OCU日本国召喚   作:Bu3og

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第12話

中央暦1639年 4月10日

-ロウリア王国 王都ジン・ハーク-

 

 ロデニウス大陸の西側を国土とするロウリア王国。人口は3800万と多く。そのほとんどが人間である。

 ロウリアでいうところの亜人。この亜人には驚くことにエルフやドワーフも含まれているという徹底した人間至上主義の国家である。

 王都ジン・ハークは三重の城塞で囲まれた都市である。

 中央の城塞は、王国の最高権威であり権力者であるハーク・ロウリア34世の居城『ハーク城』が聳え立っている。

 

 ハーク城謁見の間。そこに大臣や将軍が整列していた。

 謁見の間は緊張に包まれている。

 

「陛下が入られますっ!」

 

 謁見の間のレッドカーペットを王冠を被った威厳あるハーク王がゆっくりと歩を進めた。

 ハーク王が玉座の前に立つと、侍従が用意したワインを受け取った。

 

「諸君。今宵この場に集まったこと、大義である」

 

 ハーク王の言葉が切れると、参列した大臣や将軍に給仕がワインを配り始めた。

 配り終えると、改めて演説が始まった。

 

「……諸君。今日この日君らにとって記念となる。何故なら、諸君らはロウリア国の大願(大陸統一)を達成した英達となるからだ。ここにいる者達は、皆それぞれ違う責務を存分に果たし、もって我がロウリア王国を支えてきた。我は諸君らの存在を大いに誇りに思う」

 

 ハーク王は一度言葉を切ると、続きを始めた。

 

「諸君っ! 此度の戦は今までと比べて難事となる。しかし、それだけの難事を超えてこそ偉大なる国家は誕生する。

諸君。一緒にロデニウス大陸統一を果たそうではないかっ!!」

 

 ハーク王がワインを高く掲げると、参列者もそれに合わせてワインを掲げ、称賛の言葉を挙げた。

 

「「「ロウリア王国万歳っ!!

ハーク・ロウリア34世万歳っ!!」」」

 

 一同はワインを一気に飲み干し、ハーク王は締めの言葉を発した。

 

「クワ・トイネ侵攻作戦を開始せよっ!!」

「「「はっ!!」」」

 

 参列者はそれを聞くと、各々の持ち場へと向かった。

 謁見の間から大臣や将軍が席を外すと、柱の陰から黒いローブを着た人物がハーク王の元に近づいた。

 本来ならいきなり王族に近づいたら侍従や護衛が割って入るのだが、ハーク王も護衛もローブの男がどういう立場なのか知っているため、割って入ることは出来なかった。

 

「……ハーク王。もし大陸統一を果たした暁には、例の約束。しっかり守っていただきますのでよろしくお願いします」

「念押しせずともわかっておる。今回の計画は貴国の支援あってこそだ。約束はしっかり果たそう」

「ふふふ……。それでは私めは失礼いたします」

 

 ハーク王は内心ローブの男を毛嫌いしているが、大陸統一計画におけるパトロンであるのも事実だ。だが、ローブの男は陰でロウリア王国を“遅れた国家”と口遊んでおり、ハーク王の神経を逆なでしていた。

 

(大陸統一を果たし、来る日にはフィルアデス大陸も手中に収めてくれるわっ!)

 

 ローブの男が去ると、ハーク王は不機嫌なまま浴場へと足を運ぶことを選んだ。

 

 

中央暦1639年 4月13日

-ロウリア王国 東方征伐軍野営地-

 

 ロウリア軍の野営地は熱気に包まれていた。各兵は休息を取りつつ装備の点検を実施している。

 野営地中央の指揮官テントに征伐軍指揮官や参謀が集合していた。

 ハーク王の『ロデニウス大陸統一令』が発令され、翌14日の作戦を前に最終軍議を執り行うためだ。

 

「……皆も知っての通り、ハーク王から作戦開始の命を受けた。よって作戦計画の最終確認を行う」

 

 討伐軍の総指揮を執る将軍パタジンが司会進行を開始した。

 

「わが軍の総数は現在50万。その内10万は防衛任務。海上侵攻に14万。残り26万が国境からクワ・トイネに侵攻する戦力となる」

 

 パタジンは卓に広げられたロデニウス大陸全体の地図に各軍の駒を指揮棒で説明した。

 

「パンドール将軍。貴殿が東方征伐軍の総指揮官を執る。作戦の確認を」

「わかりましたパタジン将軍」

 

 パンドールはパタジンに替り東方征伐軍の説明を開始した。

 

「全体の流れですが、まず東方征伐軍先遣隊『東部諸侯団』は明朝よりギムへ攻撃。迅速に制圧します。その後、クワ・トイネ要塞都市『エジェイ』に向け先遣隊を進軍。征伐軍本隊はそれを追う形で進みます。

『エジェイ』に敵の纏まった戦力が駐留していますが、全軍をぶつければ攻略は問題ないでしょう。

『エジェイ』攻略後ですが、征伐軍を沿岸(マイハーク)方面。中央(公都クワ・トイネ)方面。南方(クイラ対応)方面にそれぞれ再編し進軍します」

「軍を3つに分けて大丈夫なのかね?」

 

 パタジンはパンドールに質問した。

 

「クワ・トイネ軍の総数は5万。ワイバーンの数も我が方500騎に対してクワ・トイネは多く見積もっても100騎程度です。決戦でも、消耗戦でも多少の損耗はあるでしょうが、負けることはありますまい」

「クイラに対する備えはクワ・トイネ降伏後か?」

「予定ではそうですが、クイラはクワ・トイネに比べ人口に劣ります。さらに、糧秣のほとんどをクワ・トイネから仕入れているので、開戦した段階で物流が停滞すると思われます。クワ・トイネの制圧が思ったより容易なら、南方方面軍のみで侵攻することも可能でしょう」

「なるほど。しかし、戦は予定通りいかぬもの。予定通りクワ・トイネ降伏後にクイラ侵攻をする方向で考えよう」

「わかりました」

 

 パンドールが引くと、他の指揮官と比べ不気味さがあるアデムが前に出てきた。

 

「ご紹介に預かりました。この戦いで一番槍を務めさせていただく『東部諸侯団』のアデムです」

 

 アデムはロデニウス大陸の地図を下げると、ギム周辺の地図を広げ、自軍(ロウリア軍)敵軍(クワ・トイネ軍)の駒を並べた。

 

「斥候の報告から、ギム周辺のクワ・トイネ軍の規模は凡そ3000人。隷下の先発隊3万を以てすれば数日程度で落ちるでしょう。ワイバーンも20騎前後。征伐軍先発隊に150騎配備されているので、正攻法にて敵を攻め倒す予定です」

「うむ。貴官の指揮能力は理解している」

「そこでパタジン殿。ギムを攻略した後、部下に恩賞を与えたいと考えているのですが、どうでしょうか?」

 

 パタジンはアデムが何を言わんとしているかすぐに分かった。単純にギムで戦果漁りという名の略奪を欲しているのだ。

 パタジンとしては本隊の補給分は残すべきではと考えたが、そこはクワ・トイネの土地である。糧秣に困ることはないと判断し、アデムに回答した。

 

「そうだな。先発隊のみで攻略ができたのなら、ギムで得られる戦果は好きなようにしてよい」

「フフフッ。ありがとうございますパタジン殿。これで部下のやる気は鰻登りになるでしょう」

「アデム副将。吉報を待っているぞ」

 

 パタジンは答えたが、アデムをよく知る士官はその意味を違えなかった。

 大方ギム攻略で捕まえた亜人(軍人市民問わず)を好きなように弄んで嬲り殺しにするのだろうと察した。

 

「これで軍議は終わるが、他に何か報告することはあるか?」

 

 パタジンが軍議を終わらせようとすると、ワッシューナが手を挙げた。

 

「パタジン殿。1つよろしいでしょうか?」

「お主は?」

「東部諸侯団フロンチェス・ジェーンフィルア侯爵の下で魔導士を務めているルイナー・ワッシューナと申します。実は数日前気になることがあり、ご報告いたします」

 

 ワッシューナは机に謎の飛竜が描かれている魔写(写真)を広げた。

 広げられた謎の飛竜の姿に、一同は困惑した。

 

「魔導士ワッシューナよ。これは何かね?」

「数日前、国境の先。遥か高い蒼空を観察していたところ。魔写のような飛竜が飛んでいたのです」

「ふぅむ。このような形の飛竜は見た事も聞いたこともありませんな」

「そうですな」

「クワ・トイネの新型の飛竜でしょうか?」

「しかし、これには竜騎士が跨っているように見えませんが?」

「顎の下に大きく飛び出した1つ目。不気味な形をしていますねぇ」

「魔導士ワッシューナよ。この飛竜がギムに来たのか?」

 

 各々意見を言うと、パタジンがワッシューナに質問した。

 

「いえ、この時見たのは北から南の方へ飛んでいきました。数は1騎です」

「1騎程度なら、然したる脅威にはなるまい。アデムよ」

「何でしょうか?」

「ギムで戦う際。この飛竜が現れるかもしれぬ。攻略後に余すことなく報告せよ」

「わかりました」

「他に何かあるか? 無ければ明日からの作戦に備えよ。ロウリア王国と国王陛下に勝利を齎すのだっ!」

「「「はっ!!」」」

 

 こうして、ロウリア王国東方征伐軍の軍議は終了した。

 




大体愚痴のようなもの

提督業と独立傭兵業が忙しくて筆が進まない今日この頃(´д`)

9月18日
誤字を修正しました。ぴょんすけうさぎ様。ありがとうございます。
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