【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
だってもうこの戦いが終わったら、次からいよいよ最終決戦ですよ?
もう諏訪子VS神奈子の話が始まるんですよ?怖い…時の流れが怖い…
どうか最後までお付き合い下さい(明日も夕方に出します)
星空を見上げながら、勇儀は冗談を交えて言う。
「首でも"獲る"か?」
「はっ、やなこった。どうして同じ鬼同士で
「それ私も思った」
「なら言うなよ」
死闘の末の敗者。
そんな言葉が相応しいくらいにボロボロの、しかしとても満足そうな表情だ。
互いに妖力こそ枯渇したままで、全快とは言えないが。しかし肉体の損傷は既にない。
萃香は失った右腕の再生を終えており、勇儀もまた、背中まで開いた穴を塞いでただ、全力の喧嘩、その余韻に浸っていた。
「だが…甘すぎだ、萃香」
「何が」
「自分で言うのもあれだが、お前は"国を守る"って義の下に私たちと戦った。なら私はまだしも、百鬼夜行を引き起こした華扇はどうなる?お前はこの後どうするつもりだ?」
「別に、何も」
「…おいおい、そりゃあ」
甘いだろう。
勇儀は空を見上げ、体育座りのままぼけっとする萃香を見て、喉まで出掛かったその言葉を飲み込んだ。
人間と鬼、その鬼退治という古来からのコミュニケーションにも共通する、勝者の言い分を敗者は黙って聞く。その理を思い出したから。
萃香の言葉を肯定も、否定もせず。
胸から今も発せられる、鈍い痛みに浸りながら、ただ負けた自分の立場を弁え、そして時に身を任せた。
今の萃香には、彼女らをどうこうする権利こそあれ、それをする動機は既になくなっている。
激しすぎた、楽しすぎた喧嘩の後に、恨みつらみを持ち込むのは無粋だと、そう思ったから。
萃香は問う。
「そういや勇儀。お前は何で華扇についてここに来たんだ?」
「……さぁ、ね」
それは、
萃香からすれば、肯定こそしないものの、華扇の行動理由、そして彼女がいつの間にか「人間嫌い」になっていたのも、理解ができる範囲だった。
いや、今だからこそ理解できる。と言った方が正しいだろう。
昔、まだ山に閉じこもり、鬼としての力に酔いしれていた頃の自分であれば、きっとその苦しみに共感することはできなかった。
変わったやつだと、そう切り捨てて終わらせてしまっていた。
人を知り、愛を知り、弱さを知った自分だからこそ、寿命に、そして短いながらも星のように輝き、鬼の魂を焼き焦がす意思の強さへの憧れも。
それすらも忘れさせてしまう、無常な時の摩耗も。
「華扇は私たちよりも賢いからな。きっとその分私たちより長く考えて、やけになったんだろ」
「そういうもんか」
「お前もだぞ勇儀。ただ華扇と違って、お前は考えるよりも先に身体が動くってだけで」
「はははっ、否定はしないよ。それに…」
「それに?」
「甘えたのさ、私も」
自虐の色を浮かべて、勇儀は言った。
「あいつが何百年ぶりに国を落とすと聞いて、私は正直どうでもよかった。…いや、だがそれによる変化は…混沌の奥にある何かは求めていたかもしれない」
「混沌?」
「変化さ」
「変化。変化ねぇ…」
「可能性という名のさ」
不気味過ぎる程に、辺り一帯は静かなものだった。
本来は湧いて出る筈の妖怪も、そしてそれ以外の生き物も一匹も姿を見せず、足元に虫すらも這っていない。
山の四天王による戦闘の跡、妖力の残穢が彼らの生存本能を刺激し、一切が寄り付こうとは思えないようになっているからだ。
「答えは何時だって、混沌の中で黒く輝いているものさ」
「その結果がこれか」
「ん~…小難しい言葉ばっかで疲れてくるな、あーなんというか。理由というか目的というか、別に明確な何かがあってここに来たというよりかは…」
上手く舌が回らない。
それは殴られた衝撃が今も、頬からジンジンと熱く伝わるせいなのか。
あるいは、殴られ折れた歯のせいなのか。
勇儀は自分の動機でさえ、用意していた筈だった大義名分でさえ、上手く言い表すことができずにいた。
「…理由など必要ない」
そんな勇儀に対し、吐き捨てるように彼女は言う。
萃香を挟んだその隣、勇儀とは正反対の位置に、頬を赤く腫らし、不機嫌そうな態度のまま、今の今まで無言を貫いていた四天王。
華扇だった。
「戦いへの期待も、それで得られる見分も、結局は後付けの遺言だ。虚勢もあった」
「そういうもんかね」
「結局はそうだ。戦う理由など作るだけ無駄、目的も過程もだ。ただ鬼は…私たちは…今この場では"鬼同士で戦った"という事実のみがあればいい」
「…ふーん?」
「…だから。だから人間なんて嫌いなんだ」
勇儀はよくわからないと。
萃香は反応をせずに、不貞腐れたような華扇の姿を、静かに見つめていた。
「血縁者の復讐。武の頂を目指した者、腕をもがれようとも諦めない、百折不撓の輝きも、結局時が過ぎれば消えていく、忘れてしまう。だから嫌いなんだ、無駄に命を捨てる人間が、何かを残す為に、託す為に死ぬ愚か者が」
「……」
「何人いた?何人と共に酒を、拳を分かち合った?…その内、何人を今でも覚えていられるというのか」
「ははっ、なんだ。お前人間がそんなに好きなのか」
「…うるさいぞ萃香」
「っはははは!」
「勇儀!お前は笑うな!!」
理由なんて無粋だ。
華扇の吐き出した言葉を揶揄い、萃香は改めてそう思う。
義のぶつかり合い、本能のぶつかり合いと渇きによる熱で浮かれた理性も。――倫理も、整合性も必要ないと思っている。
ただ喧嘩をした。
殴り合って、本気をぶつけ合って。
互いにボロボロになって、そしてこうして笑い合う、それだけでいいのだ。
気持ちをぶつけ合う。
人間が誰でもできる、拳なんて使わずとも交わせる絆を、今日この日にやっとそれができた。
不器用なくらいに乱暴で、愚直で自由に生きてきた。そんな鬼が、この日にやっと変わることができたのかもしれない。
変わっていないと断言するには、あの喧嘩は楽しすぎた。
その目的がどれほど、悪意に満ちたものであったとしてもだ。
ただ、こうして山の四天王伊吹萃香が勝利した。
その事実のみが答えであり、今日の問題の解答でもあった。
――ただまぁ。
「流石にそれなりのツケは払わなきゃなぁ?華扇?」
「…チッ、あの殴りで済ませてもいいだろ」
「いーや駄目だ。言ったろ?私は義の下にお前と戦ったんだ、ならそれ相応のことは…詫びってもんをしないとな?」
「…フン。わかってる、それに勝者はお前だ、敗者の私に命令する権利がある。お前の命令なら、泥でも足でも啜って舐めてやるよ」
「よし」
華扇は鼻を鳴らしつつも、萃香の言葉を受け入れた。
奸佞邪智の生き様を貫こうとも、たとえ悪鬼としての矜持があろうとも「敗者」として、ちゃんと弁えていた。
そして、萃香は今まで以上の笑みを。
ニタァという効果音の付きそうな凄まじい笑みを浮かべて。
「ちなみにお前もだぞ?勇儀」
「はははは…は?え。いや待てその右手は何だ?まさかとは思うが」
「ハハハ」
「…あ、拒否権ない感じ?そういうやつ?でもちょっと待てまだ治りかけの胸は不味」
「――フンッ!」
「はうっ」
治りかけの胸に一閃。
全快の状態のそれとは比べ物にならない程、威力もお粗末な拳骨擬きが炸裂する。
角と同じかそれ以上、一時的とはいえ新たに生まれた弱点を突かれ、勇儀はあっという間に失神した。
その様子を、華扇は自分の事など忘れてゲラゲラと笑っている。
数百年ぶりの、親友という関係の三つ巴の再会。
戦場の静けさはそのままに。
「…おや」
凄まじい重圧が肌を刺す。
ある方向から感じる僅かな違和感。
それを、彼女たちは他人事のように見ていた。
「…チッ、弱体化していても相変わらずか」
華扇はその気配――八坂神奈子の神力に、再び不満そうな顔をして。
「…頼んだぞ」
萃香はそれと相対する神の気配――天弓千亦。
ではなく。
――今も
実のところ、千亦がわざわざ神奈子と戦う理由はない。
――いや、正確にはなかったと言えるだろう。
千亦は市場の神であり、物質に宿る「所有権」を司り、そしてその委託によって信仰を得るという、他の神々とは違った方法で力をつける。
神代の者でありながら、神秘で溢れた古代ではなく、魑魅魍魎で溢れた神代でもなく。
信仰が薄れ、幻想の否定が働く現代に近づく、つまり文明が発展するにつれて成長を続ける「市場」という箱庭に閉じ込められた神。
それが天弓千亦。
故に、聡明な彼女は考えた。
今のまま、現状に甘えた停滞の状態を続けていれば、きっとそのうち自分には終わりが来る。
人々が市場から離れ、個人間での契約と売買によって、千亦の根幹である「所有権」の変化はなくなってしまう。
だから考えた。
だから、作った――
「それがこれか」
こちらを見下ろし、その手に持った小さな絵札。
厚さは数mmで、そしてその絵札には間違いなく自分自身の、千亦の神力が込められた品。
神奈子はそれを、面白そうに笑いながら――握り潰した。
「くだらん。先見の明があるのか、それともないのかはっきりしろ。無力な民に異能を与えることが、一体どれほど危険かわかっているのか?」
「"月を指さすようなもの"よ。あなたはそれを、人間が必要以上に力をつける未来を不安に思ったのでしょうけど。――私からすれば些末なこと、むしろ杞憂に終わると断言するわ」
「――なに?」
天弓千亦の最高傑作である新通貨、アビリティカード。
それはこの世に存在する生き物全て、妖怪から神、そして人間の
勿論このことを諏訪子は知らず、千亦が彼女の見ていない隙に、こっそりと人間たちに広めていたものだ。
本来は妖怪を恐れ、そして対峙しただ食われるのみの、あまりにも無力で醜い生き物。
人間はだからこそ、妖怪や災害から身を守る為、守ってもらう為に神を信仰する。
しかし力を手にした後は、自分で敵と戦う力を手にしてしまえばどうだろうか。
人間は神に頼るよりも先に、持っている力を振るって問題を解決しようと動き出す。
果たして、そこに「人間から神への信仰」とやらは存在するのか?
否。断じて否。
そんなのは早すぎる。
何百年と何千年をかけて、やっと滅びる神という上位者の絶対が、アビリティカードによってあまりにも早い末路をもたらすことになる。
神霊である神奈子はまだしも、もしそのような未来が訪れれば、八百万の神々は皆が例外なく、その存在を完全な無に戻してしまうだろう。
しかしあくまでも、神霊も結局は「死なない」だけで、消えてしまうことに変わりはない。
風に吹かれて消えそうになり。
誰にも見られることなく、知られることなく薄らと、惨めに孤独に生きていく。
それが、果たして本当に「神」と呼べるのだろうか?
それは千亦も同――
「…あぁ、なるほど」
いや、違う。
千亦は違う、市場を司る彼女だけは違う。
神でありながら、幻想に位置する超常の者でありながら、誰よりも人間に近い位置に存在する彼女だけは別だ。
神奈子でさえ逃れられぬ、信仰を失うという衰弱の未来は、人から忘れられるという破滅は彼女にはない。
千亦は「市場」そのもの。
人が人と物品を交換し、売買というコミュニケーションを取るだけで、彼女はずっと生きて居られる。
つまり、そういうことだ。
「洩矢諏訪子も…いや、私も弱体化…もしくは消失させるのも目的か」
「言ったでしょう?"月を指さすのと同じ"だって」
神奈子の言葉を否定せず、千亦は続ける。
「異能を手にし、増長した人間たちの反乱。混沌で満ちる世界は不安でしょう、でもそれは一時的なもの。暴力で物を支配できる時代は終わり、市場のみがそれから解放された、唯一の安寧の地に変化する」
アビリティカードで溢れた世界は、今の時代とは比べ物にならない混沌で満ちることだろう。
妖怪が人間を襲い、人間は妖怪を恐怖する勢力図。
それが変化し、むしろ妖怪たちは逆に狩られる立場に追いやられることとなる。
神は介入する余地をなくし、人は神を必要としない。
いや、それだけで済むならどれほどマシだろうか。
力を手にした人間、それがもたらす悲劇は想像もできないものだ。
――絶対に戦争が起こる。
手にした異能を見せびらかしたいと、愉悦のままに暴れ出す人間も、絶対に現れる筈だ。
その小さな火種を元に、その争いの業火は千亦にも止められない。
………
…いや、違う。
「アビリティカードは決して暴力では奪えない。私の監視下において、市場という唯一認められた安寧の地において、唯一それを手に入れることができる新たな命綱。決して奪えず、決して奪われず。利害の一致によって敵も味方も、全ての生物が市場を訪れ、その場でのみ争いを忘れることができるのだから」
「
「後々の話よ。今はその必要がないからね」
――彼女は危険だ。
「後々……」
神奈子は千亦の言葉を、まるで理解していない。
後々。そう何度も呟いて、首を傾げてうんうんと唸り続け、そして獰猛に笑う。
「この後があると思っているのか?」
それを、神奈子の身体から溢れる神力を前にしても、千亦は彼女に負けぬ獰猛な笑みを浮かべて、言う。
「はっ。――調子に乗るなよ若造」
次の瞬間、千亦の立っていた場所を巨大な
千亦はそれを難なく避け、マントを翻しながら跳躍。
その瞬間、地面に突き刺さった氷柱に亀裂が入り、バラバラに砕け散った途端、それが再び形を作る。
神奈子の身体を乗せた、蛇のようにうねるその動作。
千亦はそれを見切り、再び空中で回転すると共に真横に回避。
マントが空気を裂き、音を奏でながら再び千亦は着地。
蛇のように動く氷柱の上から、再び千亦を追うように飛び降りた神奈子はそのまま、飛び出した勢いに任せた蹴りを放つ。
頭と胴体を切り離す勢いのハイキック。
それを千亦はしゃがむように避け、そして隙を突いた足技を繰り出した。
神奈子の胴体、人間であれば肋骨を砕き、心臓と肺を木っ端みじんにする、
だが。
「べっ」
神奈子は舌を出して笑う。
間違いなく胴体を狙った。
だが実際に千亦の足が発する感触は、まるで柔らかい鉄。
固く、しかし布のように相手を包む矛盾した性質を持った何か。
そして見てみれば、神奈子が先ほど操作していた氷柱、それを再び分解し、そして正方形に再構築していたのだ。
「全く面倒ったらありゃしない…」
たとえ本来の肉体を失おうと、それでも彼女は軍神。
その戦闘技術も、神力も、全ては据え置きのもの、決して簡単に決まる勝負ではない。
ならば、唯一の勝機は――
「ごめんあそばせ」
千亦の両手から次々と現れるカード。
それは先ほど神奈子が持っていた物、アビリティカードの原型である「空白のカード」である。
模倣した力も、属性も宿っていない未完成のもの。
それが何百、何千と増殖を繰り返していく。
津波が神奈子を襲う。
津波という名の、千亦の神力を纏った殺傷力の高まったカードだ。
一見すると、それには抜け道など存在しないように思える。
だが相手は神。
そしてそれは、本能と敵意に理性を焦がされた並の妖怪と違う、思考という名の下に放たれた攻撃。
必ずそこには穴がある。
本人でさえ自覚できていない、無意識の攻撃密度の偏り。
そこを突く。
神奈子は距離を取る為、後方に跳ぶ。
しかし千亦もすぐにそれに気づき、カードの弾幕を更に強めた。
それは威力ではなく、速度。
神奈子に決して回避という選択を取らせないよう、速度を上げたカードたちは、神奈子に向かって一直線に駆けていく。
「――フロストカーム」
神奈子が右手で神力を練り上げ、そしてそれをチルノの持つ異能「冷気を操る程度の能力」で限界以上に冷やし、過冷却状態にする。
いくら妖精の中でも最強とはいえ、しかし妖精でしかないチルノの力では、神奈子の練り上げた神力を凍らせるのは不可能だ。
だが神奈子は、自身の莫大な神力量と出力でそれをカバーしていた。
本来であれば必要のない、能力の発動にも神力を使い、更にそれとは別に攻撃用にも神力を練る、無駄の多い戦い方。
しかしその無駄でさえ、戦術として成り立つのが…この八坂神奈子という神の持つ、多すぎる神力の恐ろしさ。
同時にその無駄は、戦いにおいて必要ではないそれを"儀式"として昇華し、その出力を更に練り上げるまでに至る。
神奈子の身体に触れるその瞬間。
目前に広がるカードの弾幕のほとんどが凍り、一切の機能を停止した。
それでもまだ完全には凍り切っていない、神奈子から遠く離れた位置にあるカードが震え。
「…待ちなさい」
そして、消えた。
カードが限界を迎えたわけでも、神奈子が消したわけでもなく。
千亦が自分でカードの弾幕を仕舞った影響だ。
突然の行動、しかし神奈子には思い当たる節はない。
千亦は問う。
「何それ?
「ああ」
「乾は?」
「乾
「………」
表情が消えた。
今までの、得意げな笑みも挑発するような色もなく。
「………」
目の前に立つのが、あの千亦だとは思えないくらいの。
「舐めてんの?」
同時に、千亦は駆け出す。
その突然の変わりように、一瞬反応が遅れた神奈子は、それを迎え撃とうと右手を振り――
「手ェ抜いた状態で、そんな舐めた態度で――!」
それよりも早く、千亦は神奈子の背後に立っており。
「――私に勝てると思ってるの!?」
その蹴りが、神奈子の背中に直撃した。
反応が遅れただけではない。
背中に迸る痛み、そしてピシッと何かが壊れたような音がする。
それが、背中に切り傷ができた故だと気づいたのは、何mも吹っ飛ばされ、やっと受け身を取って立ち上がった頃であった。
(油断していたとはいえ…いや違う、ただ力を無防備に喰らったからじゃない)
違和感を覚えるその攻撃。
それに推測を続けながらも、再び目の前で津波のように襲い掛かるカードの群れを、神奈子は見る。
しかしそれが罠であることを、彼女の長い記憶が、戦闘で培った勘が叫んでいた。
そして案の定、津波の上から突き破るように、千亦が飛び立ち、そして落下の勢いに任せた蹴りを放つ。
両腕を交差させ、防ぐ。
反撃の為に掴もうとして――蹴りの反動を利用し、空中できりもみ回転をする千亦の姿が見えた。
その刹那。
千亦の紫色のブーツが。
その回転を利用し。
「よそ見」
神奈子の顔面をぶち抜いた。
今までの神奈子の蹴りが巨大な槌だとするなら、今の千亦の蹴りは鋭利な刃と言えるだろう。
普通に蹴っても起きないそれ。
絶対にありえない筈の、刃物での切り傷と全く同じ痛みの、深さの頬の傷が、ただのブーツの風圧で再現されていた。
――軍神・八坂神奈子に1000年ぶりの緊張が走る。
(こいつ…体術もいけるクチか!いや――体術だけなら
千亦の蹴りを喰らい、頬から血を流しながら。
神奈子は笑った。
それは、先ほどまで見下していた己への戒めも込めた。
そして、自分に対し一つの分野で、届くどころか超えてみせた目の前の敵に。
「あぁ…本当に悔しいよ」
もし本来の肉体があれば。
もし自分の身体で、慣れた身体で動ける状態であれば。
もし。――能力が
「でも、今この光景が現実だ」
もしもなどありえない。
神奈子は今、自分の意思で、自分の目的の為に動き、そしてこうして対峙しているのだ。
そこに言い訳など必要ない。
ただ、勝つ。
今の不利も。
相手にのみ与えられたアドバンテージも。
慣れない身体、慣れない能力のみで、ただ挑戦者として勝つのみ。
神奈子は両腕を動かし。
「アビリティカードも、市場の存続も。解決するべきことは山ほどある…が」
左腕を上に。
右腕を下に。
拳を強く握りしめ、そして何かを回すかのように。
腕を引き、拳を握る動作と連動させて。
「――慣らし運転にはちょうどいい」
パチチッ――
命が。妖精の個で完結した輪廻転生そのものが。
――妖精の復活能力そのものが。
神奈子の頭上で氷となり、方陣として浮かんでいた。
天弓千亦
市場の神という特性上、神様への信仰ではなく「市場での取引」さえあればいくらでも生きていられる
つまりアビリティカードを発展させて人間を強くすると
①アビリティカードを皆が使う
「暴力では奪えない」特性上、必然的に市場が活性化するのでちまたんは無限に強くなる
②アビリティカードが流行る
力を手にした人間はあらゆる神に頼ることがなくなる。つまりちまたん以外の神、一言で表せば「邪魔者」も信仰不足で始末できる
③万が一は「所有権を失わせる程度の能力」でカバー
力を手にし思い上がった人間の反乱も、千亦の能力があれば簡単に抑えられる。アビリティカードに依存する人間では、素の実力も大したことはない
という正に一石三鳥なのだ
自分で書いててあれだけど滅茶苦茶物騒な計画過ぎる()
八坂神奈子
アビリティカード
"紙"は駄目だろ(ガッ
危険な大百足倒しにやって来たらもっとやべーのがいた
ちなみに乾は使わないじゃなくて「使えない」使わない発言はブラフ
適応はないです(ナズーリン並感)安心してください(蘇生しないとは言ってない)
明日は五時半に出せるかも
呪術廻戦はどこまで知ってる?
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最新の単行本(人外魔境)まで
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アニメの内容(渋谷事変)まで
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あまり知らない(領域展開は知ってる)
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全部わかる