カズマを探してめぐみんたちも族長宅に訪問。
よくよく見るとモンスターと共存するとかいって、モンスターをニート化さて触れ合わせる「魔物牧場」なるものが建築予定とのこと。
新たな観光名所の予感にアクアのマンドラちゃんも嬉しそう!
<カズマ>
俺とめぐみんはゆんゆんの出してくれたお茶をすすり、牧場(ゆんゆんの家の庭)で元気に戯れているモンスターどもを見て和んでいた。
アクアはマンドラゴラの苗を植えて、ついでに友達作りを手伝っていたが、その過程でカエルのお友達と仲良くなり、今ではカエルの口の中から出たり入ったりしている。
まあマンドラゴラの苗木はキャッキャっと手をペチペチ叩きながら無邪気に笑っているので、アクアなりに幼子をあやしているのだろうと放置している。
そんなときのこと、ダクネスがいきなりこんなことを言い出した。
「不服だ」
「どうしましたかダクネス? アクアの育児に不満があるのなら行ってくればいいじゃないですか。鎧を脱いでいけばきっとジャイアントトードの口から出たり入ったりできますよ?」
「そ、そう言うことではない! さっきの試練についてだ!」
「というと?」
「さっきの試練は本来の出題分野とは違う試練だ! よってノーカンだ! ノーカンノーカン! ゆんゆんもさあ!」
「さ、さっきの試練に対する気持ちはわかりますが、とりあえず合格しましたし、わざわざやり直さなくても……」
「いやだいやだ! 私が何のために紅魔の里まで足を運んだか、これではまるで意味がないではないか!」
「ちょ、寝そべって駄々捏ねないでくださ……きゃ、ダクネスさんが壊れた!? カ、カズマさーんっ! めぐみーんっ! ダクネスさんを助けっ直してください!」
「ドエムは昔の機械と同じだ、叩けば直る」
そう言い残して俺は、直下型地震に驚いたわけじゃないが、急いで外に避難した。
怪力ゴリラが震源で、ジタバタ転げ回るせいで建物倒壊の危機を感じたからだ。
強いて言うとすれば、ここは紅魔の里。
見た目は耐震構造も何もない中世の建築物に見えるが、大体ナナシの手が加わっている。
つまり魔王軍の侵攻による魔法や物理攻撃程度じゃ内部には影響なしだったと、避難し終わってから気づいたのだった。
「うわーん! カズマさん私を捨てないでぇえっ! 昨日お泊まりしたのにただそれだけの関係でポイなんてぇえっ!」
「「カズマ!」」
「人聞き悪いこというなよ! 俺は単純に友達として族長宅に宿泊させてもらっただけだ! だから二人ともその拳をおろそうか!」
ダクネスだけじゃなくめぐみんまでもが怪力ゴリラになるところだった……
流石に俺のことをどう思っているのか問いただしたいところだが今日のところは見逃してやる!
別に今までの言動のせいで言い負けそうだからってわけじゃない。
二人が拳を納め、無駄な争いをせずにすんでよかったぜと額の汗を袖で拭っているとダクネスが。
「それで、さっきの試練の話だが……」
「まだ言うか! というか俺が元々受ける予定だったんだぞその試練! もし試練をもう一回やっても言いよっていったときには俺が出るんだから大人しく諦めろよ!」
「だが断る! カズマはレベルいくつだったか……確か20もなかったんじゃないか? 私より貧弱貧弱ゥ! そのようなステータスでは爆殺魔人もぐにんにんとやらに無駄無駄無駄無駄ァッされるぞ!」
こんのアマ!
前の試練でかっこいい名乗り(紅魔族の感性)を考えすぎて頭がハイッ!になってやがる!
しかし一つ気になることを言っていたが、なんだそのもぐにんって。
「この俺が、めぐみんの最終進化版みたいな変な名前したやつに負けると思ってんのか? 魔王軍幹部ですら俺の作戦の前には為す術ないんだぞ?」
「おい、私の進化版が爆殺魔人もぐにんにんだと言ったのならどういう思考回路だったか一度話を聞こうじゃないか」
「あれだろ? 最初はまぐみんで、進化していくとみぐみん、むぐみん、めぐみんってなって、最終的にはもぐみんになるんだろ?」
「そんなわけありますか! というかもぐみんはやめてください、私のパチモンみたいで何か嫌です! それと、カズマがもぐにんにんに勝てるわけないじゃないですか! 黒髪黒目の男を今まで抹殺してきた正体不明の恐ろしいモンスターですよ! 最近里の周りに出没してるのでカズマは試練に参加しては駄目ですからね! でないと爆殺されますよ」
黒髪黒目の男をターゲットにして爆殺する正体不明のモンスター?
何それ怖い!
魔王軍幹部と互角に渡り合ったみたいな話をしてごめんなさい。
やっぱ試練辞退させていただきます!
そんな心境だったのにゆんゆんが。
「ちょっと、あれは爆裂魔法騒動事件でとっさにめぐみんがついた嘘でしょう!? 勝手に私の選択肢を狭めるようなこといわないでよ!」
「おい、そうなのか!? もしかして俺がゆんゆんに取られるんじゃないかって思って嫉妬したのか!?」
「違います! ああもう! これだから察しの悪いぼっちは! 本当は爆裂魔人もぐにんにんがいたんですよ! でもソイツの駆除であなたの試練が中止になって族長になれないという話が上がったのでとっさに私が……」
「つんでれかよ。悪いが俺は魔王軍の人類滅亡政策にあらがうために、百合には反対派というスタンスなんだ。新たな世代へ麦わら帽子を託すみたいな感じで、俺も新たな世代を育成することを……。めぐみんも対抗しようと作戦を、その名も家族計画を考えていたはずなのにどうして!」
「そ、それってこ、子供を作るってことじゃ…………!?!?」
「ああっ、カズマは余計な口出ししないでください! ゆんゆんを再起不能にしたいのですか!」
ほんの冗談だったのに。
ゆんゆんは俺の話を真に受けて赤面して蒸気を出している。
しかし爆裂魔人ねぇ……
「なあ、その爆裂にんにんが出るってことは俺は試練に参加しない方がいいってことか?」
「そうですね、カズマの貧弱ステータスでは秒で爆殺です」
「お前まで俺のこと貧弱とか言うなよ。泣くぞ」
「殺されないか心配なんですね、可哀想なカズマ。大丈夫です、カズマのことは私が守ってあげますから」
「おい、大切な人を守るのは昔から決まって騎士の役目だと! いつだってそう相場が決まってるのに何を私の役目を奪おうとしてるんだ!? 私の方がカズマを守れるぞ!」
「やだこの娘たち、なんて男前!」
思わずときめいてしまった。
いや、でも男として女に守ってもらうのは……
しかもめぐみんに関しては俺より年下なのに、それでいいのか男サトウカズマ!
腕相撲では負けるし、体力勝負も負けるし、肉体スペック的に勝ってる点がないけれども!
「いいかカズマ。私はカズマを……いや皆を守るクルセイダーだ」
「ひゃ、ひゃい……!」
「今回も守らせてはくれないか?」
トゥンク
俺は思わず顔をそらせる。
ダクネスのきれいな碧眼に俺の瞳が映り込むのを見ただけで何ドキドキしちゃってんだよ!
落ち着け、まずは返事を……
「と、とりあえず今までも俺たちのことを守ってくれてるしな、ダクネスじゃないとやっぱり守りは駄目なんじゃないか……なんて」
「そうか! では行こうではないか!」
「どこに」
「無論再試練の要請だ。パーティーリーダー直々の激励を受けたんだ、もう私を止められるものは何もない! さあゆんゆんもう一度試練にともに立ち向かおう!」
「俺のときめきを返せ!」
間違えてダクネスにゴーサインを出してしまった。
本当に顔面使って人をたぶらかすのうまくなりやがって……
ダクネスのくせに生意気だ!
****
「という訳でやってきました謎の研究施設!」
「いや、どういうわけだよ」
「決まっているでしょう、ダクネスがこれ以上地団駄を踏んで地面を揺るがす前に、試練の審査を担当している師匠に会って試練内容を変えてもらうのです」
俺たちはめぐみんに連れられ謎の研究施設に来ていた。
いや、謎の研究施設って何だよ!
確かにナナシがいそうな場所だけでも!
「入りましょう。師匠のラボに!」
「……『ノイズ開発局』って書いてあるぞ」
「ほう、流石は私の弟弟子。古代語が読めるとは。そう、ここはデストロイヤーを作成したと言われる魔道技術大国、今は亡きノイズの遺跡……を復旧させて師匠が使っている研究所です」
……古代語っていうか日本語だけどな。
直談判に来た原因、ダクネスは文字を読めずに首をかしげている。
もちろんゆんゆんもだ。
しかし、驚いたのはめぐみんがそれを知っているように話すこと。
「何、お前これ読めんの?」
「ええ、最近私も古代語の勉強を始めたのでヒラガナとカタカナという二種類といくつかの意味は」
「……お前って爆裂魔法オンリーじゃなきゃもっと世界に認められてると思うんだ」
「そうでしょうとも、なにせ私は天才ですから」
褒めたんじゃなくて爆裂狂いだって皮肉ったんだけど。
そう思いつつ俺は自動ドアの中に入る。
勝手に開くドアにビクつくダクネスとゆんゆんは見てて面白い。
「なんだ、新手のトラップか!?」
「も、もしかしたら目に見えない妖精さんが歓迎してドアを開けてくれたのかも……?」
「いや、これは試練だ、すでに試練が始まって……ああっ! 閉まるぞ! 閉まりきる前に飛び込むんだ!」
「は、はい!」
異世界人にとって地球の便利設備の数々はトラップに見えるらしい。
クリーンルームでは毒ガスが散布されたのかと思って息を止めるし、お掃除ロボットは侵入者迎撃ゴーレムかと臨戦態勢をとるし、パスワードの数字を入力して中に入る場所は開かずの扉で無理矢理ライトオブセイバーや強力で突破しようとするし。
俺とめぐみんが罠を華麗に回避したりしてると思ってるのがまた面白い。
そして……
「おお、懐かし! ガチャガチャじゃん」
「カ、カズマ! うかつに近づくな! その餓者餓者とやらは何をしでかすか!」
「心配すんな、こいつは金品を献上すると口にため込んでいるお宝と交換してくれる友好モンスターだ。地元の駄菓子屋の近くによく立ってたなぁ」
「な、なるほど、流石はナナシの弟子、博識な……」
ダクネスに感心されて悪い気分じゃない。
が、俺はこのガチャの景品一覧を見てさらに気分をよくする。
「マジか! 一等賞はナンテンドーのスリーティーエスじゃん! 人気すぎて買ってもらえなかったんだよ! えっ、二等賞でプレイスケーションフェーブ! どっちも大当たりじゃん! で、三等賞はモルモット参加券よっしゃー! …………モルモット参加券?」
「ああ、私が当てたやつですね」
「……何これ」
「師匠の魔改造手術……という名の整骨強制、筋膜リリース、豊胸に効果があるらしいマッサージです。なかなか気持ちいんですよこれが。しかも『ゴットハンド』によって神気を注入された体内は血の巡りがよくなり、循環系が活性化、魔力、気力の廻りを高め、魔力量アップです!」
「もはやマッサージと言う名の魔改造の方が言い方として正しくね?」
「最初は痛いんですが、なかなか癖になりますので、どうですか? 100エリスで、大体これしか入ってないんで引いてみる価値ありです」
そう言ってめぐみんがエリスコインを入れ、ガチャリガチャリとレバーを回す。
それを見てあわあわしているダクネスゆんゆんは魔物の威嚇音だと勘違いしたらしい。
カプセルが中から落ちてきてめぐみんはそれを開け……
「……何ですか、ナンテンドー? 外れですね」ポイ
「ああっ! ゴミ入れに入れんなよ!」
めぐみんはもう一度引き直し、『被験者参加場』と書かれていた場所に入っていった。
その中から聞こえた音は……ゴキンッ、とか、ボキボキボキンッ、とか、グキリッ、とか、ウィイイィインッとか、恐ろしい音だった。
俺はあの中には入らないと固く誓った。
ちなみにゴミ箱の中を漁り手に入れた交換券はその中から出てきたマッドサイエンテストチックな服装のナナシに渡して交換した。
師曰く「ガチャガチャの中身を引き終えてしまったのでな、代わりに何か入れておこうと思って作った」と。
今度俺の好きなゲームカセットを作ってもらおうと思う。
次回予告かもしれないですね
お肌つやつや、魔力上昇、血行促進……なんか満月の夜のバニル仮面と同じ効果を付与されためぐみんが暴れる!
そんな破壊神が近くにいながらもダクネスとゆんゆんの2次試練は無事終わるのか!?