別れにさせる程の攻撃力、その衝撃を何とか耐えた華扇の身体は、畳を削りながら後方に吹っ飛び続ける。
片足を突き出したままの天魔を、他の鬼は勿論。大天狗すらも口をぽかんと開いたままで。
「――茨木華扇!そして他の鬼ども!」
天魔が声を張り上げる。
「これが私の、天魔の!我ら天狗の返答よ!」
天魔はこの時、初めてその表情を変えた。
鬼に今まで向けられていたのと同じ、獰猛な見下す笑みだった。
「我らの頂点は既に洩矢神……諏訪子様だと決まっている!今更他の神に負けたやつに、それこそコソコソと鬱憤を晴らすような小心者どもに、付き合ってやる道理などない!そうだろう!!」
それは、完全な決別だった。
「自分を負かした神が現れたから、邪魔されるのが嫌だから今のうちに暴れようだと?そんな汚い性根で我ら天狗を顎で使うなど――笑止千万!そうだろう!茨木華扇…!」
「……」
「貴様の言い訳も、妄言も最早聞くに及ばず!誰が貴様の命令など聞くか」
「…クハッ」
鬼が、大天狗全員が怯えた。
天魔だけが唯一、聞こえてきた小さな笑い声と、幽鬼のように立ち上がり、こちらに向かって歩くその姿を見た。
無防備なところへ直撃を喰らった顔面は、その鼻が潰れ、そこから血をダラダラと流している。
ダメージは間違いなく刻まれている。
しかしその足取りは確かで、表情もまた怖気が走る、鬼らしいもの。
どこまでも透き通った、純黒の殺意に満ちた瞳だった。
「面白い。人間よりも先にまず、お前から殺してやろうか?」
「負け惜しみなんてみっともない。そうだろう?元上司様」
「あぁわかったよ。じゃあ――」
踏み込む動作も。
空気の揺らぎも。
予備動作すらなく。
「まずはその羽から剥いでやる」
華扇の凶器と化した腕が。
天魔の心臓を貫かんと――
「む…」
天魔に向けて放った筈の貫手。
それは本来であれば天魔の口から侵入し、脊髄をそのまま破壊するものだった。
しかし華扇の腕は、寸前で肘の先から切り飛ばされていた。
「楓!」
「天魔様、改めてご命令を」
楓である。
白狼天狗の中でも選ばれた者しか名乗ることが許されぬ「犬走」の妖怪。
彼は天魔を守るよう、以前よりも切れ味の鋭く改良された、専用の刀を構えて鬼を睨む。
天魔は笑った。
「命令は二つだ」
「はい」
「一つは時間稼ぎ、そこの鬼どもをできるだけ抑え込んでくれ」
「御意」
「二つ目は簡単だ。――私を守ってくれ」
「…御意」
天魔はその時、ほんの一瞬だけ、悪戯に笑う少女のそれと同じ顔を、楓に見せた。
声が震えたような気もする。身体が、耳が歓喜で揺れそうだ。
今までの彼女の苦悩と、それに寄り添えなかった己に対する嫌悪と後悔。それを払拭するかのように、彼は力強く頷いた。
「指揮もお前に任せる。敵対しといてあれだが、茨木華扇は凶悪だ、最悪あいつは無視してもいい」
「大丈夫なのですか?それで」
「あぁ、今
その言葉に、楓は何も心配いらないと納得した。
「天魔様は」
「私は少し用事がある」
翼をはためかせ、天魔は天井を突き破りながら上空へ飛び立つ。
そして、右手に持った団扇を思いっきり振り下ろし。
「天狗の意地、見せてやろうじゃないか!」
山を覆い尽くす程の。
国を。
洩矢の大地にある全ての妖怪と人間を飲み込む。
巨大な竜巻が、天魔の風が吹き荒れた。
そして、同刻。
日はほとんど沈み、橙色の空が黒に変わっていくその最中。
天魔の住む屋敷がある筈の山が、丸々一つ竜巻によって覆い尽くされた光景を、龍は見た。
「ッ天魔様…!」
本気だ。
今まで数える程しか見たことがないものの、その竜巻と弾ける偉大な妖力は、間違いなくあの人のものだ。
天狗の象徴たる風、そしてそれを異能による補助もなく純粋に、ただ己の純粋な実力のみで成すという、正に絶技とも呼ぶべきそれ。
そして何より、時間が不味い。
夜が来る。
彼らが、千にも達する鬼の軍団が、闇夜に紛れるのだ。
そして、人間はそれに気づいていない。
「クソッ…クソ…!」
――どうすればいい?
いや、そもそも自分には何ができるというのか。
未だ見習いに過ぎぬ自分が、一体どう役に立てるというのか。
こうしている間にも、日は沈んでいってしまう。
誰も彼らに気づけない、誰もそれを防げない。
鬼の軍団は、その脅威は国に住む人間に――
「うっ…」
百々世の身体が震えた。
今までの痛みを堪える震えとは違う、痙攣だった。
骨が軋むのもお構いなしに、百々世の身体が見せた変化は凄まじい。
「百々世?」
俯いて顔は見えない。
だが少しずつ痙攣が収まり、苦しみに喘いでいた彼女の声が聞こえなくなるにつれ、同時に得体の知れない何かを龍は感じたのだ。
身体から溢れ出す瘴気は、たちまち元の場所に戻るかのように、百々世の身体に逆流していく。
虹龍洞の奥、歩いてきた道の周り全てに散らされ、空気に溶けていた筈の瘴気ですら、形と色を取り戻し、一つの雲ができた。
それはとぐろを巻いた蛇のように、上空で蠢いている。
百々世がかつて自分に見せたのとは違う、別の誰かの瘴気――
「百々…」
突然静かになった百々世の目を、俯いている彼女の顔を見ようと。
龍がその顔を覗き込もうとするよりも先に、彼女は口を動かした。
『あぁ……』
――殺気。
龍は咄嗟に百々世の…いや、百々世ではない別の誰かの身体から手を離し、上空へ飛んだ。
そして案の定。先程まで龍が立っていた場所には、妖力と瘴気が纏われたツルハシが突き刺さっていた。
それを握るのは、勿論――
『いい身体だ。今までにない』
――あいつだ。
声も違う、妖力も変質した別の何かだ。
瘴気も同じ、喋り方に関しても論外で、彼は終ぞ人語を口にすることなどなかったから。
それでもわかる。
たとえ人の姿を取ろうとも、言葉を得ようとも。
龍は、天狗は。
その悪意の正体を、既に理解していた。
「
『忘れもしない。この屈辱は、この呪いは。未来永劫』
それは、かつて土着神に敗れた、龍殺し。
歴史の闇に埋もれる筈だった、敗者の姿。
黄泉返りを果たした大妖怪、その者だった。
『私の名は
大百足――堕涅が死の間際に残した呪い。
それは次世代への希望であり、百々世という妖怪の人生、その全てと価値観を塗り替える忌まわしいものである。
最初こそ、彼の思い通りに百々世は諏訪子を憎み、それに違和感を覚えることもなく、ただ毎日を憎悪で満ちた時を過ごしていた。
それが変わったのは、最近になってから。
虹龍洞に足を運ぶようになった――飯綱丸龍のせいだ。
大百足が一時的に、長くは持たないとはいえ、こうして顕現したのは。
その邪悪が、牙を剥く先には――
『私が作った器。姫虫百々世とはどのような関係か』
神奈子の復活と同時に広がった波動は、堕涅の復活を早めてしまった。
堕涅もまた、神奈子が選んだ方法と同じ封印術"器"によって、そして既にそれは破ったとはいえ、それに囚われていた過去は消えない。
共鳴とも呼ぶべきだろう。神奈子が復活したことをまだ知らない龍には、その答えに辿り着く為の判断材料が足りない。
あと数秒で、日は完全に沈み、百鬼夜行が始まってしまう。
人間が犠牲になる。築き上げた国が崩壊する。
何より、こうして身体を乗っ取られた彼女を。
国の人間を守るよりも前に、この龍殺しの大妖怪を――
「…私の親友だ」
龍は恐れを捨て、ただ真っすぐ堕涅と向き合った。
そこにいたのは、見習いの天狗でも一人の少女でもない。
気高い山の支配者、空を統べる偉大な妖怪。
「――百々世は私の親友だ。たった一人の」
だから。
「……返してもらうぞ、その身体」
『………………』
堕涅の顔から、表情が抜け落ちた。
その瞳は、動揺で揺れるでもなく、怒りで震えるでもなく、ひたすら冷たい虚無。
しばらく両者は向き合って、耳に痛みを覚える程の静寂が下りる。
無表情のまま、先に堕涅が口を動かした。
『私は……』
ぐにゃあ。
ゆっくり不吉に、不気味に気色悪く。
百々世が絶対に見せないであろう笑みを浮かべて。
『――鉄の味が好きだッ!!』
跳躍。
龍は風を巧みに操り、その突撃を避ける。
互いにぶつかる殺意と敵意。
再び、拮抗はここに生まれる。
それと。
「華扇のやつはしゃぎすぎだろ…っておー!こりゃあいい国だ」
並ぶもう一つの拮抗。
霜月の時、日が沈むその魔境。
諏訪大国を中心にした、天魔の張った巨大な風による結界。
その中の拮抗、展開は早くも。
――苛烈を極めることとなる。
「――ひもじいのう」
「――歯がゆいのう」
「――早く殺したいのう」
闇から声が聞こえた。
日が沈み、電気による文明の灯のない世界が静寂と、深い黒に沈んでから、それは聞こえた。
彼らは進軍する。
彼らは目前に広がる、人間という名のご馳走を求めて歩く。
血を、肉を求める暴虐の化身たる鬼の、儀式とも呼ぶべき工程を経て形成された軍隊。
華扇を主としたその鬼たちは、全てが妖力を、力と魂を共有し、文字通り全ての鬼が一つに、群れという名の一つの生物となる。
それが百鬼夜行。
そしてその儀式の中でも、
苛烈を極めるその者たち、その名は――
"百万同一鬼"
二度目の進軍。かつて蒸土大戦にて、当時猛威を振るっていた最古の武装国家"
土壌を踏み平し、犠牲となった人間も、女も赤子も皆等しく土に還す行為は、たとえ味方がやられようとも決して止まらず。
命尽きるまで、その加虐に身を任せる。
歴代最強の百鬼夜行。
「……へぇ、あいつ。見ないうちにいい顔になったじゃないか」
"星熊勇儀"
真名・星熊童子。
歴代の鬼の中で最も優れた肉体、そして最高の出力の異能を携えた膂力の権化。
語られる怪力乱神。
「ッハハハハハハハ!!いいぞ天狗ッ!まずは食前酒として貴様の肉を喰らってやろう!!!」
"茨木華扇"
真名・茨木童子。
かつて起こった未曽有の災害。"
奸佞邪智の鬼。
"堕涅"
黄泉返りし大百足。
八坂神奈子の神力に共鳴し、抑留していた魂から自我を取り戻した黒い悪魔。
古代に黄泉返った龍殺し、その復讐と食欲は限りなし。
同盟はなく。
策もなく。
どれもが等しく力を持ち、そして思うがままに暴れ、殺す暴虐の悪夢。
拮抗した実力。錯雑とした相性によって混雑する戦況は、正に混沌。
三竦みの四つ巴。
だがその一角が。
「――
堕ちる――
"伊吹萃香"
真名・酒吞童子。
長らく不在だった「山の四天王」それは全ての鬼が欲し、そして手に入れようと画策した異能の頂点たる称号。
かつてこの世に生まれ落ち、そして初めて群に属することになってから約三ヶ月。山の四天王の席を我が物にした天才…それが空白にした特権。
人を知り、愛を知り、弱さを知ったその鬼は、長らく席を空けていた鬼は。単独での百鬼夜行の妨害に名乗りを上げた。
――古代の異能が、始動する。
百鬼夜行
グリードアイランドみたいな相互協力型の儀式
力と命を皆が共有するので、文字通り彼らを全滅させないと百鬼夜行は止まらない
なお相手は萃香である
堕涅
私は鉄の味が好きだ
勇儀
塵殺には興味なし(面白そうだから様子を見に来た)
華扇
また神奈子に邪魔される…せや!ならその前に好き放題殺しまくったろ!の意
邪悪度100% 後に仙人になった彼女にとって、この時代はとんでもない黒歴史となる(かわいいね♡)
萃香
(同族皆)血祭りにあげてやる
次回から本格的に「
感想と評価気軽にお願いします
呪術廻戦はどこまで知ってる?
-
最新の単行本(人外魔境)まで
-
アニメの内容(渋谷事変)まで
-
あまり知らない(領域展開は知ってる)
-
全部わかる