魔王軍が 攻めてきた。
邪神ウォルバクが 現れた。
カズマの ターン。
カズマは 混乱して アクアに ドロップキックを 放った。
会心の一撃!
<カズマ>
「一体全体どういうことなの!?」
「ふっふっふ……私を誰だと思っているのですか? あの紅魔族の大人でさえ四苦八苦する邪神の封印を解いた張本人とは私のこと。すべての悪事は筒抜けだったのです!」
「じゃ、じゃあまさかこの私がテレポートで温泉に部下たちを送り込んで、強力な爆弾で敵地を混乱の渦中に陥れ、外に出てきた冒険者を爆裂魔法で一網打尽にする作戦も……」
「とかっこつけて言ってみたものの、実際のところ確証なくそれっぽいことを言ってみただけで、そこまで詳しいことは知りませんでした」
「……」
「お久しぶりです、おねえさん」
なんか向こうの方でめぐみんがお風呂好きのお姉さんこと邪神ウォルバクさんに話しかけている。
……が、俺はそんなことを聞いている暇はねぇ。
一先ず不意打ち決まって力尽きたアクアをどうやって処理するかを決めなくては。
「ぺっぺっ……ううっ、口の中砂でジャリジャリするよぅ」
「うお!? アクア、お前死んだはずじゃ」
「誰が死ぬもんですか女神は不滅の存在なんだから! そう、信者の信仰心が絶えない限り何度でも蘇るわ!」
「ゴキブリ並にやっかいだな……」
「誰がゴキブリですって! そもそもなんで私のこと蹴っぽったのよ! 謝って! この麗しき女神様を土まみれに穢したことを謝って!」
「ああ、悪い悪い、急に
「な、なんてことなの! 人の精神に作用する系の魔法は頭ポンってなる可能性があるから太古の時代に禁術指定したはずなのに!」
「おい、俺転生のときに異世界言語インプットされるのはどうなんだ!? 明らかに脳神経に関与してるあれも禁術指定なんだろ本当は!」
「…………カズマさん」
「なんだよ」
「あれはごーほーです、安心してください」
そうかそうか合法なのか安心した……ってんなわけあるかい!
この糞駄女神が住んでる天界に天界規則的なのはあるらしいが法律はないだろ!
それに今でも覚えてるぞ、あのとき一歩間違えると頭パーになっちゃうって言ってたろ!
なんて言う恐ろしい術を頭にかけてくれちゃってんだよ!
そんなことしていると巨乳のお姉さんがふわりと浮き上がり猫のような瞳孔でこちらを怪しく見る。
「……とにかくこの作戦は失敗ね。私は撤退させてもらうわ」
「ちょっと待ちなさい!! まだ女神である私との決着はついてないわよ! こっちに降りてきて正々堂々タイマン張りなさいな」
「あなた……本当は女神じゃなくて不良とかヤンキーとか言う輩なんでしょう?」
「誰が不良よ! こんな辺境の世界を担当してるエリスより格式高い日本担当のエリート女神様よ私は! マイナーすぎて堕天した落ちこぼれ女神に不良とか言われたくないわよ!」
「なんてこと言うのかしらこの娘!? 別にマイナーなのは認めるけれども、それが堕天した理由じゃないわよ! それにもし貴方が女神だとして、こんなところにいる貴方だって堕天してるじゃない」
「そんなことないわよ! 私は魔王を倒すために天界から遣わされたんだからアンタと一緒にしないでよね!」
つまりなんだ?
この二人は自分の意思で天界に戻れない堕天した女神……堕天使ならぬ堕女神ってことか。
馬鹿っぽいアクアはともかくお姉さんはどうして天界に帰れないのか。
****
俺は魔王軍幹部を取り逃した。
それで止まってればまだよかったのに、自陣は壊滅的な被害を被った。
言い訳としてはウォルバクさんが爆裂魔法を唱え始めたから。
俺は考えた、邪神と言うからにはアクアみたいにステータスはカンストしているはずで、ゆんゆんの魔法で攻撃しても止められず、めぐみんの爆裂魔法詠唱が唱えきられる前に邪神のエクスプロージョンが放たれるに決まっている。
だから俺はゆんゆんにテレポートを頼んで爆裂魔法数発レベルじゃでもびくともしない結界の中に帰ったのだが……
「よし4人ともそこに直れ」
「話を聞いてくれよダクネス! 俺は悪くない! 悪いのは俺の言うことも聞かずセイクリッド・クリエイトウォーターしたアクアが!」
「私は悪いことしてないわよ! 強いて言えば女神を名乗る不届き者に怒りの鉄槌をと思ったのと、邪神の爆裂魔法を止めるために魔法を行使したに過ぎないの! そしたら味方にも爆裂魔法を撃とうとしてる娘がいて!」
「話を聞いてほしいのですダクネス! 悪いのはテレポートしたゆんゆんで、私は敵を追い詰めるために爆裂魔法を放とうとしただけなんです!」
「ええっ!? ご、ごめんなさい!?」
「素直に謝れる心清らかなゆんゆんは解散してくれていい。というか唯一何も悪いことしてないのにどうして一緒に……」
とまあ、そういうことで、お姉さんに対抗しようとした紅魔族と駄女神は自陣で強力な魔法を放ってしまったのだ。
その結果バリアや兵器などの中枢機能は謎技術で問題なかったが、それ以外の居住スペースなどが水浸しの瓦礫の山と化していた。
不幸か幸いか、放たれた魔法は死者を出さず、疲弊を狙う魔王軍のせいだということで俺たちはお咎めなしなのだが、問屋という名のダクネスが黙っちゃいなかった。
「わ、私急いでセイクリッド・ハイネス・ヒールを乱射してきたい衝動と職人として壁を作りたい本能に襲われて仕方ないから行ってくるわね!」とダクネスに怒られるのが嫌で自主的に瓦礫の撤去作業と鉄筋入り建築を急ピッチで一人始めたアクアは後で殴る。
俺とめぐみんもこうしちゃいけないと思ってこれに乗じて壁の補修工事をしようとしたんだがダクネスに首をつかまれ。
「どこへ行こうというのだ」
「さ、三分間待ってくれたりしませんかね? 暴力はよくないと話し合いたい俺が言うんだ、若干首が絞まってきたんで、その発達した上腕二頭筋を押しつけるのはおやめになりませんこと?」
「私の帽子の中にはちょむすけがいるのですよ? ドMのくせにかわいらしいものが大好きで夜はお気に入りのぬいぐるみを抱いてないとよく眠れないダクネスはかわいらしい毛玉を殴りつけたりしませんよね?」
「私をおちょくるということは本当は拳骨がほしいのだろう? 何心配するな、痛いのは目を覚ました直後だ」
それって俺らを昏倒させるってことじゃないですかやだー!?
こうして俺(とついでにめぐみん)は砦に来て二度目の意識消失を体験したのであった。
……いや、人類存続をかけた前線なんだろここ、どうして戦い以外で意識をなくすことばっかなんだよ俺!?
****
「なあダクネス。アクアって俺と土木建築のバイト同期なんだわ」
「そうなのか」
「俺はそこで新人として約1ヶ月ほど働いたわけなんだが、どうしてアクアだけ正社員として雇用させてほしいって引き抜き来るほどだ。……どうしてこう言う戦闘に関係ない系の技術だけは達者なんだろうな? 俺なんとなく泣けてくるんだが」
「し、しかしカズマだってこの砦の中では2位3位を争う腕だ。アクアがおかしいだけで自分を卑下しなくとも……」
「そうは言ってももうすっかり直ったどころか進化した前線基地の75%はアクアの仕事だぞ?」
「ああ、だからおかしいと言っているのだ」
あの事件から一週間もせずに復旧完了。
マジであの宴会芸の女神様は冒険者なんてやめて旅芸人とか建築業の仕事してた方が稼げるだろ。
そんな感じで平和の象徴である50M級の超巨大な壁を眺めながら思う。
「本当にこんなに堅くて大きくて立派なモノ、王都でも見たことがないぞ」
「なんか卑猥だな」
「!? い、いや私は決してそう言った意味で発言したわけではなく生娘で……」
「お前の恥ずかしいポイントって毎度よくわかんないよな、毎日ドM発言してるんだからこれくらいなんでもないだろ?」
「しょんなことにゃい! 人目がある中でそんなこと言うなんてどんな鬼畜だ……ハァハァ///」
「ほんとわかんねーよ」
そんなこと思ってると『――魔王軍緊急警報――魔王軍緊急警報――魔王軍に動きあり! 門前に幹部と思わしき者! 冒険者各位は所定の位置へ移動を開始せよ。繰り返す――』と警報が。
<めぐみん>
「……どういうことなの? 私たちが人員の補給してる間にどうしてこんなに巨大な壁がそびえ立っているのかしら!? この前までボロボロだったのに流石に早すぎないかしら!?」
「おい、魔王軍幹部、邪神ウォルバク! こっちには敬虔なエリス教徒であるダスティネス家の後ろ盾と悪名高きアクシズ教のご神体であらせられる邪神アクアがいる! 今なら捕虜として捕らえるだけで命は勘弁してやるがどうですか!」
「ねえめぐゆん、私のことを邪神扱いするこの男の事を手が滑った体でこの壁から突き落として蘇生したいんだけどいいかしら?」
「自分の神様を貶められた怒りはわからなくもないですが、落ち着いてください」
「そ、そうですよ! 今のカズマさんは強い冒険者さんがいっぱいいて安全なところから高みの見物できてるから上から出てますけどコボルトに負けるくらい弱いんですから落とすのはやめたげてください!」
何か我がパーティーのリーダーにかなり辛辣な我がライバル。
裸を見られたわけでもあるまいし何を目の敵にしたような振る舞いしてるんですかこの子は。
そんなこと思っていると邪神ウォルバクが。
「平和的解決ね……もしそうなればだけれど」
「女神様だったんですよね? どうしてこんなことを……」
「……私は魔王についてるの。魔族に信者が多い私をそちら側に寝返らそうとしても無駄よ。……今日こそは決着をつけましょう」
お姉さん……
私の爆裂魔法を教えてくれた恩人。
この私たちのために用意されたと言っても過言ではないこの場は、私がどれだけ成長したかを見せるいい機会なんですよ、きっと……
きっと師匠に仕組まれた絶好の機会だからこそ、腑に落ちない。
だからこそ私は地に足をつけ一人で前に足を一歩出す。
「それは終わりの炎。現在過去未来、万象を超える禁断の力……」
「お姉さん、今ならまだ間に合います。やめましょう、こんな無駄な争い」
「……嗚呼、炎よ、我は破壊者、無慈悲なる者」
「誰も死なない、誰も傷ついていない馬鹿みたいな茶番はやめにしませんか?」
「我が血、我が肉を以て、古き神々の戒律を今破らん。…………今更引き下がれないわよ。私が今回の大将、その首をとらなきゃ無意味であろうとも終われないの」
「……そうですか」
「私の魔法はそっちには届かないわ」
「こっちの魔法は届きますね」
なんて馬鹿な人なんだろう。
自己犠牲なんてかっこ悪い。
圧倒的な力がありながら最後の最後がこんな展開なんて、今回のシナリオは失敗作ですよ、ナナシさん……
『『エクスプロージョンッッ!!』』
放たれた私たちの爆裂魔法。
邪神の完璧な詠唱は轟音となり結界に亀裂を入れるが、それでも自己修復機能で跡形もなく復元する。
対して私の無詠唱の爆裂魔法は威力があまりない。
それでも十分に神を滅ぼす力はこもっていた。
……散らすなら、派手に散らせて弔いたいと思ってたのですがね。
そんなことを思えば思うほどに気怠げな体とは逆に目頭が熱くなる。
こうして砦の戦いは負傷者なくあっさりと終えたかに思えた。
いつまでたっても勝利の歓声がない。
私は怪訝に思って杖を頼りにクレーターの痕があろう場所を見る。
そこには確かに爆裂魔法の跡があった。
しかし、お姉さんが立っている場所は、その場所だけ切り取られたかのように無傷で、もう一人、誰かの影が見えた。
いや、誰かというにはあまりにも見知った影だった。
「この戦いを……終わらせに来た」
TO BE CONTINUED ドンッ!!!
戦いは爆裂魔法の共鳴にて終結したかに思われた
しかし予想だにしない女の登場によって事態は急変する
秘めたる野望のために神に挑む謎の兵「神堕とし」
そして「神殺し」の魔法を操る爆裂魔法使い
過去と未来を繋ぐ因縁の戦いが今始まる
次回ワ○ピース
平和と正義の答えを探して、神話の如き激戦の幕開け
新世界の神に、私はなるっ!!
此、最重要選択為る事心得よ。汝、運命之選択、努々誤る事無き事願い給う。
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怠惰暴虐之女神生存
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怠惰暴虐之女神死亡