私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

ピクニックに行って爆裂魔法を放つまでを見守るだけの女神二人。
そんなピクニックから帰ってくると、なんと国の役人たちが待ち伏せていた!
一体どうする、主人公ちゃん!


納税から逃げる冒険者たちが逃走中してた

<めぐみん>

 

「冒険者の皆様。不安定かつ命の危険を伴うため、我々は今まで免除ではなく温情という形で皆さんの納税を見逃してきました。しかし、みなさん? 塩漬けクエスト、本当に、本当にご苦労様でした。1千万を超える収入になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?」

「「ギクリ」」

「そういう方にこそ安全な国の維持のため思えば、納税、してくださいますよね?」

「お、俺はどうせアクアが借金こさえてくるからその分をいつでも返済できるような蓄えが必要なんだ! だから無言でにじり寄るんじゃあないッ!」

 

 

今日、納税の最終期限日。

納税……普通ならば国民の義務であるそれは冒険者には当てはまらなかった。

そう、当てはまらなかった……過去形です。

 

 

「塩漬けクエストを一気に消化して、懐が温かい冒険者の方々ー! 納税を! どうかお国のために納税をー!」

「うっせー! 命がけで俺らが手に入れた纏まった金をぶんどろうとするお前らなんか黙ってろー!」

「くそ、どうしてこの街の冒険者たちは無駄に逃げ足が速いんだ! それに金ならたんまりあるから無駄に使えるぜーっと言っていたのにどうして逃げるんだ!」

 

 

ギルドのお姉さんと役人の人たちがカズマたちを追いかけています。

……ふっ、無様ですね。

どうして逃げ惑っているのか、かっこ良くありません。

荒くれ家業を生業としているものならば逃げずに正々堂々正面切って啖呵を切るべきです。

そう、私のように!

 

 

「ええっとめぐみんさんですね? どれどれ……ああ、めぐみんさんは低所得なので税は免除となります。こちらに名前を書いていただいて……」

「はい、恙なく記入を終えましたよ」

「はい、ありがとうございます。それではもう大丈夫ですよ」

「お勤め、ご苦労様です」ビシッ

 

 

私をみて唖然としているカズマたちにドヤ顔を見せつける。

……何ですか、私は決して貧乏じゃないですよ?

ただ実家も同然な屋敷では食費も何もかも私の財布を必要としないので稼ぐ必要もないのです。

一般家庭と比較しても衣食住がしっかりしている、それでいて好きなときに爆裂魔法を放てる最高の環境に身を置いてるだけで……

何故でしょう。

こう言う言い方をすると私、すごーくカズマ以上の穀潰し感が否めないのですが?

い、いえいえ、勘違いですよきっと!

私は爆裂魔法を放つだけでモンスター討伐に貢献していますし、報酬配分的には私が一番もらえるはずのところ遠慮してもらっていないだけですとも。

そんな何となくの不安をかき消そうとしているとギルドの扉が開く。

そこにいたのは師匠だった。

 

 

「もし、そこな公務員さん」

「こんにちはお嬢ちゃん? ごめんだけど今日はちょっと忙しいから落ち着くまで待っててくれないかい?」

「……嬢ちゃんなどと言われる年でもない。それに冒険者として用があって参ったのだ」

「あー……もしかして迷子かな? 金髪碧眼だしダスティネス様のお知り合い?」

「何度もいわすでない。某は納税の義務があって……!」

「君はまだ小さいから納税はしなくていいんだよ。全くアイリス様といいお嬢さんといい、若いのに立派な貴族の子だ。冒険者どもー! この子を見習って納税しろー!」

「……」

 

 

嗚呼、可哀想で可愛い師匠。

最近身長やバストが大きくなったことを嬉々として話していたのに全く相手にされてないくて、表情が一周回って無になってしまった。

ふらふら、よたよたと私の方にやってきて。

 

 

「のう、愛弟子よ。どうして某はこのような扱いなのだ。めぐみんと同じくらいの背丈であろうに……」

「お労しやシショ上。師匠は上品で物腰柔らかですから、喧嘩っ早い私のように冒険者として見られることが少ないんでしょう。それにギルドにはたまにしか足を運ばないでしょう? 役人の方は師匠の顔を知らないのでしょう」

「しかしだ、しかしいくら何でも納税の義務くらい果たさせてほしいのだが! これでも某この街の冒険者歴の中でも2位3位を争うレベルで長いはずだ! 貯蓄もあるし学園や防衛装置の強化のためにもどうか納税を! 最近アイリス殿下が親父殿に告げ口したせいで『国庫以外から資金を使うな』と厳命されてしまって私金では強化できないのだ」

「しかし師匠のところの店長は赤字製造機ですので、結局ほとんど利益なしです。その従業員である師匠も赤字相殺のために働いてるので……その、結局納税対象外です。納税しようとしてもできませんよ……」

「某は、無力だ……ッ!」

 

 

そんなことを言う師匠ですがよくよく見れば口元がニヤリと笑っています。

目元は悲しそうですが。

ずいぶん器用なことをする人だなと思いつつ、きっと子供扱いされた悲しみ以上の何かがあるものだと、そう思ったのです。

冒険者と職員の皆が鬼ごっこをするように次々と外に出て行くのを見届け、ついに私と師匠しかこの場にいなくなったそのときだった。

 

 

「……さて、茶番は終いだ」

「やはり何か策があるのですね、国庫を潤沢にするその案があるとは、流石、知略縦横神算鬼謀の言葉が相応しい聡明なお人です」

「世辞は良い。それに我が弟子であるならば某の案の目星くらいついているのではないか?」

「流石にどれを実行に移すかまでは計りかねますよ。貴族から強奪でしょうか。それとも国の法律を改変するのでしょうか。はたまた経済を動かすのか」

「流石は鬼才よ。長期的に見れば後者二つは良い。だが、折角の納税の機会だ。貴族にも参加していただくとしよう」

「義賊を働かせるのでしょうか」

「否。豪遊中申し訳ないが強制帰還してもらおう。すでに屋敷の前に公務員どもを貼り付けておる」

「本当に貴方という人は根回しが早いですね……」

 

 

……なんだか詰まんないです。

私の出番がないのはどういったことでしょうか。

いつもなら銀髪仮面盗賊団に連絡を取って脅迫させるくらいのことはしてくれるはずなのに、どうして今日に限って平和的解決策を……

そんなこと思っていると師匠が私の顔を見て「わかっておる」と口にしないものの、笑いかけて一つのボタンを出す。

 

 

「これはリゾート地に向かう強制帰還ゴーレムの起動スイッチ。言わんとしていることは……わかるな?」

「ええ! これを押して納税の義務を果たさない悪徳貴族を懲らしめてやるのですね! 各地でこの勧善懲悪が一斉に行われると考えると、なかなかの規模感に背筋がゾクゾクッとします! それではいきますよ! スイッチオンッ!」

 

 

ポチっと押されたボタンを押すとどこからかゴゴゴとエンジンが回転数を増していく音がする。

空を見上げれば何十……いえ、何百という飛翔型のゴーレムが私の盗賊団拠点から一斉に射出され、各地へ散る。

追加で地面を走る借金取りのような黒服グラサンのゴーレムも人以上の早さで走り始める。

 

 

「ふぁぁ……爽快、でーす……!」

「ご満悦のようで何よりだ」

 

 

本当に師匠の弟子でよかったと、このなぜか毎度のように作られる起動スイッチを押す度に思いますよ。

しかし何というか、カズマとアクアとダクネスがあのゴーレムに追いかけられていましたが、大丈夫ですかね?

無事逃げ切ることができることを願って私はアフタヌーンティーとしゃれ込むために師匠とともにウィズ魔道具店へ出向き、店主の淹れるおいしい紅茶と焼き菓子を口に入れるのであった。




超適当な次回予告

シルフィーナがロリコンウイルスによってコロリン病に犯されてしまった。
コロリン病の特効薬を手に入れるためカズマたちは奔走……する?
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