なんか魔王の娘が登場してきた!
たぶんこのときはこのすばの後日談が出て魔王の娘とのやりとりをしっかり見てから書きたかったんだろうなと思いつつ、めぐみんVS魔王の娘が勃発。
理由は簡単。
魔王の娘はさっき知り合ったばかりの友人のペットだったものを見たときに邪知暴虐の王を除かねばと決意したのだ。
めぐみんは自分の師匠が作成した扉を壊されたおかげでぷっつん来ちまったよ、久々になぁと爆裂魔法を準備し始めたのだ。(カズマに阻止済み)
<カズマ>
「と、とにもかくにも、私の配下が大事にしていたものを粗末に扱ったのなら、私もそれ相応の対応をさせてもらうわ」
「いいでしょう、挑戦者よ。我が必殺の一撃を食らっても倒れなかったものは師匠しかいない。果たして汝に我が魔法を打ち破れるでしょうか!」
「打ち破れるでしょうか、じゃねえよ! 俺がドレインタッチしたあとに爆裂魔法撃てるわけ……」
「撃てますよ? 最近師匠の魔改造術を受けた結果、私の調子は過去一番。肌はつやつや、ダンジョンを踏破したにもかかわらず足腰の疲労などは一切ない、魔力の回復速度も以前の数倍! もうカズマにほんの少し吸われた魔力は回復しましたとも!」
「マジで!? って、そうじゃなくて戦おうとすんなよ! まずは互いにごめんなさいをだな……」
そう言って俺は二人の戦いを止めようとする。
だってこの戦いって大体バニルが原因だぜ?
あの悪魔がめぐみんに得体の知れないウネウネした地獄ネロイドとやらを爆殺するようにいわなければ何にもならなかっただろうに……
ふざけた悪魔のせいで変な戦いが勃発させてたまるか!
そう思っていたのだが……
「アナタ、こんな言葉は聞いたことないかしら? ゴメンデスメバケイサツハイラナイって」
「お、おう、そりゃ聞いたことはあるが……」
「じゃあ駄目ね。ケイサツを何なのか知ってるのなら駄目よ。勇者はお父様に徒なす敵。滅ぼさないと」
「オ、オレハユウシャジャナイヨボウケンシャダヨ……」
「白を切るのね? それでもいいけど勇者の血族かしら? どちらにせよ、冒険者ならどのみち討伐対象よ。バニルと一緒にいたけれど私の配下を散々殺戮してくださったのよね? 今度は私が相手してあげるわ」
い、言われてみれば確かに……っていや、俺はほとんど魔王軍と関わりないからな!
紅魔の里とか王都とか、最前線の砦で交戦したことはあるが、大体俺は安全な場所に引きこもってただけだからな!
強いて言うんだったらこのダンジョンでとか、後は安楽少女とかジャイアントトードとか、魔王軍に関係ない野良モンスターばかりだ!
「一応念のために小僧に言っておくが、お前が一番魔王軍に損害与えている人物であるからして、下手ないいわけはしない方がよいぞ?」
「……マジで?」
「マジである……と思うぞ? いや、我が輩の目が節穴になったのではと自分自身でも思うが、直接手にかけてなくても貴様がいなかっただけで今頃魔王軍が勝利し、人類は滅亡の一途を辿っていただろう」
「そ、そう思うと俺もすてたもんじゃないな……ってちがーうっ! 今の俺に必要なのは自分は無害ですよアピールの材料なの! 何俺が一番の危険人物みたいな言い方してるんだよ!」
「バニルがそう言うんだったら余計消さないといけないわね。お父様の手を煩わせる前に……」
「ほら見たことかいわんこっちゃない! どうしてくれるんだバニルさんよぉ!」
一応俺のレベルアップ研修でダンジョンに来たんだからな!
ここで俺が死んだらそっちの店の不手際でうちの駄女神けしかけんぞ!
魔王の娘が毛を逆立てて怒りをあらわにしていても余裕そうな表情でニヤニヤと煽りまくるバニル……
「……おい、ちょっと待て。バニル、お前もしかして……」
「おおっと、ようやく気づいたか察しが悪い小僧! そう、我が輩の悪感情補給のために汝には疑似餌になってもらい、怒りの悪感情をフィッシングしている真っ最中である! ああ、懐かしい! まるで学生時代にお袋が作って待っててくれた夕食の一品のように、久しぶりの魔族からの悪感情である! まあ我が輩、親などおらんし、ましてや学生時代など無かったがな、悪魔故に!」
「コイツ! 俺の命だけじゃなくてめぐみんも守ってくれるんだろうな!」
「お、おい! 私は! まさか影が薄くなっていたから忘れたとかではないだろうな! 私のことをどうして含めなかったのか詳しく!」
「だってお前、守ろうとしたって性欲を優先して勝手に一人で敵に突っ込むじゃん。言っても意味ないだろ」
「せ、性欲じゃにゃい! せめて性癖といってくれ!」
性欲? 性癖? どっちでも同じようなもんじゃろ。
そもそもバニルとウィズより先に前に出て息を荒げている変態だ。
むしろバニルに体を乗っ取ってもらって戦ってもらった方が危なげなくていいんじゃないだろうか。
「腹筋女を我が輩の制御下に置き有効活用してもらおうかなどと考えている鬼畜小僧よ、その必要はない。それと、我が輩が汝らを守り切れるのかといったな? 無論抜かりない。そもそもここにいるのは誰だと思ってる。魔王より強いと噂の我が輩と、リッチー対策をしていなかった頃だったとはいえ魔王城に単身で乗り込み幹部二人を戦闘不能に追い込んだウィズである」
「ば、バニルさん! それは言わないお約束ですよ! 私の黒歴史を晒さないでください!」
「いやいや、かわいい類いの方だろう。最近の恋をした乙女の目をしている貴様のふぬけた様子などに比べれば……ええいっ、無言で我が輩にドレインタッチをするでない!」
自分の恥ずかしい過去をさらされた店主さんはご立腹で顔を赤くそめ頬を膨らませながらバニルから魔力を吸い取っていた。
せめてもの仕返しだろうが、この悪魔、よく顔を見るとニヤニヤしている……
魔力を対価に悪感情を引き出すことに成功した悪魔が計画通りと言ったかおをしていた。
そんなことを思っていると魔王の娘は静かながらに余計に腹を立てた様子で。
「バニル、携帯食料は私にくれないかしら。ちょっと今のうちに不穏分子は抹殺しておきたいのだけど」
「ふはははは! あの魔王がいなければギャン泣きしていたちびっ子が随分と欲張りなことだ。それにこの二人は友人の弟子と店主の元でともに働く職場仲間であるからな。携帯食料ではあるが、半永久的に我が輩の活力を補ってくれる栄養食を奪うというのならこちらにも考えがある」
「あらあら恐ろしい。でもお父様より強いのは何もあなただけではなくってよ? それでも引いてくれないのなら、本気で殺すわよ?」
「構わないとも。なんせ我が輩は悪魔であるからして、多少乱暴な遊びでも歓迎である。どれ、お遊びはこの辺にして……王と貴族、高貴な身分同士華やかに舞ってやろうか」
そう言ってバニルがスタリと前へ。
後ろにはまさか本当に戦うことになるとは思っていなかったのか、知り合い同士が戦おうとしている様子にアワアワしている優しいリッチー。
そして、そんな中、空気を一切読むことなく爆裂魔法をぶっ放した魔法使い。
「穿て! 『エクスプロージョン』――ッ!」
作戦も何もあったもんじゃない、ただの一撃。
まさかダンジョンで爆裂魔法を食らうことになるとは思ってもみなかっただろう。
バニルもまさか後ろから仲間というか守護対象に攻撃されるとは想定外だっただろう。
魔王の娘と悪魔の公爵は爆炎に飲み込まれた。
「カズマカズマ! 今のは一体何点でしょうか! 私の自己採点では魔王軍の元幹部を2人も一気に倒したので100点かける2倍でどうでしょうか!」
「正直……お前はやるときはやるヤツだとは思ってたよ? でもマジで躊躇ないのな? そもそもこのタイミングで爆裂魔法を撃つのは風情も何もないだろうが! 詠唱がないせいで威力もそこまでなく、熱風も音圧も物足りない! 洞窟だからある程度威力控えるのは必要だし、強敵二人を屠ったから加算はあるが、それでも70点がいいところか」
「くっ! 流石辛口評価で定評がある爆裂魔法専門家……厳しいながらも的確な! 今後は無詠唱で溜めなしでも詠唱ありと同じくらいの爆裂魔法を放てるように精進しま……」
そこまで言いかけたとき。
爆裂魔法で舞い上がった土煙から二人の影が。
バニルは勝手に前に出ていたダクネスの方に仮面を飛ばし、直撃を回避しただけではなく、強力な魔法耐性のおかげでなんとか耐えしのぐことができたようだ。
しかし驚いたのは魔王の娘。
全くの無傷。
彼女の回りには透明な膜。
人類と魔王軍の戦いの最前線の砦で、めぐみんとナナシが一騎打ちした時に、ナナシが使っていたものと似ている。
「ふー……全く、危ないわね。私じゃなかったら怪我してたじゃない」
「あなた……それは師匠の技でしょう? どうしてあなたが使えるのですか!」
「何でって……見て盗んだの。まああの変人にはかなわないけどそこそこ効率のいい防御手段よね? さて、じゃあ続きを始めましょうか」
そう言って、魔王の娘は冷たい顔つきで魔法陣を地面に展開した。
そこから現れる異形の群れ。
このダンジョンで遭遇したモンスター……やけに少ないって言ってたが、まさか。
次回予告
もうどうにでもなーれ☆
と安全地帯でトマトジュースをすするダンジョンマスターの吸血鬼さん。
そんなこんなで始まったのは魔王の娘&ダンジョンのモンスターVSバニル(ダクネス装備中)&ウィズ&カズマ
……ステータス的に一人だけ足手まといに感じる人がいますが、これでも魔王軍幹部討伐に一番貢献した男。
頑張れカズマ! 負けるなカズマ!
次回 決着か!?