カレーがお気に召した王女様、カズマを誘拐する。
そんな中みんなはカズマの心配より王女様の貞操の危機に焦り散らかす。
というわけで監視役として私が派遣されたって訳。
せっかく王都に来たんだからカズマくんと一緒に王女様と遊ぼと思う。
<カズマ>
「な~アイリス~! 一緒に遊ぼうぜ~!」
「カズマさん! 今アイリス様はお勉強の時間ですのでどうかお静かに! アイリス様がそちらの方を気にしてそわそわしてしまいますので!」
「そうだぞ、カズマ殿は某一緒に剣術の稽古の続きを……」
「いやです~!! というか反復練習ばっかりで飽きました……。どうしても稽古を続けてほしいのなら気分転換に面白いことを所望する!!」
今俺は絶賛王城で地団駄を踏んでいた。
どうしてこんなことになったか。
それは俺が王城でアイリスの兄兼遊び相手兼その他諸々を引き受け楽しい生活を送っていたのだが、王族というのは我が儘があまりできないらしくお勉強や武術の稽古のスケジュールを抜け出して俺の相手をしてくれないからだ。(つまりアイリスがカズマの遊び相手になっている状況である)
暇なので久しぶりにナナシと稽古をしていたのだがそれもそれで飽きてきた。
もう俺に残された道はアイリスと遊ぶことくらいなのでこうしてレインとお勉強している部屋にちょっかいかけている。
「面白いことか……ならば魔法の方に……」
「やだよ、お前の使う魔法えげつないのばっかりじゃん」
「……ではティンダーをエナジーイグニッションの威力に効率的かつ低魔力で扱う術の伝授はまた今度に……」
「すみませ~ん!! アイリス様が集中できないので!!」
「今はレインの方が集中できてないじゃないですか!?」
「とにかく後で教えてくださいね~!」
「……あちらの方に移動してやるか」
「うっす」
****
てなわけでナナシのパーフェクト魔術教室が始まったのだが……
「むずくね?」
「まあ紅魔族でも難しいだろうな。そもそも某が開発した独自の理論を応用しまくっているせいで話しについて来れてる汝に感心しているまである」
「何やべぇこと教えてんの!?」
「めぐみんにも教えたからつい……」
「いや、わかるよ? 魔力と粒子の波動とか結構わかりやす……(いや、これは俺がオタクで現代知識持ってるから何となくで理解できてるだけでこの世界の人からすればとてつもなく突拍子もないことじゃね?)。まあいいや。そうじゃなくてそれを知ってるからできるかどうかは違うだろ!?」
簡単に言うとこうだ。
魔力とは波であり粒子である。
波を重ね合わせて最大になったときに撃てば威力が数倍。
初級魔法に中級魔法程度の魔力を込めれば上級魔法の威力を再現できるらしい。
……いや、普通に中級魔法でやれよ。
そしてそう言うのって杖とかそういう補助器具つけてやるもんだと思うんだが?
そんなこと考えていたら急にけたたましいサイレンの音。
……また魔王軍が攻めてきたのか。
「騒がしいな……。このサイレンを止めにいくとしよう。勇者もついてこい」
「いや、俺はここにいます。勇者じゃないし低レベルだし最弱職だし弱いんで……って話聞いてる? おい、話聞けよコラッ!? 逝きたくない死にたくなああい!!」
「勇者じゃないとは嘯くなぁ。それにレベル1かつ最弱職である某にその言い訳は通用せぬぞ? ついこの間もオーク狩りで十数レベル上がったろ?」
「聞こえな~い! 聞こえませ~ん! だから引っ張らないで~!!」
****
ああ……マジこえぇ……
何で俺死地に向かわされてるんだろう。
「安心してよいぞ、敵は弱らせてからそちらに投げる故一撃で仕留めれば問題なし」
「全く安心できねぇ……」
「最悪この割ると爆発するポーションを弓にくくりつけて爆撃するだけでも」
「おいお前今どこから出した!?」
「亜空間じゃ」
「……ナナえもん、まじで俺が危ないときは助けて?」
「……? 承っておるぞ?」
ちょっと安心したわ。
魔法を実践で習得させるとかいうスパルタはもうこりごりだ。
「アレ、そこにいるのはナナーシャさんじゃ……げっサトウカズマも」
「おいムツリギ、げっ、とはなんだ」
「ミツルギだ! どうして毎回僕の名前を間違えるんだ!? 新手のいじめか!」
「それはこっちの台詞なんだが?」
「魔剣のではないか。丁度よい、少しばかり手伝ってはもらえないか」
「はい、喜んで!」
コイツ、何も内容を聞かないうちに返事しやがった!?
アクアのことを神格化してるせいでアクシズ教の狂った聖女のことも……!?
※アクシズ教は狂っているのでさらに狂わせたら一周回って常識的
「では二人で共闘頼んだ。某はあちらで少し暴れてくる」
「おい! 俺が危ないときは助けてって約束は!?」
「すまない……死んだら蘇生するから骨でも拾ってもらってくれ!」ニコッ
「にこっ、じゃねぇ!!」
「了解しました!」
「お前も爽やかに了解してんじゃねぇ!」
「おいサトウカズマ」
「カズマですが!」
「こういう状況だ」
「お前のせいだけどな!?」
「不本意だが共闘しようじゃないか。僕も修行を重ね以前よりレベルに頼らない動きもできるようになってきたはずだ。これでかつてのように遅れをとらず背中を安心して預けられるはずさ」
「最初に言っておく! 俺はか~な~り弱いッッ!! だから俺が死んだらお前のせいってことでまたその魔剣売って保険金代わりにしといてやる! それがいやだったら背中を預けるとかじゃなくてしっかり守れください!」
「さすがに悪質すぎないか!? それにどうして弱いってところ自信満々に!?」
だってしょうがないだろ。
あの魔王軍の敵、血気盛んすぎて怖いんだから……
<主人公ちゃん>
お、カズマくんたちも始めたみたいですね!
向こうの方で爆裂音が聞こえてきます。
私の調合した特製ポーションは結構火力あるでしょ?
密集してるせいもあって一発で十数体の魔物を倒してる。
「さて、某もじっとしておれん。この地獄を楽しませてもらおう」
「……! 嬢ちゃん! 君はこっちに来るんじゃない! 向こうに行って……」
「心配無用じゃ若いの。怪我してる主の方が下がっておれ。『ヒール』」
「何だ!? 一瞬で……!?」
やっぱり高レベルの冒険者とはいえこのレベルの治癒は初めてだったのか驚いてくれてうれしい限りですなぁ!(どっちかっていうと小さい子が魔法使ってるからだよ?)
この調子で負傷者を治しつつどんどん斬っていこう!
そうすれば自ずと……
「オイ、ソコノチビ、回復魔法ナンテ卑怯ダ! ブッ殺ス!!」
「おぉ……何か図体だけの期待外れが騒いでおる『セイクリッド・エクスプロード』……これだけ厄介な立ち回りしてれば強敵が来てもっと格好いい技を繰り出せると思ったんだけどなぁ……。まあ戦いはまだまだこれから。期待して待っているとしよう」
「……おい、嬢ちゃん。今さっきの技、王族秘伝の技名だった気がすんだが?」
「気のせいじゃ。『パワード』『プロテクション』『リフレクション』『ブレッシング』『フォルスファイア』……さてさて本番はこれから!」
****
結局この戦いでは大物は出てこなかった、残念。(主人公ちゃんの大物基準が魔王軍幹部クラスなだけ)
でも一部の人は「今回の戦い、アイリス様が参戦なされてたおかげでほとんどの人が軽傷ですみましたね!」とか「あれは聖女様だ……見ず知らずの私の傷を癒やしてくれて強化魔法まで。そのまま敵が多い方へ怖じ気もせずに向かっていったあの子は……」とか「一体誰だったんだ、あの少女は……。もしや物の怪の類いか?」みたいなことを言っていたのは影の実力者ムーブができた感じで良かった。
きっと私の噂だと思うけどアイリス様を間近で見たことない人たちにとって同じ身長で金髪碧眼の強い人がいたら王女様だと勘違いしてもおかしくはないのだろう。
ちなみにカズマとミツルギは意外にもしっかり共闘できていたみたい。
潜伏しながら超精密(幸運値依存)かつ高火力(ポーション依存)な遠距離攻撃を使うカズマくんとヘイトを稼ぎつつ(鼻につく派手な攻撃)一撃必殺(魔剣による)で圧倒的近接戦がうまくかみ合ったみたいでよかったよかった!
……え?
ミツルギの技術面はって?
……剣道初めたてから数ヶ月くらいの実力はついたんじゃないかな?
知らんけど結構進歩はしてると思う。
「お、レベル結構……あれ、バグったかな、レベル40近いんだが?」
「さすがお兄様! 昨日のご活躍はお城まで届きましたよ!」
「……何か俺の実力って運以外全部道具依存だとか、潜伏使ってコッスい戦法使ってんのバレてるの嫌だな……」
「そんなこと! お兄様が一番か二番かを争うくらいに敵を倒していたのは事実ですし……それにナナシさんも! というか何で王家に伝わる剣を使えるのか疑問なのですがもしかして……」
「さてなんのことやら」
突撃! 隣(魔王軍)に突撃! って話でした。
次回
また変な噂を作ってしまった主人公ちゃん。
ダクネスたちが到着するまでしっかりカズマのことを監視することに成功してよかったよかったと一息つくまもなく今度はあのアレ臭のお屋敷で盗賊稼業。
そろそろ悪魔をぶっ殺したいところだけどそれより先にやるべきことがある!(主に料理を作ること)
どこまで続き見たい?
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二期(~原作4巻)ハンス
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紅伝説(原作5巻)vsシルビア
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紅伝説(魔王討伐√)
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三期(~原作?巻)
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紅の宿命(原作9巻)vsウォルバク
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紅の宿命(魔王討伐√)
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最終巻(魔王討伐√)