私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ……のような補足

セレスディナさんはナナシの代わりにウィズ魔道具店の代打では入った。
あんなにやさぐれてる感じなのに打刻時間は制服に着替え終わってから、残業では通常業務時間で仕事を終わらせたことにして、その後いやな顔をせずに仕事をこなす社畜の鏡だった。
アットホームな企業は休息を必要としない種族(リッチー、悪魔、神様)のせいで業務時間が狂っていたのだった……


代理ちゃんがうまくやれてるか訪問してみた

<主人公ちゃん>

 

「只今戻った」

「あーっ! ナナシさん! 一体仕事をほっぽってどこへ出かけてたんですか! 最近になって温厚になってきた私でも激おこですよ! ぷんぷん丸とかいう紅魔族にありがちな名前になってしまいますよ!」

 

 

仕事が一段落したおかげで久しぶりに実家に帰ってこれたが、娘がどこの誰かと結婚したのか、出家でもしたのか名前を変えてしまった件。

まあ冗談はさておき、ほっぺをわずかに膨らませて不満をあらわにしているウィズですら愛おしいのです。

魔王城で一日中働いていた私にはそういう癒やし成分が不足していたんです!

だって対話相手なんて魔法陣か制御系統のゴーレムですよ?

どっちも私が操作した内容しか喋ってくれないので、たまにゆんゆんみたいに高度な一人遊びしてました……楽しかったです。

 

 

「もう疲れたよパトラッシュ……」

「何を言っているかわかりませんよ……本当は家出を数ヶ月にわたって行った件を問いただしたいところですが……」

「正座でもしておくか」

「あ、いえ、随分お疲れのようですし今日のところは聞かないでおきますので、その食事にします? それともお風呂ですか? そ、それとも私……なんちゃって」

「全部だ」

「……やっぱり相当疲れてるんですよ。まずはお食事にしましょう?」

 

 

やっぱり私は疲れているらしいですね……

ウィズに隠し事は通用しないのはありますが、流石に最近仕事を掛け持ちしすぎて疲れました。

でも今日だけはご褒美でい!

魔王軍幹部の制度を撤廃する手続きを終え、魔王城の結界維持装置の設置、及び、同規模の結界を王都、アクセル、紅魔の里などなどに設置し、すべての仕事から解き放たれた私を止めるものは存在しないのです!

これでまた一つ、私の思うがままに世界を改変してしまった。

 

 

「さて、では今日は某が腕を振るおう」

「ああっ、疲れている人は座って待っててください! 今日くらい何もしないで休んでてもいいんですからね?」

「せっかくのご厚意だ、受け取らぬ訳にはいくまい……が、何だろう。手を動かしていないと落ち着かないな」

「仕事のしすぎです。私は皆さんのこと呼んできますから大人しくしていてくださいねー!」

 

 

まったく、ウィズったら私のことを子供扱いしましたね?

店の奥の方に消えていくウィズを見ながらそんなことを思っていると、調度仕事のきりがよかったのか悪魔の公爵と邪なる神が席に着いて。

 

 

「久方ぶりであるな、最近ろくな食事を摂れていなかったであろう副店長殿」

「本当に久しぶりねぇ、数ヶ月前まで毎日寝起きをしてるようなものだったし余計にそう感じるわ……もしかしてちょっと痩せた?」

「食事はカロリ○メイト~完全栄養食ver~でまかなっていたし、そもそも信仰を糧とする神は食事で体重が変わるわけなかろうに……。何だろうな、変わるわけないはずなのに、人間の頃の週間が抜けないな」

「なんてこと! そんなろくでもない食事ばっかり食べてたの!? 自分で料理を作れるのにどうしてそんな携帯食料みたいな……神様だって生きる活力に楽しい食事が必要よ! 神様暦が長い私が断言するわ!」

 

 

それは初耳です。

確かにアクアちゃんみたいな神様度が落ちている世俗じみた子だと神様パワーの恩恵を受けられないからお酒にも酔える反面、人間としての生活が必要になってくるかもしれないけど……

私はまだ神様としての格が低いのでしょうか、食事は続けていた方が心身共に健康を保てそうですね。

特にこうやって、久しぶりに友人と会って楽しく食事をする機会なんてなかったもので……いやぁ、なかなかどうして、食事もしていないのに体調が心なしかいい調子です。

そんなことを思っていると店の後ろの方からウィズがペンギンを抱えてきた。

 

 

「……それが今日の食事か。よく肥えた鶏肉だ」

「わ、私を食べる気か!」

「じょ、冗談だと思いますが食べないでくださいね? ゼーレシルトさんは食用じゃないですからね?」

「食用だろうと非食用だろうと食べようとしないでいただけるとありがたいのですが……心臓に悪い」

「ほう、悪魔ペンギンにもハツがあるのか……じゅるり」

「!?」

 

 

もちろん冗談です。

悪魔なんて魔力の塊食べても体力回復しないじゃないですか。

もちろん非常事態になって食べなきゃ死ぬなら食べますけど。

……まあ、わかってはいましたがお食事がまだ来ませんね。

店の奥でボウルが床に落ちる音とか、私の磨いだ包丁でまな板ごと指をさっくりやってヒールしてる声とか、根菜類に暴れられたせいか鍋のお湯が顔面にかかりもだえている声とか、いろいろ聞こえてきますのでそろそろだとは思うんですが……

と、ようやくできたようですね!

 

 

「お、お姉様……お待たせしました……ガク」

「お、お疲れ様。代理をよくやってくれているとは聞いていたが大丈夫か? 苦戦しているから何を作ってるのかと思いきや今日は豚汁か。アクが悪さをしたか?」

「最初はアクが取れていくと野菜たちは死んだのか湯船が気持ちいいのか、静かだったんです。でもその後油断してアクをとるタイミングを遅らせてしまって……その瞬間野菜たちが凶暴化するんですよ」

「火傷がひどいな『ヒール』っと」

「どうしてたかがヒールで赤みまでとれるんだよ……って、あっ! また感謝して……」

 

 

感謝すればするほど私の言うことに従順になっていくなんて……

制約と誓約のバランスを考えずに強力なものにしすぎたせいで悲惨なことになってしまったセレスちゃん。

一応アクセルの街で私がやってる仕事の代理をしてほしいって言ったら嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれたのですが、今にも過労でぶっ倒れないか心配です。

まあ感謝をしてしまうのを止めることはできないのでね。

自由意志という何かを成そうとする気持ちや考えを自由に生み出す能力を妨げることは誰にもできないのです。ニチャァ

 

 

Dirty deeds done dirt cheap(低賃金で請け負われた汚れ仕事)……いともたやすく行われるえげつない行為とはこのことであるな。感謝により聖女の恩恵を、傀儡ポイントを還元するとは、悪魔の所業に恐れ入った」

「いやいやそうは言ってもバニルさんや、勝手に自滅してるだけなんだけどこの子……あの、本当に大丈夫か?」

「い、いいのですナナーシャさん、お気になさらず。どうしてささやかな感謝だけでここまで私が服従しているのか甚だ疑問に思っておりますが気にしておりませんので」

 

 

絶対気にしてるやつだ……

正直このヤンキーなセレスちゃんのお腹を見るのはかなりの勇気が必要なので見てはいませんが、きっと私のことをぼろくそに言ってくれてる気がします。

もしそんなこと思っているのを知ってしまったら私は悲しみのあまり完全に服従させて意識のない傀儡人形にしかねませんから……

そんなことを思いつつ、セレスディナちゃんに。

 

 

「その、不死と災いを司る女神ゼナリス。レジーナちゃんの姉貴を自称する彼女ともちょっとした縁でな。なんか大司教になっちゃった」テヘペロ

「…………はい?」

「つまり邪神の代行者としての呪いの力は強大である。失敗した際にはその効果が自らに跳ね返るというデメリットを抱えているのだが……まあ某の場合は99.99%成功するので。幸運値故に」

「つまりなんですかぁ、私も知らない神様を信仰していて、しかもレジーナ様の姉君で、同系統の力かつ強烈なリスクを抱え込んでるせいで強化されていると?」

「まあ大体あってる。『アナタ、私の妹の聖女やってるんだって? ついでに私もどう? 妹の友達だからサービスしてあげるけど……』って言われてな。つまり、ささやかな感謝を積み重なることこそが某のすべき悪行か」

 

 

自分の能力を強化しないんだったらレベル上げか信仰心を限界突破させるか、布教しないとですよ?

私はそこんところ結構頑張ってる系の聖女様なのできっとこの考えは間違えではないはずです。

現に、水と宴会芸と土木工事とアンデッドに集られるのとお湯につかると聖水になるのと幸運値と怠惰と傲慢と傀儡と復讐と不死と災い……ざっといろいろな効果を引き出せますしね。

神様方々、手厚いサービスをありがとうございます!




次回

まだまだ続くセレスディナちゃんの苦難
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