黒い刺客なんですけどなんで♀︎……あとサイボーグさんや、その5本目の脚をしまいたまえ(汗) 作:何でもいいでしょ?
今は頑張って覚えている範囲で書き出している所なのですが、大半忘れてしまっていて結構やばいです…(´._.`)
9番のゼッケンを身につけていたあの馬、ダイイチリユモンに驚かされた新馬戦から一日。思い出してみた所、ダイイチリユモンは史実での新馬戦でもライスシャワーにクビ差まで迫った馬であり、そのタイム差はなんと0.1秒だった。
史実でのライスシャワー号の性別は牡であり、俺の性別は牝。ならあそこまで迫られたのは仕方ないのかもしれない……訳ねぇだろうが、なんだよあの末脚、マジでどうなってやがる。
確かに牡と牝の差はでかいのはわかる。実際肉体的に考えたらその差は歴然だからな。
でも俺はその差を補う為に必死になって体を鍛えて来たんだよ。
鍛え続けて、そんでもって自信持って走った結果が2馬身差まで詰められるってお前……
……いや、でも待てよ…?最後の直線入る前まで大体10馬身近い差広げて走ってたよな。んでもってダイイチリユモンはその差を末脚一つで縮めて来た。
となれば……その末脚をものに出来れば俺の方もかなりのパワーアップができるのでは?
『……よし、やるか』
思い立ったら即行動、今からでもできることを探す。……でもやるっつっても何すればいいんだろうな、馬房で。
むぅ……あれ?本当に馬房の中ってできることないんじゃね?足踏みとかやったらどこか痛いのかとか聞かれてめっちゃ心配されるし、無理ゲーじゃねこれ?
ええ……いやマジでどうしよう…何も出来ないからって何もしなかったらそれこそ呆気なく負けるだろうし……
クッソ、牝馬なのに牡馬に匹敵するとか色々言われて調子乗ってた頃の俺をぶん殴りたいわ。ぶん殴ったからなんか変わるかって言われたらそうでもないんだけども。
というかそもそもの話、生まれてから積んだトレーニングだけじゃ足りないって分かってしまったのが何よりも辛いんだよな。
元々俺にあった牝馬の体に転生したとはいえ、心は男なんだって自負を支えてた土台が粉々砕かれたような感覚が、なんというか……
『やめだやめ!そもそも牡の方が有利なんて生物学的にも当たり前の話だからな!そんな深く考え込む必要なんかなかったわ!』
よし切り替えていこーってか、これまでにして来たトレーニングだけじゃ足りないってんならトレーニングを増やして負荷かけていけばいいだけだったじゃん。何で俺あんな深く考えたんだろうな。
……まあいい。そうと決まれば、とりま調教の時間まで寝るか――と目を瞑ってから数時間、現在俺は放牧場に解き放たれております。
ついでに言うと、相も変わらず周りの馬達と馴染めないせいで端っこで一人寂しくパカパカ走ってたりする。他の厩舎の馬だからーっていう感じでもないのに避けられるんじゃあ、これもうお手上げだよ。
分かってたから寂しくは無いとはいえ、だ。いくらなんでもそんなあからさまな目されたらさぁ、どんな馬鹿でも分かっちゃうんだよなぁコレが!……馬だけに。
とまあそんなことはどうでもいいとして、川上さん来たしさあ調教だと意気込んだのも束の間だった訳よ。
芝坂路曳馬なんでもござれ、今ならダートも走れそうな気がする!なんて気合い入れたのは良いものの、放たれたのは放牧場でしたといった具合だ。
最初はえっなんで?って思って川上さん達の話聞いてみたのだが、なんでも競走馬はレース後にはストレスとかフラストレーションとかが溜まってることが多いとのことで、それらのガス抜きとして放牧場に放つらしいのだ。
まさかニワカにギリギリ届くかってレベルでしか競馬に詳しくないっていう弱点がここで突き刺さってくるとは思わなかったが、また一つ競馬について学べたしよしとしようと思う。
『しっかし、本当にどうすれば強くなれるものか……』
これまでみたいに出来る範囲だけの筋トレ、ペース配分の理解、踏み込みの強化、スタミナトレーニングとかだけじゃ全然足りないのは分かるとはいえ…ここから何を足せばいいっていうんだ……?
ぐぬぬぅ…そこまでいい訳でもない自分の頭が恨めしい。俺が人語を話せたらテキ達は色々教えてくれるのに……なんてたらればが簡単に浮かんでしまうすぐに逃げようとする弱い自分の心が恨めしい……!
『とりあえず、新馬戦の状況とか思い出しながら走ってみるか…?』
えーここがゲートとして、まずスタートは良かったよな。好スタート切って先頭を奪って、そのまま先頭の景色を独り占めしたまま最後の直線までは行けた。
……で、だ。問題は奴。確か、第一コーナーを過ぎた辺りで後ろを確認して――あいつはただ一頭周りに流されずに走っていた。……よく考えたらこの時点で奴は他の馬とは違うって気付いておくべきだったんだよな。
なのにあの時の俺は慢心して中身人間の俺に勝てる訳ねぇーだろ!とか……うっわ恥ッず!思い出しただけで恥ずいとかどんだけなんだよ……
『……と、とにかく!最後の直線、そこであいつは仕掛けて来たッ!』
あの俺の中の常識を木っ端微塵に吹き飛ばした末脚で。あの時の体の仕上がりがあと少しでも上だったら、俺の敗北は決定的だったであろう脚力で。
……いや、うん…言っちゃ悪いんだけど、ダイイチリユモン程度の馬も超えられないならクラシック三冠なんて夢のまた夢なんだよな。
俺視点だと強い馬だとは思うけど、あの世代の中央のグレードレースで名前出てきたの見たことないし。
……あと、クラシック目指すのなら、間違いなく意識するべきなのは
厳しい調教にひたすら応え続けて、遂には坂路の申し子やらサイボーグとまで言われる程になった奴ことミホノブルボン。
馬体に関しては素人目でも分かるくらいに引き締まっていて、いざ走り出せばその走りは圧倒的。オリジナルのライスシャワー号もスプリングステークスでは四着に収まっていたとはいえ、それに関してはまた別の話。問題は……
『七なんていうとんでもない馬身差、だよなぁ……』
ひたすら坂路で鍛え続けた果てに手にしたその豪脚は、同じレースに出走していた競走馬達を容易く踏み台にした。
……確かにサクラバクシンオーとかに関しては負けるべくして負けたみたいな感じだが、マチカネタンホイザという俺でも知ってるような名馬さえも、ミホノブルボンの前に立つことは出来なかった。
そんなブルボン一強の状態での例の菊花賞……だとしてもブーイングは認められん。常識的に考えておかしいし、あの日観客席にいた人々がなんであんなことを平然と出来たのか本当に理解出来ない。
確かにお金出してる以上嫌でも感情移入してしまうのは分かる。でも、だからといってやっていい事とダメな事があるくらいは分かるんじゃないのか?
それとも、それこそが人間の本質である以上仕方ないとでも言うのか?
『……っ』
放牧場の芝を蹴る足に怒りが篭もる。なんだそれは、そんなものは多くの競馬関係者達や実際に走る彼ら彼女らへの侮辱だろう、そんな怒りを原動力に更に足を動かす。
俺だって頭の性能が人間なんだし、馬には負けないだろう。なんて傲慢極まりないことを考えていたから人のことは言えないと分かっている。
……分かっているんだ。俺はその上で怒りを燃やしている。
『もし』
体を少しづつ下げる
『もしだ』
さらに踏み込みを強くする。
『もし、それが人間の
コーナーに合わせて体を傾け、ピッチ走法で加速する。
『俺はソイツの意見だけは絶対認めないね。何があろうとも』
直線に入り、気合いを入れ直す。
『んでもって証明してやりますわ』
足の回転をさらに上げる。
『本当の意味で――命かけてるってことをなァ!!』
ゴール板のみを視界に納め、駆け抜ける。
そして気付けば、思い浮かべていたダイイチリユモンの影もブーイングを浴びせる観客達も――消えていた。
そのことに満足した俺は、切れた息を整えてから水でも飲もうと歩き出した。
尚、今はこうして満足している俺が、数分後にはこっぴどく叱られることになるのはある意味当然の話。
前もありましたが、菊花賞のブーイングに対して刺客さんが怒りを燃やすのには幾つか理由があります。
・刺客さんの中身が競馬に関しては、ライス世代と少しの有名所しか詳しく知らない
・大人になると、誰でもある程度はヒトの本質というものがどういうものなのか理解する機会に巡り合うことになる
・そして何よりも、刺客さんがライスシャワー号の魂の居場所を奪ってしまったことに対する罪悪感を持っている
……それと他にも掘り下げる予定だった諸々も関係あったのですが、前書きのあれでロストしてしまったのでもしかしたら掘り下げないかもです(汗)
裕☆さん、くろ1021さん、Ruinさん誤字報告ありがとうございました!
Simca Vさんいつもお世話になっております汗
nyuruponもありがとうございます!
なんか最近誤字ばっかですわ……疲れてるのかな?
戸山さん(ミホノブルボンの調教師)モデルの登場人物を生存させるか、させないか
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させる
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させない