私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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忙しい店主に代わって商品取引する話。

はたして見通す悪魔に無能店主と言われている彼女の代わりを主人公ちゃんは務めることができるのか?

誤字報告ありがとうございます!



商談中に挨拶したらちゃぶ台返しされた

<主人公ちゃん>

 

今日も今日とてお店の手伝いをする私。

ここの魔道具店が何とかやっていけてるのは私のおかげと言っても過言ではない。(その通り)

 

と言うのは私のお手伝いが素晴らしいというわけではなく、討伐報酬の8割を家賃として(以前は指導料として)納入しているためだ。

 

最近はレベルドレインをしないためアクセルの街で広まった「私はレベルが上がらない呪いにかかっている」という噂をそのまま残しておきたいためアルカンレティアで討伐報酬をもらうようにしている。

 

そこで出会ったアクシズ教の人とお話ししたり、魔法を教えてもらったり、アクシズ教のシンボルさえ持っていれば平和な都で存外悪くはない。

温泉も素晴らしいしね。

 

まあ、そんなわけでレベルは上がり、貯金は余裕あり、店主の生活を支えている、あの8割のお金で人気のない変な商品を買ってくる友人より収入源として安定している。

……もはや私がこの店を裏から支配していると言っても過言ではない!(過言)

 

そう、だから……

 

 

「あら? ギルドの職員さんじゃないですか? おはようございます、本日はどのような商品を……?」

 

「ウィズさん、実は今日はそうではなく……郊外に強力な魔物の目撃情報が入ってきまして……ご協力いただけたらな、と」

 

「うむ、すまないが今日は商品取引で店主は忙しい」

 

「そ、そんな!?」

 

「……だが、心配する事なかれ! この私が向かおうではないか!」

 

「……でもナナーシャさん、レベル1ですよね?」

 

「……」

 

「確かに今までの討伐歴を見ると結構な大物をウィズさんと一緒に討伐してきたようですが……。さすがに今回は……」

 

「ナナシさん! 私、職員さんの力になりたいです! ですので急で申し訳ないのですが代わりに商品の取引をして頂けないでしょうか!」

 

「……あいわかった」

 

 

こんなことがあっても全然問題ない。

 

それはそうだ。

どこにレベル1の冒険者(最弱職)を強力なモンスターにぶつけようとする極悪非道なギルドの職員さんがいようか……!

少なくともアクセルの街にはいない。(反語)

 

私のことを心配してくれる気持ちは嬉しいが……ちょっぴり複雑だ。

店主も私に任せておけばいいのに自ら参加するとはお節介焼きの性か。

それとも私を店主代理として信用してくれたのか。

 

本来なら

 

 

「あなたはレベル1のはずでは!?」

 

「それがどうかしたのかい? 私はレベル1でもドラゴンと渡り合える技術がある」

 

「ありえない……ッ! これが万年レベル1など……! 今まで実力を隠してきたのだとでも言うのか……ッッ!?」

 

 

ってしてみて中二心を発散しようとしてたのに、次回にお預けか……

まあ、この展開はアクア様らが来てからでも遅くはないか。

 

本当に出番がなくて悔しいだなんて思ってないんだからね……?

 

……とりあえず紅魔の里まで行って一狩りするか。

 

 

 

<めぐみん>

 

今日はおとーさんとおかーさんにお外でこめっこの面倒見ながら遊んでらっしゃいと言われたので仕方なくセミ獲りの準備をしました。

 

両親がわざわざそう促すのは我が家の収入の支えである魔道具の販売があるから。

それも今回はお得意様であるアクセルの街の魔道具店の方との取引。

 

紅魔族随一の天才の私はそのことを理解し、赤ん坊が泣いても商談取引の妨げにならないようにこめっこを外に連れ出すのだ。

まあ我が妹は一度眠ったら自然に覚めるまでずっと寝てる大物なので大丈夫そうですが。

 

……それはそれとして、店主さんが以前来たとき、質素ながらもある程度私たちの生活の質を担保してくれるその人(カモ)は不健康そうな肌色をしており、今後も私たちを支えてくれるのか心配です。

 

だから我が家に入ってきたら品定めの意味も込めての我が家のボロい壁の隙間から茶の間を覗き見る予定となっているのです。

 

 

「たのもう、ウィズ魔道具店の店主代理の者だが」

 

もう来たッ! よし、決行するぞ!

 

「あら~? 今日はいつもと違う方なのね~?」

 

「うむ、いつもは我が魔道具店の店主なのだが……今日は急ながら冒険者ギルドからの要請で討伐依頼に行くことになってな。店主代理として某が……」

 

「あらあら~! それはご苦労様です~。どうぞ、お上がりになって? おとーさん、魔道具店の方がいらしたわよ~。あ、どうぞ、白湯ですが……」

 

「うむ、かたじけない」

 

 

あれ? いつもの人じゃない?

いよいよ体調を崩したのかと思いきやそうではないらしい。

 

しかしあの声、あのしゃべり方、……それに金髪の人?

どっかで見た覚えが……

 

 

「母さん。すまないが帰ってもらってくれ。あの店主さんのようにこの坊主がうちの魔道具の良さを理解し切れてるとは思えん!」

 

「あらあら、お父さん? うちのお得意様なのにそんな態度で……この方の縁が切れたら餓死してしまいますよ~? お父さんが」

 

「し、しかしだな!? 俺の道具の良さがわからないやつには……」

 

「ひょいざぶろー殿、でよいかな? このポーションについてなのだが……」

 

「そ、それは! 毎回店主さんが欲しいと言っていた俺の自信作『囮のポーション』じゃないか!? どうして貴様がそれを……!?」

 

「やはり、ひょいざぶろー殿の作品であったか!」

 

「……まさか返品しに来たというのでは、あるまいな?」

 

「まさか、その逆です!」

 

「「逆……?」」

 

 

両親の声が重なる。私も疑問に思う。

我が父の作品はよく言えばユニークかつ強力、悪く言えば使いどころがない欠陥品に近い尖った性能をしている。

そのせいで我が家は貧乏なので改善してほしいとは思うもののきっと直らないと諦めているのが現状だ。

逆とは一体何なのだろうと疑問に思っていると金髪の人から答えが返ってくる。

 

 

「うむ! 実は某が店主に無理を言ってこのポーションの発注をしてもらっていたのだ! このポーションは本当に素晴らしい! 囮と言いつつ強大な魔力故に多くのモンスターがそこに集結するのが何とも魅力的です! このポーションは人を選ぶ。だからこそ私とこのポーションは出会ったんです!」

 

「ほう、坊主、わかるのかね? この商品の良さが……」

 

「ええ、何せ私の必需品ですから…………失礼、興奮してしまいました。某も僅かばかり道具の作成をする故、このポーションの素晴らしさ、より理解させられてしまう。」

 

「……母さん、最高級の茶葉を」

 

「あらいやだ、この家には濾しきった茶葉しかありませんよ?」

 

 

素晴らしい手のひら返しに思わず苦笑いを浮かべてしまう。

しかし世の中かなりの変わり者がいるんですね……

 

 

「ああ、白湯がまだ入っている。茶はまだ結構だ。それよりひょいざぶろー殿、商談をしないか?」

 

「おお、いいでしょう! この家にあるすべての魔道具をお見せしましょうとも!」

 

「全て力作なのだろう? 馬鹿と鋏は使いようとはよく言ったものだ」

 

「流石わかってるなっ! だが坊主も一流の冒険者なんだろう?」

 

「……忌まわしい呪いがなければ今頃レベル100の冒険者だろうにな」

 

「ま、まさか! その眼帯の奥に……!」

 

「流石は紅魔族、何でもお見通しか」

 

 

思い出した! あの眼帯、それにあの服装、間違いない!

まさか、そんな……あの時の着流しのナニガシさん!?

憧れの人との早すぎる再会に驚愕していると、その人の視線がこちらに向けられる。

 

 

「先程からコソコソと。何者だ、そこにいるのは…………!」

 

 

 

<主人公ちゃん>

 

そこにいるのはめぐみんだ!

 

もちろんそんなことはわかっているが私の情熱は抑えられない。

鍔に手をかけ、挨拶代わりに何をしたかと言うと……

 

 

「ぎゃああぁぁぁあああ……!! 我が家の壁がぁぁあああっっ!?!?」

 

「おおっと、何時ぞやの娘ではないか?」

 

 

鍔音が室内に響き渡った瞬間。

 

……なんということでしょう! (♬ ~)

 

私の手(※刀ではなく魔法です)によって経年劣化が激しくボロボロになった壁は一瞬にして切り刻まれ、部屋全体に光が差し込む温かい空間へと早変わり!

 

その先には驚きで目を大きく広げた子供の元気な姿が見られて、子供が遊んでいる間でも安心して赤ちゃんのお世話をすることができます。

 

紅魔族の感性に訴えかけた匠の粋な計らいによって家を半壊させたとしてもすべてを笑って許してくれること間違いなしでしょう。

 

……すみません、調子乗りすぎました。後で直します。

 

 

あの、めぐみんさん? そろそろ何か喋ってもらわないと気まずいのですが……

というか私が一方的に知っているというのは幼女ストーカー疑惑が浮上してしまうので何か反応ください!

ホント、お願いしゃす!

 

 

「か……」

 

「か…?」

 

「かっこいいです……!! ナニガシさん! もっかいやってほしいのです!」

 

「いやっしかし、この家をただでさえ破損させているのに、必要以上に破壊するのはいかがなものかと……。ね、ねえ? ひょいざぶろー殿?」

 

「キサマ! 我が娘の要望に応えないとは何事だ!!」

 

「ええっ!? 怒るのそっち!? ……なら本当にやるぞ!?」

 

「キサマッッ!! そうやって愛娘を誑かして娶るつもりか!! させん、させんぞぉぉおおお!!」

 

「ええぇ……っ!?!?」

 

「アナタ、やめてぇぇぇえええっっ! これ以上家の物を壊したら生活がああぁぁあああ……!!」

 

 

この後無事ちゃぶ台をひっくり返され、反射でその台を刀で半分に切った。

その余波で家も真っ二つに切れ、めぐみんは目を輝かせ、ひょいざぶろー殿は顎をあんぐりと開け、ゆいゆい殿の悲鳴(主に家計が火の車な件について)が紅魔の里中に響き渡ったという……




次回!

マイクラの匠のように家を破壊しただけでは済まないのが主人公!
貧乏一家のために自腹を切り、リフォームを始める。

紅魔族のように魔法を駆使して頑張ろう!
目指せ! 理想のマイホーム建設!

どこまで続き見たい? 

  • 二期(~原作4巻)ハンス
  • 紅伝説(原作5巻)vsシルビア
  • 紅伝説(魔王討伐√)
  • 三期(~原作?巻)
  • 紅の宿命(原作9巻)vsウォルバク
  • 紅の宿命(魔王討伐√)
  • 最終巻(魔王討伐√)
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