私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

ゆんゆんが最後の時間稼ぎにとお友達(ドラゴンズ)とともに加勢。
そして――ready perfectly.


みんなで魔王城、燃やしてみた

『『セイクリッド・ブレイクスペル』』――ッ!!

 

女神二人の魔法で魔王城を囲っていた元あった結界が崩壊――するかに思えた。

魔法が当たった場所から崩壊が浸食し始め、しかし即座に修復されていく構築される外と内の境界。

 

その境界を打ち破らんと絶え間ない爆裂魔法の嵐が襲う。

かつて、最強の魔法使いと言われていた堕天使を滅ぼしたらしいナナシ。

つまり、最強の魔法使いとは彼女のこと。

そんな彼女の弟子である紅魔族、友人である最上位アンデッドと邪神が彼女の暴走を止めるために人類最大威力の攻撃手段を行使していた。

 

「エクスプロージョン! エクスプロージョン! エクスプロージョン! エクスプロージョン!!」

「『ライト・オブ・エクスプロージョン』――ッ!!」

「「『『セイクリッド・ブレイクスペル』』――ッ!!」」

 

怒涛の連続攻撃と追加の結界破壊術により、魔王城を包み込むように囲っていたATフィールドは陥落。

アクアとウォルバク、めぐみんとウィズ、4人の攻撃が自動回復機能を上回ったのだ。

 

「あはっ、あははっ! 悪魔滅ぶべし、魔王しばくべし! 魔王城が燃えてるのをみるとテンション上がるわね!」

「いや、魔王である俺はここにいるんだが!? 放火するのやめてくれーッ!」

 

それに対処するかのように新たな結界が張られるが、一部魔王城の中へと魔法が侵入し、目の前は大炎上する魔王城。

テーマパークのアトラクションのような現実離れした光景。

自分の家が燃やされるという現実味のない光景を、俺のドレインタッチによる回復を受けつつ、傷だらけの魔王とその娘は見ていた。

 

「ああ、私たちのお家が……放火されて……」

「こ、これくらいならまだ再建可能、なはずだ。だからウィズ? そろそろやめてくれたも……あの、聞いておるか? や、やめてくれ! 俺たちは一体これからどこに住めば……!」

「お父様……諦めましょう、もう私たちはホームレスになる他ないの……ううっ」

 

爆裂魔法を撃つ快感を知ってしまった元魔王軍幹部は爆裂狂いとなってしまった。

もう俺にできることは何もない。

爆裂魔法に狂わされた人間を知っているせいでどんな結末をたどるのかをもう知っているからだ。

そんなことを思って涙をポロポロと流している親子を哀れみつつ、1人異様な回転速度で爆裂魔法を放ちまくっている紅魔族を見る。

 

「エクスプロージョン! エクスプロージョン! エクスプロージョン! エクスプロージョン!! ふはははははは! 我が焔炎にひれ伏せ世界! これにて私たちの旅は終わり、そして新たな世界が始まるのです!」

「めぐみん、魔王の人たちが悲しがってるぞ?」

「おや、すみません。しかしながら私の魔法は誰にも止められない。わが師匠を打ち倒し世界最強の魔法使いとなるその日まで!」

 

こうなってしまうのだから。

めぐみんはそう言うが、その言葉には申し訳程度の罪悪感しか乗せられていなかった。

本当に申し訳ないが、魔王城にもう一度住むことは諦めてもらうほかない。

代わりにウィズ魔道具店を紹介して、しばらくの間は我慢してもらおう。

 

そんなこと思っていると、俺の服の裾を引っ張る感触が。

何かと思ってみるとアイリスだった。

何か納得いかなそうな表情で俺のことをクイクイと呼び。

 

「お兄様、どうしてこの作戦は成功しているのですか! この穴だらけの作戦がどうして成功してしまっているのですか!」

「成功してるのに一体何が不満なんだ?」

「ですが! どうしてナナシさんが開発した魔力発生装置を利用し放題なのですか! どうしてナナシさんは魔王城から離れないのですか!」

 

我が妹ながら一切慈悲のない酷評だ。

だが、ナナシのことを、ナナシの思考回路を深く知らないならこの作戦が穴だらけに見えるのは間違いない。

だってあのナナシだ。

 

こんな魔法を使ってる間にテレポートを使って王城に乗り込み、ここにいる全員を倒し尽くすことだってできる。

そんなことしなくてもピンポイントに爆裂魔法を撃ち込めばダクネス以外のほとんどは蒸発するだろう。

だって今めぐみんたちに使ってもらっている無限魔力の装置を作ったのはナナシ。

以前魔力タンクを使われた経験があるのにも関わらず対策をしないのはありえない。

にもかかわらず、今こうして、だ。

 

「アイリス、戦いの最前線でウォルバク率いる魔王軍と戦ったって話は覚えているよな?」

「も、もちろんですお兄様! あの時の戦い方を聞いて、今の戦いもそれと似ていると、そう思って……」

「じゃあ聞くが、その時何でナナシはテレポートをしなかったと思う? どうして自分が作った装置を簡単に乗っ取られるような構造にしたと思う?」

「えっ? 簡単に乗っ取られ……?」

 

俺はアイリスに紅魔の里からきてくれた助っ人軍団を見るように指をさして促すと、その話を聞いていたゆんゆんの親父さんがお茶の子さいさいだったとガッツポーズで答えてくれた。

それを見て驚きを隠せないアイリスに。

 

「どうしてそんな簡単な構造にって思っただろ?」

「は、はい! もしかしてお兄様はその理由を知ってるのですか!?」

「知ってるつーか、何と言うか。……あえて、そうしたんだろ」

「……その心はいかほどに?」

「なんというか、言いたくないくらいすごくふざけた理由なんだが……。あいつって紅魔族以上に中二病気質なんだよ」

「…………はい?」

 

驚いた顔がさらに驚いて、1周回ってきょとんとした可愛らしい我が妹の顔を見つつ解説を続ける。

 

「言っちゃえば紅魔族より紅魔族してるんだよ。俺のことを勇者って呼んでみたり、盗賊団のお頭やったり、なんならもう神になっちゃってるし……ただただ力を求めてるだけだったり戦いを望んでるだけだったらここまでやらんだろ」

「言われてみれば確かにそうかもしれませんが……」

「じゃあなんでそこまでのことをしたかって、俺が考えた理由は……」

「さっきおっしゃっていた中二病につながるわけですか?」

「そういうこと。で、中二病を極めるのあまり自分が思うように本気を出せる機会がなくなって、本気の自分を引き出してくれる存在がいなくなって、それがつまらなくなって…………だからこそ今みたいに、自分の行動を縛って、その中で本気を出す。それがあいつだよ」

 

ウォルバクさんと戦っている時はここまでひどくなかった。

あの時は確かにめぐみんの爆裂魔法を処理するのに手いっぱいだったろうし、転移する余裕なんていうのもなかったはずだ。

けれど……

 

「自分で自分(人間)の限界を破ったんだ。確かに、ウィズとかバニルとか、あいつらと魔力発生装置なしで戦ったらいい戦いをしたかもしれない。でもナナシはバトルジャンキーなんじゃない。ちゃんと理由があって、それで戦いたいはずだ。表面上そういえば合う気がするが……どうだ?」

「そうかも、そうかもしれません」

「まだなんか腑に落ちなそうだな?」

「す、すみませんお兄様。でもあの人がそれだけの理由でここまでするとはどうしても思えなくて……」

「まあな、だからこそナナシのことをさっさと倒して、アクアにリザレクションでもかけてもらって話を聞き出すとしようじゃないか」

 

どうせ俺より幸運値が高いナナシだ。

爆裂魔法でも体の一部くらい残ってるだろうし、最悪俺が魔王(ナナシ)を討伐したから報酬をくれとエリス様に頼めば肉体が残ってなくてもいけるはず。

魔王城にある結界機能が破壊されたのか、それとも魔力発生装置が破壊されたのか、全ての爆裂魔法が注ぎ込まれ崩壊していく魔王城を見て「ホームレスになることが確定した。もう何も怖くない」と明後日の方向を見ている親子に合掌しつつ、敵感知スキルが反応しなくなった城の中心を見るのだった。




次回

残念だったな、トリックだよ

どっち!

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