女神の愛しさと切なさと心強さをまとった一撃。
爆裂魔法と共鳴して悪を葬った。
気合いを入れすぎた花火は後24時間くらい続くらしい。
<ゆんゆん>
「お前もアクシズ教徒にならないか?」
「なりません」
唐突なナナシさんの勧誘に間髪入れずカズマさんの否定が入る。
片腕をあげてアクシズ教のシンボルが刻まれたネックレスを掲げるナナシさんの目はなんとなく青く輝いていた。
「……まあ冗談だが」
「ちょっと本気だったろ」
「このシンボルを身につけておけば何絡まれずに……」
「それはこの前聞いたわ! でも……だとしてもだ!! 俺は絶対にそんな不吉の象徴身につけないからな!?」
そう言って逃げるようにこの場を去るカズマさん。
その後ろをアクアさんが「ちょっとカズマ! 私んとこのマークを不吉とかバチ当たるわよ! というかここで神の怒りの鉄槌を落としてあげましょうか……!」とか言いつつおいかけていなくなってしまった。
「……師匠、実は本気だったでしょう? 聖女なんですから」
「勘違いだ。聖女の条件はあくまで神の声を伝え、実行することが可能な者。そも、某は無宗教である」
「そ、そうなのか!? てっきりアクシズ教とエリス教を両方信仰しているのかと……。相反する教えをどうやって守っていたのかと思えばまさかそういうことだったか」
ダクネスさんは初耳だったみたいで何だか白目むいてる。
「とりあえず魔境で地獄を見たくなくば必須アイテムだ」
「お構いなく。これからいじめられにじゃなくて、散歩を楽しんでくるので皆も各自でゆっくりしてきてくれ。ではいってくりゅ!!」
「……ダクネスは相変わらず変な性癖を持ってますね。エリス教というよりアクシズ教の方がしっくりくるのは私だけでしょうか」
確かに……
真面目なときはエリス教らしいのにこう言うときとか、そもそも初対面の印象でアクシズ教っぽいって思っちゃうな。
「これでカズマとアクアとダクネスは出て行って私たち四人になりましたが……ってウィズは?」
「す、すみませ~ん。ちょっとお風呂入ってました~。ちょっといつもより酸性が強い感じがしましたけどいいお湯でした~。おかげでちょっとのぼせちゃいましたよ」
「ね、ねえ、私の勘違いじゃなければウィズさんちょっと透けてない?」
「透けてますね。アクアが懸命に源泉を浄化していたのでしばらくはアクアのだし汁が供給されることになったせいでしょう。しばらくすれば水質が戻ると聞いてはいますが……」
「つまりは聖水の湯か。どれ、ちょっと魔力渡すからコッチに……」
ふにふらさん、どどんこさん、私、何だかんだ言って青春を友達と謳歌できている気がします。
****
しばらくして私とめぐみんとナナシさんの三人+αで観光名所巡りを始めた。
ウィズさんは体調不良で宿でゆっくりしているそうなので昨日の晩自作した旅のしおりは半分以上無駄になっちゃったけど、まあ旅はこういうイベントというかハプニングを楽しむことも大事だって『一人でもできる! 友達とのお出かけ予定の立て方』にも載ってたしね!
というわけで今日は二人にしおりをあげていざ出発しようとした……
「ゆんゆん、さすがにこの辞書より厚いしおりはどうかと思いますよ? もはや凶器として採用できる重量と角。これで絡まれたときにぶん殴れとでも言わんばかりではないですか」
「いや、そういう解釈するのは野蛮なめぐみんだけでしょ!?」
「確かに分厚い」
「ナナシさんまで!?」
「内容は面白かったが、内容の半分がアクシズ教出没箇所、宗教勧誘手口やその対策と注意喚起なのは驚愕した」
「よ、読んでくれたんですか!? いつの間に……」
さっきからしおりを結構な早さでパラパラしてたけど本当に読んでいたのかな?
ま、まさかそんな……いや、先生なら何かありえそう。
「それでも7割は確実に駄文が含まれてますよ。どぉーせ行きたい場所を全部載せたりどぉーでもいいような細かすぎる情報を書いたのでしょう?」
「そ、そんなこと!」
「正解だ」
「せ、先生!?」
「はぁー。やはりそうでしたか……。ならば道なりに行って行き当たりばったりでいきましょうか。ゆんゆんは勝手に解説でもしててください。私は聞き流しておきますので」
「聞き流すって言った? 私が聞いておくじゃなくて聞き流すって言ったの!? さすがにひどいと思うんだけどめぐみん!」
「さあさあ、さっさと行きますよ。まずは腹ごしらえにあそこのお店とかどーです?」
「あ、あそこのお店はしおりの894ページに書いてあって……」
ああ、なんか楽しいな……!
外の花火は綺麗だし、先生から(アクシズ教の)お守りをもらっちゃったし、私、ここで死んでも後悔ないくらい楽しい!
<主人公ちゃん>
何だか今にも感動で泣き出しそうなゆんゆん。
そんなところに変態紳士が現れた。
「大丈夫ですかな、アクシズ教のお嬢さん。ほら涙は似合いませんよ」
「ありがとうございます……ってこれ」
「どうかしましたか?」
「これ、女性用のパンツですよね……」
「……? はい、そうですが一体何か?」
どうやらゼスタという変態は殴られたりないようだ。
「……聖女様。別に私は何もしてませんよ? ただ昨日の爆発に巻き込まれたから美少女にセクハラして元気になろうとしてたのと、目の前で泣きそうになっているお嬢さんを見ていてもたってもいられず優しく布で涙をふいてほしい……そう思っただけですのでその、肩に食い込んでいる指を外してくださいませんかね? いや、本当にギリギリの回避で、何故か空から降ってきた男の子まで連れて走ったのですから結構瀕死なんですが……」
「それはご苦労。最後の言葉、しかと聞き取った」
「や、やめてください! せ、セクハラと暴行で訴えますよ!? あ、やめて死にたくない!! あ、どうせ死ぬなら美少女の柔らかい部分で窒息s…………」
とりあえず変なこと口走る前に自分の回復魔法で全快してたし魔力も結構余ってたのでアンデッドや悪魔が多いダンジョンにテレポートさせました。
アクシズ教のお守りが効かないのはコイツだけだからもう安心!
これでしばらくは帰ってこないでしょう。
「さて、あのうるさい人はテレポートで遠くに飛ばされたのでしばらくは安心です。次はあちらの串焼きなどどうでしょう」
「めぐみん、あなた何もしてないのにどうして『私がやりましたから安心ですよ!』感を出してるの? それと食べ物を両手いっぱいに持って口もリスみたいにして喋らないでよ、下品よ? ……無駄に綺麗に発音できてるのは気になるけど」
「かつて我が家では食事と言えば熾烈を極めた闘争だったのです。食事中家族団らんで話したりはするのですが気を抜いた瞬間食べ物は全てかっ攫われましたので……」
そんな時期もあったなぁ……
私が来てからは食糧問題は解決したけどこめっこは特に際限なしともいえる食欲で一時期激太りしして大変だったこともあったのは懐かしい思い出だ。
****
「そう言えば師匠、その手乗りスライムはどうしたのですか?」
「ああ、これか。実は昨日次元の裂け目にいたのを発見してな……最上位聖魔霊・竜魔粘性星神体になるまで飼育予定だ」
「……どこか見たことのある色してますね?」
「セシリーのトコロテンスライムの黒蜜味かグレープ味の色に似ているな」
「ああー通りで見覚えが……っていうかアルカンレティアでは以前排水管を詰まらせて持ち込み禁止命令出てませんでした?」
「……あそこにトコロテンスライムの屋台、出てますね」
「魔王軍幹部撃破祝いとか言って解禁してるらしい」
「……明日は魔王軍幹部撃破祝いから一日目の記念日、明後日は魔王軍幹部撃破祝いから一日目の記念日から一日目の記念日とか言い出して毎日解禁してそうですね」
違いない。
何なら以前セシリーが「トコロテンスライムが出る水道を作ってボロ儲けするわよ~! ついでに私も心ゆくまで食べまくるわ!」とか言っていた記憶がある。
※喉を詰まらせないように注意して食べましょう。
今はどこかでレベリングしながら美少女を助けてナンパしてるんじゃないかな。
「私たちも一つお試しで食べてみますか……」
「とりあえず口に入ってるものと手に持ってるものを全部食べ終わってから屋台の方に足を運んでね? そのまま行っても手が塞がっててお金取り出せないでしょ? それで仕方なく私がめぐみんの代わりにお金を出すことになるのはもうわかってるんだから……ってめぐみんおいていかないでよ~!!」
ゆんゆんは割と楽しそうでよかった。
自らみんなの分を買ってきたり、勝負に負けて奢らされたり、今もめぐみんの代わりに払う羽目になってるし、めちゃくちゃお金出してるけど楽しそうならそれはそれでいっか!
次回のゆんゆん
赤き巨神兵が眠る地に魔の手が迫る。
(敵が)全滅必至の中、不敵に笑う赤き瞳の集団。
かつての学友を救うため、(一時的な)仲間とともに帰郷する準備を開始するが……
紅伝説の幕開けである。
どこまで続き見たい?
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二期(~原作4巻)ハンス
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紅伝説(原作5巻)vsシルビア
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紅伝説(魔王討伐√)
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三期(~原作?巻)
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紅の宿命(原作9巻)vsウォルバク
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紅の宿命(魔王討伐√)
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最終巻(魔王討伐√)