家出女神パート2!(パート1はナナシ)
そんなわけでカズマはお留守番希望、めぐみんとダクネスはアクアのところに行って楽しみ……ゲフンゲフン……連れ戻しにいきたいとのこと。
どうにかしてカズマを連れ出したい二人だったが、そんなとき、ある人から一通の手紙が。
『拝啓
落ち葉が舞い落ち、雪精たちがチラチラと顔をのぞかせる季節となりました。
こうして突然お手紙を差し上げたのはほかでもなく、単刀直入に言わせていただきます。
お兄様、私と一緒に戦ってくれませんか?
アクアさんがいらっしゃるので、もしかしたらもうすぐ近くにいらっしゃるのかもしれませんが、魔王軍が静かな現状であるので王族が先陣を切り、魔王城へ突入するという計画があるそうで、その計画をお手伝いいただければ頼もしいなと思いお手紙を書いた次第です。
何でもこの前ダンジョンでお顔を見えた際にはレベルが70を超えたとおっしゃっていましたし、高難易度ダンジョンで商売ができるほどの実力があるお兄様であれば、クレアも参加を拒みはしないでしょう。
……本当はお呼びしない予定でした。
というのも私たちを迎え撃ってくるのは幹部であった魔王の娘。
魔王の娘は軍勢を率いるのに長けており、武闘派で知られる紅魔族の里を襲い、焼き払った過去を持ちます。
今回の人類と魔王軍との戦いは激しいものとなるでしょう。
と、思っていたので、お兄様を危険なことに巻き込みたくなかったのです。
しかし、先ほどナナシさんがいらして
「今、魔王の娘は幹部から外されたショックで寝込んでいる。故にバカンスと称してどこかのダンジョンでストレス発散をしているはずだ」
と聞きました。
それに加えてアクアさんが……
「旅行中だけど私もちょっとくらい参加してあげるわ! なんで女神ですから。あっ、でも危ないのはなしよ? 結界に穴を開けて、遠くからチマチマとセイクリッド・ターンアンデッドとかセイクリッド・クリエイトウォーターとか、それからセイクリッド・ハイネス・エクソシズムで嫌がらせをして気分爽快になったらアルカンレティアに帰……えっ? アルカンレティアの子たち魔王しばくべしって言って王都に来てるの? 私帰れないんですけど……」
と涙を流してアクシズ教徒の応援を喜んでおりました。
結界を破れる可能性、敵に回したくないアクシズ教徒と紅魔族の協力。
まさに人類に訪れた絶好の好機と王国中が沸き立っております。
さて、そんな中私も戦に参加することになりました。
お父様やお兄様の計らいで最前線ではありませんが、少し危ないところかもしれません。
少々情けないことではありますが、私、心細いと言いますか、一人が怖いと言いますか、戦いの前ということもあり緊張してしまっているのです。
お兄様のような黒髪黒目で不思議な能力をお持ちの変な名前の冒険者が一緒に戦ってくれるのに加え、現在の王都には紅魔族を始め、世界中から続々と精鋭の皆さんが集結中です。
この前私が出会った紅魔族の、ゆいゆいという方はナナシさんよりレベルが高くて驚きました。
すみません、ナナシさんが今横で「一応言っておくが、経験値で比べたら私の方が稼いでいる」との言葉を書き足すことを頼まれました。
意外に負けず嫌いさんなんですね、ナナシさん。
とまあ、そんな頼もしいお仲間がいらっしゃるので私が出発する際にお目にかかれればうれしいなと思います。
ほんの少し我が儘を言ってしまいましたが、どうかご無理はなさらずに、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
追伸。
ナナシさんが「このまま魔王を討伐してしまっても構わんのだろう?」などと死亡フラグを建てているので来れるのであれば早めに来てください。
でないと私の婚約者がナナシさんになってしまいます……』
「っと、書けました! これでいかがでしょうかアクアさん」
「いいんじゃないかしら! 控えめに言って100%カズマが駆けつけてくれる恐ろしい破壊力を秘めた文章だわ。もはや兵器と言っても過言じゃないと思うの。あっ、ついでにカズマに帰ったらアルカンレティア土産のシュワシュワ飲み比べセットを持って行くから、おつまみは最高級のものをよろしくって伝えてくれないかしら?」
「わかりました!」
『アクアさんがお土産にシュワシュワセットを買ったそうです。アクアさんと帰る際には是非お城からいいしょくざいをもっていってください。そしてできれば私にも何かおいしい料理を作って、お夜食として冷蔵庫に入れておいていただけると嬉しいです。』
<カズマ>
「……えっ、何、これから俺の妹、敵地へ行くの? やばい、やばいじゃん!」
「お前の妹じゃないぞ! というか一度落ち着いて……」
「だまらっしゃいララティーナお嬢様! 俺の愛すべき妹がアクアと一緒に戦場へ行くんだぞ! これが落ち着いてられるか! 普通お姫様は家で『ああ、勇者様はご無事でしょうか……』とかいって大切な人の帰りを待つだろ! それがどーしてお姫様参戦だよ! スマッシュブラザ○ズじゃないだからそんな戦場へ送り込んで大乱闘させんな!」
「では行くのか? アクアを連れ戻すついでにアイリス様と共に魔王と戦うというのだな! ああ私はいつでもいく準備は整っている!」
「はぁ? アンタばか、いくわけないだろ」
「えっ!?」
「えっ、じゃないが? いや、妹のために一緒に戦いたいって気持ちは山々だよ? だが今の俺のレベルを見てくれ」
俺はそう言ってダクネスに俺の冒険者カードを見せつける。
そこにはもちろん俺の名前やらなんやらが書いてあったが、レベルの脇に書かれた1という数字が異彩を放っていた。
「どどど、どういうことだ!? カズマはレベル70はあったはずだよな!? 一体何を……はっ、まさかナナシと同じ呪いを受けたのか! あのレベル1固定化の呪いを!」
「いや、ナナシはそんな呪いかかってないぞ?」
「そうなのか? 噂に聞いた話によると未だにナナシのレベルは1のまま不動だと……」
「でもウィズから聞いた話によるとあれはレベルドレインを毎日帰宅後欠かさず行っていたら街中の人に誤解されたまま今に至るって話だぞ?」
「レベルドレインだと? どうしてそんなことを……」
「それは今の俺を見ればわかる。ほら、ここ見ろよ」
そう言って俺は習得スキルとスキルポイントの欄を指さす。
ダクネスがそれを見て目をぎょっとする。
「な、ななな!」
「そう、レベルが下がってもスキルポイントは変わらない。だからジャイアントトード数匹倒せばレベルが簡単に4とかになる俺にはうってつけの方法だ! ってことでナナシを見習って絶賛トレーニング中なんだが……」
「ちょうど悪いタイミングでアイリス様の手紙が来てしまったと……」
「はい……」
どうして……どうして俺ってやつはこうも重要なときに役立たずなんだ!
本当にバニルの話を聞いて実践してしまった自分が憎い!
そんなことを思っていると、扉がバァーンと開き、悪魔の笑い声が家中に響き渡った。
「ふははははは! なかなかの悪感情、大変美味である!」
「バニル! お前、俺がこんなことになるって知っててあのリセットポーションを売ったのか!」
「もちのろんである! とは言え、もともと基礎能力が低い冒険者。レベル1でもレベル70でも大差ない。派手に散ってくるといい」
馬鹿にしてんのか!
確かに俺はレベルが上がっても大してステータスは上がんなかったけど!
というかまず一ついいたいことがある。
なんだその服装!?
ステテコに肌シャツという、街中で見るおっさんの服装!
本当にいつもの貴族っぽい服装がどうしてこんなアホ丸出しの格好に……
「アホ丸出しとは失礼な。これは近所の奥様が貢いできた素晴らしく機動性に優れた服であるぞ。ドブさらいの際にはもってこいである。ちなみに悪意を持ってきてきたことは認めよう」
「ひでぇ! この悪魔、人でなし! 流石にお前レベルを相手にするならレベルいくつあっても敵わないかもしれないが、レベル1と70は雲泥の差だっつうの!」
「ふはははは! そんなジャイアントトード1匹でレベルが1上がるコスパに愛された小僧に朗報だ。今日はこれからダンジョン支部へ視察に行く。そしてそのついでに別のダンジョンに行き、新たな支部を立ち上げようとしていたのだ」
「それの何が朗報なんだ?」
「朗報も朗報であるぞ。何せ、社員のレベル上げはウィズ魔道具店の義務であるからな。我々がある程度サポートするのでともに行かんか?」
というわけで、やってきました、世界の最果てにある最も深いと言われる巨大ダンジョン。
通称ラスダン。(ナナシ命名)
……やっぱり帰りたい。
次回予告という名の作者の妄想
魔王上にいくより先にラストダンジョンで修行するカズマ、めぐみん、ダクネス。
えっ?
どうして他二人も一緒に来ているのかだって?
きっと二人とも暇だったんでしょうね。
そして、最下層で待ち受けているのは、一体ナニガシなんだ!?