翌日、授業を終えた俺が万丈と一緒にLiella!の練習場所である屋上に行くと、かのんたちが準備運動をしていた。
戦兎「お〜す!」
万丈「よっ!」
きな子「っ! 桐生先生、万丈先生!!」
メイ「今日も来てくれたのか?」
戦兎「おう。俺たちがいたほうがお前らの練習の身の入り具合が違うってある奴からタレコミがあったからな」
1年生は顔を紅くして「グウっ…」と呻く。すると、2年生が入ってきた。
千砂都「うぃーっす! 練習メニューできたよ!!」
メイ「おっ、東京大会に向けてか!!」
夏美「今から筋肉痛が心配ですの……」
千砂都が練習メニューを配ろうとすると、
すみれ「その前に良いかしら?」
すみれがそれを静止した。
千砂都「? どうしたの?」
すみれ「あの後、良く考えたんだけど……」
そしてすみれは、信じられない事を口にする。
すみれ「東京大会は、2年生5人で出たほうが良いと思うの……」
戦兎「なっ!?」
皆が驚いていると、恋が口を開く。
恋「本気なのですか!?」
すみれ「ええ、昨日一晩考えたの。あの娘に勝つにはそれしか無いって」
かのん「どうして?! そんなにあの娘が怖いの?」
すみれ「サニーパッションを倒したのよ? 当り前でしょ?」
きな子「ですよね……」
万丈「お、おい……ちょっと待てって!」
すると、かのんが怖い顔になり、
かのん「すみれちゃん……」
すみれを問い詰めるかのん。しかしすみれも苦々しい表情になり、ふと、可可を見た。
すみれ「勝たなきゃいけないの……」
かのん「私だってそう思ってる。けど、全員で挑まなきゃなんの意味もない!! だって、ここにいる全員がLiellaなんだもん!!」
すると、すみれは喚くように叫んだ。
すみれ「私はね、ショウビジネスの世界に返り咲きたいの!! この舞台で、目立って目立ちまくって!あの世界に舞い戻らなきゃいけないの!! だから、こんな所で負けてなんかいられない……」
あまりにも自分本意な言葉。かのんは信じられないものを見るような顔になり、唇を噛むと左手を振り上げた。
かのん「このっ!!」
そして、手が振り下ろされる瞬間……
可可「やめて下サイ!!」
かのん「っ! クゥクゥちゃん……」
可可「ヤメて……、クダサイ……」
涙を浮かべる可可。すると、すみれは走って屋上を去っていった。
戦兎「悪い、ちょっと行ってくる!!」
そして、俺はすみれの後を追った。
すみれには昇降口のところで追いつき、話を聞くことにする。
戦兎「何があったんだよ?」
すみれ「別に、何も無いわよ……」
戦兎「嘘つくなって……。お前がそんな奴じゃないことくらいお見通しだっつーの……」
すみれ「……………」
黙るすみれ。仕方ないか……
戦兎「もしかして可可の事か?」
すみれ「っ!? 知ってたの?」
戦兎「いや、さっき口論になってた時に可可を一瞥したからな。アイツに絡んだ何かがあるのかな?って……」
無言になるすみれ。するとため息を吐き……
すみれ「先生には敵わないわね……。着いてきて?」
そして、俺はすみれの家の神社に連れてこられた。俺が境内で待っていると、巫女服に着替えて竹箒を持ったすみれが出てきた。
すみれ「な、何よ……?」
戦兎「いや、似合ってるなと思って」
すみれ「ま、まぁね……///」
すると、掃除を始めるすみれだったが、掃除をしながら口を開いた。
すみれ「さっきの話、クゥクゥが関わってるっていうのはその通りよ。あの子ね?日本でスクールアイドルをやることで両親を説得する時に高3までに結果を残せなかったら上海に戻るって約束してたのよ。だから、今年結果を残せなかったらあの子に来年は無い。ラストチャンスなのよ……」
戦兎「それで何としても結果を出すために勝率を上げようとしたのか?」
すみれ「悪い? 私は…っ、まだクゥクゥとスクールアイドルやりたいのよ……! 上海に帰らせたくないのよ!!」
不器用だけど、物凄い優しさを感じる。自分を悪者にしてまで、友達の夢を叶えようとしている。
………………。
戦兎「それ、皆には言ったのか?」
すみれ「言ってないわ。クゥクゥ本人から口留めされてるから……」
戦兎「アイツもか……」
すみれ「どうすれば良かったのかしらね……」
すると、
きな子「すみれ先輩! っ!?その格好……」
夏美「似合ってますの……」
すみれ「っ!何よ? 神社の娘なんだからこのくらいするわよ。それで……なんのよう?」
きな子「いえ、すみれ先輩に聞いてほしいっす!!」
すると、きな子、メイ、四季、夏美の4人は手を繋ぎ輪になり祈るように歌う。
完全に息のあったメロディ。
戦兎(いっぱい練習してたもんな……)
すみれ「っ!」
それは、すみれに分からないハズがなく……
きな子「今、きな子たち4人の思いをすみれ先輩に送ったっす!!」
メイ「だから、次のステージには立たない」
夏美「東京大会には2年生…5人で立つんですの!」
四季「そして、私達に……」
きな子「勝つところを見せてくださいっす!!」
そして、4人は頭を下げた。思うところもあるだろうに……
すみれは……、
すみれ「アンタたち……、そんなのできる訳ないでしょ?!」
きな子「えっ?」
すみれ「皆で勝つために、頑張ってきたんでしょ?朝から晩まで、毎日毎日ラブライブのために……っ!!」
夏美「えーっと…」
きな子「なんかすみれ先輩、言ってることが変わってるっす……」
四季「2年生、5人で出たいって言ったのはすみれ先輩」
すみれ「っ! それは……」
可可「9人で良いんデスよ!」
そこに可可が現れた。
きな子「クゥクゥ先輩?」
突然現れた可可は、ズカズカとすみれに歩み寄る。
可可「大切なのは全員で歌うことデス! 皆で、最高のステージにすることなんデス!」
すみれ「っ! でもっ!!」
すると可可は優しい表情を浮かべ、
可可「ククは構わないって言ってるのに、どうして余計な事ばっかりするんデスか? 勝手に苦しんでるんデスか?」
すみれ「……嫌なの」
可可「えっ?」
すみれ「アンタと一緒にいたいのよ…。3年間、一緒にスクールアイドルやりきりたいの!」
可可「っ!!」
その様子を、かのんたちも隠れて窺っていた。
すみれ「クゥクゥのバカ!!」
すみれは、持っていた竹箒を可可に投げた。
可可「すみれっ!!」
そしてすみれは走って行ってしまった。と、思ったら、あるものを取って戻ってきた。
そのあるものとは……
可可「そのティアラは……」
すみれ「去年の地区予選で、私がセンターで歌ったときにアンタが作ってくれたやつよ。アタシはあれに救われた。だからお礼がしたいの…私の力で、あんたに最後までスクールアイドルをやらせてあげたいの……上海に連れ戻させたくないの!」
メイ「上海?」
四季「どういうこと……?」
すみれ「帰っちゃうのよ…勝てないと。結果を残さないと……この子が、クゥクゥが…連れ戻されちゃうの! いなくなっちゃうの!!」
すみれは大粒の涙を流して崩れ落ちる。親友のために、自身を悪者にしてまで結果を残そうとした彼女。可可は、優しい顔だがどこか呆れたような、表現し辛い顔になりしゃがみ込む。そしてすみれの涙を指で拭い言葉をかける。
可可「本当に、すみれは余計なことばっかりするのデスね……ククの嫌がる事ばかり…、ククが決めたことに反対ばっかりして、ククの言うことにいつもいつも口を挟んで」
すみれ「っ! うるさい! うるさい! うるさっ!?」
可可は思いっきりすみれを抱きしめる。自分の想いを全て伝えるかのように、思いっきり……。
可可「本当に…大嫌いデス……」
すみれ「っ!」
可可「大嫌いで……、大好きデス…!!」
その言葉に、すみれは感情のダムが決壊したかのようにボロボロと涙をこぼす。
その様子を、俺たちは黙って見守る。
恋「どうしますか?」
かのん「決まってるよ! ちぃちゃん!!」
千砂都「ういっす!!」
ー 翌日 ー
放課後屋上で……、
千砂都「練習メニューできたよーー!」
夏美「ふむ、えぇっ!? こんなに!?」
四季「っ?!」
すると、可可も絶望したような顔になる。
すみれ「できるの? 体力のない泣き虫のくせに……」
可可「ッ! そっくり返しマス! 泣き虫グソクムシ!!」
可可とすみれが睨み合う。だが、自然と笑顔になる2人。
千砂都「1年生覚悟は良い? 特訓を開始するよ!この9人で勝つために!!」
そして、9人は円になり指をVサインにして重ね合わせる。
かのん「Liellaーーーっ!!」
Liella『スーパー…スターーッ!!』
東京大会に向けて、特訓が開始される。
ー 続く ー
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