私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

ウィズ魔道具店から解放されたセレナさん。
これから魔王軍幹部へ復帰するために一先ずは旅の資金調達をとハロワ(冒険者ギルド)へ行って好待遇の職場を探す。
そして、今まで魔道具店で働いてきたノウハウを生かして新天地へ……と思っていたが残念かな。ウィズ魔道具店へおかえりなさい。
そして王都の近くにあるというダンジョンへと派遣されるのであった……


ダンジョンで魔道具を売買してみた

<主人公ちゃん>

 

「というわけで、まずはダンジョンマスターの登録を行う。セレスディナよ、このコアに触れて魔力を流すと所有権を獲得できる。やってみるといい」

「……うっす、お姉様」

 

 

今私たち(ナナシ、セレナ、ついでにカズマ)がおりますは王都の近くにございまするダンジョンの一つ。

冒険者だけではなく王都の兵士たちなどが防具や武器の素材調達やモンスター素材を換金するために足を運んでくださる土地。

そして今はダンジョン研究家や新しく冒険者を始めたいという大人のお友達も集う、冒険者のお仕事体験型のテーマパークと化していた(誰がテーマパークにしたのかは言うまでもない)。

しかしそれは第5階層まで。

それ以上は難易度が非常に高く、臨死体験必死な精神的に多大な負荷をかける害悪トラップの数々。

20階層まであると言われているが上級冒険者ですら15階層までが限界と言わしめる高難易度ダンジョンである。

 

そんなダンジョンを経営していたのが某ことナナーシャ・ヴィ・ブリタニアであるのです!

その権利をすべてセレスディナちゃんに譲渡するのですが、なぜかテンションが妙に低いセレナちゃん。

一体どういうことでしょうか?(すっとぼけ)

 

 

「……なあナナシ。流石にダンジョンを嘗めすぎだと思うんだ。俺が思うダンジョンは『冒険者たちが命を背負って、お宝を手に入れつつ、強大な敵を倒していく』っていう……いわゆる王道的なやつなんだが? 日本人ならわかるだろ?」

「それはそれは奥ゆかしいこと限りなし。……だが、某のダンジョンのテーマは『ドキドキ!? ワクワク☆ 君もダンジョンで一攫千金!? 体験学習型教育システム』だ。死者は一切出さぬ」

 

 

おっと、とてつもなく納得いってない目ですね……

まあ普通にダンジョンと考えるとそんなバニルが作りそうなふざけたもん作ってってなりますよね。

ですが逆に考えるんだ、ふざけちゃってもいいさと。

ダンジョンをダンジョンだって考えるからいけない、ダンジョンはマンションとかと同じ不動産なので、それ相応の利用価値を見いだして運用すればよくないでしょうか。

そこで私は考えたのです。

 

 

「……新人の育成、ようはレベリングだが、その機会を与えつつ、精神的に負荷をかけることで肉体にかかっている限界の壁を破壊するという画期的な人類強化計画事業の一環なのであって、実は収益ゼロで回しているのでそろそろ元を取りたいなと」

「本音は?」

「そうだ、私と対等に戦える人類を量産しようっと! 最近ぬるま湯に浸かってふやけたような人ばかりで退屈で、最終階層の玉座に座しラストバトルを……などと言うことは断じてない」

「おい、それが本音か! バニルと同じ破滅願望でもあるのか!」

「失礼な。ライバルと呼べる強者がおらず、腕が鈍って仕方がなく、練習相手を欲してるというのはあるが、某はあくまで人類の繁栄を望む邪神ぞ」

「……なあ、お姉様。それってアタシがダンジョンマスターになっちまったら最終的にアタシがその冒険者と対峙しなきゃならないんだよな?」

「そうだが?」

「そうだが? じゃねーよ! 何すました顔してアタシのことを死地に送り込むようなまねを!」

 

 

そんなつもりはなかったのですが……

だって私の目的は正々堂々戦ってかっこよく華々しく、素人が見てもわからない戦いを繰り広げることですが、そんなことしなくてもセレナちゃんには『デス』があるのですから……

 

 

「一つ、扉が開いた瞬間に即死魔法連発。死んだら某がリザレクションするので報告するといい」

「えっ……?」

「二つ、捕われの生娘を演じて即死魔法をぶち当てる。以下同文だ」

「えっ、えっ!?」

「三つ、奥の方にあるウィズ魔道具本店への転移門に逃げ込み元魔王軍幹部4名と悪魔と現役幹部に挑ませる。某がいれば呼んでくれてもよい」

「ええ~…………」

「えげつねぇ……俺の不名誉にもつけられた『鬼畜』っていう二つ名をナナシに譲渡する準備はできてるぞ?」

 

 

最悪なんとかなるじゃないですかってことを言いたかっただけなのにお二人さんドン引きしないでくださいませ!?

あくまで簡単な方法ですよ?

そもそも今のところ突然変異している方はいませんし、たまーにアイリスちゃんがお散歩に来ますが、15階層あたりでかなり疲弊してますし、そんなときに庶民の食べ物を宝箱に入れると「く、クレア! ようやくお料理が出ましたよ! 今日も私の舌をうならせてくれるでしょうか……!」といって持ち帰ってくれるので今のところ問題はないはずです。

空腹が最高のスパイスだと言いますし、ダンジョン飯がきっとおいしく感じるのはそういう理由だと思うのですが、そんなことは置いておいて。

 

 

「まあとにもかくにも、この最終階層に挑戦する者の中でここまで到達できる強者は王族くらいなもの。そしてそやつらには手料理を宝箱に入れ、振る舞えばおとなしく帰ってくれるので問題ない」

「どういうこと!? うちの妹が拾い食いしてるってことか!? 教育の余地ありなのか!? お兄ちゃんがしっかり『道ばたで拾った食べ物は食べちゃだめ!』って教えないとなのか!?」

「やめてくれ! アタシを殺したいのか! そんなことをしたらここまで来てどんなむごたらしいことされるか……」

 

 

きっと話せばわかると思うのですがね……

だってあのアイリスちゃんですよ?

面白い話を聞けば絶対面白がって満足して帰ります。

なんせこのダンジョンに潜っている理由は『お城での生活には刺激がないのです! 私はもっといろいろなことを知りたいのです!』って感じですし。

 

 

「とにかく、問題はなかった。いいな」

「アッハイ……」

「ダンジョン支部の店長になるやつが本店の副店長圧力に屈しやがって……」

「カズマは逆らえんのかよ?」

「ごめんなさい」

 

 

熟年夫婦さながらの息のあった漫才をしている二人を見るとなんだか任せても問題なさそうで安心です。

とりあえず一通りダンジョンを見学させた後に営業方法のマニュアルを叩き込んで……

後は問題なさそうなら商売しやすいように自分の手でダンジョンを改良してもらいつつですかね。

まあ改造については業務になれてきたらでいいので、一先ずはそれで。

研修が終わったらヘルプがかからない限りは週一で視察ですかね。

 

 

 

 

<カズマ>

 

ここは10階層にある魔道具店。

そんな場所にまた3名のお客様がご来店なさった。

ソードマスター、剣士、盗賊……

盗賊が罠がないか確認しながらゆっくりとドアに近づいたそのときに、俺は勢いよく挨拶をかましにドアを開けた。

 

 

「へいらっしゃい冒険者の方!」

「うわあっ!? 敵感知スキルに反応はないけど何ですかアナタ! こんなダンジョンの奥地に立派な建物……怪しい!」

「怪しい場所ではないぞ。ウィズ魔道具店ダンジョン支部だ。品揃えばっちしですよ?」

「ダンジョン支部? ウィズってあのウィズ魔道具店の店主の? ……僕は幻覚でも見てるのかな……? すまないがちょっと俺の頬をはたいてくれないか?」

「喜んで! フンッ!!」

 

 

目を覚ましてください、現実ですよハーレムやろう!

という気持ちで俺は全力ではたいてやった。

お客様のご要望ならしかたあるまい。

 

 

「……いたい!」

「「キ、キョウヤーーッ!! だ、大丈夫!?」」

「ッ……何で俺の方がダメージ深刻なんだよっ

 

 

おまえがその程度でもな、俺は痛いじゃすまない、タンスの角に小指をぶつけた程度に非常に痛い。

この金髪のいけ好かないイケメン冒険者嫌いだ!

だがまだまだ繁盛していないこのお店のためにもしっかりお金を落としていってもらわないとな……

 

お客さんは周囲をキョロキョロと、夢じゃないのが信じられなそうに店内を見ている。

が、ここは夢じゃなく本物の魔道具店、入店したからには何か買ってもらわなきゃなぁ……俺のセールストークを聞きやがれ!

 

 

「信じられないようなものを見ているところ悪いが、ここは魔道具店だ」

「あ、ああ、信じられないがそのようだね…………どうしてこんなところに?」

「知ってるだろ? ここから先、10階層は危険を伴うエリアだ。そんな場所で『ああっ、ここで引き返したらまた戻ってくるまでに手間がかかる……ダンジョンって地形も変わるしどうすれば』とか『ここまで来るのにアイテム消費しすぎて引き返さないと危険だし……ちょっとだけ見るくらいなら……いやいや、そう言って死ぬのが初心者だ……』とか、思うことあるだろ?」

「「あるある! 本当に!」」

「そんなとき、『ああ、こんなダンジョンに魔道具店がありゃ……』なんて思いますよね!」

「いや、流石に無い物ねだりというか、そこまで思ったことはな」

「そんなダンジョンでの苦労、わかりますわかりますとも! ウチの店主であるウィズも同じ経験をしたっていってました……というわけで、自分自身の経験を生かして皆さんによりよいダンジョンライフを提供すべくダンジョン支部を設立したんだ!」

「なるほど、アクセルの街にあるのは知っていたが、まさかこんなところに進出していたとは……」

 

 

よしよし、お客さんに買ってもらえる流れを作ったぜ!

でもここであんまり買わないでダンジョンの奥に行かれると困る。

なんせここは10階層、強いやつしかこれないような場所だ。

客層を限定してるのに、買ってくれる個数も少ないとこっちとしては利益にならないんだわ。

どうせ相手は高レベル冒険者、それなりに資金は潤沢なはず……

だからここでいっぱいお金を落としてもらうために追撃だ!

 

 

「お客さん、ダンジョン価格になってるけど、ここで消耗してしまった物品をお買い求めいただければきっと助けになると思うぜ?」

「あー……いや、やっぱりえんりょしておくよ、冷やかしになってすまないね。今最低限の金しか持ってきてなくてね。後払いできるってんだったら……」

「お金がない場合は商品の値段を確認した後、こちらの用紙にサインいただければ後払い可能ですよ?」

「ですよねぇ、やっぱりならず者が逃げ出す可能性があるs……えっ、本当に? 後払い可!? 本気で正気でそれ言ってます!?」

「もちろんでこざいます! 当店はここまでご足労いただいた冒険者の品位を信頼としてその場合は銀行の方に振り込みも可能だ」

 

 

もうこのお客さんは絶対必要分は買ってくれる。

だが、まだだ。

まだ終わらんよ!

ここからが俺の話の見せ所だ!

 

 

「お・きゃ・く・さーん……実はここだけのお話なんですが。実は当店の隠しサービスとして、一人あたり5万エリスでお客様には快適な睡眠と丁ショックも提供させていただいております……ついでにうちの美人支部店長があなたの疲れた体に回復魔法をお届け! ……どうです? 宿泊はなさいます?」

「なんですって!? キョウヤ! 泊まるべきよ! 私体拭きたい!」

「私も私も! 武器の手入れもしたいし……そういう道具もあるのよね?」

「もちろんでございます! というか俺鍛冶スキル持ちだし、もし曲がってたりヘコんだりしてたら直してやろうか?」

「!? キョウヤ!」

「ハハハ、素晴らしくサービス精神旺盛なお店だね、二人がそう言うんだったら宿泊しようか」

「まいど! 店内のフードコートは下階層の強敵を一撃で絞めた俺のオリジナルメニューだ! しっかり食べて、しっかり寝て、明日に備えろよな! てんちょー! お客さん一名ご宿泊でーす! 体を拭うタオルと回復魔法! それからお部屋にご案内をー!」

 

 

何日もかけて10階層まで来た冒険者方に極上のもてなしをする腹黒聖女様。

冒険者は疲れを忘れ、地上に行けばそのサービスを話して回ったという。

こうして、わずか1週間で俺とセレナの魔道具店は、上級冒険者御用達の人気店となっていったのだった……




次回

めぐみん盗賊団ご一行様襲来。
どんどん攻略されるダンジョン。
どうしてこんなにサクサク進めるの?
一応ここ難易度ルナティックなんだよ?
早く帰ってほしいダンジョンマスターとダンジョンアドバイザーが設置した嫌らしい罠の数々を力業で乗り越えていくめぐみん盗賊団ご一行様。
ナナシはこのダンジョンの経営について何かもの申すのだろうか……
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