アクアに「鶏の卵を温めてドラゴンにして」って渡されたのでちょっと魔力をあげたり改造したりした。
めぐみんに「ドラゴン買って買って買って!!」って強請られたので買い物して貯金がつきたりした。
ダクネスが「カズマ!お金を稼ぎたい、一狩り行こう!」って言ってたので頭数を倍にしてカズマ君が死んだりした。
<ダクネス>
今はめぐみんと私の二人でクーロンズヒュドラの討伐へ出向いていた。
あの二人は留守番だ。
なんでも鶏の卵を温めることと傷の療養で忙しいらしい。
なんとも二人らしい回答だ。
しかし……今回もクーロンズヒュドラの討伐は失敗。
奴を倒して実家の借金を少しでも返せれば皆との冒険をまだ楽しめるかもしれないのに現実、そう上手くいかないな……
「ダクネス? そんなに落ち込まないでください、今回はまだ4回目ですよ! 魔力を見たところ私の爆裂魔法を後10回前後撃ち込めば倒せるはずです! ですので……」
「ありがとうな、めぐみん。わざわざ私の希望に付き合わせてしまって……」
「いいのです。私だって一日一爆裂できて願ったり叶ったりですし、カズマはこの前食べられたばかりで無理に動かしたくないので……」
あれはただ怠けてるだけじゃないのか?
何て野暮なことは言わない。
めぐみんもそうだが、カズマにも感謝しているのだ。
私が何も詳しい事情を伝えなくても仲間のために、今回は私のために、しょうがないなとぼやきながらも尽くしてくれる、そんな仲間に。
実家がらみのことを仲間に背負わせたくないが……それでもこれからも一緒に冒険を続けるにはクーロンズヒュドラの討伐を私の手で行わなければならない。
騎士団を待つでもなく、時間稼ぎする訳でもなく、私自身が討伐して全部の賞金を返済にあてる必要がある。
「それにしてもどうしてクーロンズヒュドラが二体いるのでしょう? もともと一体でしたよね?」
「確かにそうだな……もともと二体いて、交互に覚醒を繰り返していただけだったのかもしれないが、その、めぐみんとナナシの見解では人為的なものだったと……」
「ダークリユニオンのことですか? あれはそういう謎の組織がいるという可能性の話なのであまり気にしなくてもいいですよ? それより原因はなんであれ、この討伐ができたら報奨金も通常の二倍もらえるということでしょう? ちょっとばかり大変ですがクーロンズヒュドラの討伐を完遂した暁には」
「ちょっとまて! 人為的なものではないのか!? 確実にあるような言い方していたように記憶してたのだが……まったく、人騒がせな!」
「ダクネスが勘違いしただけですよ。師匠もカズマもわかってましたし……」
「!?」
おかしい!
常識的に考えて架空の話だと気づけるわけないだろ!?
でも、いや、私がおかしいのか!?
と、そんなこと考えてたら雨がまた降り始めてきた。
「梅雨の季節ですね……」
「そうだな……カエルに丸呑みされる家畜や人が増える時期でもある」
「……今ダクネスが思っていることを当ててあげましょうか? ずばり! 鎧を脱いでジャイアントトードに捕食されたいのでしょう!」
「な、何をバカな! 私はただ民が幸せな生活を送れればいいなと……捕食されたいなどとは考えてないぞ! ……ちょっとしか///」
「あれはやめておいた方がいいですよ、生暖かくて生臭くて湿気がひどい時期ならなおさら」
「最高の機会というわけだな?」
「そう、最悪の……って人の話聞いてました!?」
そう、私はこんな面白おかしい冒険を続けたいんだ。
<主人公ちゃん>
現在私はアクアちゃんにまたまた引きずられてカズマ君のお家にお呼ばれして、春先にも関わらずなぜか暖炉に火をつけて我慢大会をする羽目になっている。
カズマ君は薄情にも私を見捨てて自室に引きこもっている。
……っとめぐみんたちが帰ってきた。
「おかりー!」
「ただいま……ってアクア、それに師匠!? ……一体何をやってるのです?」
「見てわからんか?」
「わかるわけないでしょう!?」
「私ね、閃いちゃったのよ! 私だけで子育てするとなるとかなり負担もあるしもし目を離した隙にこの子に何かあったら大変じゃない? そこでお呼びしたのは学校の先生でもあるのじゃロリちゃん! 将来この子が生まれたら一緒に英才教育してあげるの!」
「そのためだけに師匠を呼んだのですか!?」
「もちろんそれだけじゃないわ! 一緒に魔力を込めて歌とか聞かせてあげたりして、それを二人でやれば効果も二倍よ! それに卵も大きくなってきたのよ! 今こたつから出したら冷えちゃうから見せられないけど将来は背中に乗せてもらって一緒に空の旅にいくの!」
「やはりそんなことじゃないですか! それに普通、卵は一生サイズ変わりませんよ? それに孵ったとしてもそんなに大きくなるか、そもそも空を飛べるのか……」
「あ、別に空じゃなくてもいいわ! 海とか川で一緒にお魚を捕まえたりってのもいいわよね!」
「そこまで妄想しているのか……。何だか、その、卵が孵っても気を落とすなよ? 気の毒に……」
「ねえダクネス? それにめぐみんもどうしてそんな悲しげな目をしてるの?」
めぐみん、ダクネス……
私がしっかり管理及び改造したからアクアちゃんが泣くことはないよ、きっと。
「……さぁて! 明日もクーロンズヒュドラの討伐頑張りましょうね!」
「そ、そうだな! 目の前にいるドラゴンスレイヤーを追い越そう!」
「ねえちょっと! 私の前で、ドラゴンの親なる人の目の前でそんな物騒なこと言わないでちょうだい!」
私がドラゴンスレイヤーなのはどうでもいいんですかね?
とりあえず私は熱中症にならないように服中に忍ばせた冷房機能を全開!
その魔力を使って暖炉やこたつの熱で卵の中身がゆで卵にならないように冷やすことに一生懸命になっている。
なんといってもアクアちゃんは卵の育て方を理解してないらしく、私がフォローしてあげないといけなかった……
というわけでこの卵ちゃんは何度も九死に一生を経験している。
カズマ君とは違って死んではないけど。
****
そんなこんなでめぐみんとダクネスの日課が一週間ほど続いた。
もちろんクーロンズヒュドラも学習するのでダクネス一人では対処できなくなっているだろうと思って私も出張ろうとしたんだけど……
「ナナシ、非常にありがたいんだがこの討伐、私たちに任せてくれないだろうか」
ってダクネスちゃんに言われちゃった……(´・ω・`)
事情は知ってるけどちょっと悲しい。
少しくらい戦ってもいいでしょ?
そんなとき、魔が差した。
……もしかしてもっと数が増えれば私のことを頼りにしてくれるんじゃない!?
そう思い立ったが吉日!
私はクーロンズヒュドラの討伐という名目でヤツをもう半分に切って……
<カズマ>
最近ダクネスの様子がおかしい。
どうしてクーロンズヒュドラの討伐に固執しているのか、何もわからない。
それでもパーティーメンバーな訳で、助けようとしたんだが……
「こんなの聞いてねぇぞ!?」
「イヤァ!! かじゅまさぁん!! 食べられる!! 私、また汚されちゃう!!」
「……想定外です。まさか先日の二体だけじゃなくさらにもう二体いるとか……」
「みんな! 私の後ろにッ!!」
俺、また死ぬかもしれない。
ほーんとどうしてこんなことになっちまったんだ!?
めぐみんはさっきまで「昨日と比べてごっそり魔力が減ってます! 勝機です!」だったのに今は「もしかして自分の魔力で分身を!?」だ。
さっき爆裂魔法で二体討伐したのにさらにもう二体とか……
うん、彼奴らが増えるだなんて思うか普通!?
せっかく街中の冒険者に声をかけて準備万端、作戦も抜かりない!
そう思ってやってきたのに想定外が過ぎるだろ!
他の冒険者たちも自分の身を守るのに精一杯、
盗賊用に持ってきたワイヤーも、魔法使いの魔力も尽きた、
めぐみんの魔法でも仕留めきれなかった……
「くそっ、何か打つ手はないのか!!」
「ほら早く考えて! いつもみたいに小賢しい悪知恵働かせて考えて!!」
「アクア、お前は黙って支援魔法やら何やらをかけてろよ! 集中できねえから!」
ああ、もう!!
どうしてこのアホはナナシさんを卵の孵化をさせる係にして留守番に……!!
こんなときにあの人がいれば一瞬だろうに……
「とりあえず避難だ! 体勢を立て直そう!」
「了解した! 私が奴らを引きつけておく!」
さっきまで討伐に固執していたはずなのにどうしてだか聞き分けよいダクネスに違和感を持ちながら全体に退避するよう声を張ろうとした、そのとき。
「いや、その必要はない」
「……ったく、来るの遅ぇよ」
「すまん、実はこんな楽しそうな機会そうそうない故、家でウズウズしておったのだが、卵の世話に手間取ってしまってな」
「今楽しそうって言ったか? それから遅れた理由が卵の世話?」
「……では倒してくるでの」
「あっ! 逃げやがった!」
これが終わったらいろいろ問い詰めないとな……
さっきまでめちゃくちゃ焦って不安ばっかだったのに、そんなことを考える余裕がある。
慣れってこえぇ……
次回
ダクネスが家出しーの、
代わりにダストが臨時パーティーになりーの、
めぐみんと畑荒しーの、
トツギーノ
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二期(~原作4巻)ハンス
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紅伝説(原作5巻)vsシルビア
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紅伝説(魔王討伐√)
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紅の宿命(魔王討伐√)
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