OCU日本国召喚   作:Bu3og

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 投稿が遅れてしまい申し訳ございません(土下座
 熱意とインスピレーションが欠乏したため筆の速度がかなり落ちています。
 次回投稿も遅れると思います。
 見どころの少ない作品ですが、生暖かい目で見守ってください。


第27話

中央暦1639年 6月16日

-ロウリア王国 王都ジン・ハーク-

 

 北の港が陥落したという話が届いたその夜中。報告を受けたハーク王は薄暗い玉座で頭を抱えていた。

 

「クソッ!! ニホンがここまで動きが早いとは……!」

 

 パタジンも兵士からの報告を聞いてから。ハーク王の叱責を少しでも穏便にするため話すべきことを考えていた。

 

「へっ。陛下。落ち着いてください。北の港にいたのは主に海軍の水兵です。陸戦となれば不利になるのは致し方ありません」

「余はそんなことを気にしているのではないっ!! 北の港を占領されたことだっ!」

「しかし陛下。相手は日本軍です。直ちに奪還作戦を展開しても、返り討ちに遭う可能性が高いのです。どうかご理解を……」

「グゥ~~……」

 

 ハーク王は歯を食いしばりながら頭を抱えた。パタジンは背中に嫌な汗を流しながら意見を出した。

 

「……陛下。このようなことを言うのは心苦しいのですが、おそらくニホン軍は近いうちに我が国に対する本格的な進攻を始めると思われます」

「何故そう思うのだ?」

「はい。我が国がクワ・トイネに侵攻したのは2ヶ月程前です。しかし、ニホン軍はギムを奪還して次は北の港です。おそらくここジン・ハークを狙うためでしょう」

「しかし、ここは北の港と違って三重の城壁と10万の兵力がある。如何にニホン軍でもこの王都は堕とせまい?」

「陛下。無礼を承知で申し上げますが、ニホンは我が方の想像が及ばないような戦力を間違いなく有しています。戦えば戦うだけ戦死者が増えるだけです」

「亜人共に膝を屈しろというのかっ!?」

「軍部としてはニホンとの戦争継続は自殺行為という考えです。それでもなお大陸統一を目指しますか?」

「……」

 

 パタジンの言葉にハーク王は沈黙した。

 

「仮にだ。仮にニホンが攻めてこないと仮定して、我が方が反攻に出ることは可能か?」

「……陛下。50万の兵力と500騎のワイバーン。4400隻の軍船を用意するのに数年かかりました。それを上回る戦力となると数年どころか10年は必要ですな」

「ぐぬぅ~~……」

 

 ハーク王はパタジンの正論に頭を抱えるしかなかった。

 パタジンとしても、もはや打つ手なしと言うのが正直なところであり。クワ・トイネはともかくニホンに和平を乞えるなら乞いたいというのが正直なところだった。

 いつしか沈黙が支配した謁見の間では、ハーク王が絞り出すように口を開いた。

 

「ヤミレイを呼べ」

「かしこまりました」

 

 侍従がハーク王の命に従いヤミレイを呼びに行った。

 

「陛下。お召に上がり参上いたしました」

「ヤミレイよ。新開発の魔法はどうなっておる?」

 

 開幕の一言目にヤミレイは戸惑いながら返答した。

 

「……未だ完成の目途は立っておりません」

「何時だっ!? 何時その新魔法は完成するのだっ!!」

「陛下。失礼を承知で申し上げますが、ニホンに対して有効な魔法を開発せよと急かされましても、一朝一夕でできるものではありません」

「ニホンはとうとう我が領土へ侵攻し、北の港は奪われたのだっ! 悠長な事など言っておれんのだぞっ!?」

「そう申されましても……せめて、年単位の時間を頂きとうございます」

 

 ヤミレイの言葉にハーク王もパタジンも愕然とした。

 

「ヤミレイよ。年単位では遅いのだ。せめて半年。できれば一か月以内にどうにかならんのか?」

「どうにもなりませぬ」

 

 その後、ハーク王とパタジン。ヤミレイの間で喧々諤々の話し合いが行われたが、何も決まらず翌日に持ち越しとなった。

 

 

中央暦1639年 6月17日

-OCU日本 防衛省-

 

「ーー作戦の第1段階はなったか」

「そうなります」

 

 防衛省の一室。そこには防衛大臣の田澤と統合軍参謀長の三垣が話し合っていた。

 

「ところで田澤大臣。例の件ですが……」

「あぁ。衛星の件はまだどうにもなぁ。如何せん金はあっても資源の方が解決できてない」

「そうですか。仕方ありませんか……」

「衛星の必要性は各省認識はしている。だから早ければ来年。遅くとも3年後に衛星打ち上げはできる算段だ」

「それならよいのですが……」

「まぁ何だ。今までの便利な生活が一転不便な生活に戻ったことにしんどい思いをしているのは皆同じだ。特に、優れた装備があるからと予算や人員削減を要望される軍としては苦しい状況なのは理解している」

「それはもちろん軍としても重々理解しています。しかし……」

 

 三垣は手元の資料を持ち上げて数枚紙を捲った。

 

「この戦争の終結と共に各軍が保有する重装備の内1割をモスボール(保管)。2割は予備役ですか……」

「現代の兵器は金も資源も大量に食う。兵員を維持するためにはどうしても稼働戦力を減らすしか選択肢がない。数値しか見ない財務官僚は装備を解体する案すら提出してきた」

「モスボールならまあ。最悪有事には使えるので仕方ないと言えば仕方ないですが……」

「しかも、財務省は外務省を味方につけて“ザーフトラも中国もUSNも居ないのだから脅威とする外敵はいないですよね?”なんて言ってくる始末だ」

「大臣の心中お察しします」

「そういうことだ。この戦争が終わったら、内閣の決定事項として軍の大規模再編を実施してもらう」

「……わかりました。再編プランを検討します」

「頼んだよ」

 

 田澤と三垣は軽く雑談を挟んだ後、各々の職場へと戻っていった。

 

 

中央暦1639年 6月20日

-クワ・トイネ公国 国境の町『ギム』-

 

 焼け焦げた畑や穴だらけの住宅が痛々しく残っている国境の町。

 クワ・トイネの兵士が復興に勤しんでいるのと併せて、町西部では日(クワ・トイネの略字)連合部隊が警戒態勢を敷いている。

 さらに、町の東部に第21任務旅団の野営陣地が構築されている。

 

 旅団司令部を兼ねているテントでは、通信機材と書類に囲まれている河内達が仕事に励んでいた。

 

「旅団長。どうぞ」

「あぁ。ありがとう」

 

 河内は守谷が持ってきたコーヒーを受け取って一口飲んだ。

 

「ロウリア軍はどうだ? 動きそうか?」

「今のところ陣地構築や物資搬入。国境沿いの偵察活動は確認できますが、それ以上に大きな動きは確認できません」

「動きが少ないというのは現場的にうれしいが、次の行動のために準備しているということでもあるな」

「参謀部からジン・ハークをはじめ、ロウリアの主要都市で大きな動きは報告されていません」

「兵士も物資の流れも変わらないとなると、当分攻めてくることはないか?」

「攻めてこないのはいいのですが、緩慢な空気が増えつつあるのでいざという時好ましくないかと思います」

「同感だな。既に北の港も制圧したし、敵軍後方に対する偵察や襲撃も提案してみるか?」

「物資の集積状態から難しいと思いますが?」

「ーーそういうことなら、我々が適任だと思いますよ?」

 

 河内と守谷が話していると、立派な胸筋を張った暁が割って入ってきた。

 

「暁大佐か。適任とはどういうことかね?」

「そうですな。まずヴァンツァーのジェネレータは半永久機関です。戦闘ならともかく、移動する程度なら無補給で何日も活動可能です」

「確かにヴァンツァーの特性は知っているが、弾薬や食糧はどうするんだ?」

「運搬特化のランドセルがあるのでそれに積み込めるだけ積みます」

「……どうする守谷?」

「まだ停戦も休戦の話もありません。無人機と国境監視だけでは情報収集に限界があります。威力偵察を図りつつ、敵軍後方をかく乱するのは有効だと思います」

「……マイハーク経由で提案してみよう、何か必要なものはあるか?」

「もし可能なら、ラジオパック(WAP用大型通信機)レーダーパック(WAP用広域レーダー)を最低でも1セット。できれば3セット請求していただきたいのですが?」

「わかった。伝えておこう」

 

 河内はこの膠着状態に一石を投じる価値があるとして、WAPのみの威力偵察任務の計画を始めた。

 

 

中央暦1639年 7月10日

-クワ・トイネ公国 マイハーク日防軍基地-

 

 ロウリアと戦争が始まってから3ヶ月。マイハーク郊外の日防軍基地は小規模ながら立派な現代航空基地へと様変わりしていた。付帯施設も多くが鉄筋コンクリート製へと様変わりしていた。

 基地の出入口寄りに配置された司令部庁舎にはクワ・トイネ軍との連絡室兼合同司令部が置かれており、多くの資料が集積されている。

 今のところこれといった戦いが生じる可能性が低いため、軍務卿の指示の基。比較的若いエリート組が多く出入りしていた。

 マイハーク防衛騎士団団長であるイーネも後学のため足を運んでいた。

 

「……凄まじいですね。弓矢どころかバリスタや投石機の射程距離の上を行くのがニホン軍の砲兵隊なのですか……沿岸城塞に大砲を据え付けることができれば、マイハークの防備はすごく強力なものになりますね」

 

 イーネはバトルレポートに記されている日本の装備を調べていた。 如何せん、クワ・トイネの装備はロウリアと同じである。数的劣勢を覆すにもっとも手っ取り早いのは圧倒的に強力な装備を配備することだ。現に日本はその持ちうる装備で数量を圧倒するロウリア軍をほぼ一方的に撃退しているのだ。

 軍務卿も日本の軍事力を高く評価しており、戦後を見据えて日本の装備を購入できないか政治部会で話し合っているくらいだ。

 

「兵士の装備をすべてジドウショウジュウに置き換えるだけでも、数で勝るロウリア軍の撃退もかなり容易に……」

「何かお探しですか?」

「はい?」

 

 イーネが資料を読み更けていると、日防軍士官の一人が声をかけてきた。

 

「あぁえっと……日本軍の強さを秘密を調べているところです」

「強さの秘密ですか……。強さといっても時代や技術が進歩するにつれて基準が変わりますから、一概にこれが強力ということは言えません」

「確かにそうですね」

「それに、ここの資料はバトルレポートばかりでお望みの資料は無いかと思います」

「そうですか?」

「我が国には古い軍事書籍も一般でも手に入る書店がいくつもあるので、我が国に来る際にそちらを訪れるのもよいかと思います」

「ああ確かに。一度日本には訪れたいですね……」

 

 イーネが未知なる国ニッポンに思いを描きながら、そういえば相手の名前を聞いていないことに失念していた。

 

「すみません。貴方のお名前はなんですか?」

「ああっ!! これは失礼しました。日防統合軍参謀部の葛西と申します。貴方は確か……」

「マイハーク防衛騎士団のイーネと申します」

 

 イーネが答えた瞬間。昼を知らせる鐘が鳴り響いた。

 

「すみませんイーネさん。食事の時間になったようですので私はこれで失礼します」

「参考になる話をありがとうございます葛西さん」

 

 イーネは資料室を後にすると、職場であるマイハーク城塞へと戻った。




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