じゃじゃ馬が暴れていたので避難したカズマ。
ゆんゆんの家にお泊まりしたが、朝になると……
意外! そこにはゆんゆんのお友達(人外)が!
※「獣」と書いて「けもの」「けだもの」と読む。
<主人公ちゃん>
アクア、めぐみん、ダクネスの三人と一緒にカズマを捜索してます、私です。
まあどこにいるのかは見当がついているので、一先ず念のため酒屋に顔を出してから、ゆんゆんの家に。
……別にカズマにGPSをつけてるわけじゃあないですからね?
ただ紅魔の里の状態は逐一更新されて、どうでもいい情報が勝手に入ってきますので。
そうしてゆんゆんの家について、ドアを開けたら……
「ガタガタガタガタガタガタガタ……」
「し、師匠? 一体カズマはどうしてしまったのでしょうか、体を縮めこませてがたがたふるえて……」
「これはタケシ化と呼ばれる症状か」
「な、なんですかそれは!?」
「あ、私知ってるわ! 巨大なブルーベリーに追いかけられるとこうなる人がいるんでしょ! 前にジャイアントトードに追いかけられて、その傷が抉れたのね、かわいそうに。……でもどうして今こうなってるのかしら?」
どうやらアクアさんはすっかりトラウマを克服したみたいですね!
もしくはあの恐怖を忘れてるだけか。
それはともかく、何があったのかは容易に想像できることです。
現に私たちのたっている場所が影で覆われましたしね。
「……ねえのじゃロリちゃん」
「なんじゃ?」
「私ね、すんごい嫌な予感がするの。具体的にいうとこの後ぱっくり後ろから食べられちゃうっていう……。いやいや、私の気のせいよね! だってここは紅魔の里だもの、不倶戴天の敵ジャイアントトードはいなペプリ」
ジャイアントトードに頭から飲み込まれたアクアちゃんはきっと一級フラグ建築士の才能を持ってるんだと思います。
まあ飲み込まれたっていっても、甘噛みされてるだけだし、何ら問題はないと思いますが……
そんなことありませんでした。
カズマくんの隣で体育座りするアクアちゃんが。
「ガタガタガタガタガタガタガタ……」
「ああっ! すみませんアクアさん! ほら、ごめんなさいして? 甘噛みは悪いことじゃないんだけど、頭がべっちょりよだれまみれになっちゃったのは、ね?」
「そ、そうだ、アクアに甘噛みするのは遠慮してもらう代わりに私に! 私に甘噛みしてはくれないだろうか! モフモフな獣に粘液まみれにされると考えただけで…………ってどうして私から距離をとるのだ!」
「ダクネス。それはあなたがこの子たちより獣だからですよ」
「なぁ!?」
さすがに自分が獣だということを認めたくないのか、ダクネスは抗議の言葉をめぐみんに言っているけれど、そもそも人間は獣。
「人間こそ、地球を蝕む寄生虫……いや、寄生獣だ!」みたいなことを環境活動家のおっさんが言ってた気がしますし、ダクネス含め人も獣に違いありません。
そんなことを思っているとダクネスが。
「そう言えばこのジャイアントトードは一体どうしたのだ? どういうわけかゆんゆんには従順なようだが……。まさかアクセルの街の個体を、その、ち、ちちちちょ調教したのかっ……!」
「あ、いえ、そうではなくて、なんか湖の底に落ちていたこの『お友達を呼べる魔道具』と『お友達と一緒に食べるきびだんご』を使って召喚してお友達になったんですよ」
「桃太郎印のきびだんごは某の発明ぞ」
「とってもおいしいんですよこれ。それをみんな私に『お腰につけたきびだんご一つ私にくださいな』ってせがんでくるんです」
そう言えばアルダープが所有してた神器はゆんゆんがゲットしたんでした。
偶然見つけたそうで、悪い使い方はしてなかったからきびだんごあげるように言う以外は特になにもしなかったんですが、いつの間にか牧場ができてたんですよね。
そんな中、めぐみんが目を見開いて。
「モンスターと共存するとか言いましたが、まさか……まさかまさか! モンスターをニート化さるなんて!」
「ニート化!?」
「そう言わずして何というのでしょうか! きびだんごを餌として、狩り能力を削ぎ落とす、なんという所業!」
「違うわよ! 衣食住を完璧に用意してあげれば知性ある子はきっと心を開いてくれるの! 現に見てよほら! アクアさんのマンドラちゃんも嬉しそうじゃない!」
「ボッチの天敵ですよ! 絆されないでください!」
そんなこといいつつもめぐみんはかわいい赤ちゃん安楽少女(マンドラゴラ)にメロメロな様子。
かわいいは正義だからねしょうがないですよね!
こうしてゆんゆんの人魔共存への道はまた一つ進んだのであった。
それはそれとして、問題が。
そう、アクアちゃんとカズマくんがタケシ化したことによって一つ問題が。
それは……
「族長の試練、参加可能なのはダクネスのみ、か」
「す、すみませんダクネスさん……私のお友達がご迷惑を。二人をこんな状態にしてしまったせいで……」
「いや、もともと私は乗り気だったのだ」
「最近出番がなくて目立ちたかったんですよねダクネスは」
「め、めぐみん! 確かにそういうのも少しはあるかもしれないが、私はただ有名な英雄譚に倣い、前衛と後衛が協力し合って乗り越えていくという物語に憧れをだな……。公衆の面前で爆裂魔法を漏らして出禁になった当てつけのつもりか!」
「お、おい! 当てつけとかそんなんじゃないので公衆の面前で漏らしたとか、昨日の母への言い方と同じ言い回しを使うのはやめてもらおうじゃないか!」
まあそういうわけで、ゆんゆんは第一次試練をダクネスに付き添ってもらうことに。
しかし問題は試験の内容。
確か今回は……
A few hours later……
試験監督者として試練の最後を見届けた私は、二人を担いで、カズマくんとアクアちゃんの隣におろした。
「ガタガタガタガタガタガタガタ……」
「ガタガタガタガタガタガタガタ……」
「ガタガタガタガタガタガタガタ……」
「ガタガタガタガタガタガタガタ……」
「4人に増えました!? 一体何が!? さっきまでカズマとアクアだけだったのに、ついにはゆんゆんとダクネスまで!?」
「第一次試練の内容は、元は謎かけだったのだが……」
「謎かけで何で……って『元は』とおっしゃいました?」
「うむ、『紅魔族に必要なものと言えば』ということで」
「かっこよさを? ……この二人には酷なことでしたね」
そうです。
かっこいい名乗りとポーズを大勢の前で披露するという黒歴史発表会に強制参加させられた二人は、いざという時はかっこいいゆんゆんでさえ、撃沈したのであった。
しかし、しかしだ。
これは必要なことだったのです。
紅魔族と言えば……
上級魔法?
赤い瞳?
黒い髪?
変な名前?
否!
紅魔族と言えば中二病!
圧倒的名乗りこそが紅魔族を紅魔族たらしめるのです!
紅魔の長――つまり代表になるというのなら、代表にふさわしい名乗りをしっかりかっこよく決めなければならないのです!
紅魔族の裏の支配者(名前だけ)な私ですが、身体的特徴が当てはまらずとも、名前が奇天烈でなくても、名乗りだけは、かっこよさだけは紅魔族だからこそ、そのような地位にいるわけです!
<カズマ>
「…………マ……カズ……マ……カズマ、カズマ」
「ううん……」
「おはようございます。いえ、おそようとでも言えばいいのでしょうか? もう10時ですy」
「ああぁあああぁぁあああぁあぁああっっ!!」
「うわああああぁぁあぁあああぁあぁっっ!!」
「はぁ……はぁ……」
「一体朝っぱらからどうしたというのですかそんな大声出して!」
「め、めぐみんか……わ、悪い、その、悪い夢を……」
「もしかしてジャイアントトードにパックンされる夢ですか?」
俺は悪い夢を見てたんだ。
だがその内容をめぐみんに言い当てられ、もしかしてめぐみんも同じ夢を見てたのかと思っていると、なんだか違和感が。
具体的にいうと服。
「んなあめぐみん? 俺の勘違いだったらいいんだが、これ、俺のパジャマじゃなくね?」
「ええ、そうですね、これは私のお父さんのです」
「えっ?」
「昨日、カズマはゆんゆんのペットによだれまみれにされて、それが精神的にショックだったのか丸一日寝込んでいたのですよ? あ、カズマのパジャマとかの洗濯は終わってるので後で着替えてk」
「いやあああああぁぁあぁあぁあっっ!!」
「ひいやああぁああぁあっっ!?? ま、またなんですか! もしかしてトラウマが刺激されて……」
「違うわ! この痴女みん! 俺の服を脱がせて着せてくれたのはともかく、下着の方は一種のプレイに感じるけどそういう破廉恥なことは段階を踏んでからがいいと思うんだ俺は! 奥ゆかしい日本男児だもん!」
「だぁれが痴女みんですかぶっ飛ばしますよ! いくら何でも私だってそこまでしてませんよ! 流石にそのあたりはゴーレムが!」
激高しているめぐみんの指さす方を見ると頭の後ろを照れた感じでさするゴーレム……というかメイドロボが。
は、ハイテクだな紅魔族って種族は……
見た目は結構メカメカしく、女性型ではあるものの脱がされることに恥ずかしさはない。
だが、この見た目、どっかの遺跡で見た気が……(アニメ2期OVA)
まあ、すっかり俺は平静を取り戻した俺は一先ず綺麗な土下座を披露し、一言。
「すいません」
「…………一応、一応確認なんだが、本当に何もしてないんだよな? 知らぬ間に童貞喪失とかいやなんだが」
「本当ですって! 我が母は師匠と一緒にダンジョンに行ってレベル上げしていますし、そういう唆し要員は今もいませんから!」
次回
謎の研究施設へ突入だ!
そう思って足を踏み入れるとその奥に人型の影。
一体誰なのだろうか……