私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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今までのゆんゆんのあらすじ

第30話:「私も紅魔族の次期長としてかっこいい異名くらい持ってても……流石に頭のおかしい爆裂娘はどうかと思うけどドラゴンスレイヤーとかはかっこいいかもだしその方向で頑張ろっかな……」なんて思っていたゆんゆん。
第45話:初号機「レッド・クリムゾン=スカーレット」に搭乗したゆんゆん。
第47話:「『赤き炎を纏いし戦士』ゆんゆん」という異名を得てしまったゆんゆん。
第80話:変形合体デンドロメイデンのパイロット「ゆんゆん! いっきまーす!」

そして今回、いろいろ狂わされているゆんゆんのお宅へ突入だ!


ぼっちは友達が少なくてテイマーになった

<カズマ>

 

夕飯の後。

俺はめぐみんとお義母さんの親子喧嘩に巻き込まれる前に潜伏スキルを発動させ家を出たわけだが……

まああの二人がどうして喧嘩を始めたかといえば、お義母さんが「早く孫を見せてね? アナタの寝室は物置になってるからしっかりカズマさんの部屋に行ってやることやりなさいな」と言ったのが発端だ。

それに対してめぐみんが「実の子供の前で変なことを抜かさないでください!」などと激高し、そこにダクネスが「めぐみんはむっつりだ! というかカズマは私の結婚式に乱入して私を攫っていったのだ! 私の方にもそういう権利はある!」などと言い、プロレス大会が勃発した。

 

もちろん嬉しかった。

何だか異世界に来てハーレムしてるみたいで嬉しかった。

何なら「俺のために争わないで!」くらい言いたかったが、お義母さんがパラライズやスリープなど撃ってきたので、喜々として当たりに行ったダクネスを陰にして俺は潜伏を使わざるを得なかった。

 

こめっこはナナシさんに寝かしつけられて、逞しくも強かに寝息を立てていたので害を被らなかったが、酒瓶を取りに戻ったせいで逃げ遅れたアクアの声が家の外からでも騒がしく聞こえてくる。

だから災害起きたら「おかしも」の「も」に注意しろって言ったのに……

 

俺は障子に映る影に合掌し、頼れる人のところに一晩泊めてもらおうと夜の紅魔の里を歩き出した。

 

 

「って訳なんだが、ゆんゆん、この可哀想な俺を一晩泊めさせてくれ」

「は、はいっ! よろこんでー! え、えへへ、お友達と、しかも私の家でお泊まりなんて初めてだわ……!」

 

 

珍しいパジャマ姿で玄関に出てきて、居酒屋のアルバイターのように元気な声で返事をするのは族長のひとり娘。

一人っ子って意味で、ひとりぼっちって意味じゃない。

 

 

「な、なあ俺が言っておいて何だが本当に泊めさせてくれるのか? というか族長さんは?」

「今お父さんは里を代表して魔王の娘に直接交渉しに行ってるんです。観光名所の望遠鏡で魔王城を見られるんですが、何でか魔王の娘がそれを知って怒り狂ってるらしくて……どうしてでしょうね?」

「思春期なんだろ。プライベートを見られたくないって言うアレだ……知らんけど」

「な、なるほど。サボちゃんもそう思う? そうよね、やっぱり過保護すぎるのは鬱陶しく感じるお年頃ってあるわよね」

 

 

ゆんゆんがサボテンに向かって話しかけてる……

ただぼっちを拗らせすぎて俺には見えないイマジナリーフレンドがいるのか、それともサボテンがお友達だってのは本当だったのか。

電波系なのは名前だけだと思っていたのだが、意外にこの子も立派な紅魔族なのかもしれない。

 

 

「カズマさん、どうやら望遠鏡で魔王の娘の部屋を覗き見してるニートが多くって、それに怒ってるみたいですよ。全く、女の子の部屋を勝手に覗くなんて!」

「オイ。今の情報どっから知ったんだよ」

「えっ、いや、普通にサボちゃんが喋ってましたよね?」

「…………いいや?」

「あ、あのぅ、もしかしてサボちゃんの声が聞こえないんですか?」

「うん。もしかしなくても聞こえない」

 

 

驚きのあまり口を塞いで「う、嘘でしょ!?」とか言ってるが、それはこっちの台詞だわ!

中二病だ!

ここに絶滅危惧種指定されてる旧世代のリアルな中二病がいらっしゃる!

 

い、いや、落ち着けサトウカズマ17歳!

きっとあれだ、ゆんゆんに限って紅魔族らしいなんてあり得ない。

となると孤独が彼女を狂わせたんだ!

(違います。狂わせたのは主人公ちゃんです)

ずっと独りぼっちだったゆんゆんは孤独を紛らわせるために友達の幻影を脳裏に映し出し、サボテンをサボテンとは思わずに向かって話してるだけなんだそうに違いない!

(違います。ドライアードの子供が宿ってて、ゆんゆんが精霊言語を聞き取れるだけです)

俺は心が痛くなって思わずゆんゆんの肩に手をやった。

 

 

「あ、あのカズマさん? 急にどうしたんですか私の肩と自分の口に手を当てて涙を堪えるような仕草で……」

「ううん、何でもないんだよゆんゆん。ただ君の周りには思っているより多くの友人がいるんだ。それを忘れないようにね?」

「ま、まさか私が虚空に向かって話しかけてると思って!? 私は友達と話していただけよ!」

「エア友達とだろ? 大丈夫だ、俺はそういうのには理解がある方だしきっと他の奴らも……」

「ち、違いますから! というか本当に、カズマさんの言うとおり私には意外にも友達がたくさんいるんですからね!? 今日はもう寝ちゃってるんで明日にでも紹介しましょうか!?」

「無理して見栄を張らなくてもいいんだよゆんゆん。あれだろ? ふにくらとどろんことあろえってヤツだろ? 同級生の」

「み、みんな微妙に名前が違いますよ! そ、それに同級生以外にもしっかり……!」

「まさか…………お金をあげて友達になってもらったのか!? 確かにただの口約束よりも現実的な拘束力がありそうだがそれは真の友情じゃない! やめるんだ!」

「そんなことしてません本当なんです! 信じて! 友達なら私のこと信じてください! ほ、ほら! このサンちゃんだってお友達なんですよ! ねーサンちゃん、お友達~」

『サンチャン、オトモダチ~』

 

 

くねくねと体を動かしてゆんゆんの言葉を繰り返す昔の音楽に合わせて動くお花のおもちゃ。

俺は友達をやめないといけないかもらしい。

残酷な真実をこの純粋な目をした娘に話すなんて俺には……できない……!

 

「本当なんですってぇ! 明日の朝紹介しますから涙をホロリさせないでぇ!」

 

…………とりあえず、一晩だけ泊まったらゆんゆんが起きる前に帰……ろ……?

 

 

 

 

翌朝。

何だか記憶があやふやだ。

慣れない場所で緊張してすぐに寝てしまったらしい。

よくよく考えれば今日は俺とゆんゆんの二人しかこの家にはいなかったのに、何もイベントらしいイベントがなかったという事実に深く後悔した。

どうしてあのときの俺は速攻で寝たんだよ!

 

 

「ふわぁ~ぁ……あっおはようございますぅ、カズマしゃんもよく眠れたみたいですにぇ。ううーんっ! サンちゃんのお花の香りってリラックスして寝付き良くなるんですよ」

 

 

眠そうに顔を見せたゆんゆんが体を伸ばした。

リラックス効果で寝付きがよかったらしい……

いや、リラックスってか、俺の場合記憶がなくて死んだように速攻で寝たんだが?

サングラスダンシングフラワーことサンちゃんの方を見ると、さっきまで俺の方を見てたのに、俺と目が合った瞬間太陽の方に顔をそらした。

 

……おい、もしかして俺に何かしたのかこの花?

おもちゃだと思ってたらこの世界の変な原生生物だったのかこいつ!

明確な意思を持って犯行に及んだんだろ……ひまわりに似てるからって太陽を見てごまかそうとすな!

 

なんて睨み付けていると、急に日光が何かに遮られ、シュンとなるサンちゃん。

植物の光合成に必要な日光は生きる活力らしい。

 

しっかし、どうして急に曇ったんだ?

なんて思って窓の方を見ると……思わず俺は小さく悲鳴を上げ尻餅をつく。

窓にあったのは大きな目。

ドラゴンだ!

 

 

「ひ、ひえぇええ!? ゆゆゆゆゆゆんゆんん! に、にげ! 家が潰される前に!」

「ああっ! 大丈夫ですよカズマさん、落ち着いて! ……ほんと落ち着いてください! 私のパジャマつかんで外につれてこうとしないでぇっ! 伸びちゃう! おきにのパジャマが伸びちゃうーっ!」

「ぐえっ!? ゆんゆんさん絞まってる絞まってる俺の首! ぐるじいだずげ……」ガクッ

「か、カズマさぁぁあああんっっ!!」

 

 

 

「とりあえずわかった。このドラゴンはゆんゆんのペットなんだな」

「はいそうです! 最近学校のぷっちん先生が『学校の竜舎には収まらんヤツだコイツは……物理的にも。大空に羽ばたかせるために族長の娘であるゆんゆんに面倒は任せた! 別に皆が面倒くさがって引き取ってくれる者がいなかったわけじゃないからな』と言って私に」

「ゆんゆん家の庭が広いからって押しつけられたのか」

「ま、まあ。でもでもですよ、最初は厄介ごとをまた族長に任せられたって思ってたんですけど、この子は賢くて、一緒に過ごしていくうちに友達になってくれて……ね、ジャリッパ」

「キュー」

 

 

ゆんゆんに下顎をなでられ、気持ちよさそうに顔を澄ましているのはジャリッパ……真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)の子供らしい。

と言っても全長は5メートル以上と十分でかい。

これで子供というのだから大人になったら……

ちなみに、めぐみんがナナシから貰ってきたドラゴンの赤ちゃんと同じ名前なのはきっと紅魔族がペットにつけがちな名前だからだろう。

そう……信じたい。

 

 

「それにしてもドラゴンが友達か。うちのゼル帝じゃ無理だが、空の旅とかできたら楽しそうだな……」

「取りあえず試練が終わったら一緒に飛びましょうか? ()()()には試練のためにコンディションを万全にしてもらってるので、その後にでも……」

「マジで! そんなの異世界じゃん! ファンタジーじゃん! 感激だよゆんゆん! じゃあさっさと試練を終わらせて……って今なんて? みんな?」

 

 

そんなことを言ってしまったせいか、ズシン、ズシンと地面が揺れ始める。

巨大なものが迫ってきているときのアレだ。

しかも一体じゃない。

思わず「なんじゃこりゃぁああっ!?」って声を出すが、ゆんゆん、その他外で洗濯をしていた紅魔族などは特に気にもとめずにいた。

この里は何かおかしい。

 

 

「あぁ! クロちゃんにパック! 今日はシロくんとアオくん連れて遊んでたの?」

「いやぁ~この二人勝手に遊びに来ちゃってさ、確かに最近遊べてなかったけどさ僕たちだって忙しいのに……ねぇ。クロもそう思うってさ」

「まあまあ、せっかく遊びに来てくれたお友達なんだもの、あんまり無碍にしちゃだめよ?」

「……君がそう言うんだったら遊ぶのも吝かじゃないんだけどね!」

 

 

俺は白目をむく。

だって猫耳2匹に竜3頭(そのうち1頭は頭が8つあるので、竜の頭は合計10個ある)んだぞ?

意味わからんわ!

 

そんなこと思っているとお喋りできる浮遊猫は4体を引き連れて森の方へ。

うん、いろいろ突っ込みどころがあるぞ。

 

 

「最近一撃熊の親子と戯れるのが日課なんですって」

「……なあ」

「どうしましたカズマさん?」

「俺の目に狂いがなきゃ今の猫、浮いてたよな?」

「まあまあ。ちょむすけだって羽が生えてますし」

「そんな謎生物を飼ってんのか?」

「飼ってるというか精霊というか家族というか……ま、まあちょむすけも居ますし今更じゃないですか?」

「確かに今更だな……ってなるか! まさかとは思うがあの白い虎と青い龍と八岐大蛇も飼ってんのか!?」

 

 

ちょむすけは火を噴くし、何なら今の猫は喋ってたし、さすが異世界……

ということにできるか!

あんな変なモンスターが近くでうよついてたのに俺ってば熟睡しちゃってたわ!

敵感知スキルが発動しないから危害を与えるつもりがないのはわかるが、猫はともかく、あんな巨大なやつが寝返り打っただけでも俺は死ぬぞ!

 

 

「い、いえシロくんとアオくんは違いますよ? ただ親がナナシ先生なので、里帰りにたまーに来て、そのときにクロちゃんと仲良くなったみたいで」

「じゃあその、クロちゃんとかいう八岐大蛇みたいなのは家族なんだよな? なんか見覚えがあるんだが……」

「クーロンズヒュドラのクロちゃんですね。クロちゃんの種族は頭のどれかが落ちて、長い手足がニョキニョキと草のように生えて、自分の親のようになるみたいで。アクセルの街にいたあの個体が親だったみたいですね」

「……ドラゴンの界隈ではモテモテなんだな」

「はい、モテモテです!」

 

 

「……最近二人で一緒に遊びすぎて被害があって、懸賞金が二人で5億らしい」とかなんとかナナシが言ってた気がするのは気のせいだろう。

そんなやばい奴らが俺の近くでうろちょろしてるって思ったら熟睡できないじゃあないか。

そんなこと思ってると、ゆんゆんが俺の方に向いて。

 

 

「じゃあカズマさん! これから紅魔の試練、一緒によろしくお願いしますね!」

 

 

うん、俺、いらないよな?




次回(たぶん)

カズマを探してめぐみんたちも族長宅に訪問。
よくよく見るとモンスターと共存するとかいって、モンスターをニート化さて触れ合わせる「魔物牧場」なるものが建築予定とのこと。
新たな観光名所の予感にアクアのマンドラちゃんも嬉しそう!

そんな喜びの中、変態鎧、現る!
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