ルーシーはカズマらとバーベキューしたり、めぐみんとお喋りしたりして、なんか満足して天に召された。
それはそれとして「空」を「宇宙」「蒼空」「天」「昊」とか書くとかっこいいよね!
<主人公ちゃん>
ふーふっふっふ……
ふはーっはっはっは!
ついにこのときが来ましたね!
魔王軍幹部と同じくらいの強敵を2体相手にすることができる日が来ましたよ!
「……ねえウィズ? この娘っていつもこんなに頭がおかしいかんじなの? 私と一緒にいるときは結構まともで常識がある振る舞いをしてた気がするんだけど」
「最初からこんなものですよ? 初対面であるはずの私の情報……と言いますか黒歴史を指摘するバニルさんみたいな底知れない何かを感じさせる方で……」
「それはそうよ。私だって出会い頭に私の名前と神格を当てられて、それはもうドキリとした記憶があるわ。そうじゃなくて、思考がちょっと邪神に染まってきてないかってことよ」
「いえいえ、最初からこんなもんですよ。だって私に不死王の手を使わせてレベルダウンさせたり、ランダムテレポートを乱用するような人ですよ? いつもそそっかしいのでもう慣れました!」
「慣れって恐ろしいわね……」
なんか後ろの方で失礼な会話が繰り広げられてる気がしますが気のせいでしょう。
これから私はピンチに陥った冒険者の前に現れる実力者をかましてくるんです!
しかもその冒険者たちを襲う一体一体が魔王軍幹部に並ぶ強者にして空の支配者。
やっかい極まりないそれを二体相手取り、不敵な笑みを浮かべつつ圧勝する私をみたら紅魔族でなくてもスタンディングオベーションすることでしょう。
それまでは高みに見物というやつです。
さあ主人公たちよ、私に原石の輝きを見せてみなさい。
<カズマ>
いーやーだー!
グリフォンとマンティコアの討伐になんか行きたくない!
俺はまだ死にたくなぁぁいッ!
どうして俺が戦いに駆り出されなきゃならないんだよ!
でもダクネスもめぐみんも意気揚々と俺とアクアを引っ張っていくしさ?
俺は抵抗したがどうしようもなかったんだよ!
で、実際に現場に着いたら……
「あ、あのグリフォン……まさか煌翼とかいうネームドモンスターじゃないか!?」
「確か突然火属性魔法を使えるようになった亜種で元来の風属性魔法も使って爆裂魔法みたいなことをしてくるらしいぞ!」
「あ、あっちをみて! マンティコアも蝎獅とか言うネームドよ!」
「ま、まさかあの二体が互いにレベルを上げていった結果、森の魔物じゃ満足できなくなっちまって他の場所でも目撃されてたのか!?」
とか言ってた。
解説ありがとう、ダスト、サソリの尻尾の餌食になりかけてるお前のことは忘れるまで忘れない。
てか本当に塩漬けクエストなんて碌なもんじゃねぇ!
片方は遠近両々の火力お化けだし、もう片方は防御力と毒がえげつねぇ……
それに両方空を飛ぶし、普通に攻撃が通用しない。
どうにかして爆裂魔法を当てたら勝てるかもしれないが、片方だけに攻撃を当ててももう片方は残ってめんどくさい。
「ってあぶな! おいダクネス! しっかりデコイ使って引きつけておいてくださいお願いします! 今俺の方にかまいたち飛んできたぞ!」
「む、無茶言うな! グリフォンの攻撃は範囲攻撃に近い! 気持ちよ……巻き込まれたくなければ離れておけ!」
「今気持ちいっつったろ?」
「言ってない」
「な、なに顔赤らめてるんだ集中しろ!」
「くっ、前からも後ろからもなんて激しい攻撃なんだっ///」
ダクネスは通常運転だ。
剣をぶんぶん振り回してるが一切当たらない。
……あんなでかい図体狙ってるのに当たらないなんて、これは一種の才能だろうかノロいだろうか。
グリフォンさんも困惑してるわ!
そんなことしてると俺の方にマンティコアが仕掛けてくる。
「おオォ? 俺のことハ無視カァ? 寂しいネェ嫉妬シチャウネェ!」
「ひぃぃいいやあぁぁああ!? マンティコアさん、俺はおいしくないんで向こうの筋肉質な身の引き締まってるクルセイダーとかいかかですかー!!」
「俺、やわイ肉がスキなんだヨネェ」
「いやあああ! ほんと、マジ勘弁してください! 奥さんいるとかいってたのに俺のこと追っかけていいことないですって!」
「いいヤ限界だ、チョっとだけダから。俺をその気にサせた責任、トッテくれヨォ!」
「ぎぃいぃぃやあぁああぁ!?!?」
俺は終わりかもしれない。
向こうの方ではダクネスが踏ん張ってくれてるがアダマンタイト製の鎧はボロボロ、顔は嬉しそうに歪んで膝が笑っている。(恐怖とか疲労じゃなくて、武者震いなんだろうなぁ)
俺に助けは望めない。
俺の目の前に迫るサソリのぶっとい針。
ああ、マジでおわりかもしれん。
こうなったら死なば諸共でめぐみんに爆裂魔法放ってもらうか!?
そう思いつつも今のところそんな勇気はなく、神様仏様お助けくださいと涙を流していると。
そのとき、不思議なことが起こった。(仮面ライダーBLACKRXの必殺技風)
ガキン。
そんな甲高い金属同士がぶつかったような音が聞こえる。
何があったのか、おっかなびっくりで目を開けるとそこには……
「待たせたな」
「待たせたんならまずは謝罪だろ!」
「ええっ!?」
剣でサソリの尾を弾いたナナシさんがいた。
<主人公ちゃん>
なんかカズマ君に謝罪求められた件。
も、もしかしてカズマ君ってば私という事件のフィクサーに気づいてしまった感じですか!?
「嘘です! ついツッコミのかくあるべきっていう本能のせいで脊髄反射しただけなんです! 助けてくれてマジあざます!」
「そ、そうか?」
よかったー、多分これは私が黒幕だってパターンすら想定してない人の顔です!
やっぱりこう言う黒幕の正体がばれるときって、最後の最後までわからないのが醍醐味ですからこんな中途半端な時にバレたら興ざめですからね。
「ア、お、オマエは定期的に俺のコドモ養いにいい感じのエモノ用意してクレてたヤ」
「その煩わしい句とを閉ざせ、オスコーシ! 味方の混乱を誘発させるべく根拠のない嘘を吐くとは……全くもって度しがたい典型的な魔族よのう。この外法に手を染めた愚かなる者ども、疾くと去ね」
「
「あ、あのナナシ? マンティコアがめっちゃ困惑してるですが? 後子供がうんたらって言ってたんですが?」
「……魔族の言の葉は人の心を誑かすまやかしの術。故に、聞くに値しない!」
誤魔化しつつマンティコアを発勁で吹き飛ばす。
あ、もう一体いたマンティコアの番はすでに始末しました。
背後に回り込んで一撃KOです。
……さて、これからどう立ち回ろうか、そんなことを思っていると物陰で魔法のタイミングを探っていためぐみんがこっちに来て。
「やっぱりこの段階で来ましたか! ……師匠ならどうせ来てくれると思ってましたよ」
「その心は?」
「こんな楽しい現場を見す見す見過ごすはずないでしょう? 紅魔の因子を取り込んでいる師匠ならなおさら、ですよね?」
「道理だな……して、倒す算段は立っているな」
「ええ……しかし、余剰魔力がない今、私の魔法では周りの冒険者たちに被害がでてしまうので……」
「うむ、やはりそうか。……なら某が二体を相手取る。実はこの後、10件ほど某が対処すべき塩漬けが残っておるのでのう、効率重視で参る」
「……つまりトドメを私に任せてくれる、ということですね?」
「ああ。抜かるなよ」
ちなみに今の会話にはほとんど意味がないんです、ただのかっこつけです。
だから紅魔の因子とか言いましたけど気にしない方が吉です。
私は体を黒で覆う。
それはシルビアの時と同じ装い。
それを見ていたカズマやダクネスがぎょっとした目でこっちを見てきますがもちろん大丈夫!
後でカズマらに「どうして暴走状態になるリスクがある力の解放をしたんだ!」とか問い詰められたらこう答えよう。
「力の制御、一度加減を覚えてしまえば上限を理解し支配下に置くことなど容易い」
もちろん私がテンション高くなりすぎて自分の本性を露わにしてしまえば裏人格(私の本性)が表に出てくるでしょうが、まあそれはそれで乙なものです。
「さあ外法に手を染めた畜生ども、修羅の道を歩む某が引導を渡してやろう」
黒い瘴気のような魔力と聖なる神気を闘気とともに纏わせる。(幻術)
その気が翼のような塊を形成し、膨大なエネルギー故か浮き上がる体。(飛行魔法)
ニヤリと不敵にも口角を獰猛に引き上げた黒を見て、二体の獣は命の危機を感じてか、体を微かに固まらせる。
それをみて戦線離脱する冒険者たち。
黒は見据えて刀を構えて、天を駆ける竜のごとき煌めきが接近す。
そこからは冷たく鋭い斬撃と激しく熱い魔法の応報。
肉が斬れ、削げ、焦げ、血肉の香りが立ちこめる。
いつまで続くかわからないと思われたその戦いはたった一つの魔法で終わりを告げる。
エクスプロージョン。
身体、精神、魂魄、その万物を焼き尽くし消滅させる禁忌にして究極の光と熱。
激しい熱の暴風はただ一人の勝者を残して、固体も液体も、空気も空間も、何もかもを無に帰させたのだった。
次回 安楽女王討伐隊隊長・カズマが征く。かも
第100話まで読んでくれた方々、スペシャルサンクスです!
最終巻まで書くことを心に決めたのでよろしくお願いします。
なお、内容は決まってもないようです。