私の中二心を『エクスプロージョン』ッッ!!   作:桃玉

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前回のあらすじ……
というより何も考えないで中二病を炸裂させた前回。
久しぶりの詠唱や、濁流のように押し寄せる怒濤の展開。
圧倒的説明不足を要約して補おうのコーナー!


主人公ちゃん、邪神を助けるように多数決アンケートで言われたので神になって運命を強制的にぶち抜こうとする。



過酷な運命に抗うために太陽を克服してみた

<主人公ちゃん>

 

私は行動した、激流の如き酷な運命に抗うために。

私が行動を起こさなければ今回の「紅の宿命」の結果は変わらない。

 

紅の宿命……

あの心優しい邪神ウォルバクとめぐみんの因縁が決着するあの場所を私は見た。

世界に疎まれた自身の破滅を望む邪神は優しさ故に記憶にないとばかり紅魔の娘に告げ、最終的に爆焔に呑まれ、暴虐の魔獣に取り込まれる。

……そんなウォルバクとめぐみんの悲しき運命。

 

このまま運命の水の流れるままに身を委ねてもよかったのだが。

やはりこれでもめぐみんの師、若人に代わって運命の重さを背負うのも一興だ。

そんなわけで抗いがたい運命に楯突こうとしたのだ、人の身でありながら。

 

紅魔族の裏長、アクシズ教の聖女、エリス教の聖女、邪神の使徒、ベルゼルグ王国王女代理、大盗賊団の団長……

そんな肩書きを名実ともに手にしたのだがまだ足りない。

ここまでしても世界という名の運命補正力によって達成されることはない。

 

ならば、運命という名の補正力を振り切るための世界を裏切る展開が必要だ。

世界に、歴史に、忘れようとしても忘れられないような偉功を刻み込まなければならない。

こうして己が臨む未来のため、自らを生け贄とし、ウォルバクを救う筋道を確立させようと奔走した結果、私は神になることですべてを終わらせようとしたのだ。

 

 

神とは何か。

神とは信仰の対象だ。

信仰心が篤いほど、信者が多いほどその神力は強まる。

 

ならばバニルや魔王娘と正面切って戦える自らの力、巫女としての神気……

実在すれど助けてくれるかどうかわからない気まぐれな神様より全てを解決できるだけの力を持つ私に信仰心が移るのも自明の理だ。

神になれる要素は満たされていたのだ。

 

後は天界にあった禁術「神格化」を実行し、現人神となり、世界を自らの望む方向へ改変しようとするだけだ。

しかし、まだ世界は私のことを認めないつもりらしい。

私の前に立ちはだかるは運命の刺客である裏の人格(自演)であった。

 

 

……っとここまでいろいろ言ってみたけど結局何が言いたいかって?

そんなの簡単なことだよワトソン君。

私の行動原理を忘れたのかい?

中二病が圧倒的力を手に入れたなら世界を支配するしか残されたみちはないじゃないか。

 

カズマの覚悟を決めた熱い眼差しが獰猛で荒々しい闘争心と加虐心を駆り立てる。

別に私は人殺しをしたいって訳じゃないんだ。

でも手加減してもらえるほど甘いとは思わないでほしい。

慣れない力に目覚めたばかりだからな、努力はするが、軽く腕を振るったつもりでも秘めたる威力は鎧をも突き抜けるかもしれんぞ?

 

さあ、勇者ども、遊びに付き合ってやる。

世界を支配せんとする我を少しでも楽しませ、少しでも永くこの地に留めてみせよ。

我が道を遮るものから跪かせてやる。

 

さあ、魔物ども、戯れに付き合え。

力量さえわからぬ頭に魔王をも凌ぐ覇道を喰らわせ反抗という名の牙をへし折ってやろう。

命までは取らぬ、大人しく牙を差し出せ。

 

さあ、主人公ども、私を打ち倒せるものなら打ち倒せ!

邪神の破滅を反転させてやった結果導き出された私の勝利という名の運命に抗え!

運命に抗い、逆境を乗り越えてみせたものが主人公だ。

せいぜい主人公の座を奪われないように頑張れよ?

 

 

 

 

<カズマ>

 

「ウォルバク、戦場に戦えぬものは不要よ」

 

 

そう言って爆裂魔法を打ち終え、もうほとんど魔力残量がなさそうなお姉さんがめぐみんとゆんゆんの近くに転移させられる。

 

やべーよ。

ナナシさん頭おかしくなっちまったよヤッッベェーーッッ!!

 

だってあの人本気出せば単体でデストロイヤー撃破できるって噂なんだぞ!?

結界を破壊しない限り遠距離攻撃無効で、生身で接近すれば大砲やら近代兵器やらでボッコボコにされるあのデストロイヤーをだ。

紅魔族随一の天才を自称するめぐみんとラスダンのボス敵でもおかしくないリッチーのウィズでさえデストロイヤーの足を破壊することしかできないレベルなのにだ。

そんなやつが頭狂った時点でヤバイヨヤバイヨ終わりだよ勝てるわけない!

 

……ふー。

よし、弱音は散々吐いた。

 

 

「おいミツラギ!」

「ミツルギだ! 今日は惜しいところまでいったのに!」

「俺があいつを倒す策を考える! だからそれまでの間、他のチート系冒険者らを引き連れて時間稼ぎしてこい!」

「そうだね、君は弱いし仮にもアクア様の従者。最悪僕が死んでもアクア様の無事を保証してくれ。無論死ぬつもりはないけどね」

「誰が従者だって!?」

「あまり気に負うなって話だ。力あるものにはそれ相応の責任があるんだ、守られるべきは責任を感じる必要はない」

「み、ミツロギ……」

「ミツルギだ。こっちのことは任せておけ」

「……何かムカつくし派手に死んでこい!」

「そこは生きて帰ってこいって嘘でも言うべき場面じゃないか!?」

 

 

背中を見せて歯につく台詞を吐くクソイケメンを送り出す。

俺の対応にズッコケかけたが腐っても高レベルのチート持ち勇者の鎧姿は頼もしく見えた。

 

 

「めぐみん! 散々一番弟子自称してきたお前ならナナシがどういう状態かわかるんじゃないか!」

「誰が自称ですか! 今私の恩人二人が敵な状況で冗談は……!」

「それだけ言い返せるなら上出来だ!」

「……ありがとう、ございます」

「それは全部終わってからじっくりねちっこく寝室で聞いてやるから」

「こう言うのは今ありのままの気持ちを一度だけ伝えるからこそいいんです! そんなことよりも師匠の状態ですよね……私の見解では神格を得た反動で力の制御が困難となり裏の人格というか力が暴走している状態だと思われます」

「それはつまりいつもみたいな精密な動作が難しいってことか!?」

「ええ、ですが直に順応すると思います……普段は魔力制限をしてますが現在は見たところできていないのか、アクアを上回る莫大な魔力渦が無尽蔵に溢れていますので、仕掛けるのなら今のうちがいいかもです」

 

 

ということは長期決戦は勝ち目を捨てるようなもんだ。

絶対避けた方がいいな。

持久戦に持ち込んで消耗を狙ってもよかったが、あの人半球睡眠できるし魔力が無限にあふれ出るっていってるし魔力も無尽蔵にあふれ出てるときた。

コロナタイトでもあるまいしどっからそんな魔力エネルギーを得て……

 

 

「め、めぐみん! ナナシさんの魔力ってどうして無限に溢れてるんだ!?」

「考えられるのは二つ。ドレインタッチの原理で周囲の大気や霊脈、冒険者たちから放たれる魔力を吸収し得ているか、外部にあるマナタイト的な何かから魔力をもらっているか……」

「魔力タンク……地下にそれあったよな。そして魔力タンクって確か地脈とか魔王城とかからもらってきてるとか言ってなかったか? それを結界とかロボットの動力としてるとかなんとかって」

「さ、冴えてますよ! 流石カズマ! どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのでしょう……師匠は知略に優れた人です。結界を消した理由は戦いのほかにもう一つあったんですよ!」

「……まさか、結界を消して魔力タンクの魔力の行き先を自分にした、とかか?」

「きっとその通りです! あの魔力タンクに自動で貯蓄する機能をつけることで魔力収集、圧縮のプロセスを減らし、自身の負担を減らしてるのでしょう!」

 

 

めぐみんの小難しい説明が終わったが、つまりは魔力タンクをなんとかすれば魔力は無限じゃなくなるってことだな!

なら!

 

 

「めぐみん! それからウォルバクさん……でいいか?」

「ええ。何か案はあるかしら? 私の使徒ちゃんの暴走を止めるためになにかできることがあれば……」

「じゃ、じゃあ二人は爆裂魔法撃てるだろ? ならあの魔力タンクの中身がなくなるまでどんどん撃ちまくれ!」

「で、ですが軽く数十発……いえ、百発は超えるでしょう! 短期決戦なら時間が!」

「めぐみんは無詠唱できんだろ!」

「な、なぜそれを!?」

「お前専属の実力派爆裂ソムリエ嘗めんなよ! それとも何かナナシさんと爆裂魔法を比べたら自分が劣ってるとでも言う気か!」

「自信は……ありませんよ? あの状態でない師匠ならあるいはですが」

「大丈夫、お前の実力は俺が保証する! たぶんお前念願のエンドレス爆裂魔法祭りだ、楽しんでこい! お姉さんに迷惑かけるんじゃないぞ?」

「……ええ、言わずもがな、我が名めぐみんを知らぬものがいなくなるほど轟かせてきましょう! お姉さんには迷惑かけますが……」

「いいえ、迷惑なんかじゃないわ。ほら、背中に乗って行きましょう」

 

 

そう言って爆裂コンビはタンクの方へ走っていった。

……今更ながら冒険者たちがいるのに被害も考えずに撃ちそうだから怖くなってきたわ。

 

 

「よし、じゃあ次はアクア! お前、仮にも女神自称するんだったら神様にしかわからないことわかるんじゃないか!」

「私も自称じゃないわよ! でもそうね……私の曇りなき眼によると私と同じくらいのメガミックパワーを感じるわ。あと、ちょっと誤差な感じがするんだけど私の力が下がった気が……。日本特有の多宗教みたいな感じで信仰心が分散されたせいかしら?」

「お前、アホなくせに難しいこと喋って……成長したんだな」

「ちっがうわよ! 私はステータスカンストだって言ったでしょ! もともと天才なのよ私は」

「じゃあ弱点とか対策とか少しくらい教えろよ! もしくは転生冒険者たちのチートスキルとかを付与するとか!」

「そ、そんな急にいわれても追加で特典は上げられないわよ! ……あっ」

「おい、なんだよその気まずそうな顔」

「え、えーっと。多分なんですけど、のじゃロリちゃんって転生させたの私です……」

「スゥー……今の俺の気持ちを当ててみな?」

「デストロイヤーの件といい、とんでもないやつを異世界に連れてきやがって一発ぶん殴ってやろうかこのくそアマっていう気持ちはわかるけど落ち着いて、ね? 今の今まで忘れてたけどスキル系の特典は油断を突いて封印できるわよ!」

「本当かソレ!」

「た、ぶん……」

 

 

めっちゃくちゃ確証のなさそうな顔しやがって……

だが、戦況をひっくり返すには十分かもしれない。

 

 

「おし、じゃあゆんゆん! アクアのことを頼んだ!」

「は、はひ! アクアさんのことは私が命を賭して守り抜きます!」

「お、重いわよゆんゆん……私もう少し軽ーい気持ちの方がドキドキしないっていうか……」

「絶対いけるって確信した瞬間に一発頼んだぜ? 爆裂魔法連発の隙を狙え!」

 

 

グッジョブサインをして二人を送り出す。

残ったのはダクネスと俺。

 

 

「カズマ、私はいつも通り皆の壁となればいいのだろう?」

「ああ、頼んだ……今回ばかりは無茶すんなよ」

「無論承知している。……では、行ってくりゅ!」

「本当に無茶すんなよ!?」

 

 

嬉々として戦場をかけていくダクネス。

なんだか気が抜けるが、それでこそ俺たち、か。

よし!

俺も俺のやれることを考えて行動しないと!




ナナシを倒す算段はたった。
しかしチート持ち勇者候補な冒険者たちが精一杯の足止めをする中大きな問題。
何故かナナシ一人だけなのにに集中できない。
瞬間移動のごとき早さに動きの緩急で残像を残す。
しかしそれは戦いの序章に過ぎなかった。

次回
終焉と暴虐の獣

此、最重要選択為る事心得よ。汝、運命之選択、努々誤る事無き事願い給う。

  • 怠惰暴虐之女神生存
  • 怠惰暴虐之女神死亡
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