私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回収まりきらなかったの分含めたあらすじ

カズマ宅、農業顧問の主人公ちゃんは今日もせっせと畑をトルネードで耕していた。
もちろん病原菌を駆除する風邪薬ポーション(改)を農薬代わりに散布する恩も忘れずに!
安楽少……じゃなくてマンドラゴラの苗をそろそろ植え替える時期にもなってきたので耳当てを持って地面を掘り返す。


惚気話が辛すぎて家出してみた

<めぐみん>

 

「え? ナナシが帰ってこない?」

 

 

カズマのそんな声が聞こえて思わず私は花壇のマンドラゴラの苗と鉢を落としてしまう。

幸いなことに師匠の遺伝子交配術により死の叫びは99%カットされているのでこの子もちょっぴり五月蠅いくらいですみましたが、私の心は穏やかではない。

急いで居間の方で聞こえたカズマの声の方へ走り出した。

 

 

「何ですか! 一体何の話ですか!」

「うおっ! 泥まみれで入ってくんなよばちみん。そこで正座してるアクアに浄化されてこい」

「誰がばっちいめぐみんですか! というか何ですかこの状況は! 訳がわかんないです!」

 

 

周りを見渡すと、ソファーに隠れたペンギンのぬいぐるみを撫でているダクネス、透け透けリッチーに膝枕しているアクア……

何というか、わかりたくもないのに状況が一瞬で理解できてしまう自分は相当この三人のことを知り尽くしているのでしょう。

 

 

「あれですか。ウィズとゼーレシルトが遊びに来たところをアクアが問答無用で浄化して、ギリギリ死ななかったペンギンがファンシー好きなダクネスの庇護下に入り、カズマがウィズの体力を回復させるついでにアクアを正座させて膝枕って感じですか」

「おっ、流石理解が早い。じゃあ説明不要だな」

「説明必要ですよ! なに面倒くさいからってサボろうとしてるのですか! さっきの師匠がうんちゃらの話の説明を求めます!」

「俺に聞かれたって……ウィズに聞いてくれよ」

 

 

私はアクアの膝で「ひんやりスベスベで気持ちいいはずなのにどうしてでしょう……体がピリピリしますぅ……」とか言ってるウィズのことをアクアから奪い取り問いただす。

 

 

「それで、一体何があったというのですか?」

「ええっと、私は何もしていないのですが、ここ数日ナナシさんが帰ってこないのです……まあ昔はよくダンジョン隠りと言う名のレベル上げをしていたので一日どころか数日家に帰らないことなんてざらだったのでそれくらい気にしてはいないのですが……気にしていないはずなのですが……こう、心が落ち着かないといいますか」

「はああああああ……」

「な、何でそんな大きなため息を!?」

 

 

このリッチーは何もわかっていないようですね。

どうしてこう長年付き添ってきたというのに……ああ、もどかしい!

本当は自分で気づかせたかったのですが悠長なことをいってられません!

 

 

「ウィズ、貴方は毎日一緒に師匠といるのにも関わらず師匠の真意がわかっていませんね! いいですか! 師匠は貴方が家庭を築くこと自体には賛成しているようです」

「ええっ!?」

「しかし嫁入りに必要なものといえば、わかりますか」

「よ、嫁入りに必要なもの……ええと」

「ぜんっぜん違います!」

「いきなり全否定!? わ、私何も言っていないのに……」

「いいですか、あなたに必要なものは料理スキルです! 相手は仕事を辞めて家庭に入れと迫ってくるヤツですよ? 料理は必須でしょう」

「た、確かに」

「しかし、師匠がいれば全てを一人でこなしてしまうので成長の妨げとなるので、師匠は自ら遠出をしたのです」

「な、なるほど……」

 

 

ウィズは袖をまくり早速料理修業に取りかかろうとしていますが、私はそれはすべきことではないと、そう思うのです。

もちろんウィズの恋路は応援したいと思っていますが、紛れもなくその相手はデュークとかいう輩ではないことは確かだ。

じゃあ誰がいいかと言えば。

 

私が思うに不老不死であるのが必須条件です。

と言うのはウィズは不老、故に一人老いていく伴侶、置いていかれ独りになるウィズを思えばこそ、寿命の克服は必須事項なのです。

というわけであの人間だろう男は却下。

 

しかし、しかしながらこの魔道具店には不老が集っていますし、人類にも友好的。

ウィズと長く付き添っていける家族がいるのでそこから見つければいいでしょう。

その中に意中の人がいれば。

 

 

「一つお尋ねしますが、ウィズは師匠のことをどうお思いで? デュークとかいう輩の方が好きなのですか?」

「わ、私は今まで誰とも付き合っていなくて、自分がどう思っているのかもわからず、その思いをストレートに伝えてくださった人にどう接すればいいのか……」

「はああああああああああああ」

「に、二回目!? 二回もそんなに大きなため息をすることありますか!?」

「誰とも付き合っていない? 何年も一緒の家で仲睦まじく過ごしてきた二人が付き合っていない!? カズマこれは重症ですよ」

「重症なのはお前だと思うぞ」

 

 

カズマが何か言っていますが、きっと私の発言に賛成してくれる何かでしょう。

あまりのショックでよく聞こえませんでしたがきっとそうに違いありません!

まさか恋愛初心者のウィズがここまで自分の恋心もわからないウブだったとは。

 

 

「あの、ま、まさかとは思いますがあのデュークとか言う男の惚気話などしていませんよね?」

「の、惚気? 私はただデュークさんにあれだけ熱烈に告白されてしまい、一体どうすればいいのかということをナナシさんに相談をしようとして……」

「はあああああ……それを惚気というのですよ! いいですか、貴方がすべきはデュークとかいう輩を爆裂魔法で一撃爆殺することです! それが最も手っ取り早く師匠を家につれ返せます」

「三回目!? それにどうしてそんなに過激な!?」

 

 

こんなこともわからないとは……

恋とは盲目なのか、それともウィズは商品を見る目だけでなく人を見る目もないのか。

応援しがいがありそうですね。

 

 

「いいですか、私が思うにウィズ、貴方は師匠のことを好いています」

「そ、それは家族として好きではありますが……」

「じゃあ問いますよ! 師匠がいないとどう思いますか」

「えっと」

「モヤモヤしますよね! 私もカズマがいないと寂しくてモヤモヤします! そういうことです!」

「な、なるほど! こ、これが恋……!」

「なんか違うと思うぞー」

「という訳で、一先ずデュークとかいう輩をぶっ飛ばしにいき、きっぱりさっぱりフりましょう」

「わかりました! 私、初めての告白でドキドキしていたのが緊張による勘違いだということをしっかり伝えてきます!」

 

 

こうして、紅魔族随一の恋愛マスターめぐみんのおかげでまた一人、恋に悩む乙女が救われたのだった。

 

 

 

 

 

<カズマ>

 

「というわけで私は今の仕事を辞める気はありません。これだけは絶対譲れない思いに気がついたんです……」

「そうか……元は氷の魔女と呼ばれた至高の冒険者パーティーのリーダー。それが今となってはアンデッドの王リッチーへと成り下がり、それでもなお魔道の神髄を究めんとする者よ。俺の名はデューク。お前に決闘を申し込む!」

 

 

灼熱の業火と純白の霧が吹き荒れ、その戦いは始まった。

デュークの炎魔法とウィズの氷結魔法がぶつかり……

地面を見るとドロドロに溶けたマグマのような場所、氷の結晶が逆立つ場所、その境界がくっきりとしていた。

 

 

「感動だ! 俺は今モーレツに感動している! これだよこれ! これこそがファンタジーの醍醐味魔法戦だよ!」

「あれ!? カズマカズマ、一応私と師匠の壮絶な爆裂魔法合戦があったりしたのですがそれより見劣りするこれの方がいいのですか!?」

「そうだよ! あれは固定砲台めぐみんが一方的に防御結界を破壊するだけだったじゃん。魔法の撃ち合いじゃないじゃん! 俺が求めてたのは魔法を打ち消しあったりするこういうバトルなんだよ!」

 

 

最初は「まーたおかしなことになったぞ」なんて思ってたが、今俺は最高の気分だ!

ありがとう異世界!

そんなことを思っているとデュークが焦りの表情を浮かべながら。

 

 

「どうして……どうしてお前は俺に攻撃しようとしないんだ! 『サンクチュアリ』!」

「いたたっ! そんなこと言っても私は誰かを殺すなんてできませんよ……」

「何を言ってるのですかウィズ! かつての貴方は向かってくるモノ全てを敵と認識して氷結させまくる魔女だったのでしょう! 早く師匠に思いを伝えるためにもあの男をけちょんけちょんにちぎるなり爆殺するなりするのですよ!」

「何言ってるんですかめぐみんさん!?」

 

 

何か物騒なことをいっているめぐみんだったが、それを止める声がかかる。

その声は魔道具店で聞きなじみのある、いつも飄々としている……

 

 

「フハハハハハ! ナナシかと思うたか、残念、我が輩でした!」

 

 

想像してた人とは違う悪魔が出てきたので俺は迷うことなく落ちていた石を拾い上げ、その空気を読まない悪魔に投げつけた。




次回予告かもしれない

主人公ちゃんは一体どこにいるのか、どうしてバニルがここにいるのか、その真相が明らかになるかもしれない!
次回こそ、堕天使、死す! はず!
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