きっと「アイ、アム、アトミック」(ASMR)するんだろうなぁ……
転生したら駄女神が目の前にいた
<主人公ちゃん>
皆さんは『中二病』という言葉をご存知だろうか?
思春期を迎えた中学二年の頃にかかってしまうと言われる、恐ろしくも愛すべき病で、形成されていく自意識と夢見がちな幼児性が混ざり合って、おかしな行動をとってしまうという……アレらしい。
今までマンガだけだった奴がいきなり英語の原書を読み始めてみたり、コーヒーの苦味も何も分からないのにブラックに拘ってみたり、自分には特別な力があると信じて、オカルト系におもいっきり倒れこんでみたり、決めゼリフが「闇の炎に抱かれて消えろ」……というものらしい。
かく言う私も中二病だと思ってる。
……さっき挙げた例には当てはまらなかったけれど、きっと私も中二病だと言えるはず…………たぶん。
さっきから「たぶん」とか「らしい」とか確信のない言い方を多用してるのだけど、それには訳がある。
というのも私の中にある中二心は自覚した幼少期、テレビでかっこいいヒーローやジャパニーズ侍忍者たちを見たときから、中学二年生を経て、現在に至るまでその熱は冷めるどころか熱を増していったからこれを中二病と言ってもいいのかわからない。
まあ、そんな私の中二心は現実と非現実を認識しながらうまく付き合ってきたと思う。
現実世界では成績優秀文武両道な人物で、その裏ではどうしたらあのヒーローや侍のように振る舞い、動けるだろうと研鑽、もといイメージトレーニングをして自己満足する。
でも足りない。
実際に暗殺者が狙ってきたりとか、怪人に襲われている人を助けるとか、特殊な力や日々の研鑽を見せつけ一目置かれる機会などありはしない。
そんな機会じゃないときに中二病的な行動や発言をすれば周囲から一目置かれる
……私が望んでいる方向とは別の意味で。
そんな毎日に飽き飽きして、イメージトレーニングと称していつも通りラノベ漁りという娯楽を満喫していると……
不思議なことが起こった。
何もしていないのに体が真下に落ち、気づいたら…………女神アクアを自称する青髪の美人な女の子の前に座っていた。
何を言ってるのかわからないと思うが私も何をされたかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった……歓喜でっ!!
なんせ私の好きなラノベかつ中二病紅魔族跋扈する世界だ、狂喜乱舞しなかっただけ褒めてほしい。
とりあえずおちけつ、Be Coolだ、私!
****
「こんにちは……えぇ……っとぉ? 英語の名前の人? ごめんなさいね、私日本語しか喋れなあ…………あッ! ア、アイドンスピィキングリッシュデース! オゥケィデースカー?」
「あの、普通に日本語で大丈夫ですよ? 日本人です、ハーフですが一応」
「あっそうなの? それならそうと最初から言ってよぉ、あせったわー日本人じゃない子連れてきちゃったのかと…………後で説教めんどくさいのよねぇ」
このアホそうな様子、絶対「この素晴らしい世界に祝福を!」、通称「このすば」のゲロイン兼ダメガミ兼ヒドインの「アクシズ教の女神、アクア」で間違いないだろう。
つまり私が何の因果かこのすばワールドに入ってしまったらしい。
「あ、こほん。自己紹介がまだでしたね」
取り繕おうとしても今更遅いというか……
「私の名はアクア、そしてあなたは残念なことに若くして亡くなったのです……。ぽかんとした顔……きっと未だ自分の死を受止められずにいるのでしょう」
……死んだ記憶がないのですがその件について
「でも安心なさい。難しいことはおいといて私が導いてあげます。ズバリ、あなたの好きな異世界転生させてあげようって訳! どうどう? 素敵だと思わない?」
「あ、はい。どうも……」
やっっっったああーーー!!!! ワッショイッッ!!!! ワッショイッッ!!!! ワッショイッッ!!!!(超絶歓喜万歳三唱)
でもその難しいことやらは話さなくていいのですか?(いきなり冷静)
転生したときに頭がパーになるかもとか、魔王のいる過酷な世界だから転生したくないっていう魂が多いとかいろいろ……
「じゃあテンプレってやつだけどアンタには転生特典を一つプレゼント! とりあえずこの紙見て参考にしてね。3時だから私向こうでポテチとコーラ飲んでるわ。終わったらおせーて」
「あ、はい……あの、例えばなんですけど魔力とか幸運値とかステータスってどれくらいあげられますか? 例えばなんですが魔法を使って魔力枯渇で死んじゃったりとか急に隕石とかが頭に当たって死ぬとか嫌なので。それと魔法とかって自作できますか? あんまり強力な魔法とかは既存のものだけでもいいのですが演出というか宴会芸みたいなものを自作して使用する時にはどうすれば……」
「な、なに、急に饒舌になって怖いんですけど……」
つい興奮が漏れてしまい女神様を怖がらせてしまった。
しかし私の楽しい楽しい充実した異世界ライフ、よりよい転生は目の前のダ女神様の機嫌にかかっている。
ここはおだてて油断させていい条件を引き出すしかない!!
「す、すみません! ……そのアクア様がとても素晴らしい女神様のようなのでついテンションが揚がってしまい……入信できるのならしたいなって……」
「……っ!! あなたから私の信者とおんなじ本物の信仰心を感じるわ。あなた良い目してるじゃない! その通り、私はすんごい女神的な、その、ええっと、アクシズ教のご神体としてあがめられてる女神様なのよ! えっとそれでなんだっけ、ああー、ステータスね? 基本的にそれだけで転生特典なんだけど、私の信者になってくれるって子なら話は別よ! 幸運値は……戦闘にほとんど関係ないからエリスと同じくらいで、魔力は爆裂魔法一発かそこら撃てるくらいだったら常識の範囲内よね! うん、昔目を赤くして無限魔力を特典に転生させたやつがいたくらいだし、なんならあなたのステータスかなり高いからあげたところでほとんど誤差よ誤差!」
アクア様、マジ、女神、略してAMG(アメージング)。
より信仰心が上がったというかというか大好きになりました!
でももしかしてアクア様、ちょろすぎ!?
悪い人に引っかからないか私は心配です……
主にカズマさんとかゲズマさんとかクズマさんに。
「えっと、それと確か一応魔法は自作できたんじゃなかったかしら? ちょっとー天使ちゃん、天使ちゃーん! ああ、キタキタ、私が呼んだらもっとすぐ来なさいよ! それで魔法自作できるかなんだけど……うん、…………ふむふむ……なるほど? 英語の人ぉ! 特典で取っとけばどんな職業でもできるしぽんって作れるみたいだけど、特典なしだと最弱職だけしか開発できなくって、時間もスキルポイントも結構かかるみたいよ! ……ありがとね、たまにはあんたもやるじゃない!」バシバシ
アクア様、天使さんが羽の付け根を叩くなって言ってますよ?
やめてあげてください、カズマさんが来たときにしっぺ返しに合いますよ。
ま、いっか、その方がストーリーの進行に影響でないし。
「そんじゃちょっとおやつ行ってくるわ~! ごゆっくり~」
「ありがとうございましたー」
さて、どうしようかな……
****
「アクア様~。お待たせしました~」
「なぁに~? もう終わったの~?」
「はい、特典はこの『魔力操作+』でお願いします! なんか簡単な非攻撃用魔法作成とか既存魔法の改変、魔力変換効率の最適化とか詠唱時間カットとかいろいろできるみたいで。完全な習得には自分の努力次第とか書いてあったんですけどこれで頑張ってみようと思います!」
「えー、そんなショボい特典でいいの?」
「はい、アクア様にはそれ以上におまけしてもらったので、十分すぎるくらいです!」
「わかったわ! 私はあなたの選択を尊重してこれ以上何も言わない。 私の信者ならばこれだけは伝えとくわね。……汝、我慢をする事なかれ。自分を抑えて真面目に生きても頑張らないまま生きても明日は何が起こるか分からない。なら、分からない明日の事よりも、確かな今を楽しく行きなさい。アクシズ教徒である汝に祝福を。『ブレッシング』」
こうしてアクア様のありがたーいお言葉とともに私は異世界へと旅立っていった。
アクア様のお言葉通り、中二心を満たすために毎日を過ごす予定だ。
そして言うまでもなくアクシズ教にはならない。
あくまでアクアが大好きなだけで宗教には興味がなかった、ただそれだけの理由で入信書にサインはしないよう心に堅く決めた。
よし、まずはお金と経験値を稼ごう。
なぜなら天下一の無一文状態だから。
決してアクア様がお金を入れ忘れたから入信しなかったわけじゃないがこれだけは言わせてもらおう。
「お金は命より重い……ッッ!!」
「オイ、新人! そろそろ開店だ! 変なこと言ってねぇでとっとと準備しやがれよ?」
「おっと、申し訳ない店主。少々高ぶりすぎた。仕事を始めようじゃないか」
「……オレはバイトリーダーだ、新人」
「おおっ、そうであったか! よろしく頼むぞリーダー」
これは一人のバイトが一人前のバイトリーダーになる成長の物語(嘘です)
気が向いたら続き書きます。
どこまで続き見たい?
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二期(~原作4巻)ハンス
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紅伝説(原作5巻)vsシルビア
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紅伝説(魔王討伐√)
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三期(~原作?巻)
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紅の宿命(原作9巻)vsウォルバク
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紅の宿命(魔王討伐√)
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最終巻(魔王討伐√)