案内されたヴェルデン共和国の拠点。清潔であり、生活感にあふれている空間だ。
「他のメンバーを紹介します。」
一人一人名前を呼ばれ、笑顔を向けてくるが、バクラは奇妙な違和感があった。
強大な組織に抵抗している寄せ集めにしては、グループの統率が取れている。
統率が取れているからこそ抵抗できている、と考えられるが。
だとすれば、この組織が世界規模で事件を起こしているドーマ相手に健在な理由はなんだ?
「状況が進展するまでの間、この街を調べることにするぜ。」
「お気をつけて。ここは貴方が住んでいた日本と違い…治安はさほど良くありませんから。」
「フン、退屈はしなさそうだな。」
当てもなく異国の地を散策するバクラ。
見た事も無い異国の肉や魚、野菜や果物を売る露店。
3000年間、たった一つの目的のために邁進してきたバクラも、この時ばかりは異国情緒を楽しむ。
とはいえ、一連の状況から推察する限り、向こうから襲撃してくるはず。それを返り討ちにしていけば、大本にたどり着ける。
待ち、というのは気に食わないがこの際仕方ない。
「美術館…ふん、今は改装中か。」
バクラは立ち止まって数秒、美術館を見つめるが…ややあって歩き出す。
町中を散策するが空振り、という状況が数日続く。とはいえ、バクラに油断はない。
ここは敵地。今、この瞬間に襲われてもおかしくないのだ。
―――――
バクラが散策している同時刻。
『…報告があります。』
「何があったのかしら?」
紫色の髪で長身で巨乳の美女が、通信を受ける。
『キングダムに海馬をおびき寄せましたが、クリティウスが覚醒しアメルダ様は引き分け。インダストリアルイリュージョン社で、孔雀舞が城之内とデュエルを行い…ヘルモスが覚醒しました。』
「…海馬はアメルダが始末する。名もなきファラオもラフェール殿なら倒せる。問題は…」
『城之内、ですか?しかし、さほど脅威とは』
「彼は平凡な高校生でありながらキングダムで元全米チャンプのキース・ハワードを破り、闇人格のマリク・イシュタールに実質勝利。侮れる相手ではないわ。」
『ヴァロン様が対処なさるかと』
「いずれにせよ、ダーツ総帥の手を煩わせるような失態は許されないわ。」
『そちらの戦況はどうですか?』
「実力を把握するために、駒を一つ使っただけ。主力はいまだ健在、問題ないわ。」
―――――
その会話から数日後。
後ろから気配を感じ、バクラはようやくかかった、と内心思いながらしばし歩く。
行き止まりに差し掛かったところで、バクラは振り向く。
「この辺でいいだろう…?!」
振り向いたバクラはしばし呆然とする。
「久しぶりだなぁ~?俺のこと、覚えているか~?」
「てめぇは。冥府魔道を彷徨い続けているはずだ。」
ゴースト骨塚。ゴーストデッキとかいうインチキデッキを使っていたが、バクラが葬ったバトルシティの参加者。
「フン、どうやって抜け出したのか知らねぇが…また闇に葬ってやるぜ!」
「この前みたいには、いかないゾ!見ろ!」
骨塚が手首を見せつける。そこには、オレイカルコスの欠片が埋め込まれたブレスレットがあった。
「お前が持っている千年アイテムの力では、この力には勝てないゾ!」
「ヒャハハハハハ!そもそもてめぇは、俺様に勝てねぇだろうが!」
「「デュエルッ!!」」
バクラ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
骨塚 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「俺の先攻、ドロー!早速来たゾ!フィールド魔法、オレイカルコスの結界を発動!」
骨塚の広い額に、オレイカルコスの紋章が浮かび上がる。
「これが、これが…オレイカルコスの力!魔法カード、手札抹殺を発動!互いに手札をすべて捨てて、捨てた枚数分ドロー!」
「フン。」
バクラは八式対魔法多重結界、幻影の壁、カース・ネクロフィア、死者蘇生、魔力の枷を捨てる。
「よし、俺は後衛にモンスターを召喚!来い、ゾンビ・マスター!効果発動だゾ!手札のモンスター、真紅眼の飛竜を捨てて効果発動、墓地のアンデット族モンスターを特殊召喚!蘇れ、ピラミッド・タートル!前衛、守備表示!」
「ドラゴン族、だと?」
「さぁ、モンスターたちよ、オレイカルコスの力を得ろっ!」
ゾンビ・マスターの額に紋章が浮かび、目が赤くなり攻撃力がアップする。
「ターンエンドだゾ!」
バクラ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
骨塚 ライフ4000
手2 フィールド ピラミッド・タートル
魔法・罠 オレイカルコスの結界 ゾンビ・マスター
「フン、俺様のターン、ドローカード!魔法カード、ダーク・オカルティズムを発動!手札を1枚捨てて、デッキか墓地からウィジャ盤かレベル8の悪魔族を手札に加える。デッキからウィジャ盤を手札に加えるぜ。カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」
バクラ ライフ4000
手4 フィールド
魔法・罠 伏せ1
骨塚 ライフ4000
手2 フィールド ピラミッド・タートル
魔法・罠 オレイカルコスの結界 ゾンビ・マスター
「俺のターン、ドロー!モンスターも出せないのか!だったらこのターンで終わりだゾ!ピラミッド・タートルを攻撃表示に変更!バトルだ、ピラミッド・タートルでダイレクトアタック!」
「ちっ」ライフ4000から2300
「終わりだゾ!ゾンビ・マスターでダイレクトアタック!」
「ふん、手札の抹殺の邪悪霊のモンスター効果発動!こいつを手札から墓地に送り、俺様の墓地のレベル8の悪魔族を特殊召喚し、そのモンスターと強制的にバトルを行う!蘇れ、カース・ネクロフィア!」
「な、なにぃ~!うわああああ!」ライフ4000から3500
思わぬ反撃を受けたが、骨塚は笑みを浮かべる。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。だけど、このエンドフェイズに墓地の真紅眼の飛竜の効果発動!墓地から除外して、墓地の真紅眼を特殊召喚!」
「ほぅ。」
「さぁ蘇れ、真紅眼の不死竜!オレイカルコスの力を得ろ!」
「攻撃力2900…貴様のエンドフェイズに永続罠、ウィジャ盤発動!デッキから死のメッセージEを場に出すぜ」
バクラ ライフ2300
手3 フィールド カース・ネクロフィア
魔法・罠 ウィジャ盤 死のメッセージE
骨塚 ライフ3500
手1 フィールド ピラミッド・タートル 真紅眼の不死竜
魔法・罠 オレイカルコスの結界 伏せ1
「俺様のターン、ドローカード!バトルだ、カース・ネクロフィアで真紅眼の不死竜を攻撃!」
「何、攻撃だと?!だったら永続罠、死霊の誘いを発動するゾ!」
「ちっ」ライフ2300から2200
「ウヒャヒャ!勝てないとわかって自滅したか!行け、死霊の誘い!」
「またこいつか。」ライフ2200から1900
「だが、レベル8の悪魔族モンスターが墓地へ埋葬されたことで、墓地の抹殺の邪悪霊は手札に舞い戻る!俺様はこれでターンエンド。このエンドフェイズにカース・ネクロフィアは復活する!」
「何!だが、何度復活しても」
「さらに、俺様の魔法・罠カードのカード名の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できるのさ!くたばれ、ピラミッド・タートル、真紅眼の不死竜!」
「そ、そんな!ドーマから貰った最強のレアカードが!」
「さらに、貴様は自らのコンボで、600ポイントのダメージを受ける!」
「うううっ、こ、こんなはずじゃあ…!」ライフ3500から2900
バクラ ライフ1900
手4 フィールド カース・ネクロフィア
魔法・罠 ウィジャ盤 死のメッセージE
骨塚 ライフ2900
手1 フィールド
魔法・罠 オレイカルコスの結界 死霊の誘い
「お、俺のターン、ドロー!よ、よし!魔法カード、光の護封剣を発動!これでお前は3ターンの間、攻撃はできないゾ!さらに、モンスターをセット!ターンエンド!」
バクラ ライフ1900
手4 フィールド カース・ネクロフィア
魔法・罠 ウィジャ盤 死のメッセージE
骨塚 ライフ2900
手0 フィールド セットモンスター
魔法・罠 オレイカルコスの結界 死霊の誘い 伏せ1 光の護封剣(3)
「俺様のターン、ドローカード!抹殺の邪悪霊を召喚!」
「だ、だけど攻撃は」
「魔法カード、ポルターガイストを発動!光の護封剣を手札に戻す!」
「くそっ、だが、死霊の誘いでダメージを受けろ!」
「フン」ライフ1900から1600
「魔法カード、心変わりを発動!そのセットモンスターのコントロールを得る!」
「なにぃ?!」
「こいつは…。なんだ、魂を削る死霊か。心変わりが墓地へ送られたことでダメージを受けるが…。」ライフ1600から1300
敗北を悟った骨塚は後ずさるも、退路は結界に阻まれる。
「これで俺様の勝ちだな!行け、抹殺の邪悪霊!カース・ネクロフィア!ダイレクトアタック!」
「うわああああ!」
デュエルに敗れた事で、オレイカルコスの結界が収束し、骨塚を包む。
倒れ伏す骨塚。傍にオレイカルコスの結界に魂が封じられた骨塚のカードが落ちる。
「…チッ、これじゃあ手がかりは得られねぇな。」
どうしたものか。バクラは考え込む。
遊戯王の二次創作は多々あれど、骨塚君がオレイカルコスの結界を使うのはこれが最初で最後でしょうね。