私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ

急成長を果たしためぐみん盗賊団(銀髪仮面盗賊団ファンクラブ)の方針決定!
そのうち銀行や商会を立ち上げ、裏社会と表社会を牛耳っていく集団になる……かも
そして祭りもいよいよ終盤。
今夜祭りを打ち上げて、明日は締めにエリス様コンテスト……


花火を作ったらどこかで爆裂魔法が混ざった

<ダクネス>

 

領主代行の仕事が一向に終わらない。

というのもアクシズ教に関するクレームや、屋台の絶品レシピを教えてくれないという宮廷料理長からのクレーム、仮面屋さんで巷で噂の盗賊団の仮面を並べるとはいいセンスしてますねというアイリス様からのお手紙など、いろいろな通達を裁かなければならない。

そんなときにカズマの訪問。

現地でのことは現地に赴かなければ把握することはできないから非常に助かっているのだが、さすがにボーッとしてカズマの話も聞けないほど疲れてきた。

 

 

「……ぃ、ぉぃ、ぉい! おい! お、やっと起きたか? ったく、俺のありがたい話を聞かないとは、お前からの頼みなんだぞ?」

「ああ、すまない……。最近疲れてしまってな」

「そう言えばクマがすごいな、ちゃんと寝れてんの?」

「ここ一週間の睡眠時間は7時間だ」

「寝過ぎなくらい十分寝てるじゃねぇか! どうしてこんなになってんだ!?」

「うん? ……ああ、違う、一週間で、7時間だ」

「一日一時間睡眠!?」

「すまないな、わかりにくい言い方で。こんな状態なものでちょっとしたミスが多くて日に日に睡眠時間がなくなってな……あっ……どうしてだろう、涙が……。ああそうか、自分のミスが悔しいんだ」

「おい! 誰かーっ! 救護班を手配しろーっ! お嬢様がぶっ倒れる前に無理矢理でも休ませろっ!!」

「おい、カズマ! 余計なことをいうんじゃない! 私がやらねば……ナナシに任せてしまったらダスティネス家は……!」

 

 

そこまで言いかけて私は不自然に怠くなり、眠りについてしまった。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

しばらくして、朝のまぶしい光とともに目を覚ます。

……あっ!?

まさかあの男、私ドレインタッチでもして強制的に眠らせたのか!?

そう思って勢いよく目を開けて、休ませてくれたことには感謝しつつ、シバきにいこうと思ってベッドから起きようとすると。

 

 

「む、目覚めたか」

「おお! ララティーナ! 目を覚ましたんだね! よかった……本当によかった! お前まで失ってしまっては私は何を希望に生きていけばいいのか……」

「ち、父上!? それにナナシ!? 一体どうしたというのです!?」

「お前が倒れてから丸々2日、目を覚まさなかったんだ……。すまないな、私が楽をしている間にこんなことになるとは……」

 

 

事情を聞くとカズマがここに私を運んでくれたようで、父上が駆けつけてくれたらしい。

そして父上も私が心配な状態では仕事できないだろうと、王女としての公務を早めに終わらせたナナシが代行してくれていたようだ。

……うん?

代行しただと!?

 

 

「おい、ナナシ!? まさかアクセルの街に変なことしていないよな!?」

「ま、まあもちろん変なことは……しておらん」

「今の間は何だったんだ!?」

「必要に駆られてやったことだ。通常の仕事以外はほとんどやっておらん」

「その内容が心配なのだが!?」

「アイリス殿下関連での、ちょいと外れの位置に家を設けただけのことよ。今回はそれ以外にやることが多い故、激しく手出しはしておらん」

「そ、そうか……。疑ってすまなかったな……」

 

 

紅魔の里を大改造したと聞いたから、アクセルの街もおかしなことになるのではないかとばかり……

 

 

「一先ず汝に必要なものは休養じゃ。二人で街に繰り出し、祭りを楽しむといい。特に今晩の花火は壮観だ」

「そうだ、それがいい! ララティーナ、今日は私のことはパパとお呼び?」

「そ、それは流石に恥ずかしすぎます!」

「では親子水入らず、領地のことは忘れて楽しんでくるとよい。またな」

 

 

そう言ってナナシさんは扉から部屋の外に出て行った。

 

 

「聖女様、お気遣い感謝します……。ではララティーナ、私たちもゆっくりお祭りを楽しもう。こういう機会はそうそうないからな、パパと呼ばれるのも楽しみだ」

「もしかして……私のことをからかってます? 私は立派な大人ですよ? もう……」

「ははは……そういう恥ずかしがり屋なところ、本当に、お前の母さんそっくりだよ」

「今は私がお相手ですよお父様? ……今回は母上ではなく私をエスコートしてくださいます?」

「もちろんだ。いい場所をいろいろ見つけたんだ、屋台を巡りながらそこに向かおう」

「はい!」

 

 

前にナナシに領主の仕事を任せられないと言ったのは取り消そう。

……こうして二人でエリス祭りを回れるのもナナシ殿のおかげだし、本当に、返しきれない恩をくれる……一体何が目的なんだ?

なんて、冗談を考えながら私と父上は祭りへ繰り出した。

 

 

 

 

<カズマ>

 

盗賊団として三人で屋敷に侵入してた翌日、俺はダクネスに怒られるんだろかと思いながら俺を呼びに来たセバスチャン(仮)の後ろをついて行った。

最近のダクネスは頭がおかしくなるほど働き詰めで、この前なんか倒れてしまった。

もう体調がよくなっていることと短い説教ですみますようにと思いながらドアを開けると……

 

 

「遅かったな、助手」

「そうだね、ちょっと遅刻したのはダクネスに怒られると思ったからかな? ……このワインおいしっ!」

 

 

そこにはグラスを片手に盗賊団の仮面を被っているクリスとナナシさんが。

……これは面倒ごとに巻き込まれる予感だビンビンだ。

今日はこれからめぐみんと花火を見る約束をしてるのにこんなところで変なことに巻き込まれたくない!!

 

 

「……間違えました失礼しm」

「いや、間違えてないから! ほら助手君も仮面かぶって!」

「嫌だよ!? 俺は領主代行に呼び出されてきたんだ!」

「お、それナナシさんだよ?」

「ガッデム! じゃあこの集まりは何だ!? 何で昨日の今日でまた何かしようとしてんの!? 今日はどうしても外せない予定があるんで無理なんです!! だから失礼します……って廊下がなくなってる!?」

 

 

俺はいち早く逃げようとして後ろを振り向くと、その扉だった場所はただの壁となっていた。

 

 

「おい、これはどういうことだ!? 絶対ナナシのせいだろ!?」

「ご明察! 何かナナシさん、ダクネスが倒れたときにあれこれして領主代行になって、祭りの期間中はやりたい放題するぞって言ってダクネスの屋敷を改造しちゃったんだよね」

「ほんと仲間の住居を何勝手に改造してんの!? それはそれとしてダクネスに怒られなくなったのはナイスっす!」

「ダスティネス卿に許可はもらったのだから問題なかろう? それと、つい先日のことだが、王都に行った際にアイリス殿下の影武者をしてのぅ。お出かけ中の王女殿下に代わりいろいろ手を回してきた」

「本当にお前ってどこ目指してんの? 世界を支配したいの?」

「世界を支配か……。それも一興だろう」

 

 

このナナシって人は二大宗教と紅魔族のトップなのに実質的にアクセルの街を統治する権利まで手に入れて何がしたいのだろう?

もしかしてこの人は魔王を討伐した後に出てくる裏ボスなんじゃなかろうか。

……のじゃロリだけど

 

 

「おっと、そんなことをしている場合ではない。実は今日呼び出したのは今晩の花火と明日のエリス様コンテストの予定について話がしたくてな。アドバイザー殿?」

「えっ? 何か私の中で初耳のエリス様コンテストって何!? それと今回の祭りの迷惑アドバイザーってカズマ君だったの!?」

「しーっ。今は団長が話している最中ですよ、副団長!」

「えーっ!? もしかして私がおかしいの!? 何で二人はそんなに真面目な顔をしてるの!?」

「日本人が祭りにかける想いを嘗めないでださいエリス様!」

 

 

まだ何かいい足りないようだが、俺はナナシの話をしっかり聞くためにクリスのことは無視する。

……決して俺がエリス教に迷惑をかけまくっているアクシズ教と祭りを合同開催しろとか、売り子は熱中症対策に水着で活動しろとか、アクシズ教が駄目すぎたから祭りの料理を提供したとか、そんな都合の悪いことを言及されるのを避けるためではない。

 

 

「そう言えば今回の祭り、俺だけがアドバイザーじゃないみたいでどれだけ力になれるかどうか……。正体は不明なんですエリス教にいろいろな屋台料理を教えてるみたいで……おかげで屋台合戦は白熱したんだが。あ、それとなんで俺がアドバイザーだって知ってたんですか?」

「ふむ、そのエリス教に……というか祭りの均衡を良くし、経済効果を生もうとしたのは王女の公務だからな、全て某の手のひらだ」

「それ、絶対王女様の公務じゃないです。だが、ナナシさんが謎のアドバイザーだったなら俺と力を合わせれば……!」

「派手に行こう」

「っしゃああ! 気合い乗ってきたぜええ!!」

 

 

こうして俺は今晩の花火の最終計画の調整と明日のエリス様コンテストについてナナシさんと議論を開始した。

 

 

「……あの、私帰っていいかな?」

「明日のコンテストに参加するなら。ほれ、余りのお菓子を持ってけ」

「……? よくわかんないけど帰るからね? あ、お菓子ありがとー!」

 

 

 

 

****

 

 

 

 

 

なんやかんやあって、今は夜。

隣にはめぐみんがいて、ロマンチックな気分……

だが、このいい感じの雰囲気はもう数分もない。

……花火が終わるといういみじゃなくて邪魔が入るって意味で。

いつもそうだ。

俺がいい感じだと思ってるときに限って予定にない邪魔な連中がどうせ邪魔しに来るんだ。

だけど俺は今回の祭りの立役者だし、今日のたまにくらい、この空気をぶち壊されるまではこの雰囲気に浸ってても罰は当たらないだろう……

 

 

「きれーですね……。夜空を彩る火の花……花火でこんなに感動するのは初めてです」

「だろう? 俺とナナシさんが本気を出して日本花火と同じ手作り製法で作ったんだ。ギリギリまでかかったがいいできだろ?」

「ほう、それはもしかして私のために作ってくれた……という認識をしても構わないのですか?」

「どうだろ……俺の故郷では花火は蝉退治とか、そんな殺生なことじゃなくて、炎を魂に見立てて鎮魂を願って弔ったりするから、気合い入っちまっただけかもな」

「これがいわゆるツンデレというやつですか?」

「ツンデレじゃねぇし!」

「まあ何にせよ、カズマと来られてよかったです。……帰りが遅かったものですからもしかして私との約束をほっぽり出されてしまったのでしょうかと心配をしていたのですが……ギリギリまで頑張ってくれていたんですね。……あ、次が最後の花火みたいですよ!」

 

 

あれ!?

いつもこう言ういい感じの時に限ってアクアやら魔物やらが襲いに来て台無しにするはずなんだが今日はもしかしてそんなことはない!?

もしかしてこの後、めぐみんといい感じになってそれで……

 

 

「エクスプロージョンっっ!! …………どーですかカズマ? 最後の花火と私の渾身の一撃のコラボレーションは。夜空を裂いた(に咲いた)爆裂魔法の色は綺麗ですか? ……あ、おんぶお願いしまーす」

「……」

 

 

確かに爆音と輝きは今回のナナシさん特製花火50号連発と遜色ないのかもしれない。

そして真っ赤な特大爆裂が最後の花火の横で炸裂し、白と赤の彩りはかなり綺麗だ。

 

……だが、彼女と花火大会の後手をつないで帰るみたいな、そのまま頬を赤らめ照れながら軽くキスをするみたいな、そんな甘酸っぱい青春のムードをおんぶしてくださいでぶち壊さないでほしい。

 




次回

エリス様コンテスト開幕!
そこに現る謎の美女と謎の鎧!
その正体とは一体……!?

此、最重要選択為る事心得よ。汝、運命之選択、努々誤る事無き事願い給う。

  • 怠惰暴虐之女神生存
  • 怠惰暴虐之女神死亡
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