私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

4 / 162
中二病的な言動も現実世界では実現し得ない特殊能力と合わせればそれはもはや……

完璧で究極で無敵の英雄に同じである。

いざ、中二病を解放せよ!


紅魔の里についたら祠が爆裂した

<めぐみん>

 

私が初めて心打たれた魔法。

 

それは地も天も空間も時間もすべてを超越し破壊する熱。

それは可視化された魔力の奔流が導く紅き焔と黒煙。

肌を焼く熱波、闇を払う力の波動が空気を伝わり世界に爪痕を残す。

 

元あった祠とそこから解き放たれた厄災の化身はその世界の理を超えた一撃によって魂さえ残さず虚無へ帰した。

 

その余波で燻る葉の苦い香りが鼻の奥をツンと刺激する。

 

 

ああ、なんて素晴らしいのだろう。

 

これこそ私の追い求めていた……

 

 

そんなことを思っているとその超越した魔法を放った爆乳のお姉さんが私の前に足を進めて来る。

金色の瞳に赤い髪、そして意味深に「あなたはまだ目覚めるには早すぎる……」と呟くその人は素晴らしく紅魔族の琴線をわかっている。

 

 

「お嬢ちゃん、怪我はないかい?」

 

「……どうしたら、お姉さんのように……」

 

「お嬢ちゃん、お名前は?」

 

「めぐみんです」

 

「ええっと、あだなかしら「本名です」……」

 

「……それにしても一体誰が私の封印を解いてくれたのかしら」

 

 

おおっ、この人はかっこよさについてよくわかってますね!

派手さがないのは微妙なところですがそれ以外の台詞はサイコーです!

と思っていると別の方から声がした。

 

 

「もし、そこの。今先ほどの爆発、何かあったのかな?」

 

「あなたは……その赤い目、紅魔族?」

 

 

そこに立っていたのは長い金髪をポニーテールに、腰に反りのある剣を腰に差す、着流しの中性的な眼帯の人。

 

 

「いや、どうだろうね。……ああ、すまないが(それがし)、名が呪われている故、名無しとでも何某(なにがし)とでも好きに呼んでほしい」

 

「呪われてるって一体……いや、今はいいわ。ええっと、ナナシさん? でいいのかしら? 紅魔族でないならあなたはどうしてこちらに……」

 

「放浪の旅、いや自分の名を探すための旅をしていたとでも言おうか。そんなとき手がかりを探してこの里まで来てみれば、何やら轟音がした故」

 

「それは……命知らずというか何というか」

 

「心配してくれるのかい? 嬉しいねぇ、神様に心配されるなんて久しぶりだよ」

 

「……一体何のことかしら。私はただの魔法使いよ?」

 

「爆裂魔法、逸脱者のみに許される最強の一撃を放つ最高位魔法。通常行使不可能な高みを使い平然としている者がただの魔法使いな訳な……おっと警戒しなくても攻撃はしない。因果故にな」

 

「それってどういう……」

 

「なに、世界の意思がどう導くか、ただそれだけよ」

 

 

まだ私にはわからない大人の話をしているのか、全く流れが読めない。

ただ「名が呪われている」「名を探す旅」「逸脱者」「最高位魔法」「因果」「世界の意思」という言葉……

 

めっちゃかっこいいですっ!!

 

二人の事情も経緯も知らないから話の本質を掴めないのがもどかしい!

でも自然な会話の流れで二人の独特な雰囲気はお伽噺の世界に入ってしまったのかと錯覚するほどで……

 

紅魔族の大人たちみたいな派手さはない。

でもその話は世界という身近で、しかし深淵に触れるのは不可能に近い舞台の裏を真に知ってしまった人の話。

目の前にいる存在が真に世界の深淵を覗いたり、それこそ神と対面したりしたことのあるような、異次元の存在なのだと思うと背筋がゾクゾクする!

 

 

「まあいい。邪神がその子を害さないのを確認できたのだから」

 

「あなた、どこまで知って……」

 

「さあね? この話の続きはウォルバク殿と巡り合わせが来たときにでも。ではな」

 

「ちょっと、まだ話は……!!」

 

 

その人は剣に手をかけると一瞬ぶれたように見え、突如現れた空間の裂け目の様な不気味な空間とともに消えた。

まだ学校にも行かない年の私はこのやりとりがそれだけ複雑で怪しいものかもわからない。

ただ私の紅魔族としての感性は訴えかけてくる。

 

かっこいい……

 

お姉さんの強大な力と謎に包まれた経歴も、ナニガシの世界の全てを見透かしているような言動も、この場の全てに見入ってしまった。

だから私はお姉さんに迷わず、躊躇うことなくお願いする。

 

 

「お姉さん、さっきの魔法を教えてください!」

 

 

どんな困難が待ち構えていようと私はその道を歩まずにはいられないのだと確信した。

少しでも憧れた二人に近づくため、その空間に介入するため、やがては憧れを捨て二人を超える大魔法使いになり世界を支配する大魔王になるために…………ッッ!!

 

 

 

<主人公ちゃん>

 

よし! なかなかにいい始まりを切れたのではないのでは?

 

紅魔の里で謎の怪しい旅人としてブイブイ言わせようと思っていたのにまさか邪神の復活の現場に介入することができようとは思わなかった(すっとぼけ)

 

本当はおもちゃ(邪神復活のキーアイテム)で遊んでるめぐみんかこめっこがいたら声をかけようかなと思ってただけなのにまさか今日がこの日だとは……

 

おけがで予想以上に意味深な雰囲気を纏うことができてサイッコーに気持ちよかったなぁ~……

 

これでこそ紅魔の里に突入するにあたり、いっぱい準備してきた甲斐があったというもの!

特にテレポートと幻術を応用して異空間に入る的な演出はなかなかただ者ではない感じが出てて……なんていうか、こう、よかった!

 

だけど、一つだけ疑念が……

 

紅魔族って派手さを重要視してる節があるけど、今みたいなのって感性に刺さるのかな……?

もし刺さってくれてなければ私はただの危ない人だし、なんならめぐみんがいたから声をかけたってよくよく考えてみたら不審者の行動だよね?

 

うわ、そう考えたらもしかして失敗してた可能性も……!?

くそぉ、しくじったかぁ!? 少なくともめぐみんには好意的に見られてほしいのですが……でなければ里の中で幼女に話しかける不審な旅人のレッテルを背負わなければならないことになるかも!?

それは御免被りたいのですが……頼む、上手くいっててっ!

 

 

……ふう、とりあえず、料理をしに帰りましょ。

そしてお風呂入って嫌なこと忘れて寝ます、うん、そうしよう。

 

 

「ただいま」

 

「ちょっとナナシさん!? あの手紙なんだったんですか!? 今朝私がいないときに出て行って心配したんですからね…………なのにたった半日で帰ってくるってなんですか、意地悪なんですか!?」

 

「うむ、やっぱりこの家は安心感があるな。今日はドラゴンのほほ肉のカレーにしようと思うのだが……」

 

「もう、そうやっておいしい物チラつかせればいいと思ってます……?」

 

「なんだ? 食わぬのか?」

 

「もちろん食べます、食べますけど~……!」

 

 

ウィズさん、ちょろいな……

 

という私も手料理を振る舞えば最上級の幸せそうな顔をしてくれるこの店主さんに絆されてる気がしなくもないが、結局今が楽しければそれでいいのだ!

 

……断じてアクシズ教に入信してるわけではない。

ただ「今日だけはちょっぴり食べすぎても神様が許してくれる」ということが無神論者でも時たまある。

そういうことだ。

 




主人公ちゃんとウィズさんの関係は気の置けない同居人です。

さて次回!
「主人公ちゃん、初めて(嘘)のおつかい」

魔道具店の店主代理まで出世し、バイトリーダーを超える地位を手に入れた主人公ちゃん。
冒険者ギルドに呼び出された店主に代わって取引先のクセ強紅魔族からうまく商品を納品できるのか?

どこまで続き見たい? 

  • 二期(~原作4巻)ハンス
  • 紅伝説(原作5巻)vsシルビア
  • 紅伝説(魔王討伐√)
  • 三期(~原作?巻)
  • 紅の宿命(原作9巻)vsウォルバク
  • 紅の宿命(魔王討伐√)
  • 最終巻(魔王討伐√)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。