私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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三行で大体わかる前回のあらすじ

ペンギンさん、女神から残機を残しつつ何とか逃げおおせた。
カズマ、ゴミ箱の中から爪のかけらを発見した。
コロリン病の薬が完成して事なきを得た。


ご近所さんがお裾分けをアレンジしてみた

<主人公ちゃん>

 

店の扉がバンっと激しく開かれる。

そこには巨大な……それこそ人一人分くらいの重さはありそうな肉塊を大切そうに抱えているカズマ君が泣きそうな顔で立っていた。

後ろからダクネスとめぐみんも息を荒げてやってきたので一体何事かと、慌てるウィズとウォルバクをなだめつつ、どうしたのか聞き出してみると。

 

 

「ドラゴンの肉がくそまずかったんだよ! なんとかしてくれ~ナナえも~んっ!」

「しょうがないなぁカズマ君は」

「……言っておいてなんだけどノリいいな」

 

 

この直後、アクア様もご来店。

一瞬アクア様がこんがり丸焦げになって天界に帰還したものだと思った純粋なウィズと心配を返してほしい。

まあ私は見抜いてましたけどね。

 

そしてとりあえず、事情は把握した。

単純にくそほど高かったドラゴンの肉がまずいと知って、でも高級食材だから捨てるに捨てられないってことですね?

以前に私のドラゴン料理を食べたときにものすんごいうまくて、自分家でマネしたかったって訳ですね?

そしてダクネスやめぐみんに分け与えようとしても断られ、一人で完食しきるまで見張っててやるといじめられて泣きついてきたんですね?

皆まで言わなくても私に……神に隠し事はできませんよ?

 

 

と、いうわけで。

 

♬~ テレッテッテテ テテテテ テッテッテ ~(三分クッキングのテーマ)

 

開幕早々突然始まりました、久方ぶりの私による私のために三分クッキング、第84回!

なお、大体は3分の尺に収まりきらなかったためバッサリカットされてました。

ほろり……と悲しみの涙です。

 

さて、今回は何を作るかと言いますと、こちら!

デデン!(SEを出す魔法) バンッ!(食材をまな板の上に出す音)

 

 

「ド~ラ~ゴ~ン~の~お~に~く~」

「カズマは卑怯です! 師匠に任せたらカエルが軍鶏肉に化けるくらいにはヤバいのです! やっぱり私が代わりに食べてあげますよ!」

「俺が買ってきて、それをバカ呼ばわりしたくせに厚かましいぞ! ……ってかこれ、本当においしくなるのか? 俺が調理してもカエル以下だったぞ?」

 

 

ここで、ナナシズポイントっ!

ドラゴンは肉食動物で筋肉質、ということで固い、臭い、まずい、の三点が揃っているのですが、焼く前に3つの下ごしらえが必要です。

素材のポテンシャルを如何に引き出して、それを邪魔する部分を如何に削ぎ落とすかが大事なんです。

 

ということで。

1、冷蔵庫に余ってたカモネギのネギの青き所とご近所のサキュバスクイーンから頂いたニンニクを鍋に入れ、その鍋でウィズ魔道具店においてある流体Xを沸かし、それで茹でて臭みをとります。

2、繊維質過ぎるので、食材が切ったことに気づかないように、素早く、そして繊細に刃を細胞の一個一個の隙間を縫うようにして柔らかくしていきます。

3、油断すると目に果汁ブッシャーっと攻撃してくるパイナップルの果汁を頂戴し、それにつけて一休み……することなく一心不乱に思いの限りまな板をぶち続けます。

 

ラッシュをたたみかけるときには無駄無駄でもオラオラでもホアタタでも何でもいいので声を出すのが重要です。

 

これをすることであら不思議。

国産和牛も顔真っ青な柔らかさで臭みがないお肉が完成!

そしたらこれをインフェルノでコンガリさせてたらあっという間にドラゴンステーキが完成です。

 

 

「おあがりよ」

「いただきます! モグ……あ、あっふい! でもおいひい、おいしいです! モグモグガツガツ……」

「いやめぐみんちょっとそれ俺の……というかさっきの調理シーンを見てよく食おうという気になれるな!? 謎の物体につけ込んでるし、何故かインフェルノで焼いてたぞ!? 料理工程じゃなくて戦闘でも見てんのかと思ったわ!」

「モグモグ……ドラゴンは自分のブレスに耐えられるくらいの火炎耐性がある。それを上回る温度でこんがりと焼けば中に火が入りすぎることもなく短時間でおいしく仕上がる」

「何口の中もぐもぐさせてんだよそれ俺の分だっつったろ!」

「毒味……ではなく味見だ。料理人として必要であろう」

「今毒っつったか!?」

「はて、何のことか。それよりもこの量は2人で食べるには少々多かろう。皆で食べようか」

「それ俺の台詞なんだが!?」

 

 

そんなカズマ君をおいて、皆が自分の分を切り分けて食べ始めるのであった。

 

 

 

 

 

<カズマ>

 

「やっぱりドラゴンのお肉はおいしいですねぇ」

「やっぱりいつまで経ってもおかしいと感じざるを得ないじゃない……」

「大丈夫ですよウォルバクさん、一年もしないうちにコレジャナイト満足できないくらいに慣れていきますから」

「慣れるというか、それは毒されてるの間違いじゃないかしら!? 確実に餌付けされて依存させられてる気がするのは私だけなの!?」

「くっくっく……もっと食べるがいい!」

「何その悪役じみた台詞は!? まさか本当に……」

「そして健康的な肉付きになって日々の生活を充実させるがいい!」

「ママー! 俺んちのママになってー!」

「あ、カズマさん! ナナシさんは私の家族なんですから勝手に奪わないでください!」

 

 

というわけで俺たち四人はウィズ魔道具店にて、俺が持ち込んだ肉を料理してもらい、そのままごちそうを食らってた。

人様の家でこんなにはたしなくがっつくのもどうなのかとは思うが、俺たちの食欲はとどまるところを知らない。

マジでどうしてあんな変な調理してたのにこんなにおいしいんだよ!

肉汁が噛めば噛むほどあふれる肉汁ジュースが醤油ベースのソースに合ってナイフとフォークが止まらねぇ!

 

 

「これを毎日食べれるなんて……俺、この家の子になるわ」

「コレ小僧! 最近我が輩の居住スペースがただでさえ狭くなっているのだ。従業員はすでに募集締め切りである!」

「そんな堅いこと言うなよ」

「いいや断固として断る。汝、もしこのアットホームな職場に就職して、その後の未来は破産と出た」

「いやいや、俺バシバシ働くぞ!」

「いやいやいや、貴様が来れば青髪女も付属してくるだろうに。すれば貧乏店主との相乗効果によって我が輩と貴様の借金が国家予算10年分まで膨れ上がり共倒れする未来しか見えぬ」

 

 

確かにウィズとアクアの相乗効果が発揮した上で一週間店が持ったらすごい方だと思う。

それでもこのおいしい料理が毎日毎食提供されているアットホームな……というより

 

「どちらかと言えば、アットホームと言うより、店主と店員の爆乳が目当てな小僧よ」

「ち、違いますー! 俺はうちのパーティーに不足している母性をこの店に感じてただけですー!」

「んんー! 甘美な悪感情! やはり食事は皆で楽しむものであるな!」

「こ、コイツ!」

「そんなことよりとっとと食わねば紅魔族の娘の胃袋に全てすっぽり収まってしまうぞ? 食事に集中するが吉である」

 

 

そんなこんなで俺は自分の皿に目を戻し、両腕を使い始める。

それにしてもめぐみんの食欲は抜きん出てすごい。

それなのに腹も出っ張ってないし、身長と胸に栄養がいってるわけでもないし、きっと爆裂にすべてが奪われてしまってるのだろう。

かわいそうに。

 

何かを察しためぐみんが「私の明晰な頭脳は毎秒毎秒すさまじいエネルギーを消費するのです」何て言うのを尻目に、外のやかましいペタペタという足音が聞こえてきた。

その騒がしさはどんどんこちらの方に近づいてきて……

 

 

「バニル様! た、助けてくだs」

「『セイクリッド・エクソシズム』ッッ!!」

「ピャァァアアアアアー!」

 

 

食事に本気になっていたアクアが反射的に放った破魔の魔法が、食事中にも関わらず激しく扉を開けて入ってきた無礼千万ペンギンの着ぐるみに着弾し、プスプスと黒い煙を出しながら悲鳴を上げた。

――が、俺は見なかったことにして目の前にあったアクアの分をさっと自分の皿に移動させて肉汁を口の中であふれさせた。

 

 

「ちょっと、なにこれ悪魔の匂いが染みついたペンペンの着ぐるみよ! 臭いくせにかわいいなんて……!」

「ごくん。大体動物園とか水族館の匂いもそんなもんだろ。見なかったことにしてさっさと食事に戻ろうぜ。じゃなきゃお前の皿の肉が餓えた獣のめぐみんに、骨ごとハイエナのようにむさぼり尽くされるぞ」

「ふぇもふぇも! ほいふをふっとばさなくちゃ女神の名がふはるは!」

「俺が悪かったから食べながら肉を食うな! 仲間のことを信用して肉をおけ、な?」

「ごくん。私、みんなのことはアクシズ教の子たちと同じくらいかわいがってるけど、こんな至高のお肉を口にしてしまったみんなはきっと私が目を離した瞬間に皿を奪っちゃうって信頼があるわ!」

 

 

うん、正解。

だってさっき俺が一番最初に実行したし、俺の隣に座ってるめぐみんも尋常じゃないほど目をギラギラさせながら刹那の見切りをしている。

 

 

「ええい、なんなのだ貴様は! 私のことを浄化しようとして……」

「『セイクリッド・ハイネス・エクソシズム』ッッ!!」

「ウギヤァアアアアアアー! 目がァ……目が、あぁはぁぁ……」

「ど、どうししましょうカズマさん! この悪魔臭いペンペン、私の浄化魔法でコロコロ転げ回ってるくせに浄化されないわ!?」

「二回も破魔魔法ぶっぱするとか鬼畜だなぁ……。こいつはあれだよ、コロリン病を治すの協力してくれた悪魔さんだ。ってかどうしたんだよこんな場所に転がり込んでバニルに助けを求めるなんて」

 

 

悪魔に対する人の心など天国に置き忘れてきたのだろう、凶暴な極悪女神を押えつつ、ゼーレシルトに質問を投げかける。

するとはぁはぁと荒らげていた息を整えながら。

 

 

「ダスティネス嬢の隣にいた冴えない男ではないか……」

「冴えないとか言うなよ。この狂犬の手綱を握っていてほしいならなおさらな」

「……そこはかとなくイケている冒険者、その質問に答えるとしよう。だからその青髪プリーストを嗾けるのは止してくれないだろうか」

「案外余裕そうだな。アクアの呪文に抵抗してたし」

「もちろん余裕なんてない。しかし、この皇帝ペンペンマークツーは私の体に良く馴染む。おかげで悪魔が弱点とする聖属性を99%ほどカット、されているはずなんだがな……」

 

 

大変へんてこりんなネーミングセンスはさておき、その着ぐるみにそんなやばい機能がついてるなんて知らなかったぞ!?

まあがっつり効いてたし、女神の一撃は相当すごいってことだな。

……なんか、昔戦ったデュラハンの人とかもアクアの魔法にレジストしてたが、あの鎧にもそういう感じの機能があるんだったらそっち着ておけばよくないか?

「ペンギンなんてかっこよくない姿してんのに残虐公とか、ばかなんじゃねーの?」なんて思っているとナナシが。

 

 

「『ドレインタッチ』。ここに駆け込んできたということは……某の所のエリス様がすみません、本当に」

「いえいえ、このプロテクトスーツのおかげでかなり残機が温存できているので助かってます……それに傷の手当てまでしていただいて。それに『あの子はいつかやると思うので……』と私の身を案じてくださってくれたではないですか」

「……約束を都合のいいように解釈して奇襲を仕掛けるエリス様との地獄旅行は暴力沙汰があった故、中止の方向にする。安心してくれ」

「安心しました」

 

 

……ナナシさん、アンタ女神のくせにゼーレシルトといつの間にか仲を深めてたんだ?

そんなんだから邪神とか呼ばれるんだぞ。

それとエリス様を地獄へ嗾けようとするのは鬼畜の所業なのでやめろよ?

バニルもアクアもドン引きしてるから。




次回 宝島へ!

そしてそろそろアニメ三期!
モチベーショ上がりすぎて原作小説3週目、16巻まで読み終わりました!
なお、そんなことしているので次回の内容は何も書いていないのである。
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