私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

魔王よりも強くなったシルビアさん。
魔王よりも強いと噂されてるバニルさんは来なかった。
魔力を使い果たした紅魔族。

絶望的な状況。
デッドリーポイズンスライムスーツを纏う黒い影。

「プレリュードは某が奏でよう」



中二病だから爆裂したくて実力を解放してみた

<カズマ>

 

先ほどまで片膝をつけて胸を押さえていたナナシがぬらりと立ち上がる。

凍り付き真っ二つに割れた波。

 

しかしその先に見えるシルビアは全くの無傷。

……勝てない

 

 

「ナナシ! お前の攻撃が効いてないぞ!! 誰もアイツに勝てない……だから一度撤退して……!」

 

 

体勢を立て直してから挑もう!

めぐみんとか紅魔族の魔力が回復したらもう一回レールガンで倒せばいい!

お前ならもう一度作れるし、自力で似たようなことやってたじゃないか!

 

……だから逃げよう!

そう言いたくて口を開こうとしたときナナシさんの瞳が紅魔族のように赤く輝いていて驚き、口が開いたまま塞がらない。

 

 

「私は退かぬ」

「な、何で……」

「フハハッ!! 何故と申すか! 簡単なこと……血が滾るのだ。待ちに待った同格との戦、喜びのあまり狂ってしまいそうだ……。しかしまだ、全力にはほど遠い……『セイクリッド・ハイネス・ブレイクスペル』」

「うわっっ!?」

 

 

その瞬間、衝撃で体が宙に浮く。

それでもナナシから目は離れない、圧倒的存在感故に。

 

ナナシから爆裂魔法を放つ前のめぐみんのように危険信号がビリビリ伝わってくる。

詠唱も何もしていないのに濃い魔力が大気中に放出されているのだろうか……

可視化された力のうねりは宇宙のように底なしの闇と煌めきの混じっているように見える。

 

 

「我が名はナナーシャ。神の使いにして異界からの来訪者。名を取り戻し、理の外に身を置く者なり。……貴様を見込んで力を解放するのだ、その身を以て楽しませろ!(失望させてくれるなよ?)

「黒ずくめに赤い目……何より煩わしい名乗り。ほんっとうに虫唾が走る……! 紅魔族は皆殺しよ!! 『エンシェントディスペル』ッッ!! 何もできずに死んでしまえ!!」

 

 

 

 

 

 

<ナナーシャ>

 

地を力の限り蹴り飛ばし銃弾のようにシルビアの前に飛び出す、カズマが近くにいたら巻き込んで殺してしまうから。

魔力で固めたのにも関わらず地面はクレーター状に窪み、分散した力が地を蜘蛛の巣状に割る。

魔封じのせいではない(ただの格好いい演出)

かなり離れていた距離を一瞬にして詰め寄りシルビアの顔の前に飛び上がり、切り上げようと鞘から刃を抜いた。

 

衝撃波が空気を裂く中、巨大な剣は見事に反応し、私に振り下ろされる。

 

 

「これに対応してみせるとは、なかなかどうして。期待以上だ……やはりこうでなくては!」

「何なのアナタ!! 紅魔族のくせに剣を使って……魔法も使えない中何でこんなにも動ける!!」

「……魔法が使えない? 否、この程度の術式を破れずに最強を名乗れるか」

 

 

切り上げから咄嗟に刀の軌道を変化させ石火の如く切り返す。

刃の角度も勢いも揃った神業は岩をも抵抗することなく切り裂く一撃。

しかし相手の体は全生物の長所を一身に宿し、スライムの物理攻撃無効による能力により刃が入ろうとも傷は一切ない。

その隙を狙ってか払われたシルビアの大剣が今度は斜め下からの薙ぎで襲ってくる。

上の方に投げ飛ばされ、後方に身をよじり静かに着地する。

 

 

「……ああ、なるほど、アナタ、魔力を圧縮して無理矢理魔法を行使してるのね。どれだけ持つかしら? 時間切れまで付き合ってあげる」

「その前に切られるのが落ちだろう? そんな愚鈍な剣で我を切れるものか」

「生意気な口ね。いつまで重く速い連撃を捌けるかしら? ちょっとでも失敗したら潰れて死んじゃうわよ? それに私の体は今や強靱、無敵、最強! 斬撃何て効かないわ! さっきのゴーレムと紅魔族の連中が大事に大事に地下に保管してたアーティファクトまで組み込んだ私に勝てるかしら?」

「そんなこと、斬ればわかる」

 

 

ああ、楽しい。

楽しいなぁ……!

今まで倒してきた敵の全力が結集して襲いかかってくる。

 

堪らない。

私はこのときのために生きてきたんだ……

戦闘民族総出でかかっても打ち倒せぬ強敵を単独で倒す。

そして倒した暁には意味深なことを言って姿を隠す。

 

それだけのために私は命を賭けることを躊躇わず厭わず、牙を剥き出して狂気的に笑う。

誰しもが固唾を飲み運命の神に祈る状況で一人だけ激しい喜びに身を興じるのだ。

 

 

「最強をその身に刻め」

 

 

 

 

 

 

<ゆんゆん>

 

シルビアとの戦いはナナシさんの言っていた秘策で何とか終わったかのように思えた。

崩れる地面に危機を感じ、急いで緊急脱出装置を使って乗り捨ててみんなのところに何とか辿り着く。

 

みんな魔力を使い果たして額には大粒の汗が見える。

ほんと、この人たちは馬鹿。

変なところ(雰囲気作り)に力注いでないで必要なところにだけ魔力使えばこんな危機的状況でもなんとかなったかもしれないのに……!

 

復活したシルビアがデッドリーポイズンスライムの毒を津波のように吐き出す。

その波はどんどん広がり、めぐみんたちが逃げている。

 

 

「終焉だ。大地が……穢れに浸食されていく……。世界が……崩壊していく……」

 

 

あるえの声が聞こえる。

もう、私たちは助けを呼ぶことすらできない、魔力がないから。

めぐみんを助けることすらできない、助けるには距離が離れすぎていた。

 

 

「めぐみんッッ!!」

 

 

波が覆い被さり5人の姿が見えなくなり、思わず声をあげる。

その瞬間、奇跡が起こった。

 

 

「何だあれはッt!」

「穢れが、凍り付いた……!?」

 

 

凍った波が割れ、アクアさんとめぐみんを背負ったダクネスさんの姿が見える。

一瞬ほっとして、でもカズマさんとナナシさんが見えない。

少し遅れていた二人は飲み込まれてしまったのか。

それともナナシさんが使った魔法が波を止めて、その反動でめぐみんみたいに動けなくなったのか……

 

そんなことを考える暇もなく強大な魔力の波動を感じる。

 

どうして……

今は魔法を使えないはずなのに……!

一体何が起こっているの……!?

 

氷の中を黒い筋が突き抜け、巨氷が砕け散る。

カズマさんがその衝撃で吹き飛ばされるように姿を見せた。

 

 

「一体、何が起きているんだ……」

「わからない。だが誰かいるぞ……!」

「も、もしかしてアレって先生じゃ!?」

「しかし、先ほどまでの服装も目の色も違う。まるで私たち紅魔族のような……」

 

 

強大な魔力の波動は私と同じくらいの大きさの人から発せられていた。

黒い姿と深紅の瞳をしていることだけはわかるけど、それ以外のことは闇に隠れてて何もわからない。

 

敵か味方かさえわからない謎の人物に目を離せない。

だから一瞬も瞬きをせずに見ていたのに……

 

フッと姿がかき消えた。

 

同時にあの巨体から繰り出される攻撃。

巨体だからこそ何とか目で捉えるが本来ならほとんど見えないであろう速度。

その高速かつ重量も人間とは比較にならない連撃が何もない空中で火花を散らせ、地面を打ちつけ、暴れていた。

 

 

「な、何!? あの魔王軍幹部の……力を制御できなくて暴走してる!?」

「いや、違う」

「あ、あるえ! アナタ眼帯をとって……。一体何が見えてるというの!?」

「あれは正体不明の乱入者が刀を振るっている……。空と地を駆け夢想の如く……我々は今、伝説の始まりを目の当たりにしてるのかもしれない」

「世界を滅ぼしうる魔物と漆黒の闇を体現した存在の……神話の戦いか」

 

 

もう誰が話しているのかもわからない。

ただ見えるのは残像と赤と黒の筋。

そして無傷のシルビア。

いや、実際は傷を負っているはずなのに驚異的な回復力か何かで何事もないように戦闘を続けている。

 

 

「氷漬けにして破壊しても駄目、切り落としても再吸収する、無尽蔵の回復力。爆発系の魔法が弱点なのかそれだけは巨神兵のバリアで防いでいる。攻略法がない……! どうすれば……!!」

「それだけじゃない。……魔封じをされているのに無理矢理魔法を行使しているんだ。相当な負担と膨大な魔力……いつ魔力切れになるか」

 

 

そんなとき、さらなる魔力の高まりを感じた




我が名はナナーシャ。
我が友との契り故に魔を屠る者。

……最強、か。
借り物の力で最強を語るとは、万死に値する。
見るがいい、これが遙か高みを求め続けた者の最強の剣だ。


次回
陰の実力者(仮)は最高のタイミングで必殺技を放ちたい!

どこまで続き見たい? 

  • 二期(~原作4巻)ハンス
  • 紅伝説(原作5巻)vsシルビア
  • 紅伝説(魔王討伐√)
  • 三期(~原作?巻)
  • 紅の宿命(原作9巻)vsウォルバク
  • 紅の宿命(魔王討伐√)
  • 最終巻(魔王討伐√)
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