【本編完結】諏訪子様になった、負け戦を回避したい 作:洩矢廻戦
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――妖怪とは何なのか。
時にふと、そんな考えが、日常の合間に現れた。
極論。それは人が何かを『恐れる心』が具現化し、そして牙を剥く
人は人の腹に宿り、そして産まれて声を上げるが、妖怪はそうではない。
人の感情。その力がまるで渦のように奔流となり、一か所に集まることで、いつの間にかそこにいる。
人間の中には、時に、腹の中にいた頃の記憶がある者もいる。だが妖怪の場合は、その"前"はない。
長く生きた妖怪や、生まれつき強者であることが約束された、天狗や鬼のような妖怪もそうだが、その姿は人間に近い。
だというのに、その命はあまりにも軽い。
名を失えば、恐れを失えば、彼らはいとも簡単に、これまで生きた痕跡の全てを、最初からなかったものにされる。
血も、肉も、骨もあって、内臓もある。
妖怪と人間。その共通点に、否が応でも気づかされるのも、そう長くはかからなかった。
ある日。初めて、妖怪を己の手で殺した。
今まで、まだ『魔法使い』になる前の、身体の傷も治せない『人間』だった頃の白蓮は、妖怪退治というものを経験したことがなかった。
法力を練り上げ、それが発光するだけで、魔を退ける作用がある為に、何もせずとも、大抵の妖怪は逃げ出した。
大抵の妖怪といっても、それはロクに言葉も発せない、強さの等級も、下から二・三番目の、その辺の茂みに隠れているような、本当に弱い妖怪だけで、それ以上の凶悪な妖怪には、それはただ不快感を与えるだけ。
今思うと、あの生まれ故郷である里は、とても平和な場所だったのだと。改めて、自分が住んでいたあの場所が、とても満ち足りた、つまらないものに思えてしまった。
――そんな油断、慢心が、あの日にようやく崩れた。
茂みから飛び出すように、鋭利な爪をこちらに向けて駆け出して来た、野良犬の風貌に似た妖怪。
荒れた山道を歩いていたのもあって、その時、白蓮は視線を下にして、周りに気を向ける余裕がなかった。
だからだろう、その時白蓮は思わず、力加減を忘れた全力の法術、防衛用の弾幕を放ってしまった。
鼻腔を突き刺すような、強い刺激臭。
野生の世界に籠った者の、獣の強い血の匂いと、消化途中だった腹の中身、それが内臓の肉片と共に、混ざりながら拡散する姿。
――だがすぐに、妖怪の肉体は消失反応を起こし、血の跡すら残さずに消えた。
――消えてしまった。
妖怪と人間の違いとは何だ?
外法に手を出し、もはや純粋な人間ではなくなった白蓮は、時にそれを考える。
景色を眺める時、食事の時、睡眠の前。
あらゆる無意識の時間に、その問いが頭に出しゃばってくる。
血も肉もある、彼らとの違いはなんだ?
(名前…)
白蓮の肉体は、不老であり不朽。
全盛期を保ち続け、そして燃料である魔力さえ尽きなければ、文字通り永遠に生きることだってできるだろう。
そんな自分は、間違いなく人外であり、人でなし。
だからこそ余計に思うのだ。――前の自分と、今の自分の違いは何か?
身体の隅々に張り巡らされた血管。内臓から骨、全盛期に戻ったという、以前と比べた肉体を構築する微々の違いこそあれ、基本構造は変わらない。
そして何より、思うのはただ一つ。人でなくなった自分と、同じく人ではない妖怪。
――この二つは、他の人間から見れば同じではないか。と。
妖怪も人間も、名を失えば、いとも簡単に存在を保てなくなる。
死を恐れ、生きたいと願い、その日を必死に足掻く姿が、まるで若返りの禁術に手を出した、――あの日の自分のようだった。
その考えが確信に変わったのは、妖怪を助けるようになってから、数週間の時が経ってから。
相手にする妖怪は、里の人間たちの依頼によって大きく変わる。農作物を守って欲しい。そういった願いの場合は、簡易的な結界を張ったり、妖怪や害獣相手に、ここを襲ってはいけないという刷り込みを行う為、何度か牽制を込めた攻撃をする。
わざわざ法力を使うのは、一種のパフォーマンスのようなものだ。
旅の途中、新たな活動拠点として、白蓮はこの都を選んだ。
というのも、ただ目的も無しに場所を決めた訳ではなく、そこにはしっかりと打算があった。
これから先、白蓮は自身の肉体の劣化…即ち老化を防ぐ為に、妖怪たちから外付けの魔力を補給しなければならない。
とどのつまり。以前のような、過疎化の進んでいた里とは違う、人が大勢いる…妖怪が生まれる要因の恐れが集まる、栄えた場所が必要だった。
選択肢は一つ。
かの列島制覇を果たした、この大陸で唯一、『国』の称号を手にした唯一の場所、諏訪大国は、八坂神奈子…つまり神の視線が常に降り注いでおり、それは今の白蓮には都合が悪い。
となると、他に優れた都の数々、その中のどれかを選び、そこを拠点とする。
――そして、白蓮が選んだ場所が、この都。
――
二つ名を、『竹取の翁』。その都で知らぬ者はいない、かの諏訪大国の"帝"とも交流があると噂されている、天下の成り上がり人。
そんな彼が愛情込めて育て上げた、ある娘を一目見たいと、都には多くの人々が訪れる。
しかもほとんどが男。つまりはどこまでも一直線な、我先にと色目当てに足を運ぶ、哀れな独身男性たち。
案の定。都の入り口を男たちが通るたびに、門番の者たちは「またか…」という、呆れの表情を隠そうともせず、面倒くさそうに彼らの相手をしていた。
白蓮の場合は、やはり珍しい女性の客ということもあって、ほんの少しだけ驚かれたが、一応仕事なのもあり、申し訳なさそうに、身分証代わりの何かを提示するように指示された。
持参していた経典。そして以前から文を送り、廃棄される寸前であったある寺の土地。その譲渡契約を終えた証である文の一部を、白蓮は提示した。
問題もなく、結果として白蓮は、この都の一住民として、名実共に認められることとなったのだ。
しかし、問題が一つ。
「人食い妖怪…ですか」
白蓮が寺を引き継ぎ、一ヶ月程が過ぎた頃。
最初こそ、廃墟になりかけていた寺。という二つ名に惹かれて、物見遊山のついでに訪れた人間の内数人は、見事に白蓮の信徒となっていた。
勿論。彼らが反発する様子を見せずに、素直に白蓮を慕うようになった要因には、彼女が持つ、
そして何より、彼女が以前里にいた頃から築き上げた、『人に見せる顔』もある。
そんな白蓮を慕い、そして時にこうして、白蓮にとっては都合の良い依頼――すなわち妖怪関連の事件を、彼らは持ってくる。
白蓮の言葉を聞き、まだ了承もしていないのに、目の前の男は、両手を絡めて。
「はい!白蓮様の力があれば、きっと解決できると思い…!」
いやぁ助かった。ありがたや。
と、仮に了承の言葉であろうと、次の言葉を、無理やり遮りそうな勢いで、男は両手を頭より上の位置に、そして感謝の意を表すために、何度も頭を下げていた。
しかし、男の態度を度外視しても、今回の依頼は、白蓮からしても見逃すことはできないもの。
妖怪。それも人食いとなれば、それなりの等級の強さなのは確かだ。
そうなると必然的に、秘めた妖力量もそれなりで、それを利用すれば、白蓮が己の身に施した、若返りの魔法を、長期間維持することもできるかもしれない。
白蓮は「大丈夫です」と、男の肩に触れ。
「私が何とかします、だから後は任せてください」
「ぉぉ…!感謝します…!白蓮様」
途端。再び男の表情が崩れ、地に頭を付ける勢いで、深々と頭を下げた。
それを窘めながら、白蓮は計画的に、そして利己的に、その依頼の詳しい内容を、頭の中で反芻する。
――人食い妖怪、虎の妖。
妖怪。
その中でも、人間から不当な迫害を受けている者がいる。
その事実に白蓮が気づけたのは、本当に偶然の賜物としか言えないだろう。
あくまでも、最初は欲の為であり、己の外付けの魔力補充。その為だけに、妖怪を隠れて助ける。
彼らは危機に敏感で、一度妖怪の返り血を浴びるならまだしも、自分の意思で、彼らを『殺す』という選択肢が頭に浮かぶようになれば、彼らは鋭敏にそれを察知する。
依頼の裏で、白蓮は何度も彼らを助けた。
白蓮は戦いについて、それこそ法力のような、加護に近い技術は知っていても、それ以上のことは知らない。
"縛り"すら結ばず、ただの口約束だけで、彼ら妖怪を生かし、そして、二度とここに近づいてはいけないと、そう警告する。
それが今の今まで、周りにバレずに上手く行っていたのも、白蓮自身が、彼らから恩知らずの危害を喰らっていないのも、全てはただ、運が良かっただけ。
――はりぼての達観。
未だ、彼女はそれに気づいていない。
「ここ、かな…」
山。
天を貫くような…とは安直な表現ではあるが、そびえ立つ木々から枝分かれした、深緑色の葉が、月の光すらも遮っている。
そんな、自然が作り出す漆黒の山道を、白蓮は慣れたように、荒れた道を軽々と進む。
人であることを止め、その結果として、白蓮は常人を遥かに凌駕する身体能力、そして五感を手にしたことで、夜であろうと、昼とそう変わらない明暗で視界を確保できる。
恐らく、あの山の頂点近くにいるでしょう。…そんな、手掛かりとも呼べない証言を頼りに、白蓮は歩みを止めず、周りに意識を張り巡らせる。
いくら視界が
肉体は頑丈に、治りやすくなったとしても、急所は変わらず首であり、力を練り上げる腹…丹田周辺に重い一撃を喰らえば、その後の対応は厳しい。
故に、こうして守るべきは――
「…………!」
――殺気。
「――シッ…!」
首。続けて、肩から胴にかけての守り。
左手で首を、万が一を防ぐ為に、練り上げた
何度も、何度も繰り返して身に着けた、白蓮の防衛術。
最初にあえて、身体に魔力を纏わなかったのは、相手を油断させる為。
突けば崩れ、裂けば両断される、人間の柔らかい肉体。
妖怪からしてみれば、力を抜いた今の白蓮は、正に鴨が葱を背負って来たようなもの。
勿論。これが通用するのは、強さの階級も、下から数えた方が早い。そんな弱小妖怪のみ。
中級の、数十年は生きたそれなりの妖怪であれば、それがただの罠であることも、人間でありながら、霊力を持たない異質さに、簡単に気付ける。
そして最も危険な、かの"花畑の妖怪"や"山の四天王"のような、
「あなたが"人食いの
【――ッ…ッ!】
――虎。
少なくとも、存在はしているらしいそれを、実物を見た者を、白蓮は知らない。
人が言うには、それはとても大きな、山猫に似た風貌をしている。
時に、それは黄褐色を主にした、黒い縞模様をしている。
全長は、住処は、そして主食は。
そんな、真実を知らず、ただ「怖いものだ」と、そう噂する人々の恐れ、その集大成が、目の前に。
「…あなた」
白蓮が一歩、その獣に近づこうとする。
すると、人食いの獣はまるで、恐れるように身体を震わせ、そして――
「――ッ、その傷…!」
音を立てず、静かに倒れた。
白蓮は思わず、その妖怪の脅威、人食いという二つ名を忘れ、急いで駆け出して、その匂いに気づく。
血。
僅かに香る、獣特有の野生の匂いと、それに混ざって漂う、人と変わらぬ赤い血液の、その匂い。
既に、白蓮の意思は決まっていた。
「――治します」
膝をつき、手を伸ばす。
その時、先ほどまで見せていた、痛みで喘いでいた獣の肉体が、凄まじい勢いで、白蓮の手の動きに反射するように、地面を擦って後方に跳ぶ。
ギロリと、色を失いかけていた獣の瞳に、強い敵意と怨嗟の色が浮かぶ。
【…何のつもりだ】
「言ったでしょう、あなたを治す」
【何のために】
己の使命。
そんな言葉が似合うような、そんな殊勝な生き方をしてきた訳ではない。
自分の善意は、いつも己の目的、欲を満たす経過点でしかなかったし、その原点はきっと、これから先も呪いとなる。
だが、そんな自分だからこそ、死を恐れて、命を延ばした自分だけが、死んだ弟の跡を、彼の理想を体現できる。
そう、自分自身へ告げるように。
「…それが、私にできることだから」
反応はなかった。
一回り大きく、その眼を開き、獣は一言も発さない。
白蓮は、その反応を無視して、血の匂いが最も濃い、腹部に手を合わせ、そして傷の深さを改めて知り、息を吞む。
酷いものだった。
臓物が転び出る。そんな基準をとっくに超えている。
皮膚を裂き、肉と骨を断ち切って尚、その内臓の中心部にまで、刃物が通った跡がある。
内臓を支える筋肉など、とっくに断たれている筈。それなのに、こうして今も、獣の意識は鮮明で――
不自由そうに喉を鳴らす、獣の声が聞こえてくる。
【できること。か、滑稽だな…人間】
――その声は、嘲笑。
死の淵に立っても尚、妖としての自尊心、これまでの生涯を、決して失いたくないと、そう願う『生』の欲。
獣は、ただ見下していた。
【私を治した後はどうする?――今度こそ、私を殺すのか?】
――お前以外の人間に。
獣の発する言葉に、白蓮は何も答えられなかった。
【同胞を殺し、里を焼き、そして私を斬った。…そして治して、また同じことをするのか?】
「…………」
――また、だ。
妖怪は、人間の恐怖を糧に生まれる。
生まれるだけならまだしも、彼らは存在を保つ為、人がその日を生きる為に、食事をとったり、睡眠をとったりするのと同じように、人を襲って怖がらせる。
恐怖は伝染し、何より人間というものは、皆が共通して臆病だ。
我々人間は、襲われる前に彼らを打ち倒してしまえばいい。そう考える者が、多数となってから、余計にそれは止められなくなった。
彼ら人間。そして彼ら妖怪。そのどちらが間違っているのか、どちらが正しいのか。どちらが黒で、どちらが白か。
それを定められる者は、この世にいない。
争いを望まぬ妖怪。
同じく、争いを望まない人間。
両者もまた、この遺恨しか残さない、一方通行の憎しみ合いの、被害者の一人なのだ。
白蓮は、ただ哀れみを感じた。
【治した先はどうするつもりだ。妖怪に加担し、妖怪を生かし、その先に何を求める】
「加担とは違います」
【何故】
どこが違う。そう獣は問う。
【事件・事故・病気、私たちが介入せずとも、人間は勝手に我らを恐れ、そして死ぬ、殺し殺される】
「…………」
【人が死ぬのは当たり前だ。妖怪が死ぬのも当たり前、目の入らない場所にある、真実だ】
口元を歪めて、嘲笑の色を浮かべたまま。
【それが、自分の目の前でだけは、看過できないとでも言うつもりか?】
「そうだとしても、です」
生気を失いつつある眼。
しかし、そこに宿る、炯々とした赤い閃光。
それが、より強く白蓮を射抜く。
【窮地にこそ、人間の本音というものは出る】
――風。
白蓮が次に感じたのは、頬を強く掠った風と、頭部と背中に強く感じた、衝撃。
視界いっぱいに広がる、星空を隠す木の葉の群れと、そして。
【答えろ。お前は何故、私を助けようとした】
強く輝く、殺意の眼光。
それが、自分を押し倒し、牙を剥き出しにした、獣のもの。
恐怖はなかった。
何故なら、その声にあったのは、空虚さと。
【答えろ。――さもなければ殺す】
恐ろしい言葉に宿るのは、深い失意。
最初に出会った時の、あの強い敵意や殺意はない、上っ面だけの警告、死の予告だったから。
「私は………」
――昔から、運動も勉強も、人並み以上にできた。
――でもそれを、一度だって「自分にしかできない」と、思ったことはなかった。
「私は"人でなし"です。見てくれは人間でも、その実体は決して同じではない」
ずっと、人より少し先を行くだけの人生だった。
弟が人を助け、自分はそれより少ない人間を、ただ仕事だからと、流されるように、甘い言葉を垂れ流す。
そうして、「救われました」と、安堵の笑みを浮かべる信徒に、ただ「終わった」と、枯れた思いを抱くだけ。
「妖怪も人間も、『死を恐れる』感情は変わらない。人の姿をした私だから、人間だった私だから、誰よりも早く気づけただけ」
――最初は、ただ利用したいだけだった。
妖怪は所詮、自分がより長く、若くあり続ける為だけの、利用するだけの存在だと。
その認識が変わったのも、若返りによって人間を辞めた、自分だからこそ気づけたこと。
「あなたの言う通りです。今の私に、"都"を変える力も、ましてや"国"を変える力も、こうしている間にも、犠牲になっているであろう妖怪たちも、救えない」
今度は、白蓮がまるで可笑しいと、そういう顔をして言った。
「でも、だからといって、今目の前にいるあなたを、見捨てる理由にはならない。少なくともそれに限っては、『今の私ができること』だから」
【…………】
獣は、何も言わない。
「『あなたを助ける』、これは私にしかできないこと、もしこれから逃げて。私はどうすればいいんですか?」
少しだけ。
その時、獣の瞳に浮かんだ色に、今までのとは違う。別の感情が見えた。
「あなたを見捨てたら。私は食事の時、睡眠の時、散歩をしている時…そんな、ふと気持ちが途切れた時に、あなたを何度も思い出す」
【…………】
「その度に、あなたを思い出す。『元気にしているだろうか』と、考えて、その度に『自分は悪くない』って、『あぁ、あの時に助けていれば』…そう自分に言い聞かせて生きろと?」
せめて、死から目を逸らした半端者として。
不老長寿の人でなしとして、長い長い生を、せめて。
「私は、死がとても恐ろしい。だから、自分が死んだ時のことなんて、想像だってしたくないし、できない」
白蓮の思いが、獣の心を打ち震わせる。
「だからこそ。――生き様で後悔はしたくない」
とても、強く美しい瞳で。
白蓮はそう、強く自分に言い聞かせるように、告げた。
白蓮が信仰している神は、神としての格もそれなりに高く、信徒の数もそれなりである。
というのも、それは信仰による恩恵…つまるところ、信仰先の神がもたらす力が、民にウケやすいものであったからだ。
仏神・毘沙門天。
誰が最初に広めたか、毘沙門天を信仰すると、財産に関する不幸を祓ってくれるだの。
毘沙門天を信仰すれば、勝負運が改善されるだの。といった内容が、白蓮に対し「信徒になりたい」と、そう告げた者の本懐だった。
厳密に言うと少し違うが、だからといって、目的は何であれ信仰したいと、信徒になりたいと言ってくれた彼らを切り捨てるのも、白蓮は強く躊躇った。
それに、毘沙門天を信仰している白蓮にも、彼らとは違う、また別の問題があった。
それは神聖。つまるところ、毘沙門天が持つ神の気配によって、寺に妖怪が近寄りがたいと、そういった現状があった。
若返りを維持する為にも、そして自分の中に新しく芽生えた理想――『妖怪も人間も平等に救う』という、目的の為に、妖怪が近寄れない現状は、白蓮にとっても都合が悪い。
何より、毘沙門天は大陸全土に寺を持ち、本人が多忙であるため、白蓮のいる場所には滅多に顔を出せない。
これでは信徒たちの信仰にも、いつかは綻びが生じてしまう。
――そんな二つの問題を、解決する方法。それは。
「…いやしかし」
――これはないだろう…
そう言いたげな、目の前の少女に、白蓮はニコニコと、含みを持たせた笑みを一つ。
「似合ってますよ、
「…………うぐぐ」
獰猛な獣の風貌はなく、そこにあるのは、中性的な美を感じさせる、一人の麗しい少女。
かつての姿は、以前とは違い、黄金に近くなった黄と、そして光るような黒の混じった髪色が名残りとなり、頭上には蓮を思わせるような装飾品。
宝塔。そして槍の二つを持った彼女の背を押し、白蓮は歩き出す。
「みんな待ってますよ、ほら早く」
「ちょ…まだ心の準備が…!というより、まだ納得が…!」
「ほらほら、早く行きなさいな、代理人さん」
毘沙門天代理・
白蓮の理想。それを叶える為に選ばれた、妖怪でありながら、神の栄光と進行を宣う、特別な存在。
小さな一歩。しかしそれは、間違いなく確実なものであり――
白蓮はこれからの、世界を変えられるという淡い願いに、頬を緩めた。
1部→諏訪子VS神奈子(八咫烏&反獄王)
2部→諏訪子VS依姫(■■■装備Ver)
3部→レミリアVS■■■■(本作トップシークレット)
4部→霊夢VS正邪(東方原作主軸)
5部→さとりVS瑞霊(■■乗っ取り&■■■■■Ver)
がラスボスの予定です、お楽しみに。
投稿時間は何時がいいか
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7:00~9:00
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10:00~12:00
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13:00~15:00
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16:00~18:00
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19:00~21:00
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