黒い刺客なんですけどなんで♀︎……あとサイボーグさんや、その5本目の脚をしまいたまえ(汗)   作:何でもいいでしょ?

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今回の話は前回のドナドナから少し進んでるので、いきなり名前決定です(((o(*゚▽゚*)o)))


俺氏名前決ま――ふァ!?

あの地獄の如きドナドナから五ヶ月ほどたった今日。俺は今生まれ故郷から移されたここ、大東牧場で競走馬としての基礎作りに励んでいる。

まあここでやるのはあくまで基礎作りだから、また後で美浦か栗東のトレセンにドナドナされるんですけどね。

 

ハミに馬具といった普通の馬なら確実に嫌がるそれらに関しては、普通に一発で成功させ中身人間の意地を見せつけ定期的に抜き打ちテストするだけとなった。

あと一応ゲート訓練とかもやってみたけど、前世の頃から狭いところは好きだったからか落ち着くだけだった。

 

……リラックスし過ぎてスタート忘れた時もあったけど。

 

ユートピア牧場に比べたらそんなに広くはないんだけど、そこそこの長さの芝のコースもあるし、厩務員の兄ちゃん達の雰囲気が懐かしくて過ごしやすいんだよな。

大東牧場といえば千葉県だし案外馴染み深いのかもしれないなと思う前世千葉在住のお馬さんがここに一頭。

 

「相変わらず身体能力高いな」

 

「ブル?」

 

「お前は凄いなってことだよ」

 

『当たり前だろ、中身人間だぞ』

 

「ははは!」

 

……今はこうして呑気に会話――会話?までしてるけど、最初の方はおっかなびっくりって言葉が適切なくらい丁重に扱われてて逆にストレス感じてたんだよな。

 

なまじ人から見たらあの絶対の皇帝並に賢過ぎるって思える分、下手なことしてライオン化されたら困るっていう気持ちも分からんでもないんだけど、極々たまに引き攣った笑顔とかで接してくるやつもいるからつい笑っちゃって困ってたんだわ。

 

「……懐かしいよな。覚えてるか?お前がここに来たばっかの時」

 

『おう、覚えてるぞ』

 

ちなみにその引き攣った笑顔で接して来たやつとはこの兄ちゃんのことである。あの時はフッて鼻で笑ってたわ。

 

「俺ルドルフのファンだったからさ、お前があの皇帝並に賢いって聞かされてめっちゃビビってたんだよ」

 

『せやな、あまりにも滑稽で笑わずにはいられなかったぜ』

 

「で、お前に鼻で笑われたよな」

 

「フッ」

 

「……今また笑ったろ」

 

『さーねー?なんのことでしょー?』

 

「クッソ、コイツほんとに」

 

まあ落ち着けや兄ちゃんや。なんやかんやで色々相性が良かったんだし気楽に行こうぜ?じゃなきゃとっくの前に俺の担当から外されてんだし。

軽く顔をペロっと舐める――フリして本気のベロベロベロベロッ!!

 

「おわ!?やめろおま!?」

 

『ハーハッハッハッハー!マジでいいリアクションするよなー!』

 

「このっ、おちょくりやがって!」

 

『おっと危ねぇ、にーげるんだよ〜!』

 

「おい待てコラ!」

 

フハハハハ!馬に人間が追いつける訳なかろう!無駄な足掻きよ!……とまあこんな感じで、俺はこの大東牧場ライフを満喫している訳だ。

 

ユートピア牧場にいた頃からずっとやっていた牧場の広さに物言わせたスーパー走り込みタイムの甲斐あってか、ここ大東牧場に移されてからも同年代よりも高い身体能力と、デビュー前にしてはという前置きが付くもののそれなりに高い持久力、そして中身人間なんじゃないかと疑われるほどの賢さは高く評価されていた。

 

それこそ牝馬だけど総合評価で考えたらもしかすると牡馬に匹敵するかもしれないっていうレベルでだ。初めてこの評価聞いた時は思わず兄ちゃんにどーよ?ってドヤ顔して皆に笑われたよな。

 

「逃げるな!くそ、なんであんなコーナリング上手いんだよっ!」

 

そんなもん鍛えてるからに決まってんじゃん。コーナーで差をつけろッ!

 

『またやってる』

 

『あの人間いっつも振り回されてるな』

 

『つかあいつ早くね?』

 

『早いよな』

 

『追いかけてる人間も大概だけど』

 

『俺、あいつらには関わりたくない』

 

『『『『『それな』』』』』

 

見ろ、周囲の馬さん達も俺とお前のデットヒートに圧倒されて遠巻きに見てるだけだぞ!なんか呆れられてるような雰囲気感じなくもないけど!

 

「いい加減とま、ゲホッ!ゴホッ!」

 

「ブモ?」

 

あ、止まった。じゃあ今回も俺の勝ちだな。

減速しながら兄ちゃんに近づいて行き、胸を張って勝ち誇る。勿論ねえどんな気持ち?女に負けた気持ちはどう?どう?と煽ることも忘れない。

 

「このっ、煽りやがって……!」

 

「ブモブモ、フッ」

 

「――っ!はぁ……楽しかったか?」

 

『あったりまえでしょうが!兄ちゃんおちょくるのは最高ですわ!』

 

「何言ってるのか手に取るように分かるのが逆にムカつくんだよほんとに」

 

諦めたって感じに言ってくるけど、そもそも兄ちゃんの反応が面白過ぎるのが悪いんだよ。それになんかこう、前世で親友だったやつにちょっと似てるとこあるし。

という訳だから今度はフリじゃなく普通に顔をペロっと舐める――と見せかけてまたベロベロ!

 

「まだやるのかよ……」

 

「ブル?」

 

あれ?あんま反応しない……?てっきりまた怒って追いかけてくるんじゃないかと踏んでたんだけどな。

つまんねぇなと思ったのだが、兄ちゃんが肩で息をしているのに気付き舐めるのをやめた。

 

「めっちゃ体力あるお前とは違うんだよ……ちょっと加減してくれ」

 

「フン」

 

「無理ってか?ご丁寧に頭横に振りやがって……」

 

いやーすまんね。なんやかんやで興奮してたから見てるようで見てなかったっぽいですわ。

――手加減?なにそれ美味しいの?

 

「まあいい。ほら放牧は終わり、馬房に戻るぞ」

 

『ええ〜もうそんな時間?馬房の中なんも無いから暇なんだけど』

 

「駄々こねるなよこのお転婆娘」

 

『ひどい!』

 

そういえばここに来て一ヶ月半くらい経ってからようやく知ったんだけど、俺の幼名の由来のトンボーイってお転婆って意味だったらしく、聞かされた時は憤慨した。

ちなみにこれを話してきたのも例の如くこの兄ちゃんである。

 

話してきたとは言っても、流石トンボーイっていう名前だけあってお転婆娘だなとかそんな感じのニュアンスだったし本人としては教えるつもりとかはなかったと思うけど。

 

『あとトンボーイはお転婆だぞ!お転婆娘はトンボーイガール!』

 

「はいはい分かった分かった。とりあえず今日は大事な日なんだから早く戻るぞ」

 

「ヒヒィン!」

 

「そんなに怒るなよ…ほらとっとと行く」

 

ちぇっ、これはどんだけ足掻いても無駄なパターンか。こういう時の兄ちゃんってテコでも動かねぇしこりゃあ諦めるしかなさそうだ。

……にしても大事な日、ねぇ?特に思いつかないけどなんかあるのか?

 

考え事をしながら兄ちゃんに手綱を引かれること十分、辿り着いたのは―――俺の馬房のある厩舎でした。

 

『おまっ、騙したな!?』

 

「いデデデデ!?噛むな!おい噛むな!?」

 

黙れ嘘つきめが!!針千本ならぬ歯立て千本食らわしてやらァ!!

 

「ほんとに落ち着いてくれよマジで困るから!」

 

「ブル、ヒュー」

 

「そんなこと言って騙すつもりなんだろってか?いや今回ばかりはマジ中の大マジなんだよ!」

 

「……」

 

あまりにもな剣幕で話すものだから、一応信じてみようと噛み付くのをやめて耳を傾けることに。勿論怪しんでますと自己主張するネットリとした視線を添えておく。

 

「…なんだよその目」

 

「……」

 

「……全く、ほら行くぞ。すみません栗森さん、遅れました!」

 

引っ張られながら歩いて厩舎に入ると、ユートピア牧場でも何度か見た優しげな表情の男性と兄ちゃんと同じ格好をした厩務員のお姉さんが待っていたのだが、兄ちゃんと俺に気付くと男性に頭を下げて去っていってしまった。

 

お姉さんの方はあまり見た事ない人だが、男性の方はたまに来ては人参とかくれたり撫でたりしてくれたりと割と印象に残ってはいるのだがなぜにこの人がここにいるのか?

 

「いやいや全然待ってないとも」

 

「そう言ってくれると助かります」

 

「…?」

 

むぅ……なんか大事な日だから来いとか言ってたけど……ってあそっか、そういえばこの人ユートピアの所有者で馬主とか言ってた記憶あるわ。だからか――えっ?待って馬主?

 

『栗森さん、馬主、大事な日……ってまさか』

 

「それで、どんな名前に決まったんですか?知ってると思いますけど、コイツ頭いいんでもしかしたら名前の好みとかもあるかもしれないんですが」

 

やっぱ馬名だった!うわでもそっか、そろそろかな〜とは思ってたけどまさか今日だったとは思わなかったな。

 

「うん、トンもきっと気に入ると思う」

 

「いいですね。それでは早速コイツに教えてやって頂いても?」

 

『ぉぉー気になるな〜これからの俺の名前でしょ?うわめっちゃ気になる!早く教えて!』

 

「ふふ、興奮してるね」

 

「名前貰えるからって喜んでるのかもしれませんね」

 

「だとすれば面白い。うん、やっぱりこの名前が相応しいだろう。今日から君はライスシャワーだ」

 

『ライスシャワー…おお!あの黒い刺客と同じなま――えっなんて?』

 

ようやく馬名が貰えると喜びを体全体で表現していた俺だったが、栗森さんから告げられた名前に思わず体が固まった。

聞き間違いじゃなけりゃライスシャワーって聞こえたんだけど……聞き間違い、だよな?

 

「あれ?急に止まりましたね……?」

 

「もしかして、気に入らなかったのかな……?ライスシャワー…」

 

『っ!』

 

少し悲しげになった栗森さんの口から放たれた言葉を頭を全力で横に振ることで真っ向から否定する。

それと同時にさっきのライスシャワーという名前が、聞き間違いでもなんでもなかったことが確定してしまったが、もうこの際諦めることにした。

 

……諦めることにはしたものの、俺あの黒い刺客と名高いライスシャワーなんだよな。ビックネーム過ぎて恐れ多い……いやでも頑張るしかないよな……

 

うん、せっかくこんな名馬に転生したんだし、どうせなら本来のライスシャワーの生涯戦績超えてみるか!

目指すはブルボン完封のクラシック三冠だ!と決意を新たなに栗森さんの目を見つめ返した俺だったが、ここでふとある疑問が頭に浮かんだ。

 

『…?そういえばライスシャワーって牡馬だよな?んで俺牝馬……ん?』

 

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今作を書くにあたり色んな方々の作品を読ませていただいているのですが、読んでるとつい夢中になって書くの忘れたりが多くて多くて……

Simca Vさん誤字報告ありがとうございました!

戸山さん(ミホノブルボンの調教師)モデルの登場人物を生存させるか、させないか

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