リコリコ店員のスター   作:官隆

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リコリコ店員のスター

 

 ずっと、妹を笑顔にしたかった。

病弱で、あまり学校に行けない妹の咲希に、どうしたら笑ってもらえるか、そればかりを考えていた。

だが、小さかったオレは、どうすればいいのかわからなかった。そんな時だった、ショーに出会ったのは。

父さんも母さんも、咲希も、みんなを笑顔にしたあのショーが、オレの人生を変えた!

オレのショーで、咲希が笑顔になった!父さん、母さんも!冬弥も、雫も!みんなが笑顔になった!

それだけでオレは、幸せに感じた。だが…

 

『ごめんね、司。急に仕事が入っちゃって。晩御飯は作っておいたから、それを食べてね』

『本当にすまないな、司…』

『ううん!気にしないで!オレは一人でも大丈夫だから!』

 

 こうやって、ひとりぼっちになる時間だけは、オレは嫌いだった。

しょうがないんだ、二人はオレや咲希のために働いてくれてるんだ。オレが我儘を言ってはダメだ。

ずっと、そう自分に言い聞かせてきた。

だけど、それでもやはり寂しいものは寂しくて…ある日、オレは家を飛び出して、公園に向かった。

 

 辺りは夕陽に照らされて、朱音色になっている。オレは、そこでただ何もせず、ボーっとしていた。周りには、自分と同年代の子供が親に迎えに来てもらっている。

…それが、本当に羨ましかった。

 

そうこうしていると、辺りは暗くなり、人の姿はなくなっていた。

もう、帰るべきなんだろう。だが、帰りたいとは思えなかった。

帰りたくなかった、「おかえり」と出迎えてくれないいない家には…

いやだった、一人でご飯を食べるのは…

いやだった、一人でいるのはさみしいから…

だが、そんなこと思ったって、なにも変わらない。それに、咲希のほうがさみしいし、辛い想いをしているんだ。だから、オレは、我慢していかないといけないんだ、ずっと。

そんな風に決意を固めてる時だった。

 

『ねぇ、なにしてるの?』

 

−彼女と出会ったのは。

その日は、オレに夢を教えてくれたあのショーを観た日と同じく、決して忘れることのできない特別な日になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

【フェニックスワンダーランド】

 

〜ワンダーステージ〜

 

 渋谷のとあるテーマパーク。『世界中の人を笑顔にする』をモットーに作られたフェニックスワンダーランドのワンダーステージ。そこでショーをしている『ワンダーランズ☆ショータイム』の座長である天馬司。メンバーの神代類と草薙寧々は今日終えたショーの片付けをしていた。

 

「よいしょっと。ふぅ…これで、ここの片付けは終わりだな!!」

「そうだね、寧々、そっちはどうだい?」

「うん、こっちも終わったよ。後はえむのこと待つだけ?」

「そうだね、だけど今日の公演が終わったら残っておいてくれなんて言うなんて、どうしたんだろうね?」

「もしや客への宣伝として、また何処かで宣伝公演をすることになったのか?」

「まぁ、なくはないだろうけど…」

 

おーい、みんな~

 

「おや、そうこう言ってるうちに来たみたいだよ」

 

声のしたほうを見ると、メンバーのえむが全速力でこちらに走って向かってきていた。

後ろのほうを見れば彼女の兄、鷹介と昌介も見える。

 

「おまたせわんだほーい!」

「すまない、待たせてしまったか?」

「いえ、ちょうど今あと片付けが終わったところですよ。それで僕達にどんなご要件が?」

「あぁ、まず君達ワンダーランズショータイムのおかげで、フェニックスワンダーランドのチケットの売上率は更に上昇を続け、連日来場者もあとをたたない。そこでだ」

「お前らに感謝として、今度の休み、この店に連れて行こうと思ってな」

 

そう言って見せられたパンフレットには、美味しそうなステーキやバイキングの品々にスイーツも写っていた。

 

「これは…!」

「このお店って確か、予約に数ヶ月かかるっていうあの!?」

「うん!ここのお店の料理、全部ほっぺがとろけちゃうくらい美味しいんだよ!!」

「やっぱりえむは食べたことあるんだ…流石は鳳財閥」

「でも、いいんですか?そんな所に連れて行って頂いて?」

「君達には日頃世話になっている。その礼だと思ってくれ。」

 

 みんなが瞳を輝かせる一方で、司だけが浮かない顔をして黙っていた。

それに気づいた慶介は司に声を掛ける。

 

「………」

「…どうかしたか?」

 

 そう問いかけると、司は申し訳なさそうに言う。

 

「…その、すいませんがその日は家族との大切な約束がありまして、オレは行くことが出来ません」

 

 そう言うと、ルンルンだったえむがすぐさま反応する。

 

「えぇ〜!?司くん行けないの!?」

「そうか、なら別の日に変更を…」

「いや、大丈夫です!それほど人気なお店なら、変更するのも大変でしょう?俺抜きで楽しんできください!」

「だが…」

 

 確かに司のいうとおり、この店の予約の変更というのは、鳳財閥でも難しい。

しかし慶介としては、この食事は今のフェニックスワンダーランドを守り抜いてくれた、彼らへの恩返しもかねていた。そのため、一人だけいけないとなると質は下がるかもしれないがを店を変えて、日程を変更すべきだと考えていた。

 

「オレは大丈夫ですから!!」

 

 しかし、司は自分の主張を曲げない。

そんな姿を見て、折れる気はないと悟った昌介は慶介を止める。

 

「…兄貴、本人がそう言ってんだからいいんじゃねえか?どんだけ言ってもこいつの主張は変わんねーだろうしよ」

「昌介…そうだな、本人がそう言っているならそれを尊重すべきか」

「本当にすみません!!」

「いや、そちらに確認を前もってしていなかったこちらの責任だ。すまなかった。…では、俺達も仕事がまだ残っているのでな。失礼させてもらう」

「お前らも早いうちに帰れよ」

 

鷹介、昌介は帰っていく。

すると、直ぐにえむ達が司に詰め寄る。

 

「司くん!ほんとに行かないの!?」

「そうだよ、あんな高いお店に行くチャンスなんて早々ないよ?」

 

そんな彼女達を見て、司は少し申し訳なさそうにする。

 

「すまんな、だが、この用事だけは外すことができないんだ。だからお前らで楽しんできてくれ!!」

「でも―」

「む!もうこんな時間!早く帰らなければ、咲希が心配してしまう!それではまた明日会おう!!」

 

えむが諦めずに説得しようとしたが、司は走り去ってしまった。

 

「う、うん。また明日ね!司くん!」

「まったく…こんなチャンス早々ないのに」

「まぁまぁ、司くんがそう言ってるんだ。しょうがないだろ?僕達もそろそろ帰ろう。」

(それにしても司くん、今日はいつもより荷物の整理も早かったし、少しテンションも高かったような…帰ったら何かいいことでもあるのかな?)

 


 

 

〜喫茶リコリコ〜

 

「ふふふん〜ふふん♪」

「…店長。千束、今日は機嫌がいつにも増していいですね」

 

 現在看板娘の千束は見るからに機嫌がいい。

鼻歌を吹きながら、机を拭いている。

 

「あぁ、今日は久しぶりに司が来るから浮かれてるんだろう。」

「司?」

 

 聞いたことのない名前にたきなが首を傾げる。

その横で聞いていたミズキは納得した表情を浮かべる。

 

「あ〜、そういえば今日か…道理で機嫌がいいわけだ」

「あの、その司という人は一体…」

「この店の従業員の一人だよ」

「へぇ〜、まだいたんだな。てっきり今まで3人でやってきたのかと思ってたぞ」

 

 クルミも話が気になったのか、こちらに向かってくる。

そしてたきなはまだ客がいるからと小声でミカに尋ねる。

 

「…では、その人もDAの?」

「いや、あいつはDAの人間じゃない。ただの一般人だ。まぁ、こちらの事は知られているんだが…」

「?」

 

 その返答にたきなは疑問を覚えた。

リコリスは一般人に決して知られることはない。

だがその司という人は知っている。

一体どういうことだろうか?

そんなたきなの疑問に答えようとミカが口を開きかけると、千束がそれを遮る。

 

「せんせ〜ぇい〜!司から連絡きたよ!もうすぐ着くって!!」

「わかった、コーヒーの準備をしておくよ」

「お、なんだ、今日は久しぶりに司くん来るのか?」

「あ、阿部さん!そうなんですよ〜!ほら!」

 

 千束がスマホの通知を見せると、客の声が上がる。

 

「へぇ〜、久しぶりじゃない?司くんが来るの」

「まぁ、司くんも今じゃフェニックスワンダーランドの宣伝大使だからな、中々来れないんだろう」

「入院してた妹さんも退院したって言ってたもんな」

「そういえば知ってる?その妹さん、今はバンドやってるんだってよ!」

「え、そうなのか」

「何でも、幼馴染みと一緒に始めたとか」

「へぇ〜、青春だねぇ」

 

 客の司への反応を見るに、随分と親しい関係のように思われる。

そして、一瞬聞こえた"フェニックスワンダーランドの宣伝大使"

この言葉から、検索すれば出てくるのでは?と思い、スマホで調べると出てきたのは金髪の笑顔の青年が写っていた。

 

(この人が"司")

 

 裏の世界に顔を突っ込む人間には思えない。

それ故、たきなの中で疑問は深まってしまう。

 

「にしても、暫く来なかっただけだろ?千束の反応大袈裟すぎないか?」

 

 クルミが千束のテンションのことに触れると、ミズキは舌打ちをして、機嫌が悪そうに答える。

 

「そりゃ決まってんでしょ。千束は司を―」

「ちょいちょい!!何言おうとしてんのさ!!この〜!」

「バッ、このいつもいつもお前ら二人のイチャラブ見せつけられてたんだ!あいつが来たらすぐバレてるんだから、バレるのが早くなるだけよ!」

「そ、そんなんじゃないですけど〜!!」

「いやいや、千束ちゃんバレバレだったよ〜」

「幼い頃を共に過ごした男女の恋愛…王道よね~これ!」

「ちょ、やめろ〜!」

「ま、最近では負けヒロインで定着してるけどな」

「誰が負けヒロインだ、コラァ!というか永遠と負け続けてるミズキには言われたくないないんですけど~」

「なんだとこらぁ!」

 

ミズキと千束の喧嘩を尻目に、たきなはミカに質問を投げかける。

 

「…皆さん、その人と随分仲がいいんですね」

「まぁ、あいつはリコリコ開店して最初の客で、それ以来ずっとここに通っていたからな…まぁ、あれを最初の客と言っていいのかはわからんが」

「?どういう―」

 

 ことですか?とミカに聞こうと思ったその時、店の扉が開く。

振り向くと、先ほどスマホで見た金髪の少年が店内に入ってきた。

 

「久しぶりだなぁ!みんな!!」

 

 青年は店内全体に響き渡る大声で挨拶する。

その声量にたきなは顔を顰めるが、千束は笑みを浮かべ司の元に向う。

 

「いらっしゃ〜い、司!ほんとに久しぶりぃ!」

「おぉ、久しぶりだな、千束!」

「いらっしゃい、暫く見ない間に、少し背が伸びたか?」

「いえ、たった数が月ですよ?ミカさん。そんな伸びませんって」

「はは、そうか。ほら、コーヒー入れておいたぞ、フェニランから直接来て喉乾いてるだろ」

「ありがとうございます、ミカさん!」

「ねぇねぇ!宣伝公演とかで色んな所に行って、アメリカにも行ったんでしょ!話聞かせてよぉ!」

「わかった、言うから落ち着け千束!」

「司!あんたいい男とかの知り合いできた〜?いるなら私に紹介を―」

「いないし居たとしても紹介しないぞ」

「なんでよぉ〜!!」

「司君―」

 

皆が一斉に司に話しかけているなか、その輪に混ざれないたきなはじーっと司のことを観察していた。

あの人が、司さん。

喫茶リコリコの従業員で、私の先輩…

第一印象としては声がデカく、リアクションも大袈裟

騒がしい人のように思える。

…一応は自分はこの店の後輩なので、挨拶くらいはしておくべきか

そう考え、たきなは司に声を掛ける。

 

「あの」

「ん?君は…」

「少し前からリコリコで働いている、井ノ上たきなです。よろしくお願いします」

「!、そうか、君が井ノ上か!千束から話は聞いているぞ!頼りになる自慢の相棒ができたと!」

「…そうですか」

「ちょいちょい!あんまし大声で言わないでよぉ〜!!」

 

 千束は恥ずかしいのか頬を赤く染めている。

かくいうたきなも少し頬が赤くなっている。

司は次にたきなの隣にいたクルミの姿を見る。

 

「ということは、お前がクルミか?」

「あぁ、よろしく頼むぞ」

「あぁ!って、うん?その制服は…」

「?…これがどうかしたのか?ちょっと服が乾いてなくて着てるだけだが…何か付いてるか?」

 

 司さんはクルミの黄色の和服を見て目を細めている。

そんな様子を見て千束はクスッと笑う。

 

「気付かない?それ小さい頃、司が着てたやつなんだよねぇ〜!」

「…あぁ〜!道理で見覚えがあると思ったぞ!」

「なんだコレ、お古だったのか…道理でなんか縫った跡やらシミが付いてるわけだ」

「あ〜そういえばどっか既視感あるなぁ〜と思ってたら、司くんのか!」

「米岡さん、それにみんなも気付かなかったんですか?」

「いや〜もう何年も前だからな…にしてもそうか、懐かしいなぁ…」

「時が経つのはほんと早いな。あの小さくて千束ちゃんに引っ張られてた子が、今は高校生でショーユニットの団長か…」

 

 阿部さんがしみじみとした感じで言っているが、今気になることを言ってた気がする。

 

(引っ張られてた?この人が?千束に?)

 

 千束が司を引っ張る姿を想像してみるが、はっきりいって全くイメージができn―

いや、案外できるな。千束が無理やり振り回している姿が簡単にイメージできた。

 

「…そういえば少し前、リコリコのみんなでショー見に来てましたよね?」

 

 あまりその話に触れられたくないのか、司は話題を変えてきた。

 

「ありゃ、バレてたか」

「そりゃ、あんだけの人数だから目立ちましたよ!それに阿部さんが見えたときなんて、事件があったのかと少しビビりましたからね!」

「はは、悪い悪い!」

「それより!鳳財閥の娘さんと一緒にショーやってるんでしょう?何か美味しいご飯とか食べさせてもらってるんじゃない〜?」

「いえ、そんなことはない…とも言えないな」

「え、あるの!?」

「あぁ、今日今度の休みにこの店に連れてってやると言われて…まぁ断ったんだが…あっ、この店だ」

 

そう言って司が見せてきたのは、

 

「どれどれ―え!?この店、予約に数年かかる高級店じゃない!?しかも料理も超一流シェフが作っていて、色んな署名人が食事してるあの!?」

「マジか!?すげぇ〜な鳳財閥!?」

「てか断ったの!?マジで!?」

「………」

 

 たきなはその店に少し見覚えがあった。

この店は、とあるターゲットがよく出入りしていたから、DAの任務で侵入したことがあった。

自分の記憶力が正しければ、金持ちでも予約を入れるのが難しい店でもあったはずだ。

なぜ断ったんだろう?

他のみんなも同じように思っているのか、頭に?を抱えている。

 

「なんで断ったのよ?こんなチャンスそうないよ?」

 

 伊藤さんが全員が疑問に思ったことをそのまま言ってくれた。

 

「ん?まぁ、先約があったしな!」

「先約?」

「千束と一緒に出かける約束だ!そっちの方がオレにとって高級料理店よりも大事なものだからな!」

「〜〜〜〜〜」

「良かったねぇ、千束ちゃん」

「愛されてるねぇ」

 

 あっ千束、顔紅い。

そしてすっごいニヤついてる。あんな顔始めてみた。

周りのお客さんもみんな千束の事をからかっている。

 

「かぁ〜この見せつけやがって!?やってられっか、こんちくしょ〜!!」

「あんなこと素面で言うなんて、お前羞恥心ないのか?」

「?オレが何か恥ずかしい事を言ったか?」

「…成る程、これが天然か。苦労するな千束」

 

 千束の恋心に気づいたクルミは、同情するように千束を見る。

対して司は、"はっ"と何かに気づいた反応をする。

 

「っと、そういえば、まだ自己紹介してなかったな!」

 

 そう言ってニコリと笑いながら司がこちらに来る。

…その後ろでは千束達が耳を塞いで距離を開けている。

何をやっているのか聞こうと思った時には既に司は息を大きく吸い、言葉を発していた。

 

『天駆けるペガサスと書き天馬!世界を司ると書き司!その名も、天馬司だ!!』

 

「「―――」」

「よろしく頼むぞ!井ノ上!クルミ!」ニコリ

 

その日、たきなとクルミは、喫茶リコリコのスターと邂逅したのだった。

 

 ■◯▲◯

 

「というわけで、恒例の閉店後のボドゲ大会!」

『イエ〜イ!!』

 

 今日のボドゲ大会はお馴染みの面々に、司も加わっている。

 

「にしても、家帰んなくていいのかい?妹ちゃん、退院して一緒に暮らしてるんだろう?」

「今日は幼馴染みの家に泊まりに行ってるので大丈夫ですよ」

「ほぉ~、あっそういえば聞いたよ?妹さんバンド始めたらしいじゃん」

「あぁ、幼馴染みと一緒にな。作詞、作曲も自分達でやっているんだ」

「へぇ〜凄いねぇ、私もアイデア出すのが大変なのに…」

「そういえば伊藤さん…明日締め切り何じゃなかったっけ?終わってんの?」

「…明日の私がなんとかしてくれるから大丈夫!」

「そう言って、前回も終わってなかったような気がするんだが?」

「グッ、き、気の所為よクルミちゃん」

「まぁまぁそんな虐めない。かくいう自分も、勤務中のサボタージュ中なんだよなぁ」

「やっぱ刑事さんは悪だねぇ」

「やめましょう、仕事の話は」

「たきなちゃんも入らないかい」

「はい、皿洗いが終わったら参加します。」

「それなら、オレも手伝うぞ!」

「え、いえ、でも…」

 

 手伝ってくれるのはありがたい、しかし今は久しぶりに会える司に皆が話しかけている。

そんな状態で、手伝ってもらうのはたきなとしては気が引けた。

 

「後輩にばかりやらせるのもカッコがつかんからな!みんなは先に初めててくれ!」

「あぁ!じゃあ私も〜!」

「2人で十分だ!お前はボドゲをやって待ってろ!」

 

 千束にそう言って、司はたきなを連れて厨房に向かう。

 

「よし、早く終わらせて、ボドゲ大会に参加するぞ!井ノ上は何か得意なゲームはあるか?オレはオセロが得意でな!もしよかったら、この後やらないか?」

「…はい、それはいいですけど。その前に聞きたい事があるんです。」

「聞きたいこと?」

「天馬さんはリコリスの事を知ってるんですよね?」

 

 そう尋ねると、司は何が聞きたいのかなんとなく分かったようで、先程までの出していた声も少し小さくする。

 

「…まぁな」

「普通の一般人なら、リコリスの事を知ることはまずありません。一体何処で知ったんですか?」

「あぁ、簡単に言えば、ここの地下を見つけてな」

「!」

 

 リコリコの地下

そこはリコリスの射撃の訓練場になっている場所だ。

あの場所には数本の銃と弾が保管されてある。

はっきり言って、一般人に見つかるのはまずい。

 

「オレも偶然見つけてな、最初は映画のセットだとかを考えたが、銃を撃ってみたら普通に弾がでたから驚いたものだ…それで千束達に問い詰めたらあっさり白状したぞ!」

 

 なんとか誤魔化そうとしていたけどな!

と笑顔で告げる司に対し、たきなはなんとも言えない顔をする。

 

「そういえば、井ノ上!千束から聞いたぞ!お前、フキの奴ぶん殴ったんだってな!」

「!」

 

 たきなは驚いて、司の方を見る。

リコリスのことだけでなく、フキのことまで知っているとは思わなかったからだ。

 

「千束のやつ、よほど面白かったのか、電話越しでもわかるくらいご機嫌だったぞ!」

「…あの時は千束のおかげで吹っ切れたので。感謝してます。…それから、私の事はたきなと名前で呼んでもらって大丈夫です」

「そうか?ではオレの事も司と読んでくれ。それにしてもあいつの事だから、たきなの事を困らせていると思ったんだが…杞憂だったか?ほら、あいつの方針とDAの方針はまったく違うだろ?」

「…まぁ、確かに初めの頃は千束の『命大事に』という考えは理解できませんでした。任務の際もそのせいで依頼人を危険な目に合わせてしまいましたし…」

「まぁ、それはそうだろうな」

 

 司としても、自分のやってきたことと真逆の方針をいきなり強制させられたら困る、というかついていけないだろうと思う。

そう思い頷くが、けど、とたきなが呟いた。

 

「今はこの「命大事に」って方針も悪くないって少し思っています。」

「…そうか、よし!皿洗い終了だ!」

「はい、では早く行きましょう。千束が待ってます。」

「そうだな!…いや、待てその前に一つだけ!これだけは言っておきたかったんだ!」

「?」

「喫茶リコリコへようこそ!歓迎するぞ、たきな!」

『二人共〜!まだ皿洗い終わらないの〜!早く来なよ〜!』

 

 千束は二人が来るのを待ちきれなかったのか大声でこちらを呼んでくる。

司とたきなは顔を見合わせ、クスッっと笑う。

 

「行くか!」

「はい!」

 

これが、井ノ上たきなと天馬司の出会いの日だった。

 

 ■◯▲◯

 

〜数日後〜

 

「司…司はさ、たきなのパンツ見たことある?」

「…あるわけ無いだろうがぁぁあ!!」

 


 

天馬司

設定は原作とある程度は同じ

リコリコで働いている事は家族にも話していない。

幼い頃、寂しかった時もあったが、リコリコでの楽しい思い出があったからそれを乗り越えられたと思っている。

だからこそリコリコのみんなを家族だと思ってるし、

冷たくあたっても笑顔で接してくれた千束に恋をしている。

本人は隠してるつもりだが、千束以外にはバレバレである。

 

錦木千束

設定は原作と同じ

時系列はアニメ3話まで

やりたいこと最優先な少女で、

司にはあまりこっちの事に関わってほしくない。

本人は隠してるつもりだが司に恋している。

 

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