ステータスカンストアクアはすでに王都に。
そんな中、カズマ、めぐみん、ダクネスはステータスを、レベルを、スキルポイントを上げるためにダンジョンへ。
順調に5階層を突破。
まあ、モンスターがいないのと、めぐみんの爆裂魔法のせいでショートカットしまくりなんですけどね。
<カズマ>
第10階層
「本当に助かった! 恩に着る!」
「いえいえ、お客様がご無事で何よりである! 愛玩用の地獄ネロイドごときゴミを漁るカラスと同じである! しかし向こうからこっちにやってくるとは……本当に魔力が濃いダンジョンであるな」
「何か言ったか?」
「何でもございませんともお客様! ダンジョンのお出口はあちらとなります、無事帰還なさることを心より願っております……ではまいど!」
……あんの悪魔、マジでぼったくり商法しやがった!
まあバニルがいなきゃあの冒険者二人は死んでただろうが、さすがに死にかけの二人の全財産をふんだくるのはいかがなものかと。
鬼畜だのと言われている俺ですら良心が痛むのだが……
「ふははははは! 良心が痛んでいては悪魔はやっておらん! それにどんどん力が溢れ出るこの感覚! このダンジョンのボスはよほど強敵と見える! 加えてこの先でドンパチやっている冒険者! 芳醇な魔力と誰かに対する強烈な復讐心と悪感情! 今我が輩のテンションは全盛期を越えた!」
「もうバニルさんったらはしゃぎすぎですよー! そもそも悪魔には老いなんてないんですから全盛期も何もないでしょう?」 まあ私もこの魔力の波動にちょっと冒険者時代の血が騒ぎ出しているので人のことはいえませんが……」
「ふーはっははは! 二人が言うとおり、ダンジョンの奥にに近づけば近づくほど尋常ならざる魔力の波動がビンビン伝わってきます! この先に、我が爆裂魔法を放つに値する強敵が待ち受けているというのですね!」
「……なあダクネス。いつもおかしいめぐみんはともかく、バニルとウィズまでテンションがおかしなことになってるんだが何かそういう状態異常の魔法ってあったりするのか?」
「聞いたことがないな。そもそもリッチーや大悪魔に状態異常は効かない。強いていえば戦闘に飢えた
「同感」
バニルが土を使って敵の動きを封じる。
ウィズが氷結魔法を使ってより強固に敵を固める。
その敵に対して俺はサクッとドレインタッチしてやっつける。
その魔力をめぐみんに流して、爆裂魔法が放てるようになったらショートカットして下層に進む。
めちゃくちゃ効率的なんだが何だろう……拭えないダンジョン正規攻略サイトに喧嘩を売ってる感。
バグ技を駆使して最短ルートで駆け抜けるタイムアタック勢のような感覚。
そして向こうから感じる魔王軍幹部級の強者の気配。
「ダクネスさんダクネスさん」
「ダクネスだ」
「もう、俺が行かなくてもこの三人を王都に送りつけてやれば万事解決だと思うんだ」
「私もそう思わずにはいられない。もう二人とも魔王軍との縁は切れているし、めぐみんは爆裂魔法に関してはナナシと同等以上だと聞いているからな。カズマもレベルはかなり上がっただろう? ここら辺でレベルを上げるのは終了して王都に行かないか?」
「ダクネス……まさかお前天才か?」
「何を馬鹿なことを言っているのですか二人とも! 自分の活躍の機会がほとんどないからといってすねてるんですか? これより下には強い魔力をいくつも感じますし、私たちの戦いはこれからですよ!」
「先生の次回作のご期待ください。完。よし、帰ろう」
「そうしようか。……ってあの魔道具店コンビは聞いてないな? 私が前に出るので後ろから援護を頼む。まあ多分魔物をすべて殲滅してきたからいないだろうが」
「本当に帰るつもりですか!? 帰らないで、帰らないでください! ここからがいいところなのに! ……あっ、わかりましたよ。敵感知で強敵の気配を察知したから帰りたくなったのでしょう? カズマは本当にヘタレですね、私が守ってあげるので心配せずに後ろからついてきてください」
「とぅんく!」
いやだ、この娘漢前すぎ……!?
惚れたわ。
一生ついてきますと言わんばかりに頼もしい背中を追いかけていくと、何故かその先には動きを止めていた二人の人外が。
どうしたのかと声をかけようとしたそのとき、二人とは異なる声、今まで聞いたことがない声が聞こえてきたんだ。
「地獄ネロイドさーん! どちらにいらっしゃるのー! 気色の悪いアマリリス様のペットのステスキーさーん! わたくしの元においでなさーい! ……はぁ、なかなか見つかりませんね。お姉様に教えてもらった口笛も試してみたのに」
……うん。
確実にモンスターだろう。
こんなところに普通一人で人間が来れるわけない。
もちろんナナシは例外だ。
暗闇の中、俺より少しばかり身長が高い女性のシルエットを見ると、頭部から角が生えているのがわかる。
そして圧倒的貧乳。
めぐみんとかクリスと仲良くなれそうな、そんな気がする。
服装はドレスのようで、しかしダクネスのようなオシャレ重視の防具ではなく、戦乙女の機能美とでもいえばいいのだろうか、アイリスの戦闘服に近しいものを感じる。
手には得物――長剣を構え、何かに対して呼びかけている。
「なあバニル。あの角のお嬢様、地獄ネロイドを探してるらしいぜ?」
「本当であるな。まさか先ほどであった野良ネロイド以外にしっかり飼われているネロイドがいるとは、いやぁ驚きであるな!」
「いや、お前が破壊光線で灰すら残さず消滅させたアレは……」
「あれは躾がなっていないので家ネロイドではない。断言しよう……もし、仮にあれが野良でなかった場合はマクスウェルに残機を対価にお願いして辻褄合わせをしてもらおうか……」
何かよくわからないことをブツブツと言っている。
マクスウェルって誰だよ。
バニルの知り合いらしいが、七つの竜の玉を集めたら願いを叶えてくれる龍神様か何かか?
そんなことを思っていると、岩の下、壁に入った亀裂の間、なんなら天井をガンガン叩いてぶっ壊したり、シャベルで地面に穴を開けたり……
シャベルどっから出した!?
そんな何かを探しているようだが絶対そんなところにはない場所を探索している女性型モンスター(仮)が俺たちの方へ徐々に近づいてきた。
「もう、一体どちらに行ってしまったのかしら? こんなに探すのが難しいのであれば私のお仲間になるという契約なんてしなかったのに……あら? ……そこにいるのは?」
「おやおや? 我が輩の能力を無効化するどこか懐かしい気配があると思いきや、まさかまさか父上大好きっ子のファザコン娘ではないか!」
「誰がファザコンよ! それはすでに卒業して、今は反抗期……って、ま、まさか、変な服を着た珍獣かと思っていたらこの癪に障る声! バニル!? あなた死んだんじゃ!」
「ふはははははは! トリックである! 毎年誕生日にお手製の何かを刺繍する未だ乳離れならぬ父上離れができぬ小娘よ久方ぶりであるな」
「トリックって何よ、死でも偽装したのかしら? というか誕生日プレゼントくらいいいじゃない!」
反抗期だって言ってるのに毎年プレゼントを欠かさずに送っているらしい。
非常に微笑ましいと思うが、天然が入ってるっぽいし、もしかして残念系の美人さんか?
俺が出会う女性はどいつもこいつもどこかしら残念要素を持ってなきゃならない規則でもあるのか!?
「お嬢様! お久しぶりですね」
「ウィズもいたのね! 最近会ってないから心配し……じゃなくて幹部を辞めたって聞いたからどんな顔してるかと思えば! のほほんとこんな辺鄙なところでいいご身分ね!」
「お元気そうでよかったです。私もおかげさまで楽しく過ごさせてもらっておりますよ」
「そ、そう? なら良かったわ?」
なんかこのお嬢様めちゃくちゃお嬢様なんだが?
ツンデレだし、高飛車な感じだし、ドレスっぽいし!
でも悪役令嬢やってそうだが中身は悪くない、むしろ言い方が厳しかったり、厳しい言葉が優しさの裏返しだったりする系の善人系お嬢様キャラだコレ!
「ところでいつ職場に復帰するのかしら? 別に寂しいなんて思ってはいないけれど、お給料とか困っているんだったら私のところに来てもいいわ。これからしばらくしたらお父様の会社を乗っ取って下克上するので、使えない社員だろうと手数は欲しいもの」
「そうなんですね! まあそろそろお父様もお年ですし、お強くなった姿を見せて安心して世代交代するのもいいかもしれませんね! もしできたらかなり親孝行ですね!」
「は、はぁ? 別にお父様なんて嫌いだしぃ~? 親孝行なんて勘違いもいいところ。大体、自分の会社なのに成り上がりのお姉様に仕事を全部丸投げしてるところが気にくわないのよ。あんな新人に負担を押しつけるんだったら私に回しなさいって……適切に振り分けてやるんだから!」
「流石お嬢様ですね、仕事できる女性って素敵です!」
「貧乏店主は仕事できない系の残念美人であるからな、このようなバリバリ働けるお嬢を目標にするのだぞ? わかっておるのか?」
バニルの説教が始まってシュンと情けなく体を縮めているウィズに対して、褒められて鼻高々……ちょっとお調子者でチャーミーなお嬢様はない胸を反らしている。
チョロいツンデレ上司最高か?
部下の仕事を自分のところに持ってこいとか、どんだけ聖人なんだよ!
しかも全部を自分でやるわけじゃない!
適材適所で得意分野を伸ばしてくれるなんて素晴らしいじゃないか。
「……ところで後ろの人間は? バニルの携帯食ですの?」
「もちのろんである」
「いや違うよ? ……違うよな!?」
「カズマ、今のカズマは完璧に悪魔の口車に乗せられて悪感情を引き釣り出されている、悪魔の携帯食料です」
「バニルめ、謀ったな!」
「ふわははははは! せっかくレベリングをしてやってるのだからこれくらいの褒美はあってもいいであろう?」
くそう!
もしこのレベリングで俺が進化したらこの悪魔の残機減らしてやりてぇ!
「嗚呼、悪感情悪感情!」
「悪感情を味わってるところ悪いが私、少々急いでいまして。この辺りで地獄ネロイド見かけなかったかしら?」
「…………」ブンブンブン
なんかバニルがもんのすごい勢いで首を横に振る。
残像が見えて、さながら阿修羅のようだ。
キモい。
そう思っているとウィズが。
「ああ、それなら先ほどバニルさんが……」
「これ! 黙るがいい過労リッチー! 永眠誘導型殺人光線!!」
「ほわああああ!?!?」
「ウィズ!? 何を!?」
「……すまない、過労気味の店主のことを横にさせたかっただけである。それより捜し物はアマリリス殿の地獄ネロイドであろう? 我が輩たちは全てを殲滅しながら下ってきたが、アマリリス殿の躾が行き届いているであろう家ネロイドはいなかったぞ? 野良ならいたが」
「そ、そうなら私が下の方で見逃しがあったのか……それともバニルたちが見逃したのかもしれないわね?」
「うむ、そうに違いない! 我々は最下層に用事があるためこれにて失礼! 見つかるとよいな! ふはははははは……」
こ、この悪魔……
自分の罪を認めないつもりだ!
この美女に一生見つからない捜し物を探させるつもりだ!
まれに見る非道な行為だと思いながら俺は下の方に進んでいくのだった。
新キャラ:バニルの知り合いの娘
ツンデレ、お転婆、天然、お嬢様、主人公恋愛関係or仲間入り、ファザコン、思春期の反抗期、貧乳。
そして上記キャラ属性を台無しにするほどの残念美少女。
次回
アマリリスとかいう変な悪魔。
最下層にいる吸血鬼の人(ナナシに敗北してわからされた人)
見るも無惨なステスキーの残骸を見た娘。